一般社団法人
微生物対策協会

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2025/05/08   

「カビが健康に与える本当の危険とは?今すぐできる対策ガイド」

「最近、なんとなく体調がすぐれない」…その不調、実はカビが原因かもしれません。
【記事を読んで分かること】カビが人体に与える影響やカビが引き起こす病気、予防と対策の方法がわかります。
【記事を読むメリット】知らずに吸い込んでしまうカビの危険性を理解し、家族の健康を守るための対策が実践できます。

カビは見た目や臭いだけでなく、私たちの健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に室内で繁殖したカビは、空気中に胞子を放出し、知らぬ間に吸い込んでしまうことがあるため、日常生活の中で油断できない存在です。

カビには数百種類以上の種類が存在し、私たちの住環境には常に何らかのカビが浮遊しています。その中でも、健康に悪影響を与える可能性が高いカビには以下のような種類があります。

  • アスペルギルス属:空気中によく存在するカビで、肺に入り込むと感染症を起こすことがあります。
  • クラドスポリウム属:湿気の多い壁やエアコン内に見られ、アレルギー症状や喘息の原因になることがあります。
  • ペニシリウム属:食品に多く発生しやすく、特定の条件下では有害なカビ毒(マイコトキシン)を出すこともあります。

これらのカビの胞子は非常に軽く、空気中に舞いやすいため、呼吸とともに体内に取り込まれてしまいます。健康な人でも長時間吸い込むことでアレルギー反応を引き起こすことがあり、免疫力が弱い人では肺炎や真菌感染症にまで発展するリスクがあります。

カビによる健康被害は、風邪のような軽い症状から始まることが多く、原因が特定されにくいのが特徴です。以下のような症状が続く場合は、カビによる影響を疑う必要があります。

  • のどの痛みや咳が慢性的に続く
  • 鼻水、鼻づまり、くしゃみが止まらない(アレルギー性鼻炎)
  • 目のかゆみ、充血、皮膚のかゆみ
  • 微熱や倦怠感、呼吸のしづらさ
  • 室内にいると症状が強くなる(外に出ると軽減する)

これらの症状は「風邪かな?」と思って放置しがちですが、実は住環境のカビが原因となっているケースも少なくありません。特にエアコンや浴室、押し入れなどのカビが知らず知らずのうちに健康を蝕んでいる可能性があります。

カビは「目に見えてから対策する」のでは遅いことも多いため、体調の変化を見逃さず、カビの存在を意識することが大切です。

カビは単なる不快な存在ではなく、深刻な健康被害を引き起こすリスクがあります。ここでは、実際にカビが原因で発症する代表的な病気と、その特徴について解説します。

特に注意が必要なのが「夏型過敏性肺炎」です。これは、家の中に繁殖したカビ(主にトリコスポロン属)の胞子を吸い込むことで起きるアレルギー性の肺炎で、夏場に多く見られることからこの名前がついています。

症状は以下のようなものがあり、風邪や軽い体調不良と間違えやすいのが特徴です。

  • 咳や息切れが長く続く
  • 微熱や倦怠感
  • 胸の違和感や呼吸困難

初期段階では自然に回復することもありますが、原因を放置していると慢性化し、**肺が硬くなる「肺線維症」**へ進行することもあります。特に高齢者や呼吸器系に持病がある方は要注意です。

また、カビの胞子によってアレルギー性鼻炎や喘息が誘発されるケースも少なくありません。室内の空気中に浮遊するカビを日常的に吸い続けることで、免疫反応が過剰に働き、慢性的な鼻水や咳、くしゃみ、目のかゆみなどが引き起こされます。

健康な人にとっては軽症で済むことが多いカビの影響も、免疫力が低下している人にとっては重大な感染症へと発展するリスクがあります。

代表的なのが「アスペルギルス症(肺アスペルギルス症)」で、これはアスペルギルス属のカビを長期間吸い込むことによって、肺にカビが根を張り、炎症や出血を引き起こす病気です。以下のような方が発症しやすいとされています。

  • がん治療中や抗がん剤を使用している方
  • 高齢で体力が低下している方
  • 慢性的な肺疾患(COPD、喘息など)を持っている方
  • 免疫抑制剤を使用している方(移植後や自己免疫疾患の治療中など)

このような方がカビの多い環境で過ごすことは、命に関わるリスクを伴うため、住まいの空気環境を見直すことがとても大切です。

カビがもたらす健康被害は、見過ごされがちですが実はとても深刻です。「たかがカビ」と思わずに、体のサインと住環境の変化をしっかり見つめ直しましょう。

カビというとお風呂場やキッチンの湿気が多い場所をイメージしがちですが、実は家の中のさまざまな“意外な場所”にも潜んでいます。そしてそれが、知らず知らずのうちに健康リスクへとつながっているのです。

カビは湿気と栄養分があればどこでも繁殖します。以下のような場所は、見た目ではわかりにくく、見落とされがちな“カビの温床”です。

  • エアコンの内部:冷房使用後に内部が湿ったままだと、カビが繁殖し、使用時に胞子が部屋中に拡散します。
  • 押し入れやクローゼットの壁面・床:通気性が悪く湿気がこもりやすいため、衣類や布団にカビが移ることも。
  • 家具の裏側や壁との隙間:空気の流れがなく、温度差で結露が起きやすいため、カビが発生しやすいスポットです。
  • 窓枠やカーテンの裏:特に冬場に結露が発生しやすく、その水分が原因で黒カビが広がることがあります。
  • 洗濯機のパッキン・洗剤投入口:常に湿っており、皮脂汚れや洗剤カスが栄養源となってカビが繁殖します。

これらの場所は「掃除が後回しになりがち」かつ「湿気がこもりやすい」ため、気づいたときにはカビが広がっていることも少なくありません。

カビのリスクは、「目に見えるカビ」だけにとどまりません。実際には、カビの胞子が空気中に浮遊しており、私たちは日常生活の中でそれを吸い込んだり、肌に触れたりしています。

たとえば:

  • エアコンをつけた瞬間に漂うにおい
  • 布団を押し入れから出したときのこもった臭い
  • じゅうたんやクッションを叩いたときの舞い上がるホコリ

これらには、カビの胞子が混ざっている可能性があります。吸引することで呼吸器系への影響が出たり、接触によってアトピーやかぶれ、湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすこともあるのです。

また、食品の表面についたカビも油断できません。一部を取り除いたつもりでも、内部までカビ毒(マイコトキシン)が広がっている可能性があり、食中毒や肝臓へのダメージといった健康被害を引き起こすリスクがあります。

見えないからこそ、定期的な掃除や換気、カビの潜む場所への意識が何より重要です。

カビによる健康リスクを最小限に抑えるためには、まず「カビを繁殖させない環境づくり」と「こまめなケア」が基本です。ここでは、室内の空気環境を整える方法と、アイテム別のカビ対策を具体的にご紹介します。

カビ対策の大原則は、「湿気をコントロールすること」です。以下のポイントを意識することで、室内にカビが繁殖しにくい環境を整えることができます。

  • 湿度を50〜60%に保つ:湿度が60%を超えるとカビが一気に増えやすくなります。湿度計を設置してこまめにチェックしましょう。
  • こまめな換気:1日2〜3回、5〜10分程度でもOK。窓を2か所開けて空気の通り道をつくると効果的です。
  • 結露対策:窓ガラスやサッシに発生する結露は、放置するとカビの温床に。毎朝、乾いた布で拭き取りましょう。
  • エアコンの送風運転:冷房・除湿後は送風モードを30分程度回して、内部を乾燥させることが大切です。

さらに、梅雨時や冬の結露シーズンには除湿機やサーキュレーターの活用が効果的です。空気の流れができるだけでも、カビの発生リスクは大きく下がります。

カビは空気中だけでなく、日常生活で使うモノにも繁殖します。アイテム別に以下の対策を実践しましょう。

●衣類・クローゼット

  • 洗濯後は完全に乾いてから収納
  • 衣類は詰め込みすぎず、空間に余裕をもたせる
  • 除湿剤や炭、重曹などを併用して湿気を吸収

●布団・マットレス・寝具

  • 週に1〜2回は陰干し or 布団乾燥機を使用
  • ベッド下に除湿シートを敷く
  • 押し入れ収納時はすのこで底面の通気を確保

●ソファ・カーペットなどの家具

  • こまめに掃除機をかけてホコリと湿気を除去
  • 窓際に設置している場合は結露や直射日光にも注意
  • 長期間使わない場合は乾燥剤とともに布カバーで保管

また、防カビスプレーやアルコールスプレーを定期的に使用することで、表面の除菌と予防ができます。カビが繁殖する前の“予防ケア”が、健康被害を防ぐ最大のポイントです。

カビは完全にゼロにすることが難しい自然の存在ですが、日々の生活の中で「増やさない・広げない」工夫をすることで、健康リスクを大幅に減らすことができます。家族全員で意識したい習慣と、体調への注意点をご紹介します。

カビ対策は、ひとりが頑張っても限界があります。家庭内での共通認識として、全員で取り組む習慣化が何よりのポイントです。以下のような日常のルーティンを意識しましょう。

  • 朝起きたら窓を開けて換気(湿気を逃がすため)
  • お風呂の後はドアを閉めて換気扇を回す(カビの繁殖を防止)
  • 洗濯物はなるべく外干し or 送風乾燥で仕上げる
  • エアコンや除湿機のフィルター掃除を月1回行う
  • 衣替えのタイミングでクローゼットや押し入れを丸ごとチェック

これらはどれも特別なことではありませんが、「いつもの行動」に少しだけ意識を加えるだけで、カビが繁殖しにくい空間を保つことができます。

また、家庭に高齢者や子ども、アレルギー体質の方がいる場合は、住まいの空気環境のチェックを定期的に行うのもおすすめです。湿度や空気の流れを“見える化”することで、より効果的な対策が取れるようになります。

カビによる健康被害は、風邪やアレルギー症状に似ているため、気づかずに長引かせてしまうケースが少なくありません。以下のような症状が「なんとなく続く」ときは、生活環境に原因があるかもしれません。

  • しつこい咳やのどの違和感
  • 鼻づまりや目のかゆみが慢性化している
  • 朝起きると頭が重い、体がだるい
  • 家にいる時間が長いほど調子が悪い

こういった場合は、住まいのカビを疑ってみることも必要です。自分の部屋だけでなく、浴室、キッチン、寝具、カーテンの裏側など、カビが潜んでいそうな場所を一度総点検してみましょう。

また、必要に応じて専門業者による空気環境の検査やクリーニングを依頼するのも一つの選択肢です。自力での対策では取りきれないカビを除去することで、体調が一気に改善するケースもあります。

日常の中に“カビの気配”を感じたら、見て見ぬふりをせず、小さな対策から始めてみましょう。カビと上手に付き合い、健康で快適な暮らしを守ることが、これからの住まいづくりのスタンダードです。

一般社団法人微生物対策協会は、カビによる健康被害や住環境の劣化に対処するために設立された専門団体です。私たちは、空気中に見えない形で存在するカビや微生物に注目し、「室内空気の見える化」を通じて健康で快適な暮らしを支えることを使命としています。

活動の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー症状の予防や軽減を目的とし、生活環境の改善が求められています。当協会はこの理念に基づき、建築構造や室内環境の改善支援に積極的に取り組んでいます。

私たちの主な業務は、室内や車内の空気中に浮遊する微生物の調査・検査です。とりわけカビは、住宅内で最も多く確認される微生物であり、その胞子は空気中を漂い、落下した場所でも長く生存します。これが原因で、知らぬ間に健康被害や建物のダメージが進行してしまうのです。

当協会では、空気の状態やカビの濃度を数値化し、それに基づいた具体的かつ効果的な対策をご提案しています。さらに、公衆衛生・保健医療・福祉・環境保全といった多角的な視点から、社会全体の健康と安全に貢献することを目指しています。

カビによる体調不良や、住まいのカビ臭などに悩まれている方は、ぜひ一度、私たち微生物対策協会にご相談ください。専門的な知識と経験を活かし、あなたとご家族の安心・安全な暮らしを全力でサポートいたします。

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