一般社団法人
微生物対策協会

ブログ

2025/04/22   

「賃貸のカビ問題で損しない!退去前に知っておきたいこと」

賃貸住宅でカビが発生…退去時に費用を請求されるのか、自分に責任があるのか、不安になる方も多いはずです。
【記事を読んで分かること】カビの原因による費用負担の違いや、退去時の原状回復義務、トラブル時の対処法がわかります。
【記事を読むメリット】カビによる思わぬ出費や退去トラブルを未然に防ぐ知識が身につきます。

賃貸住宅で生活していると、気がついたら壁や天井、サッシ周辺にカビが発生していた…ということは珍しくありません。しかし、「このカビ、退去時にクリーニング費や修繕費を請求されるのでは?」と不安になる方も多いはず。実際のところ、カビが原因で費用を請求されるかどうかは“原因と責任の所在”によって大きく異なります。ここでは、まず原状回復の基本ルールと、費用負担の考え方について解説します。

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃貸物件の退去時において借主が負担すべきは、**通常の生活をしていても避けられない経年劣化や自然損耗以外の「故意・過失・不適切な使用による汚損・損傷」**とされています。

つまり、普通に暮らしていて発生したカビは、原則として借主の責任ではないとされるケースが多いのです。ただし、下記のようなケースでは「借主の負担」と判断されることがあります:

  • 長期間換気をせず、部屋全体が湿気だらけ
  • 浴室の黒カビを放置し、素材が変色・劣化した
  • カーテンや家具の裏にできたカビを報告・対処せず拡大させた

一方で、建物の構造や設備の不備(例:断熱材不足、結露しやすい窓、換気扇の故障など)が原因で発生したカビは、貸主の管理責任とされる可能性が高くなります。

カビによる退去時の費用負担は、**「誰に原因があるか」**という視点で判断されます。判断基準としてよく使われるのは以下の3点です:

  • ✅ カビが発生した場所(浴室・窓際・収納など)
  • ✅ 日常的な換気や清掃が行われていたか
  • ✅ 管理会社や大家への報告・対応の有無

たとえば、浴室のカビを毎回掃除していたにも関わらず、壁の中から発生していた場合は、建物側の問題とみなされる可能性が高くなります。逆に、結露を放置してクロスにカビを広げていた場合は、借主の管理不足と判断されやすくなります。

また、入居中に気づいた時点で早めに管理会社へ報告し、対応履歴を残しておくことも重要です。これが「適切に対応した証拠」となり、退去時の費用負担を軽減できる可能性が高まります。

「部屋にカビがひどくて、もう住んでいられない…」そんな状況に直面したとき、カビを理由に退去することは“正当な理由”になるのでしょうか? 実は、カビの程度や原因、対応の経緯によって、退去時の扱いが大きく変わることがあります。ここでは、退去が認められるケースと、トラブルを避けるために取るべき行動について詳しくご紹介します。

カビは見た目の不快感だけでなく、アレルギー症状やぜんそく、頭痛、倦怠感など健康被害を引き起こす原因にもなります。特に小さなお子様や高齢者、アレルギー体質の方がいる家庭では、住み続けることが困難になる場合も。

このような健康への影響がある場合、カビの発生が建物の欠陥や管理不足に起因するものであれば、退去理由として認められる可能性があります。たとえば:

  • 壁の中や天井裏からカビが発生し続けている
  • 換気設備の不備や断熱材の欠陥によりカビが発生している
  • 修理や改善の要望を出しても対応されない

このような場合は、「貸主側の契約不履行」とみなされる可能性があり、違約金や残りの家賃を支払うことなく退去できる場合もあります。

カビを理由に退去を申し出る場合、感情的に「もう住めない!」と伝えるだけでは不十分です。以下のように、冷静に証拠を整えたうえで対応することが重要です。

カビの状態を写真や動画で記録
→ 日付がわかる形で、カビの場所・範囲・程度を撮影しましょう。

医師の診断書や健康被害の記録
→ カビによる体調不良がある場合は、診断書が強力な根拠になります。

管理会社や大家への報告履歴
→ 対応依頼メールや通話記録、LINEのやり取りなどが証拠になります。

修繕要望に対する対応の有無を明確にする
→「連絡したのに放置された」などは契約違反として主張しやすくなります。

これらを準備したうえで、「住み続けることが困難」と伝えることで、退去の交渉がスムーズに進む可能性が高まります。また、相談は口頭よりも書面やメールなど記録が残る形が望ましいです。

賃貸物件でカビが発生したとき、最も揉めやすいのが「これは借主と貸主のどちらの責任なのか?」という点です。退去費用や修繕費の請求に直結する問題なので、トラブルを防ぐためにも、責任の所在を正しく判断することが重要です。ここでは、その判断ポイントをわかりやすく解説します。

まず大前提として、建物そのものに原因がある場合、責任は貸主(大家)にあるとされるのが基本です。たとえば以下のようなケースでは、借主に責任は問われにくくなります。

✅ 結露しやすい単板ガラスや断熱材がない構造
✅ 換気設備(換気扇、通気口)が正常に機能していない
✅ 雨漏り・水漏れなどによって壁内に湿気がこもっている
✅ 入居前からすでにカビが発生していた

このような場合、借主がどれだけ丁寧に暮らしていても防げないカビと考えられるため、退去時の費用負担や損害請求は無効とされる可能性が高くなります。

また、入居後すぐにカビが目立ち始めた場合は、入居前からのトラブルである可能性もあるため、早い段階で管理会社に報告し、記録を残しておくことが大切です。

一方で、日常的な管理不足や誤った生活習慣が原因でカビが発生・悪化した場合は、借主側に一定の責任があると判断されることもあります。たとえば、次のような行動は注意が必要です。

⚠️ 窓を開けず換気をほとんどしない生活
⚠️ 湿気の多い状態で家具や物を密集させて配置
⚠️ 浴室やキッチンの水気を放置して掃除を怠る
⚠️ カビを見つけても報告せず放置したままにする

こうした場合、「通常の使用とはいえない」と判断され、原状回復義務の範囲を超えて修繕費を請求される可能性が出てきます。

特に、カビを放置して建材が劣化してしまったようなケースでは、「予防・対応できたにもかかわらず損傷を広げた」とみなされ、借主の過失とされる可能性が高くなります。

賃貸物件でのカビ問題は、いかに早く気づいて予防・対処できるかが鍵になります。たとえ建物側に原因があったとしても、日常的な管理を怠っていると、借主の責任を問われることもあります。ここでは、カビを未然に防ぐための生活習慣と、もし発生してしまった場合の正しい対処方法をご紹介します。

カビの発生を抑えるには、「湿気」と「栄養(汚れ)」を取り除くことが基本です。以下のような習慣を取り入れることで、カビの繁殖リスクを大幅に減らすことができます。

毎日の換気

  • 朝と夜に5〜10分、対角線になる窓を開けて空気の流れを作る
  • キッチンや浴室の換気扇はこまめに使用する(特に入浴後)

結露対策

  • 冬場は特に要注意。窓やサッシの水滴はこまめに拭き取る
  • 結露防止シートや断熱フィルムも効果的

掃除と整理整頓

  • ホコリや汚れはカビの栄養源。家具の裏や窓まわりの掃除も忘れずに
  • クローゼットや押し入れは物を詰めすぎず、空気が通るように

湿気がこもりやすい場所に除湿剤を置く

  • 押し入れ、シンク下、靴箱など、カビの温床になりやすい場所に活用しましょう

万が一カビが発生してしまった場合、まず重要なのは**「放置しないこと」と「証拠を残すこと」**です。借主に責任がないことを示すためには、適切な対応をとっていたことを証明できるようにしておく必要があります。

🔷 カビの発生状況を記録する

  • 写真を撮って保存(できれば日付入りで)
  • 発生した場所、広がり方、においなどもメモに残すとベター

🔷 すぐに管理会社や大家に連絡する

  • 電話だけでなく、メールやLINEなど証拠が残る方法で報告
  • 修繕や点検を依頼し、対応の有無も記録しておく

🔷 清掃や対策を行った記録も残す

  • 使用した除カビ剤や作業内容を簡単にメモしておくと安心

このような対応をとっておけば、万が一退去時に「このカビの責任は借主にある」と言われても、冷静に反論できる材料になります。

賃貸を退去する際に最もトラブルが多いのが、**「原状回復費用」**に関する問題です。特にカビのように自然発生とも取られやすく、責任の所在が曖昧になりがちなケースでは、言われるがまま高額な費用を請求されてしまうことも。ここでは、退去前に確認すべきポイントと、万が一トラブルになった場合の対処法をまとめます。

退去時には、管理会社や大家との立会い確認が行われ、壁紙や床、水まわりなどの状態がチェックされます。スムーズに進めるためにも、次のような準備をしておきましょう。

掃除はしっかりしておく
→ カビや汚れはできる範囲で取り除き、誠意を見せることで印象が良くなります。

カビに関する記録や報告履歴を用意する
→ 写真、メール、LINEのやり取りなどをまとめておくと、交渉時に有利です。

請求された内容はすぐにサインせず、内容を確認する
→ 「原状回復」の範囲を超える費用が含まれていないか要注意!

見積書や請求書を求め、内訳をチェック
→ 「カビ除去費用◯万円」など、詳細が不明な費用はしっかり確認しましょう。

必要であれば、「国土交通省の原状回復ガイドラインに基づくと、このカビは構造上の問題で…」といった理論的な交渉も有効です。

もし、カビを理由に高額な退去費用を請求されたり、話し合いがうまくいかなかった場合は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することをおすすめします。

🟢 消費生活センター

  • 各自治体にある無料の相談窓口。退去時トラブルの事例に詳しく、交渉方法もアドバイスしてくれます。

🟢 法テラス(日本司法支援センター)

  • 法律相談を無料で受けられる公的機関。敷金トラブルや賃貸契約の確認なども対応可能です。

🟢 不動産適正取引推進機構(RETIO)

  • 国土交通省の支援を受けた団体。原状回復のガイドラインに関する情報も発信しています。

また、SNSや掲示板では「カビが原因で敷金が全額返ってこなかった」「クリーニング代が不当に高かった」といった声も多数ありますが、感情的にならず、証拠とルールに基づいて冷静に対応することが一番の防御策です。

一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を柱とする専門機関です。住宅や施設におけるカビの発生に対し、健康被害や建物の劣化を未然に防ぐための調査・提案を行い、人々の安心・安全な暮らしを守ることを目的としています。

この協会の活動は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**を根拠としています。この法律では、アレルギーの予防・軽減に寄与するために、生活環境の改善や建築構造の見直しが必要不可欠であるとされています。微生物対策協会はこれに基づき、室内空気の「見える化」や科学的アプローチによって、健全な住環境づくりを支援しています。

ページトップへ
メールアイコン お問い合わせ  電話アイコン 052-908-0058