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2025/06/11   

しつこいカビは水漏れが原因かも?健康被害と費用を防ぐ完全ガイド

何度掃除してもカビが再発する場合、見えない配管からの水漏れが原因かもしれません。
【記事を読んで分かること】カビと水漏れの関係、見分け方、除去・修理法、保険対応のポイントが分かります。
【記事を読むメリット】健康リスクや住宅損傷を未然に防ぎ、費用やトラブルを最小限に抑える方法が学べます。

壁や床、天井に広がるカビを繰り返し掃除しても、何度も再発する場合は注意が必要です。見えない場所で進行している**「配管からの水漏れ」**が原因となっている可能性があります。放置すると、カビの繁殖だけでなく住宅の構造や健康にも悪影響を及ぼすため、早期発見がとても重要です。この章では、カビと水漏れの関係性、そして見落としがちな初期症状についてご紹介します。

カビが発生する原因として多くの人が思い浮かべるのは「湿気」ですが、実は配管からの水漏れによるカビは根本的に性質が異なります。

湿気によるカビは、主に結露や換気不足が原因で、空気中の水分が溜まることによってカビが育つ環境が整ってしまうのが特徴です。しかし、配管の水漏れが原因の場合、常に局所的に高い湿度が保たれるため、カビの発生と増殖が極めて早くなります。

また、湿気によるカビは改善しやすい反面、水漏れ由来のカビは構造内部にまで浸透しやすく、表面の掃除だけでは除去できないという厄介な特徴を持っています。つまり、カビがいつも同じ場所に繰り返し発生する場合は、水漏れの疑いが濃厚だと言えます。

配管の水漏れは目に見えない場所で起こることが多いため、見た目の変化や違和感から早期に察知することが重要です。以下のチェックポイントに当てはまる場合、水漏れがカビの原因である可能性が高まります。

  • カビがいつも同じ場所に出る/広がる
     → カビの位置が、壁の内側や床下の配管ルートに一致している場合があります。
  • 壁紙や床材がふやけている・浮いている
     → 水分を吸収して膨らんでいる可能性があります。触ると柔らかくなっていることも。
  • クロスに波打ち・剥がれ・変色が見られる
     → じわじわと水が染み出している証拠です。濃い茶色のシミや黒ずみは要注意。
  • 床にベタつきや異臭がある
     → 常に濡れていることで湿気がたまり、カビ臭や異臭がすることがあります。
  • 水道代が不自然に高くなった
     → 目に見えないところで水が漏れていると、気づかないうちに使用量が増えていることがあります。

このような症状が複数該当する場合は、専門業者による点検や漏水検査を依頼するべきサインといえるでしょう。

カビを「ただの汚れ」と思って見過ごしてしまうと、実は大きな健康リスクや住宅の損傷につながる可能性があります。特に配管の水漏れによってカビが発生している場合、目に見えないところで被害が進行しやすいため注意が必要です。この章では、放置したカビが引き起こす人体への影響と、住まいの劣化リスクについて詳しく解説します。

カビが生えると、空気中に微細な胞子が飛び交うようになります。これを私たちが日常的に吸い込んでしまうことで、さまざまな健康被害を引き起こすことがあります。

とくに以下のような症状が現れやすくなります:

  • くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー反応
  • 咳や喉の痛み、喘息などの呼吸器系の不調
  • 子どもや高齢者への免疫低下や慢性疾患の悪化
  • 頭痛、倦怠感、集中力低下といった全身症状

また、カビの中には**「真菌性肺炎」や「アスペルギルス症」といった深刻な病気を引き起こす種類も存在します。
特に
黒カビ(クラドスポリウム属など)**は毒性が強く、目に見えない微粒子でも吸い込むことで人体に影響を与えることがあります。空気中に漂う胞子はフィルターなしでは防げないため、カビの発生源を断つことがもっとも重要です。

水漏れによるカビの被害は、住宅そのものにも深刻なダメージを与えます。以下のような二次被害が代表的です。

● 木材の腐敗・断熱材のカビ汚染

天井裏や床下の木材が長期間湿った状態にさらされると、カビだけでなく腐朽菌も発生し、構造強度が著しく低下します。断熱材が汚染されると、断熱効果も失われ、結露が再発しやすい状況になります。

● 石膏ボードの劣化・天井のたわみや崩落

石膏ボードは水を吸うと脆くなり、膨らみ・歪み・落下のリスクが出てきます。特に上階の水漏れによる天井カビは、早期に対応しないと修復工事が大規模になる恐れがあります。

● シロアリを引き寄せるリスク

湿気を好むシロアリは、水分のある木材を狙って侵入してきます。カビによって木材が傷んでいる場合、シロアリ被害との複合被害が起こることもあります。

このように、カビと水漏れの放置は、住まいの安全性・快適性を大きく損なう要因となるのです。だからこそ、早期発見と迅速な対応が何より大切です。

天井や壁、床などにカビを発見したとき、すぐに行動することで被害の拡大を防ぐことができます。ただし、間違った掃除方法は逆効果になることも多く、カビを広げてしまう原因にもなります。この章では、自分でできるカビ除去の正しい方法と、水漏れが止まらない場合の応急対処法を詳しく解説します。

軽度のカビであれば、適切な手順を踏めば自分で除去することも可能です。以下のような道具と方法で、安全に対応しましょう。

【準備するもの】

  • 使い捨てのマスクとゴム手袋
  • ゴーグル(目の保護用)
  • 消毒用アルコール(70%前後)または防カビスプレー
  • 乾いた布、キッチンペーパー
  • ゴミ袋(処理用)

【手順】

  1. 換気をしっかり行う(窓を開け、空気の流れをつくる)
  2. カビの範囲を確認し、乾いた布で優しくふき取る(拭き取れない場合は無理にこすらない)
  3. アルコールスプレーを吹きかけて除菌する(まんべんなく塗布)
  4. 10〜15分ほど放置し、乾いた布で再度拭く
  5. 使用した布類は密閉して廃棄する

※塩素系漂白剤(カビキラーなど)は素材によっては変色や劣化を招くため、目立たない場所で試してから使用しましょう。

【注意点】

  • カビを水で流すのはNG。胞子が飛び散る原因になります
  • 拭き掃除で取れない場合、建材の内部に根を張っている可能性があるため、早めに専門業者へ相談を。

配管の水漏れが明らかに続いている場合、以下のような応急処置を施すことで、被害の拡大を一時的に防ぐことが可能です。

● 家庭でできる応急処置

  • 水の元栓を止める(屋外のメーターボックス内にある止水栓を締める)
  • 漏れている箇所の下にバケツや雑巾を敷いて被害を限定する
  • 配管からの水漏れ箇所を防水テープなどで仮止めする

※あくまで「一時的な対応」なので、すぐに専門の水道業者に連絡を取ることが重要です。

● 事故や感電に注意

  • 水漏れが電気系統や照明に近い場合はブレーカーを落とす
  • 天井からの水滴が見える場合は、天井材が破れて落下するリスクもあるため、下に物を置かず立ち入らないようにしましょう。

応急処置で時間を稼ぎつつ、早急に専門業者の対応を仰ぐことが、被害を最小限に抑える鍵となります。

カビを除去しても、**原因となる水漏れを放置していては、またすぐに再発してしまいます。**カビ対策の最終ゴールは「根本的な原因の除去」と「再発させない環境づくり」。この章では、配管修理の進め方と、湿気やカビの発生を防ぐための実践的な予防策をご紹介します。

配管の修理や交換は、素人では対応できない専門的な作業が必要になります。信頼できる業者を選び、スムーズに修理を進めるために、事前に以下の情報を整理しておきましょう。

● 業者に伝えるべきチェックポイント

  • カビが発生している場所と範囲(写真も有効)
  • カビの再発頻度や時期(雨の日・水道使用後など)
  • 壁や天井のシミ・異臭などの異変の有無
  • 水道代の変動や音の異常(配管内の流れ音など)

● 業者選びのポイント

  • 漏水調査の実績があるかどうか(防水・配管工事専門)
  • 無料点検や見積もりに対応しているか
  • 保証制度があるか(工事後のアフターケア)
  • 複数社から相見積もりを取って、工事内容・費用の内訳を比較すると安心です。

また、「カビの処理と配管の修理」は別々の業者が対応するケースが多いため、それぞれの連携も確認しておくとスムーズです。

水漏れを修理した後は、再びカビを発生させないための予防対策を行うことが重要です。特に湿気のこもりやすい空間では、次のような取り組みが効果的です。

● 換気改善で空気の循環を促す

  • 換気扇の設置・定期的な窓開けで湿気を逃がす
  • クローゼットや壁内などには、通気口やスリットを設けるのも有効です

● 断熱性能を高めて結露を防止

  • 天井裏や壁の内側に断熱材を追加・見直しすることで、温度差による結露を抑制できます
  • 結露は目に見えにくい湿気の一因。結露が繰り返されるとカビが再発しやすくなります

● 防カビ処理と塗料でカビ菌を寄せ付けない

  • 内壁や天井に防カビ塗料を使用することで、再発のリスクを低減
  • 木材やボード材に抗菌・防カビ剤を噴霧する施工も効果的

カビは一度生えると除去が困難なため、発生しにくい環境をつくることが最大の予防になります。

配管からの水漏れとカビ被害に対応するには、修理費用の見積もりや保険の活用、管理会社や施工業者とのやり取りが欠かせません。特に、賃貸や分譲マンションなどではトラブルを避けるための正しい知識が重要です。この章では、知っておくと安心な費用感や補償制度、対応の流れを詳しく解説します。

水漏れによるカビ被害は、**火災保険や住宅総合保険の補償対象になる場合があります。**しかし、すべてのケースで適用されるわけではなく、原因や状況に応じて補償の可否が分かれます。

● 保険が適用されやすい例

  • 給排水管の破損による漏水(経年劣化や施工ミスが原因でない場合)
  • 隣室や上階からの漏水による被害(賃貸・マンションなど)
  • 自然災害(台風・積雪)による破損が起因の水漏れ

● 保険が適用されにくい・されない例

  • 経年劣化による配管破損
  • 自分で引き起こしたミスによる水漏れ(例:掃除中の破損など)
  • 長期間放置して被害が拡大した場合(対応が遅れたと判断される)

● 保険申請のポイント

  • 被害箇所の写真や動画を記録する
  • 被害日時や状況を時系列で整理しておく
  • 修理業者の診断書・見積書を用意する
  • 保険会社にはできるだけ早く連絡する(初期対応が肝心)

※特約の有無や保険の種類によって対応が異なるため、事前に契約内容を確認することが大切です。

集合住宅や賃貸物件では、自分だけで判断せず、必ず管理会社や施工業者と連携することが重要です。対応を誤ると、トラブルに発展しかねません。

● 管理会社への報告方法

  • 発見次第すぐに連絡を入れ、書面やメールで記録を残す
  • 被害状況を写真に撮って添付し、修理や点検の希望を明確に伝える
  • 管理規約や契約書を確認し、誰の責任範囲かを把握する

● 施工業者とのやり取りで気をつけたいこと

  • 工事内容・使用部材・保証期間を必ず明記した見積もりをもらう
  • 施工前後の写真を撮っておくことで、後のトラブル回避に有効
  • 複数業者から相見積もりを取って、価格だけでなく内容で比較する

● トラブルが解決しない場合の相談先

  • 消費生活センター
  • 国交省の「住まいるダイヤル」
  • 地域の住宅相談窓口や弁護士会など

感情的なやり取りを避け、事実と記録に基づいた冷静な対応が、トラブルをスムーズに解決する鍵となります。

一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を中心とした専門的な取り組みを行っている団体です。カビによる健康被害や建物劣化といった問題に対処するため、**室内空気の「見える化」**を通じて、健やかで安全な住環境を支えることを目的としています。

この取り組みは、**平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」**に基づいています。この法律では、アレルギー疾患の予防と症状軽減のために生活環境の改善が求められており、当協会の活動はこの方針に沿ったものです。

当協会では、目に見えない空気中の汚染物質、特にカビの胞子や浮遊微生物の濃度を測定し、「見える化」する調査を行っています。これにより、健康への影響や建物の被害リスクを科学的に把握でき、適切な対策が可能になります。

特に建物内部では、落下したカビ胞子がそのまま生き残り、再び繁殖するリスクが高くなります。そのため、見えるカビだけでなく、見えないカビの存在を捉えて正しく対処することが、今後ますます重要になっています。

また、当協会は、住まいや生活空間を微生物災害から守るために、保健医療・福祉・環境保全の観点からも啓発・支援活動を行っており、住宅・施設のカビリスク評価や予防対策に関する教育・指導も展開しています。

時代とともに求められる「安心・安全・健康な空間づくり」に貢献するため、一般社団法人 微生物対策協会は、引き続き皆さまの信頼に応える活動を続けてまいります。

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