一般社団法人
微生物対策協会

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2025/11/14   

ファイバーセメント板の外壁にカビ!原因と今すぐできる対策とは

外壁にカビが繰り返し発生し、掃除してもすぐに再発して困っていませんか?
【記事を読んで分かること】ファイバーセメント板に生えるカビの原因、正しい除去方法、予防策がわかります。
【記事を読むメリット】建物を長持ちさせるカビ対策と、再発を防ぐ外壁メンテナンスのコツが身につきます。

ファイバーセメント板は耐火性や防水性に優れた外壁材として人気がありますが、実はカビが発生しやすい環境が整ってしまうこともあります。この章では、ファイバーセメント板の特徴と、なぜカビがついてしまうのかを明らかにします。

ファイバーセメント板は、セメントに繊維(セルロースファイバーなど)を混ぜて強化した建材で、外壁や軒天井、間仕切りなど幅広く使用されています。この素材は不燃性が高く、水分にも比較的強いため、耐久性のある外壁材として長年重宝されています。しかし、表面が微細な凹凸を持つため、汚れや湿気を吸収しやすく、その結果としてカビや藻が付きやすくなる傾向があります。また、塗装が劣化すると撥水性能が落ち、素材内部にまで水分が浸透してしまう可能性もあるため注意が必要です。

カビは「湿気・温度・養分」の3条件が揃うことで繁殖します。特に梅雨や秋口など、雨が多く湿気が高い季節には、外壁に付着したホコリや排気ガスなどが養分となり、カビが活発に活動し始めます。日当たりの悪い北面や、風通しの悪い場所では特に顕著にカビが広がります。ファイバーセメント板が設置されている環境がこれらの条件に該当する場合、表面や目地部分にカビが集中して繁殖するケースが多く見られます。

外壁の見た目が悪くなるだけでなく、放置すると健康や建物にも影響を及ぼすのがカビの怖さです。この章では、ファイバーセメント板に生えるカビの種類と、そのリスクを解説します。

外壁に見られるカビの多くは「黒カビ」や「緑藻」と呼ばれる微生物で、黒い斑点状や、緑がかったもやのような形で広がっていきます。黒カビは主に「クラドスポリウム」などの種類で、見た目の汚れだけでなく、アレルギーの原因になることもあります。緑藻は「コケ」とも呼ばれ、湿気の多い環境で育ちやすく、外壁の目地や地面付近に集中することが多いです。これらの微生物は肉眼でも確認できますが、繁殖初期では見逃されることも多く、気づいた時には広範囲にわたって発生していることがあります。

外壁に発生したカビは、室内に直接入り込むことは少ないものの、風や衣服を通して屋内に運ばれることがあります。これにより喘息やアレルギー性鼻炎などの健康被害が起こる可能性も否定できません。また、カビは表面にとどまらず、素材の奥にまで根を伸ばす性質があります。ファイバーセメント板の奥にカビが入り込むと、表面の清掃だけでは除去できず、素材自体の強度が低下する恐れもあります。見た目の問題だけでなく、構造的な劣化にもつながるため、放置せずに早期対応が必要です。

外壁のカビは見つけ次第すぐに対処することが重要です。この章では、家庭でできる基本的な除去方法と、専門業者に依頼する場合のポイントを紹介します。

軽度のカビであれば、自分で対処することも可能です。まずホースや高圧洗浄機で外壁の汚れを水洗いし、汚れをある程度落とします。その後、カビ取り専用の洗剤(家庭用では塩素系漂白剤を希釈して使用)を使ってブラシでこすり、しっかりと洗い流します。作業中は手袋・マスク・ゴーグルを着用し、肌に薬剤が付かないよう注意してください。ただし、汚れが根深い場合は表面を洗っただけではカビが再発する可能性が高いため、根本的な対策が必要です。

外壁全体や広範囲にカビが発生している場合、自分での除去は難しく、逆に建材を傷つけてしまうこともあります。専門業者は、外壁の素材やカビの種類に合わせた薬剤と洗浄方法を選び、根本的な除去を行います。また、洗浄後に防カビコーティングを施すことも多く、再発防止にも効果的です。費用は面積や作業内容によりますが、一般的に20,000円〜100,000円程度が目安です。定期的なメンテナンスとして依頼することで、建物の寿命を延ばす効果も期待できます。

せっかく除去しても、再びカビが生えてしまっては意味がありません。ここでは、再発を防ぐためにできる日常の工夫と長期的な予防策を紹介します。

外壁のカビ予防には、防カビ効果のある塗料やコーティングの活用が効果的です。最近では、撥水性と防カビ性を兼ね備えた高機能塗料も登場しており、塗り替えの際にこれらを選ぶことで再発のリスクを大きく減らすことができます。特にファイバーセメント板は表面が粗いため、コーティングの密着性を高める下地処理も重要です。また、業者によっては透明な防カビ剤を吹き付けて、既存の外観を損なわずに保護できる場合もあります。

カビの大敵は「湿気」です。外壁に直接水がかからないよう、軒や雨どいの調整を行うことも大切です。また、庭木や塀が外壁に密着していると風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなります。適度な剪定や距離を確保することで、カビの発生を抑えることができます。さらに、室内からの湿気が壁に伝わることもあるため、換気扇や通気口の機能を見直すことも予防対策の一環です。

一度きりの対策ではなく、継続的なケアが大切です。この章では、長期間にわたって外壁の美しさと安全性を保つためのメンテナンス方法を紹介します。

外壁は常に外気にさらされ、汚れや湿気が蓄積しやすい場所です。年に1~2回は、目視での点検と簡単な清掃を行いましょう。特に梅雨前や秋の雨が多い季節の前後には、排水の詰まりや外壁の変色がないかを確認すると効果的です。また、気づいた時にすぐ清掃することで、大規模な除去作業を防ぐことができます。小さな積み重ねが、大きなトラブルの予防につながります。

外壁塗装は10年〜15年が目安とされていますが、環境や素材によって異なります。塗装の劣化や色あせ、カビの再発が目立ち始めたら、早めの塗り替えを検討しましょう。リフォーム業者に相談する際は、防カビ性能や通気性などを重視した材料や工法を提案してもらうと安心です。また、外壁リフォームと同時に断熱や防音の機能を高めることで、快適な住環境を総合的に向上させることも可能です。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱とし、人々の健康と住環境の安全を守るために設立されました。平成27年施行の「アレルギー疾患対策基本法」に基づき、生活環境の改善を通じたアレルギー予防に貢献しています。

当協会の活動は、空気中に漂う見えない微生物を「見える化」することから始まります。住宅や建物の中に浮遊するカビ菌を測定し、その存在や濃度、性質を科学的に分析。特にカビは建物劣化の主な原因の一つであり、健康被害にも直結するため、確かな検査と対策が求められます。

また、カビは空中を浮遊し、落下した場所でも長期間生存する性質があります。私たちはその特性を踏まえ、専門的な検査と防除を行うことで、健全な住まいづくりを支援しています。保健医療・福祉・環境保全といった社会的課題にも貢献し、よりよい生活環境を実現するための活動を続けています。

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