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微生物対策協会

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2023/03/15   

真菌症について

真菌症(しんきんしょう)は、真菌が原因となる病気の総称であり、多様な病原体が存在する。真菌は、植物や動物の体内に寄生し、それらの繁殖によって感染症を引き起こす。真菌症は、患者の免疫力や健康状態によって病気の進行が異なり、軽度の皮膚感染から、重篤な内臓感染に至るまで様々な症状を引き起こすことがある。

真菌症の代表的な病気として、カンジダ症や白癬、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ヒストプラズマ症などがある。カンジダ症は、女性の膣炎や口内炎、男性の陰茎の炎症を引き起こすことが多く、白癬は、足の爪や間で起こる病気である。アスペルギルス症は、一般的に免疫力の低下した人に見られ、肺炎や鼻炎などの症状を引き起こす。クリプトコッカス症は、バードフェシーズなどから感染することが多く、肺炎や髄膜炎などの症状を引き起こす。ヒストプラズマ症は、土壌中に生息する真菌が原因で、呼吸器系の症状を引き起こす。

真菌症は、感染源が様々であるため、予防法も病気によって異なる。一般的な予防方法としては、適切な衛生管理を行い、感染源を避けることが挙げられる。具体的には、清潔な生活環境の維持、適切な栄養摂取、適度な運動、十分な睡眠などが重要である。また、免疫力を高めることも重要であり、適切な食事や運動、ストレスの軽減などが有効である。

真菌症の治療法は、病気の進行状況や症状によって異なる。一般的には、抗真菌薬を使用することが多く、病原体によって使用する薬剤も異なる。また、免疫力の低下が原因となる真菌症では、免疫力を回復するための治療も重要である。治療期間は、病気の進行状況や患者の状態によって異なり、長期間の治療が必要な場合もある。

真菌症は、感染が発生しても症状が現れない場合もあるため、診断が遅れることがある。一般的には、血液検査や組織検査、X線検査などが行われ、病原菌の特定や病気の進行状況の確認が行われる。

最近では、免疫力の低下が原因で真菌症が発生することが増加している。免疫抑制剤を使用している患者やがん治療中の患者、HIV感染者などが真菌症にかかりやすい。また、大量の抗生物質の使用によって、体内の善玉菌が減少し、悪玉菌の増殖によって真菌症を引き起こすこともある。

真菌症は、日常生活での予防や早期発見、治療が重要である。適切な予防方法や治療を行うことで、真菌症による健康被害を最小限に抑えることができる。しかし、免疫力の低下が原因で発生する真菌症は、予防が難しい場合もあるため、定期的な健康診断や注意深い生活管理が必要である。

日常生活での予防策としては、以下のようなことが挙げられる。

1.手洗いの徹底

手洗いは、感染症予防に最も基本的な方法の一つである。特に、外出先から帰ったら、トイレを使用した後、食事前後など、手洗いをする習慣を身につけることが大切である。

2.食品の安全管理

生鮮食品の適切な保存や加熱処理、清潔な調理器具の使用など、食品の安全管理が重要である。特に、カビや真菌の発生しやすい食品については、早めに消費することが望ましい。

3.衛生的な環境づくり

部屋の換気や、室内の湿度管理など、衛生的な環境づくりが必要である。特に、バスルームやキッチンなど、湿度の高い場所については、定期的な掃除や乾燥を心がけることが大切である。

4.免疫力の向上

健康的な生活習慣を心がけ、適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠などで免疫力を高めることが望ましい。また、免疫力の低下が原因で真菌症にかかっている場合は、免疫力を向上させる治療も必要である。

以上のような予防策を行うことで、真菌症にかかるリスクを減らすことができる。また、真菌症の症状が現れた場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切である。

真菌症の治療方法については、感染部位や症状によって異なるが、主に以下の方法がある。

  1. 抗真菌薬の投与

真菌症の治療には、抗真菌薬が使用されることが多い。種類によっては、静脈注射や経口投与が必要な場合もある。ただし、抗真菌薬にも副作用があるため、専門医の指示に従って正しい投与量や期間を守る必要がある。

  1. 外科的処置

真菌症によって重篤な合併症が生じた場合、外科的処置が必要な場合がある。たとえば、肺真菌症の場合には、肺膿瘍や肺気胸などの合併症が生じることがあるため、外科的処置が必要となる場合がある。

  1. 免疫療法

真菌症の原因となる真菌に感染している人は、免疫力が低下している場合がある。この場合、免疫療法が行われることがある。免疫力を向上させる治療薬や、造血幹細胞移植などが行われる場合がある。

  1. 予防的な治療

免疫力が低下している人や、高齢者、癌患者、臓器移植患者などは、真菌症の予防的な治療が行われる場合がある。この場合、抗真菌薬を予防的に投与することが多い。

真菌症は、予防策を行うことでリスクを減らすことができるが、既に感染してしまった場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を行うことが重要である。また、真菌症にかかったことがある人は、再発を防ぐために、定期的な検査や医師の指示に従って治療を継続することが必要である。

真菌症の予防策には、以下のようなものがある。

  1. 衛生的な生活習慣

真菌は、湿度の高い場所や、汚れた場所などに生息することが多いため、衛生的な生活習慣が重要である。例えば、風呂やシャワーを浴びた後は、しっかりと体を拭いて、湿気を避けるようにする。また、靴下や下着は毎日取り替え、清潔なものを着用するようにする。

  1. 免疫力の維持

真菌症にかかるリスクは、免疫力が低下している人に高くなる。免疫力を維持するためには、バランスの良い食生活や、適度な運動、十分な睡眠をとることが重要である。また、ストレスを避けることも、免疫力を維持する上で重要である。

  1. 感染源となる場所の避ける

真菌は、土壌や動物、植物などに生息しているため、野外でのアクティビティーによって感染することがある。感染リスクの高い場所に行く際には、適切な予防策を行い、帰宅後は身体を清潔に保つようにする。

  1. 医療関係者の手指消毒

真菌症は、医療施設内で感染することがあるため、医療関係者は、手指消毒などの感染予防策を適切に行うことが必要である。

  1. 適切な抗真菌薬の使用

抗真菌薬は、真菌症の治療に必要な薬剤であるが、過剰な使用や誤った使用は、薬剤耐性菌を増加させる可能性がある。したがって、適切な診断と適切な投与量を守ることが重要である。

真菌症は、予防策を行うことでリスクを減らすことができるが、免疫力が低下している人や、基礎疾患を有する人は、定期的な健康管理と専門医の指導のもと、適切な予防策を行う。

真菌症の治療法は、原因となる真菌の種類や感染部位、患者の免疫状態などに応じて異なる。

  1. 抗真菌薬の投与

真菌症の治療には、抗真菌薬が用いられることが多い。抗真菌薬には、ポリエン系、アザール系、エチレンジアミン系などの種類があり、患者の症状や真菌の種類によって、最適な抗真菌薬を選択する必要がある。抗真菌薬は、経口、静脈注射、外用剤などの形態で投与されることがある。

  1. 感染部位の外科的処置

真菌症が、皮膚や爪などの表面に感染している場合は、外科的処置が必要なことがある。爪真菌症の場合は、感染部分の切除や爪の削除が行われることがある。皮膚真菌症の場合は、炎症が強い場合は、皮膚の切開やドレナージが行われることがある。

  1. 免疫補完療法

真菌症は、免疫力が低下している人に発症しやすいため、免疫補完療法が必要なことがある。免疫補完療法には、免疫グロブリンや造血成長因子などが用いられることがある。

真菌症の治療は、病態の進行度合いや患者の免疫状態に応じて、迅速かつ的確な判断が求められる。そのため、真菌症の専門医による診断と治療が必要である。

最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者の中に、真菌症に罹患するケースが報告されている。COVID-19による免疫機能の低下や、抗生物質の過剰な使用による腸内細菌叢の乱れなどが原因となって、真菌症が発生することがあるため、COVID-19患者に

は真菌症のリスク評価が必要である。特に、ICUや重症のCOVID-19患者では、真菌症の発症リスクが高まるため、定期的なスクリーニングが必要である。

また、真菌症は予防も重要である。免疫力が低下している人や、長期間の抗生物質の使用が必要な人などは、真菌症に罹患しやすいため、適切な予防策が必要である。予防策としては、手洗いや感染予防対策の徹底、口腔内の清潔保持、風通しの良い環境作りなどが挙げられる。

真菌症は、免疫力が低下している人や、慢性的な疾患を抱える人などに発症することが多い。そのため、予防策の徹底や早期発見、適切な治療が求められる。真菌症に関心がある場合は、医療機関に相談することをおすすめする。

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