2025/11/12
一見清潔に見えるハニカムコアボードも、内部でカビが繁殖していることがあります。放置すると健康や住環境に悪影響を及ぼします。
【記事を読んで分かること】
ハニカムコアボードにカビが発生する原因や健康への影響、除去方法と再発防止策、専門家の活用法までを詳しく解説します。
【記事を読むメリット】
この記事を読めば、カビの正しい知識と対処法が身につき、快適で安心できる住環境を維持するための実践的な対策がわかります。
1. ハニカムコアボードとは?カビが発生する理由
ハニカムコアボードは、軽量で強度があり、断熱・防音性にも優れた建材として多くの場所で使われています。しかし、その構造や設置環境によっては、内部に湿気がこもり、カビが発生しやすいという問題も抱えています。
1-1. ハニカムコアボードの構造と素材の特徴
ハニカムコアボードは、内部が蜂の巣状(ハニカム構造)になっているのが特徴で、その中空構造が断熱性や防音性を高めています。表面はアルミや樹脂、紙材などが使われ、芯材には紙や樹脂製のハニカム構造体が多く採用されています。この空洞部分は外気との通気が限られており、一度湿気が侵入すると乾燥しにくくなるのが難点です。また、芯材が吸湿性の高い素材である場合、特に湿度が高い梅雨時期などにはカビが発生しやすくなります。
1-2. カビが好む環境と発生しやすい状況
カビが繁殖するためには「温度」「湿度」「栄養分」の3要素が揃うことが条件です。ハニカムコアボードの内部は空気の流れが乏しく、湿気がこもりやすい密閉空間です。そこにホコリや微細な有機物が付着すれば、カビの栄養源になります。特に室内の結露や断熱不足によりボード内部に水分が入り込むと、乾燥が追いつかずカビの温床となってしまうのです。見た目では分かりづらいため、発見が遅れがちなのも問題です。
2. カビによる健康被害と室内環境への影響
カビは見た目の不快感だけでなく、空気中に胞子を飛ばすことで健康や住環境に深刻な影響を及ぼします。特に密閉されたハニカムコア構造から発生したカビは、気づかないうちに室内空気を汚染してしまう可能性があります。
2-1. カビが放つ胞子とアレルギーリスク
カビは微細な胞子を空気中に放出します。これを吸い込むことで、アレルギー症状や喘息、鼻炎、皮膚炎などの健康トラブルが起こることがあります。特に免疫力が弱い子どもや高齢者、アレルギー体質の方にとっては注意が必要です。ハニカムコア内部のカビは隠れて発生しやすく、気づかないまま胞子を吸い続けている可能性もあるため、空気の質を保つためにも定期的な点検が求められます。
2-2. 悪臭や空気汚染など住環境への悪影響
カビが繁殖すると独特の「カビ臭」が発生します。これは微生物が出す揮発性有機化合物(MVOC)によるもので、室内全体に広がってしまうと生活の快適さが損なわれます。また、湿気の多い状態が続くとハニカムボード自体の劣化を招き、建材としての機能も低下します。こうした状況は住環境の衛生面や建物全体の価値にも影響するため、見えない場所のカビこそ早期発見が重要です。
3. ハニカムコアボードのカビを除去する方法
ハニカムコアボードにカビが発生した場合、構造的に除去が難しいこともありますが、状況に応じて適切な対処を行うことで再使用や安全な環境の確保が可能です。
3-1. カビの範囲別|DIY清掃と業者対応の判断基準
軽度な表面カビであれば、アルコールや市販のカビ除去剤を用いたDIY清掃も可能です。ただし、強く擦るとボード表面を傷つける恐れがあるため、素材に合った清掃方法を選ぶことが大切です。一方で、内部までカビが浸透していたり、異臭が出る場合、DIYでは根本解決が難しいため、専門業者に依頼することをおすすめします。特に広範囲にわたる場合や、再発を繰り返している場合には、プロによる対応が安全で確実です。
3-2. 分解・交換の際の注意点と作業手順
ハニカムコアボードが取り外し可能な部位であれば、一度分解して内部の状態を確認することが重要です。分解の際には、破損しやすい箇所に注意しながら慎重に取り扱い、カビが見つかれば適切な除菌・乾燥を行います。カビの発生が進行している場合は、再使用を避けて新しいボードに交換するのが安全です。作業時はマスクや手袋を着用し、胞子の吸入を防ぐ対策も忘れないようにしましょう。
4. 再発を防ぐための予防とメンテナンス方法
カビは一度除去しても、同じ条件が揃えば何度でも再発します。そのため、日頃の環境管理と定期的なメンテナンスが非常に重要です。
4-1. 通気性を保つ設置と管理の工夫
カビの発生を防ぐには、湿気をためない環境づくりが基本です。ハニカムコアボードを設置する際は、通気を妨げない構造を意識し、空気の流れが止まりやすい場所には換気口の設置やサーキュレーターの使用を検討しましょう。また、ボードを壁にぴったりと密着させず、少しスペースを持たせることで内部の通気が促され、湿気がこもりにくくなります。
4-2. 防カビ剤や除湿機器の活用ポイント
防カビ剤は、施工時やメンテナンス時にボードに塗布することで、一定期間カビの発生を抑制できます。市販のスプレータイプの防カビ剤もありますが、定期的な再塗布が必要です。また、除湿機や湿度計を活用することで、室内の湿度を60%以下に保つことができれば、カビの発生リスクは大幅に下がります。特に梅雨時期や冬場の結露対策として有効です。
5. 専門家による検査とカビ対策の重要性
見えない部分に発生するカビは、個人での判断が難しく、対応が遅れるほど被害が拡大する可能性があります。だからこそ、専門家による調査と対策が安心・安全な住環境を守る鍵となります。
5-1. カビ調査の必要性と「見える化」のメリット
目に見えないカビや空気中の胞子を測定・分析することで、カビの種類や濃度、発生源を正確に把握することができます。これを「見える化」と呼び、データに基づいた対策を行うためには非常に有効な手段です。特に健康被害が懸念される場合や、建材の内部にまで影響が及んでいる可能性があるときは、プロによる調査が欠かせません。
5-2. 微生物対策の専門機関に相談するべき理由
専門機関では、カビや微生物に関する知識をもとに、正確な診断と最適な対策方法を提供しています。個人で行う対処法とは異なり、再発を防ぐための構造的な改善や、使用する薬剤の選定、空気環境全体への配慮など、総合的なサポートが受けられるのが魅力です。特に繰り返すカビ問題で悩んでいる場合は、早めに専門家へ相談することが根本的な解決への近道です。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に活動する団体です。カビは健康被害や建物の劣化を引き起こす深刻な問題であり、私たちはそのリスクから人々を守るため、空気中に存在する微生物の「見える化」を通じて、安心できる住環境づくりを支援しています。
当協会は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を基盤とし、アレルギー予防や症状軽減を目的とした生活環境の改善を推進しています。具体的には、室内や車室内の空気中に浮遊するカビの種類や濃度を調査し、その結果をもとに最適な対策を講じています。特にカビの浮遊菌は見えないため、放置されがちですが、当協会ではこれらの微生物を専門機器で「見える化」し、正確なリスク評価と対策提案を行っています。
見えるカビも、見えないカビも、被害の全容を把握することで適切な対応が可能になります。住環境の安心・安全を守るパートナーとして、ぜひ微生物対策協会をご活用ください。