一般社団法人
微生物対策協会

ブログ

2025/05/27   

梅雨の湿気でカビ発生!?木材の被害を防ぐ簡単チェックリスト

梅雨になると木材にカビが生えてしまい、困っている方が年々増えています。
【記事を読んで分かること】木材にカビが発生する理由や具体的な対処法、再発を防ぐポイントが分かります。
【記事を読むメリット】大切な木製家具や建材をカビから守り、快適で健康的な梅雨シーズンを過ごせるようになります。

梅雨の時期になると、木材にカビが生えてしまうという悩みを抱える方が増えます。これは単なる湿気の問題ではなく、木材という素材の特性と、梅雨特有の気候条件が深く関係しています。カビは放置すると健康被害や建材の劣化にもつながるため、原因を知って早めの対策を講じることが重要です。

カビは湿度70%以上、気温20〜30度の環境で活発に繁殖します。まさにこの条件がそろうのが梅雨の時期です。日本の梅雨は高温多湿で、気温も徐々に上がってくるため、カビにとっては絶好の生育環境になります。特に雨が続く日には室内の湿度が上がりやすく、換気が不十分な場所では空気の流れが滞り、湿気がこもりがちになります。
このような状態が数日続くと、空気中のカビの胞子が木材の表面に付着し、そこから菌糸を伸ばして定着し始めます。カビが根を張ると、木材の内部にまで侵食し、表面的な掃除では取り除けなくなってしまうこともあるのです。

木材は天然の有機物であり、カビにとって格好の栄養源です。特に未塗装の無垢材や古い木材は湿気を吸収しやすく、胞子が定着しやすい性質を持っています。また、木材の表面には目に見えない微細な凹凸があり、そこに湿気やホコリがたまることで、カビの温床になります。
さらに、木材は湿度の変化に敏感で、吸湿と放湿を繰り返します。これによって表面が常に適度に湿っている状態になると、カビの生育環境が持続してしまうのです。特に梅雨時に密閉された空間や風通しの悪い場所にある木材は、カビが繁殖しやすい危険ゾーンといえるでしょう。

梅雨の湿気は家中に広がりますが、特に木材部分には注意が必要です。木材の中でもカビが発生しやすい場所には共通点があり、放置しておくと健康被害や建物の劣化につながる恐れがあります。この章では、どのような木材部分にカビが生えやすいのか、そしてその兆候に気づくためのポイントを解説します。

住宅の中でカビが最も発生しやすい木材部分は、まず押し入れの中やクローゼットの壁面です。これらの場所は空気の流れが少なく、湿気がこもりやすいため、梅雨時には特に注意が必要です。さらに、床下や天井裏の梁や柱も盲点となりがちで、通気性が悪い場合は知らないうちにカビが広がっていることがあります。
また、玄関周辺や窓枠の木部も要注意です。外気と内気の温度差により結露が発生し、それが木材を湿らせてカビの発生源になります。カビは目に見える前に胞子として広がっているため、においや湿っぽさなどの違和感にも敏感になることが大切です。

木製の棚やタンス、ベッドフレームなどの家具は、壁に密着して設置されている場合、裏側に湿気がたまりやすく、カビが生える原因になります。特に家具の裏面や接地面には風が通らず、ホコリと湿気がたまりやすいため、見えない場所にカビが繁殖していることも珍しくありません。
フローリングの場合は、表面だけでなく床下の根太や断熱材まわりにも注意が必要です。床鳴りや変色、表面のざらつきがカビの初期サインとなることがあります。これらの兆候を見逃さず、少しでも異常を感じたら、すぐに確認・対処することがカビ被害の拡大を防ぐカギとなります。

カビの発生を防ぐには、湿気をコントロールし、木材が常に乾いた状態を保てるような環境を整えることが重要です。梅雨は高湿度が長期間続くため、木材の吸湿をいかに抑えるかがポイントになります。この章では、すぐに実践できる梅雨時の具体的な予防法をご紹介します。

梅雨時に最も効果的なカビ予防は、湿度を60%以下に保つことです。湿度計を設置して数値を「見える化」することで、的確な換気や除湿が可能になります。特に朝晩は湿気がこもりやすいため、1日2回は窓を開けて空気の入れ替えを行いましょう。
また、家具と壁の間に数センチの隙間を空けることで、空気の流れを良くし、木材に湿気がたまるのを防げます。エアコンの除湿モードや除湿機の活用も非常に有効です。押し入れや収納内には、調湿材や炭、新聞紙などを敷いておくと余分な湿気を吸収してくれます。

市販の防カビスプレーは、木材表面にカビの発生を抑える膜を形成するタイプが多く、梅雨前の予防におすすめです。使用する際は、木材が乾いていることを確認し、風通しの良い状態でスプレーを行いましょう。化学薬品が気になる方は、アルコールやクエン酸を使った自然派タイプもあります。
また、**乾燥剤(シリカゲルや石灰乾燥剤など)**を収納内部に設置することで、閉鎖空間の湿度上昇を防げます。特にタンスや本棚の裏側、床下収納など空気がこもりやすい場所には効果的です。これらの対策を組み合わせることで、梅雨時でも木材をカビからしっかり守ることができます。

梅雨の湿気対策をしていても、木材にカビが発生してしまうことはあります。特に見えにくい場所では、気づいたときにはすでに広がっているケースも少なくありません。ここでは、自宅でできる安全なカビ除去方法と、効果的な手段を素材別に解説します。

木材のカビを除去する際は、まず乾燥状態を確認し、濡れている場合は風通しを良くしてしっかり乾かします。乾いたら、柔らかい布でカビを拭き取り、表面を傷めないように注意します。軽度の黒カビであれば、**アルコール(消毒用エタノール70〜80%)**を布に含ませて拭くことで、除菌とカビの抑制が可能です。
注意点としては、強い漂白剤や塩素系薬剤を直接木材に使わないことです。木材の色が変わったり、表面を傷めてしまう恐れがあります。また、作業中は必ず換気を行い、マスクと手袋を着用してください。作業後はカビが再発しないよう、除湿と換気をしっかり続けることが大切です。

カビ除去には市販のカビ取り剤が多く出回っていますが、木材用として適したものを選ぶ必要があります。市販の薬剤は即効性があり、広範囲に広がったカビを短時間で除去できますが、成分が強いものは木材を変色させることがあるため、目立たない場所で試してから使うようにしましょう。
一方で、自然派の方法としては、アルコールスプレーや重曹水、酢水などを使った手法があります。これらは素材へのダメージが少なく、安心して使用できる反面、根の深いカビには効果が薄い場合があります。状況に応じて、初期段階では自然派、広範囲には薬剤といった使い分けがおすすめです。

一度カビを除去できても、梅雨のように湿度が高い季節には再び発生してしまうことがあります。再発を防ぐには、日々のちょっとした習慣の積み重ねが重要です。ここでは、木材のカビを繰り返さないために、誰でも実践できる対策と生活習慣をご紹介します。

カビの再発を防ぐためには、「早期発見・早期対処」が基本です。梅雨時期は特に、週に一度は木製家具の裏側や押し入れの内部、窓枠周辺などを確認する習慣をつけましょう。湿気がたまりやすい場所は、見た目が変わっていなくても手で触ってみて、冷たさや湿り気を感じたら要注意です。
掃除の際は、ホコリや汚れをこまめに拭き取り、カビの栄養源を断つことも効果的です。また、晴れた日には窓を開けて風を通すなど、日常の中で「乾燥の時間」を意識することも大切です。

木材のカビ防止には、生活空間全体の環境を整えることも欠かせません。たとえば、洗濯物の室内干しを控える調理中や入浴後は必ず換気扇を回す、といった湿気をためない行動を意識しましょう。
また、家具を壁から数センチ離して設置することで、湿気の逃げ道が生まれ、カビの発生を防げます。クローゼットや押し入れには定期的に空気を入れ替えたり、除湿剤を交換することも習慣づけると効果的です。こうした日々の小さな積み重ねが、木材のカビを未然に防ぎ、快適な住環境を維持するための大きな力になります。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を専門に行う団体として設立されました。カビは見えない空気中にも存在し、私たちの健康や住環境に大きな影響を与える存在です。特に近年は、住まいの密閉化や気密性の高まりにより、カビの発生リスクが高まっています。こうした背景を受けて、協会は「室内空気の見える化」をキーワードに、健康で快適な住まいづくりをサポートしています。

協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいています。この法律では、アレルギーの予防や軽減を図るため、生活環境や建築構造の改善が重要であるとされています。微生物対策協会は、この理念に則り、環境中のカビや微生物の調査・検査・対策の実施を通じて、安心・安全な暮らしを支えています。

協会では、住宅や車内の空気中に浮遊する微生物の濃度を測定し、その結果を「見える化」します。これにより、カビの存在や特性を科学的に把握でき、適切な除去・予防策を講じることが可能になります。特に、木造建築や古民家のような湿気がこもりやすい構造では、カビの発生が顕著であり、協会の検査が非常に有効です。

また、カビは目に見えるものだけでなく、壁内や床下などの隠れた場所でも繁殖していることがあります。落下して床に付着したカビ胞子も自然には死滅しません。こうした「見えないカビ」のリスクを正しく理解し、適切な対策を取ることが、現代の住宅における衛生管理の要となります。

微生物対策協会は、こうした知識と技術を広く普及させ、建物の寿命を守るとともに、公衆衛生の向上に寄与することを目指しています。

ページトップへ
メールアイコン お問い合わせ  電話アイコン 052-908-0058