一般社団法人
微生物対策協会

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2025/07/03   

玄関のカビ対策完全ガイド|湿気を抑えてスッキリ空間に

毎日出入りする玄関にカビが生えると、不快な臭いや健康リスクが気になります。
【記事を読んで分かること】玄関にカビが発生する原因と、その湿気対策や予防法、プロに頼むべきケースがわかります。
【記事を読むメリット】日常的に簡単に実践できるカビ予防のポイントが分かり、玄関を清潔で快適に保てるようになります。

玄関は家の中でも特に湿気がこもりやすく、カビの発生しやすい環境が整いやすい場所です。閉め切りがちな構造や靴の湿気、外気との温度差など、さまざまな要因が重なることでカビが生えやすくなります。まずは玄関がなぜカビの温床になるのか、その根本原因を理解しましょう。

カビが発生する三大条件は「湿度」「温度」「栄養分」と言われています。中でも湿度の高さは特に重要で、梅雨時期や冬場の結露が起きる季節には、玄関の湿度が一気に上昇します。靴や傘などから出る水分、雨で濡れた玄関マットやタイルの表面など、日常的に湿気を持ち込む要素が多いため、カビの発生リスクは非常に高くなります。

さらに、玄関は多くの場合ドアで密閉され、換気扇も設置されていないことが多いため、空気の流れが悪くなりがちです。風通しの悪さによって湿気が逃げ場を失い、こもったままの状態になることで、カビが繁殖しやすい環境が完成してしまうのです。

実は、玄関の構造や家の設計自体がカビの原因となる場合もあります。たとえば、北向きの玄関や日が当たりにくい場所に設置された玄関では、自然乾燥が期待できず、常に湿気がたまりやすくなります。加えて、外気との温度差によってタイルや壁に結露が起きやすく、それがカビの発生源となるのです。

また、玄関収納(シューズボックス)も問題です。靴をすぐに収納してしまうと、内部にこもった湿気が抜けず、カビが靴の中や棚の内側に広がることもあります。換気口がないクローズドタイプの収納では、カビ臭がこもるなどのトラブルも多く見られます。

こうした物理的な条件が重なると、いくら表面的に掃除をしても根本的な解決にはつながりません。カビの発生源と仕組みを理解することが、効果的な対策の第一歩となります。

玄関に生えたカビは見た目や臭いだけでなく、私たちの健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に空気中に舞ったカビの胞子を吸い込むことで、さまざまな呼吸器系の疾患を引き起こすリスクがあるのです。ここでは、カビがもたらす健康被害について詳しく見ていきましょう。

カビは目に見える状態だけでなく、空気中にも微細な胞子を放出しています。これらの胞子を吸い込むことで、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、アレルギー症状を引き起こすことがあります。特にダニやホコリと同じく「アレルゲン(アレルギーの原因物質)」として知られており、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎を悪化させる要因となるのです。

また、気管支喘息を持っている人にとっては、カビは症状を悪化させる危険な存在です。玄関という出入りの頻度が高い場所でカビが繁殖していると、そこを通るたびに胞子を吸い込む可能性があり、呼吸器への刺激が積み重なることになります。健康な人でも長期間カビにさらされることで、体調を崩すことがあるため注意が必要です。

カビの健康リスクは、年齢や体調によっても変わってきます。特に免疫力がまだ十分に発達していない小さなお子さんや、加齢により免疫力が低下しやすい高齢者にとって、カビはより深刻な影響を及ぼす可能性があります。

子どもは呼吸器が敏感であり、わずかな空気中の汚染にも反応しやすい傾向があります。カビ胞子を吸い込むことで、咳や鼻水が長引いたり、原因不明の湿疹が出たりすることもあります。高齢者においては、慢性的な肺疾患や持病を悪化させるきっかけになることもあり、室内環境の管理が重要になります。

家族の健康を守るためにも、カビは見つけたらすぐに対処するだけでなく、発生しにくい環境づくりが求められます。とくに玄関のように外部との接点が多い場所では、常に清潔さと通気性を意識することが大切です。

カビを防ぐには、何よりも湿気をコントロールすることが重要です。特に玄関は外気の影響を受けやすく、湿気がこもりやすい場所でもあります。ここでは、日常生活の中で無理なく取り入れられる、玄関の湿気対策をご紹介します。

玄関はドアを閉めると密閉空間になりがちで、空気が滞留します。そのため、まずは「空気の流れをつくる」ことが湿気対策の基本となります。晴れた日には玄関ドアを数分間開けて風を通すだけでも、こもった湿気やカビ臭を排出できます。風の通り道がない場合には、小型の扇風機やサーキュレーターを玄関に設置して人工的に空気を動かすのも有効です。

また、除湿機の設置もおすすめです。特に雨の多い時期や冬の結露が気になる季節には、電動除湿機が湿度を安定的に下げてくれます。そこまでスペースがない場合は、吸湿剤(除湿剤)を靴箱や下駄箱、玄関の隅などに複数配置して、こまめに交換することでも湿度を下げる効果があります。湿度計を設置して「見える化」するのも湿気管理には有効です。

湿気の原因は「持ち込む水分」にあることが多いため、玄関に置くアイテムの選び方や使い方も非常に重要です。まず、玄関マットは吸水性の高い素材を選び、濡れたままにせず定期的に洗濯・乾燥を行いましょう。雨の日は特に湿気を吸いやすいので、複数枚を交代で使うのが効果的です。

靴箱については、靴の湿気を飛ばす工夫が必要です。帰宅直後に靴をすぐ収納せず、まず風通しの良い場所でしばらく乾燥させる習慣をつけましょう。また、靴箱の中には重曹や炭、シリカゲルなどの吸湿剤を入れて湿気を吸収させると、カビだけでなく嫌なニオイ対策にもなります。靴箱自体も定期的に開放して空気を入れ替えることが重要です。

さらに、収納スペースの詰め込みすぎにも注意しましょう。靴が密集していると通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなります。必要以上に靴を置かず、スペースに余裕を持たせた収納を意識するだけで、湿気を抑える効果があります。

湿気対策と並行して重要なのが「カビの予防と掃除」です。すでに発生してしまったカビを取り除くことはもちろん、再発を防ぐための掃除とメンテナンスが欠かせません。ここでは、効果的な掃除の方法と予防の工夫をご紹介します。

玄関のカビ掃除には、市販のカビ取り剤を活用するのが最も手軽で効果的です。特に塩素系のスプレーは即効性があり、タイルや壁の表面に生えた黒カビに対して強力に作用します。ただし、使用時には換気を十分に行い、ゴム手袋やマスクなどを着用して安全に取り扱うようにしましょう。

一方で、小さなお子さんやペットがいる家庭では、できるだけ安全な方法で掃除を行いたいという方も多いです。その場合は、「クエン酸」「重曹」「アルコール(エタノール)」などのナチュラル素材がおすすめです。たとえば、重曹とクエン酸を混ぜたペーストをカビ部分に塗ってしばらく置いてから拭き取ることで、カビ汚れを落とすことができます。仕上げにアルコールをスプレーすることで、カビの再発を防止する効果も期待できます。

カビは一度発生してしまうと完全に取り除くのが難しいため、「発生させない」ことが何よりの対策です。そのためには、日々のちょっとした掃除と習慣が鍵となります。まず、玄関の床や壁は週に1〜2回は拭き掃除を行い、湿気や汚れを残さないようにしましょう。特に雨の後や湿度の高い日は、こまめな拭き取りが効果的です。

また、玄関マットは毎日干す習慣をつけ、湿った状態を放置しないようにしましょう。靴箱や玄関収納は月に1回程度、中の靴を全て出して乾燥させ、拭き掃除をすると清潔さが保てます。さらに、靴の中に新聞紙を詰めて湿気を吸わせたり、乾燥剤を入れておくと、カビの原因となる湿気を抑えることができます。

掃除と聞くと面倒に思われがちですが、日々のルーティンに組み込むことで負担を感じにくくなります。カビの再発を防ぎ、清潔で気持ちのよい玄関を保つためには、小さな積み重ねが何より大切です。

自分で掃除や湿気対策をしても、何度もカビが発生してしまう場合は、根本的な原因が見えない場所に潜んでいる可能性があります。そんなときは専門的な視点での対応が必要です。ここでは、検査の必要性と再発防止のための見直しポイントについて紹介します。

何度掃除をしても、同じ場所にカビが再発する場合は「見えない場所」に原因がある可能性が高いです。たとえば、壁の内部や床下、靴箱の裏など、普段目にしないところに湿気がたまり、カビが発生していることがあります。そのようなケースでは、一般の家庭で原因を特定するのは困難です。

そこで有効なのが、専門の検査機関によるカビ検査です。空気中のカビの量を測定し、どの種類のカビがどれだけ存在しているかを「見える化」してくれるため、的確な対策が立てやすくなります。特に、小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、健康への影響を考慮して早めに検査を受けることが安心につながります。

また、再発が頻繁で生活に支障が出ている場合には、カビ除去専門業者に依頼するのも一つの選択肢です。プロによる徹底的な除去作業はもちろん、再発防止のためのコーティングや湿気対策のアドバイスも受けられます。

カビの再発を防ぐためには、ただ掃除をするだけでなく、生活習慣や空間の構造を根本的に見直す必要があります。たとえば、玄関が暗くて湿気がこもりやすい構造の場合には、窓の設置や換気口の増設といったリフォームも検討材料になります。小規模な工事でも、空気の流れが変わることで、湿度環境が大きく改善されることもあります。

また、収納スペースの使い方にも見直しが必要です。靴箱に詰めすぎず、使用頻度の少ない靴は思い切って処分する、収納棚に隙間を作って通気を促すといった工夫が重要です。除湿機能付きの玄関照明や換気扇を取り入れるのも、根本的な解決につながるでしょう。

生活の中で「湿気をためない」「空気を動かす」「こまめにチェックする」という3つの習慣を意識することで、再発を予防し、清潔で快適な玄関環境を維持できます。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した専門機関として、住環境の安全と健康を守ることを目的に設立されました。私たちは、カビによる健康被害や建物の劣化といった深刻な問題に対応するため、目に見えない室内空気中の微生物を「見える化」し、科学的な根拠に基づいた対策を講じています。

この活動の法的な根拠となるのは、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」です。この法律では、アレルギー症状の予防や軽減のために、生活環境の改善を進めることが明記されており、当協会はその精神に基づき、住まいや施設内の空気環境を調査・改善する取り組みを行っています。

特に、建物内で最も多く確認されている微生物被害が「カビ」です。カビの胞子は空気中を浮遊し、床や壁に落下しても自然には死滅しないため、放置すれば再び繁殖を繰り返します。当協会では、空気中のカビの有無や濃度を専門的に測定し、被害状況を明確にすることで、適切な対策を実施するサポートを行っています。

私たちは、「健全な住環境づくり」を支えるため、保健医療、福祉、そして環境保全の観点から幅広い活動を推進し、皆さまの安心・安全な暮らしを守るための情報と技術を提供しています。目に見えないリスクに向き合い、見える安心へとつなげていく——それが微生物対策協会の使命です。

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