一般社団法人
微生物対策協会

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2025/07/17   

カビはペットの敵!?室内でできる簡単カビ対策まとめ

ペットと暮らしている家でカビが増えやすいことをご存知ですか?
【記事を読んで分かること】ペットとカビの関係、健康被害のリスク、安全なカビ対策の方法が理解できます。
【記事を読むメリット】大切なペットの健康を守りながら、家の中の空気を清潔に保つ方法が身につきます。

ペットと過ごす暮らしは癒やしに満ちていますが、同時に「室内の湿度や衛生環境」にも大きな影響を与えています。特にカビは、湿気や汚れが大好きな微生物。ペットの存在が無意識のうちにカビの繁殖条件を整えてしまっているケースも少なくありません。まずは、ペットと暮らす家がカビのリスクを抱えやすい理由を見ていきましょう。

犬や猫などのペットは人間よりも体温が高く、呼吸も浅くて早いため、室内に熱気と湿気を生みやすい存在です。特に多頭飼育の場合や小型の部屋で飼っている場合には、空気中の湿度が高まりやすく、カビにとって理想的な環境が整ってしまいます。また、ペットが体を舐めたり、呼気に含まれる水蒸気が床や壁に影響を与えたりと、目に見えない湿気の蓄積が日々進行しています。さらに、エアコンを控えめにしたり、締め切った状態で過ごす時間が多いと、空気の循環が悪くなり、カビの温床になってしまうのです。

ペットの水飲み場やトイレ周辺は、床が常に濡れていたり、アンモニア臭や皮脂汚れが付着していたりと、カビが発生しやすい環境が整っています。犬や猫が水を飲んだ後、口元からこぼれた水が床に飛び散り、放置されることで床材に湿気がこもります。ペットシーツやトイレのマットも、湿気や汚れが染み込みやすく、放置すればカビの発生源になります。また、ケージの下や壁際など、通気が悪く掃除が行き届きにくい場所に湿気がたまり、気づかぬうちにカビが繁殖していることも。こうした“ペット由来の湿気ゾーン”を軽視すると、家全体の空気環境にも悪影響を及ぼしてしまいます。

「少しのカビなら問題ない」と思っていませんか? 実は、ペットは人間以上にカビの影響を受けやすい存在です。特に皮膚が薄く、被毛に覆われた犬や猫は、湿気やカビの胞子により皮膚炎やアレルギーを起こすことがあり、体調不良の原因にもなりかねません。ここでは、カビがペットの体にどう影響するのかを具体的に解説します。

カビの胞子は空気中を漂っているため、ペットが呼吸を通じて吸い込むことで、肺や気管支にダメージを与えることがあります。特に免疫力の弱い子犬・子猫や高齢のペットは、慢性的な咳やくしゃみ、鼻水といった呼吸器症状を引き起こしやすくなります。また、皮膚にカビが付着することで、かゆみや赤み、脱毛といった皮膚炎の症状が現れることもあります。特にジメジメしたマットの上で長時間過ごすペットは、肉球の間やお腹まわりに湿気がこもりやすく、カビによる炎症が起きやすい状態です。これらの症状はカビだけが原因と判断しにくいため、見逃されがちですが、日常的な観察と清潔な環境づくりが何よりも大切です。

犬の場合、マラセチア皮膚炎と呼ばれる真菌(カビの一種)による皮膚病が特に多く見られます。耳の中や皮膚のしわ、指の間など湿気がこもりやすい場所に発症し、においやベタつき、かゆみを伴います。また、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は特に湿気に弱く、カビによる皮膚トラブルが起きやすい傾向があります。
一方、猫では**皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)**というカビ感染症が問題になります。これは他の猫や人間にも感染することがあるため、発見が遅れると家庭内で拡大するリスクも。被毛の一部が円形に抜ける、皮膚が赤くなるといった症状が見られた場合は、早急に動物病院で診察を受ける必要があります。
このように、カビは犬や猫の体に直接的な影響を及ぼすだけでなく、家族全体の健康にも関係する存在なのです。

カビは「湿気・汚れ・温度」の3つがそろうことで一気に繁殖します。特にペットとの暮らしでは、これらの条件が日常的に発生しやすくなっているため、意識的な対策が必要です。ここでは、ペットの健康と住環境を守るために、すぐに取り入れられるカビ対策の基本をご紹介します。

まず重要なのが「換気」と「湿度管理」です。カビは湿度が60%を超えると活発に繁殖します。したがって、室内の湿度を50%前後に保つことが理想です。換気扇や窓を使ってこまめに空気を入れ替え、湿気がこもらないようにしましょう。特にペットのトイレや食事スペース周辺、洗面所やキッチンなど水気の多い場所は要注意です。また、除湿器やエアコンのドライ機能を使って湿度を下げることも効果的です。
加えて、湿度計を部屋に設置し、数値で確認することで意識的な管理がしやすくなります。換気が難しい冬や梅雨の時期こそ、こまめな除湿がカビ予防に直結します。

ペットが毎日使うマットやベッド、ブランケット、トイレ用シーツなどは、湿気や汚れがたまりやすく、カビが発生しやすい場所です。これらは定期的に洗濯し、しっかり乾燥させてから使用・保管することが大切です。特に洗濯後の生乾き状態は最もカビが好む環境ですので、天日干しか乾燥機でしっかり水分を飛ばすようにしましょう。
また、フードボウルや給水器も湿ったまま放置すると、ぬめりやカビの温床になります。毎日洗って乾かすことを習慣にすることが、ペットの健康を守る第一歩です。さらに、収納時は通気性の良いケースを使い、密閉しないようにするなど、空気の流れを意識した保管方法も重要です。

カビを退治しようと焦って対策を講じた結果、ペットの体に悪影響を与えてしまうことがあります。間違った方法は、かえって健康リスクを高め、カビの再発を招くことも。ここでは、ペットと暮らす家で“やってはいけない”カビ対策の落とし穴を解説します。

市販のカビ取り剤の中には、塩素系や強い化学成分を含むものが多くあります。確かにカビには効果的ですが、こうした薬剤はペットにとって非常に危険です。たとえば、塩素系成分を吸い込んだり、床に残った成分を肉球や舌から取り込んでしまったりすると、中毒症状を引き起こすおそれがあります。特に猫は肝臓の代謝機能が弱く、微量でも深刻な影響を受ける可能性があります。
カビを取りたい気持ちは分かりますが、ペットが過ごす場所には安全性の高い天然成分やアルコール系の除菌剤を使用するようにしましょう。使用後はしっかり拭き取り、乾燥させてからペットを戻すのが鉄則です。

見える場所のカビだけを掃除して、安心していませんか? 実は、ペットが好んで過ごす「家具の裏」「ケージの下」「ベッドの下」などの見えない場所にカビが発生しているケースは多くあります。こうした場所は通気性が悪く、湿気がこもりやすいため、カビにとっては理想的な繁殖場所です。
また、ペット用のおもちゃやキャリーケースなど、普段あまり洗わないものにも湿気がたまり、カビが付着していることがあります。見えないからといって放置するのではなく、定期的にチェックし、掃除・洗浄・乾燥を徹底することが、再発を防ぐカギになります。
「見えない部分こそ要注意」――これがペットと暮らす家のカビ対策の鉄則です。

「強力な除菌=ペットに優しくない」と思っていませんか?
実際には、ペットの健康を守りながらも、しっかりとカビ対策ができる製品やサービスは多数存在します。ここでは、家庭で安心して使えるグッズと、専門業者による本格的な対策方法を2つの視点からご紹介します。

市販されているカビ対策グッズの中には、「ペットにも安心」と明記された製品があります。以下はその中でも特におすすめの5つです。

  1. アルコール系除菌スプレー(食品添加物由来)
     成分が自然由来で揮発性が高いため、使用後すぐにペットが触れても安心。
  2. 天然由来の防カビミスト(ユーカリやティーツリー配合)
     除菌・消臭効果に優れ、空気清浄も兼ねられる。
  3. 珪藻土バスマット・吸湿プレート
     ペットの水回りやトイレ周辺の湿気を吸収し、カビの発生を抑制。
  4. ペット用洗剤で洗える布製ベッド・マット
     こまめに洗っても劣化しにくく、乾きやすい素材でカビを防止。
  5. 電源不要の除湿剤(炭・シリカゲル系)
     ケージの近くや家具の下に置くだけで湿気を吸収。定期交換で効果持続。

どれも手軽に導入でき、ペットの健康を守りつつ清潔な環境を保つことができます。

「何度掃除してもカビ臭が消えない」「天井や壁の奥からカビが出てきた」――そんな場合は、専門業者によるカビ調査や除去サービスの利用を検討しましょう。
プロによる調査では、空気中のカビ菌の種類や濃度を可視化し、発生源を科学的に特定することができます。また、ペットに配慮した洗浄剤や機材を使って除去を行ってくれる業者もあり、健康リスクを抑えながら本格的な対応が可能です。

さらに、定期的なモニタリングサービスや、ペット対応の防カビ施工を行っている業者を選ぶことで、再発防止にもつながります。「安心して暮らせる空間」を保つために、必要に応じて専門の知見を活用することも、ペットとの共生には欠かせません。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱に、住環境の安全と健康を守る活動を行っている専門機関です。私たちは、カビが引き起こす健康被害や建物劣化などの問題に対処し、科学的根拠にもとづいた調査と対策を通じて、清潔で安心な空間づくりを支援しています。

当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を背景にスタートしました。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境の改善や建築構造の見直しを推進することが求められています。私たちの取り組みは、この理念に基づいています。

協会では、特に空気中に浮遊するカビや微生物の測定・分析に力を入れており、室内空間の「見える化」によって、目に見えないリスクを数値で把握できる体制を整えています。空気中のカビ菌は一度床に落ちても死滅せず、再び浮遊する特性があるため、表面的な清掃だけでは不十分です。微細な粒子の調査と環境改善こそが、持続的なカビ対策のカギとなります。

また、私たちは個人宅はもちろん、高齢者施設、保育施設、ペット関連施設、病院、商業施設など、さまざまな環境に対応したカビ調査・改善提案を行っており、必要に応じて専門家チームによる現地対応も行っています。

さらに、施設職員や一般の方向けに、カビ・微生物に関する啓発活動や研修も実施しており、正しい知識と対処法の普及にも力を入れています。これにより、住まいと暮らしの環境を長期的に健全に保つための基盤を提供しています。

「目に見えない空気の汚染を、見える化し、行動へとつなげる」。
それが、一般社団法人微生物対策協会の使命です。

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