2025/05/23
ペットがいる家ほどカビが発生しやすく、健康リスクも高くなることをご存知ですか?
【記事を読んで分かること】カビが発生しやすい場所と原因、ペットに配慮した掃除方法や日常対策、安全な防カビアイテムの選び方が分かります。
【記事を読むメリット】ペットも人も安心して暮らせる住まいを保つために、効果的かつ安全なカビ対策が実践できるようになります。
1. ペットがいる家庭でカビが発生しやすい理由
ペットと暮らす家は、癒やしと温もりにあふれる一方で、実はカビが発生しやすい環境が整いやすいという落とし穴もあります。動物の生活サイクルや住まいの使い方が、思わぬ湿気や汚れを生み、カビの温床となるのです。ここでは、ペットがいる家庭ならではのカビの原因について詳しく解説します。
1-1. 湿気・体温・抜け毛がカビの原因に
犬や猫、うさぎなどのペットは、人間よりも体温が高く、活動量も多いため、湿気を多く発生させやすい存在です。さらに、抜け毛や皮脂、よだれなどもカビの栄養源となり得ます。
【具体的なカビの原因】
- ペットの体温と呼吸で室内の湿度が上昇しやすい
- トイレ周りの飛び散った水分や排泄物の残留
- 床に落ちた抜け毛やフケが湿気を吸い、カビの栄養になる
- ペット用ベッドやクッションに染み込んだ汗・皮脂
特に、締め切った部屋や通気性の悪い場所にペットを長時間留めておくと、空気のよどみと湿度上昇が同時に発生し、カビが好む環境が一気に整ってしまいます。
1-2. ケージ・トイレまわり・カーペットが要注意エリア
ペットのいる家庭でカビが特に発生しやすい場所として、以下のようなエリアがあります。
【カビが発生しやすい場所】
- ケージの床下や隅:通気が悪く、水分がたまりやすい
- ペットトイレ周辺:掃除が行き届きにくく、尿や水の飛び散りが残る
- 敷物・カーペット・ラグの下:毛や汚れが溜まりやすく、湿気を逃しにくい
- 窓際やドア付近のペットの定位置:結露+体温でカビの発生要因が揃う
とくにカーペットやペットマットの裏側、ケージ下の床は見えにくく、掃除の頻度が下がる場所。カビが静かに進行していることに気づかず、悪臭やペットの皮膚トラブルで初めて発見されるケースもあります。
こうした“盲点エリア”を理解し、日頃から意識的に清掃・除湿を心がけることが、ペットと人の快適な共生空間を守る第一歩です。
2. カビがペットと人の健康に与えるリスクとは?
「カビなんて見た目だけの問題では?」と思われがちですが、実際にはペットや家族の健康に深刻な影響を与えることもあります。特に、空気中に浮遊するカビの胞子や、目に見えないカビ毒(マイコトキシン)は、呼吸器や皮膚、免疫に悪影響を及ぼす可能性があるのです。ここでは、ペットと人、それぞれに起こり得る健康被害を解説します。
2-1. カビが引き起こすペットの皮膚疾患や呼吸器トラブル
ペットの身体は人間よりも地面や床に近いため、カビの影響を直接受けやすい傾向にあります。特に小型犬や猫、うさぎなどは、カビに敏感な体質の子も多く、症状が出やすい部分をしっかり把握することが大切です。
【主な影響と症状】
- 皮膚炎・脱毛:カビが付着した寝床やラグで長時間過ごすことで、皮膚トラブルに
- 外耳炎:耳の中がジメジメしているとカビが繁殖しやすく、かゆみや悪臭を伴う
- くしゃみ・咳・呼吸困難:カビ胞子を吸い込むことによる呼吸器症状
- 食欲不振・元気消失:マイコトキシンによる全身症状が出るケースもまれにあり
また、既往症があるペットや、免疫が低下している高齢の子ほど、カビによる影響を強く受けやすいため注意が必要です。
2-2. アレルギー・カビ毒など人間への悪影響も見逃せない
カビの害はペットだけでなく、人間にも多くの健康リスクをもたらします。特に、ペットが原因で発生したカビが家中に広がると、家族全員がその影響を受けてしまう可能性があります。
【人間に現れる主な症状】
- アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)
- 喘息の悪化(呼吸が苦しくなる、咳が続く)
- アトピー性皮膚炎の悪化
- 倦怠感・集中力の低下・頭痛(マイコトキシンの長期吸引による不定愁訴)
- 赤ちゃんや高齢者の体調不良(免疫力が弱く影響を受けやすい)
カビは目に見えない段階で空気中に広がるため、「気づいたときには体調に変化が…」ということもよくあります。特にペットのニオイや湿気と重なっていると、カビの存在に気づきにくく、対処が遅れやすいのです。
3. ペットにやさしいカビ対策の基本ルール
カビを防ぎたい一方で、「強力な薬剤を使ってペットに悪影響が出ないか心配…」という飼い主さんは少なくありません。カビ対策では“効果”と“安全”のバランスを取ることが非常に大切です。ここでは、ペットにやさしい掃除方法と湿気管理の基本ルールを2つの視点から解説します。
3-1. 安全な掃除アイテムとNGな成分
カビ掃除で使うアイテムの中には、ペットが吸い込んだり、なめたりすることで健康被害につながるものもあります。とくに猫や小型犬は化学物質に敏感なため、使用する道具や洗剤は慎重に選ぶ必要があります。
【OKなアイテム】
- 食品用エタノール(アルコール70〜80%)
→ 揮発性が高く、乾けば害が残りにくい - 重曹・クエン酸スプレー
→ 天然成分で安全性が高い、軽度のカビや汚れに効果あり - ペット用除菌スプレー(ノンアルコールタイプ)
→ 成分表を確認し、無香料・無添加のものを選ぶ
【避けたい成分・製品】
- 塩素系漂白剤(カビキラーなど)
→ 刺激が強く、吸引や皮膚への付着が危険 - 芳香剤やアロマ入りの防カビ剤
→ 香料がペットの嗅覚にストレスを与えることも - 防カビ剤のジェル・設置型のもの(誤飲リスクあり)
掃除後はしっかりと換気し、床やケージ周辺が乾いてからペットを戻すことも重要です。
「人間にとって大丈夫」でも、「ペットには有害」なものは多く存在するため、成分表示を確認する習慣をつけましょう。
3-2. 湿気管理と通気の工夫でカビ予防
カビ対策の基本は、湿気をこもらせないこと。特にペットと暮らす空間では、空気の流れと湿度管理を意識するだけで、カビの発生リスクをぐっと下げることができます。
【湿気対策の実践ポイント】
- 毎朝10分以上の換気:窓を2ヶ所開けて風の通り道をつくる
- ペット用トイレの周辺に除湿剤を設置:使用後すぐに掃除することも忘れずに
- 寝具やクッションは週に1回以上洗濯+しっかり乾燥
- エアコンのドライ機能や除湿機を活用し、湿度60%以下をキープ
- ケージ・ベッド・マットの下にすのこや通気シートを敷く
特に梅雨や冬の結露時期は湿気がたまりやすいため、こまめな通気と掃除を意識的に行うことが、カビのない空間づくりの基本です。
4. カビを防ぐための日常的な掃除とメンテナンス術
カビ対策は、一度の掃除で終わるものではありません。日々の積み重ねが何よりも効果的です。特にペットと暮らす家庭では、こまめな掃除と通気の工夫を取り入れることで、快適で清潔な環境を長く保つことができます。ここでは、カビを寄せつけない掃除法と、見直すと効果的なアイテム選びについてご紹介します。
4-1. ケージやトイレ周辺の湿気・汚れをためない掃除法
ペットの生活スペースはカビの発生源になりやすいホットスポット。特にケージやトイレまわりは、水分や汚れが溜まりやすく、湿気がこもりがちです。
【効果的な掃除のポイント】
- トイレシートや砂は毎日交換し、下のトレーも週1回洗浄&乾燥
- 床との接地部分(ケージの脚やトレーの裏)は週1〜2回アルコール拭き
- ケージのすのこ部分や金網も、月に1回は水洗い+天日干し
【おすすめアイテム】
- 食品用エタノールスプレー:汚れと菌をまとめて除去、ペットにも比較的安全
- 吸水・速乾タイプのマット:掃除の手間を減らし、湿気のこもりを防ぐ
- ペット用除菌シート:日常のお手入れに便利で時短にも◎
こうした定期的なお手入れで、カビの温床となる“汚れの残り”を徹底的になくすことができます。
4-2. 洗えるマット・抗菌素材などアイテムの見直しも有効
日常的な掃除に加えて、使うアイテムそのものを“カビに強い素材”にすることも大切な対策のひとつです。清潔を保ちやすく、湿気に強い素材を選ぶことで、無理なくカビ予防ができます。
【見直したいポイントとおすすめアイテム】
- ペット用ベッドやマットは洗濯機で丸洗いできるものを選ぶ
- 防水・抗菌・防臭加工の敷物は、床への湿気の移りを防げて◎
- カーペットより撥水性のあるフロアマットやラグに切り替える
- トイレ下に防水シートを敷くことで、見えないカビの進行を防止
また、長期間使っているベッドやクッションは、内部に湿気がたまっている可能性もあるため、半年〜1年に一度の買い替えも検討しましょう。
アイテム選びも“カビが喜ばない素材・構造か?”を意識することで、日々の掃除がぐんとラクに、清潔さが長続きします。
5. カビが気になる時にすぐできる!ペットに配慮した対応法
「においがする」「黒ずみを見つけた」など、カビの兆候に気づいたとき、すぐに対処できる準備が整っていると安心です。ただし、ペットがいる環境では“強力=安心”とは限らないため、除去方法にも注意が必要です。ここでは、安全性を確保しつつ、すぐに実践できるカビ対処法と、防カビグッズの選び方をご紹介します。
5-1. カビを見つけた時の正しい除去方法と注意点
カビを見つけたら、慌てず落ち着いて、安全第一で除去を行うことが大切です。特にペットの生活スペースであれば、作業中はペットを別室に移動させるなどの配慮が必要です。
【除去の基本手順】
- ペットを他の部屋に避難させる
- 換気をしっかり行い、手袋・マスクを着用
- カビ部分に食品用エタノール(70~80%)をスプレーし、5分ほど放置
- 乾いた布やペーパーで押さえるように拭き取る(こすらずポンポン)
- その後防カビスプレー(ペット対応のもの)で仕上げ&自然乾燥
【注意点】
- 塩素系漂白剤は使わない(揮発成分や残留でペットに有害)
- 濡れた場所を残さないこと(再発やにおいの元になる)
- 拭き取りに使った布類はすぐに破棄、掃除後はペットが戻る前に完全に乾かす
カビが広範囲にわたる場合や、掃除しても臭いや湿気が取れない場合は、早めに専門家に相談することも検討しましょう。
5-2. 除湿・防カビグッズを選ぶときの安全基準とは?
市販の防カビ・除湿アイテムは便利ですが、ペットがいる家庭では「成分」と「設置場所」に十分注意を払う必要があります。
【ペットに安全な防カビ・除湿グッズの選び方】
- 無香料・無添加の自然派製品(竹炭、珪藻土、シリカゲルなど)
- 誤飲や接触を防げる密閉型容器タイプの除湿剤
- ペットの手が届かない場所に設置できることが前提
【避けたいNGグッズ】
- 香料やアロマが含まれるタイプ(嗅覚への刺激が強くストレスの原因に)
- 中身がジェル状や液体のタイプ(容器が倒れた場合の誤飲リスク)
- 強力な化学薬品を使用した防カビ剤(吸引・接触による中毒の恐れ)
万が一に備えて、製品に記載された注意書きをよく確認し、「ペットOK」「動物にやさしい」と明記された商品を選ぶのが安心です。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、カビの検査と対策を専門に行う非営利団体として、健康的で安心できる住環境の実現をサポートしています。
カビは見た目の汚れだけでなく、ペットや人の健康に悪影響を与える微生物として問題視されており、その対策は年々注目を集めています。
当協会は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいて設立され、室内の空気環境や建材に潜むカビ・細菌・真菌などの“見えないリスク”を可視化することを使命としています。
主な活動内容
- 室内空気中や建材に存在する浮遊カビや付着菌の測定・分析
- ペットと暮らす家庭を含む、あらゆる環境での微生物調査とカビリスクの診断
- カビ発生の原因を科学的に特定し、安全かつ実践的な対策提案を実施
- 学校・医療機関・住居などへの啓発・教育活動
- 法制度に基づいた公正な検査と環境改善支援
特にペットを飼っているご家庭では、動物の体温や排せつ物、被毛などによる湿気と汚れが、カビの発生リスクを高める要因となります。当協会では、そうした環境特有の問題を正確に測定・分析し、ペットにも人にもやさしい改善方法を提供しています。
カビによるアレルギーや健康被害が懸念される現代において、住まいの空気の質を見える化し、清潔で快適な空間を維持するための科学的なサポートが不可欠です。
見えないカビを“見える化”して、ペットも人も健やかに暮らせる家へ。
微生物対策協会は、皆さまの暮らしと健康を守るパートナーとして、これからも住環境の安心・安全を支えてまいります。