2025/05/22
寝ているだけでマットレスにカビが生える?気づかないうちに健康を脅かす危険があります。
【記事を読んで分かること】マットレスにカビが生える原因、正しい使い方、掃除法、日常的な予防法が分かります。
【記事を読むメリット】カビ知らずの快適な寝室環境を維持し、健康被害のリスクを減らすための実践的な知識が身につきます。
1. なぜマットレスにカビが生えるのか?
マットレスは毎日使う寝具でありながら、カビが発生しやすい場所として見落とされがちです。「ちゃんと使っているつもりなのに、なぜカビが?」と感じる方も多いはず。実は、マットレスはカビにとって理想的な条件が揃いやすい環境なのです。ここでは、その原因を2つの視点から掘り下げて解説します。
1-1. 寝汗と湿気が生むカビの理想環境
人は一晩にコップ1杯ほどの汗をかくと言われています。その汗はシーツを通り抜けてマットレスに吸収され、湿気としてたまりやすくなります。
さらに以下のような要因が重なることで、カビが発生しやすい条件が揃います:
- 寝汗や湿気がこもりやすい体温と密着した状態
- ベッド下の通気が悪く、空気がこもりやすい
- マットレスを敷きっぱなしで乾燥させる機会がない
- 湿度の高い部屋、特に梅雨・冬場の結露時期
つまり、人が寝ている間に発生する“熱・湿気・汚れ”のすべてが、カビにとって快適な環境となっているのです。
1-2. マットレスの種類と通気性の違いによるリスク
カビが発生しやすいかどうかは、マットレスの種類によっても変わってきます。通気性が低い素材のものほど、湿気がこもりやすくカビが発生しやすくなる傾向があります。
【主なマットレスの通気性とカビリスク】
- ウレタンマットレス:柔らかく吸湿性が高いが、通気性が悪くカビやすい
- スプリングマットレス(コイル式):内部に空洞があるため比較的通気性は良いが、メンテナンス不足だと内部にカビが広がる可能性も
- 高反発マットレス(エア系):通気性が高く、比較的カビに強い構造のものもあり
また、マットレスを床に直接敷いて使用している場合は特に注意が必要です。床とマットレスの間に湿気が逃げ場なくこもり、裏側にカビがびっしり…というケースも少なくありません。
こうした背景を踏まえると、マットレスにカビを発生させないためには、素材の特性を理解し、使い方を工夫することが不可欠なのです。
2. カビを防ぐためのマットレス使用法
マットレスのカビは、普段の使い方次第で大きく防ぐことができます。「通気性を意識した設置方法」や「湿気をためない寝具の使い方」を取り入れることで、カビのリスクを大きく減らすことが可能です。ここでは、誰でもすぐに実践できるマットレスの使用法について、2つの視点からご紹介します。
2-1. 通気性を保つ敷き方・設置場所の工夫
マットレスと湿気対策で最も重要なのが「風の通り道をつくること」です。とくに床に直接敷く使い方は、湿気がこもりやすくカビ発生のリスクが高いため、以下のような通気性アップの工夫を取り入れましょう。
【対策ポイント】
- ベッドフレームを使用する:脚付きフレームで床との空間を確保すると通気性が◎
- すのこベッドやすのこマットを敷く:空気が下から抜けるため、床直敷きでも効果あり
- 床直置きの場合は毎朝立てかけて干す:少なくとも週2〜3回はマットレスを立てて乾燥を
また、壁にぴったりとくっつけると片側の湿気が逃げにくくなるため、少しだけ隙間を空けるのもおすすめです。
2-2. ベッドパッドやシーツの選び方と洗濯の頻度
直接肌に触れるシーツやベッドパッドの使い方次第でも、マットレスの湿気対策は変わってきます。適切な素材選びと、こまめな洗濯・乾燥習慣がカビ予防に直結します。
【選び方のポイント】
- 吸湿性・通気性に優れた天然素材(綿・麻など)を選ぶ
- 防ダニ・抗菌加工が施されたベッドパッドも◎
- 厚すぎるパッドは湿気がこもりやすいため注意
【洗濯と乾燥の習慣】
- シーツは週1回、ベッドパッドは2週間に1回を目安に洗濯
- 曇りの日や冬場でも乾燥機や部屋干し除湿器を活用して“完全に乾かす”ことが重要
- 湿ったまま使用すると、すぐにカビの温床になります
こうした日々の習慣を取り入れることで、マットレスに湿気を溜めず、清潔で快適な睡眠環境を維持することができます。
3. マットレスにカビが生えたときの対処法
どれだけ気をつけていても、環境や体調の変化などでマットレスにカビが発生してしまうことは珍しくありません。そんな時は、「どこまで対処できるか」を見極め、的確に対応することが大切です。ここでは、軽度〜重度のカビに対する正しい処理方法と、処分の判断基準について解説します。
3-1. 表面カビの掃除方法と注意点
まずはカビの程度を確認し、表面にうっすらと生えている段階であれば自力での除去が可能です。
ただし、間違った掃除方法はカビを広げてしまう原因にもなるため、慎重に行いましょう。
【必要なもの】
- 消毒用エタノール(70〜80%)
- マスク・手袋
- 乾いた布 or ペーパータオル
- 掃除後に使用する防カビスプレー(あれば)
【掃除手順】
- 換気を十分に行い、マットレスを立てかけるか、風通しのよい場所で作業
- カビのある箇所にエタノールをスプレーし、5〜10分放置
- 乾いた布で優しく拭き取り、こすらずポンポンと吸い取るように処理
- 完全に乾かした後、防カビスプレーをかけて再発を防止
【注意点】
- 水での掃除はNG:湿気が奥に入り込み、逆にカビが繁殖する原因に
- 漂白剤の使用は避ける:布地や内部素材を傷めてしまいます
- 消臭スプレーだけではカビは除去できません
3-2. 奥までカビた場合の見極めと処分の判断基準
カビがマットレスの裏面全体に広がっている・内部にまで浸透している・触ると湿っている感じがあるといった状態であれば、表面清掃だけでは不十分です。
【処分を検討すべきサイン】
- 黒カビが広範囲に発生し、何度掃除しても戻ってくる
- カビ臭がマットレス全体にしみついている
- アレルギー症状や咳など、体調不良が現れる
- スプリングマットレスの内部が湿っている・錆びている
このような状態では、カビの根が深く入り込んでおり、完全除去はほぼ不可能。健康への影響も大きいため、衛生面・衛生意識の観点から処分を検討するのが安全です。
【買い替え時のポイント】
- 通気性が高い素材を選ぶ(例:高反発エア系、メッシュ構造など)
- 抗菌・防カビ加工がされた商品を選ぶ
- 新しいマットレス導入時は、すのこや除湿シートとセットで使用
4. 日常的にできるマットレスの湿気・カビ対策
マットレスのカビを防ぐためには、毎日のちょっとした工夫がとても効果的です。特別な道具がなくても、通気・除湿・乾燥を意識した使い方を習慣にするだけで、カビが好む環境をつくらないことができます。ここでは、すぐに実践できる湿気&カビ対策を2つの切り口からご紹介します。
4-1. すのこ・除湿シート・立てかけ乾燥の活用術
湿気対策は、空気の通り道をつくり、湿気を吸収・逃がすことが基本です。以下のアイテムを組み合わせることで、マットレスまわりの湿度を効率よく管理できます。
【おすすめのアイテムと使い方】
- すのこベッド・折りたたみ式すのこマット
→ 通気性抜群で、床との接地面の湿気を逃がしてくれます
→ 折りたたんで収納すれば、スペースの有効活用にも - 除湿シート・吸湿マット(シリカゲル・炭入りタイプ)
→ マットレスの下に敷くだけでOK。湿気がたまると色が変わるタイプもあり便利
→ 定期的に天日干しor乾燥機で再利用可能な製品がおすすめ - マットレスの立てかけ乾燥
→ 週に1〜2回、マットレスを立てて風を通すことで、裏側までしっかり乾燥
→ 晴れた日は窓際で日光に当てれば殺菌効果もアップ
これらは「特別なこと」ではなく、「日々のルーティン」にできるシンプルな方法ばかり。面倒に感じない工夫で習慣化することが、継続のコツです。
4-2. 定期的な換気と裏返しで湿気を逃がす習慣
湿気は“ためない”“こもらせない”ことが何より大切。室内の空気環境と、マットレス自体のケアを組み合わせて、湿気を逃がす習慣を作りましょう。
【実践ポイント】
- 部屋の換気は朝・晩1回ずつ10分以上:窓2ヶ所を開けて風の流れをつくると効果大
- エアコンのドライ機能・除湿機も活用して湿度60%以下をキープ
- マットレスは月1回を目安に裏返す or 回転することで、湿気や荷重が一部に集中するのを防ぐ
- ベッド周辺に洗濯物を干さないように注意(湿気がたまりやすくなるため)
湿気対策を「寝室の習慣」にすることで、カビが好まない環境が自然と整います。大切なのは、「たまに頑張る」より「こまめに続ける」ことです。
5. カビによる健康リスクと早期発見のポイント
マットレスに生えたカビは、見た目やにおいだけでなく、私たちの健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に、子どもや高齢者、アレルギー体質の方にとっては、カビの存在が症状悪化の一因になることも。ここでは、カビによる健康被害と、それを早期に察知するためのチェックポイントをご紹介します。
5-1. アレルギーや喘息の悪化に要注意
カビが放出する**胞子やカビ毒(マイコトキシン)**は、空気中に浮遊し、吸い込むことで体内に入り込みます。これにより、以下のような症状が現れることがあります。
【カビによる主な健康影響】
- アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)
- 気管支喘息の悪化(夜間の咳、息苦しさ)
- アトピー性皮膚炎の悪化(かゆみ、湿疹)
- 免疫力の低下・倦怠感(特に長期的なカビ曝露による)
- 咳や頭痛、目のかゆみなどの不定愁訴
寝具にカビがある場合、就寝中に長時間、カビの胞子を吸い続けることになるため、無自覚のまま健康に影響が及んでいる可能性もあります。
特に、朝起きたときに「なんとなくだるい」「鼻が詰まる」「のどがイガイガする」などの症状がある場合、寝具まわりのカビを疑ってみることが大切です。
5-2. 見た目・におい・体調変化から気づくサイン
カビは初期段階では目に見えない場合も多いため、見た目だけに頼らず、五感と体調変化で察知することがポイントです。
【カビの早期発見サイン】
- マットレスの一部に黒ずみ・斑点・シミが現れている
- シーツや布団を外したとき、ツンとした酸っぱいようなにおいがする
- 湿ったにおいがマットレス全体から漂う
- 朝起きると咳や鼻水、目のかゆみが気になることが増えた
これらのサインに気づいたら、すぐに通気・乾燥・清掃を行い、必要なら専門家に相談することも検討しましょう。
マットレスは毎日直接肌が触れる寝具だからこそ、「寝る場所の清潔」は健康管理の第一歩です。目に見えないリスクを見逃さず、快適で安心な睡眠環境を守りましょう。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、カビの検査と対策を専門とする全国対応の専門機関です。
現代の住宅環境において、目に見えないカビや微生物のリスクは、アレルギー・喘息・皮膚炎などの健康被害の引き金となることが多く、その対策は住まいと健康を守る上で欠かせません。
当協会は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づき設立されました。この法律では、アレルギーの予防や症状の軽減のために、建築構造や生活環境の改善を図ることが明記されています。
その理念を実現するため、私たちは室内空気の「見える化」を通じて、住環境の改善と快適な暮らしの実現を目指しています。
主な活動内容:
- 室内や建材に含まれるカビ・細菌の調査・測定・分析
- 空気中の浮遊微生物の可視化と濃度の数値化
- 分析結果に基づいた具体的な改善提案と対策サポート
- カビ・微生物に関する啓発・教育・研究活動
特に、寝室やベッドまわり、マットレスなどの見えない部分のカビ調査では、
専用機材を用いた測定と科学的根拠に基づく分析により、カビの原因や被害状況を客観的に把握し、最適な対処法をご提案いたします。
また、住宅・賃貸物件・教育施設・医療機関など、あらゆる環境での微生物リスク評価に対応しており、安心して暮らせる住まいづくりを支援しています。