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微生物対策協会

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2025/05/04   

「咳が止まらないのはカビのせい?エアコン掃除の正しい知識」

エアコンを使うたびに咳や体調不良が続いていませんか?その原因、実はエアコン内部のカビかもしれません。
【記事を読んで分かること】エアコンに潜むカビの発生原因や健康被害の実例、予防や掃除の方法について理解できます。
【記事を読むメリット】家族の健康を守るために今すぐできる対策がわかり、安全・快適にエアコンを使えるようになります。

エアコンは空気を循環させる便利な家電ですが、その内部は湿気がこもりやすく、カビの温床となることがあります。カビの発生原因と、見えないところで起きているリスクについて詳しく解説します。

エアコン内部では、冷房や除湿運転時に空気中の水分が冷却フィンに結露し、水滴となって溜まります。この湿気が十分に乾燥されないまま放置されると、カビが繁殖しやすくなるのです。特に使用後に送風や内部乾燥を行わない場合、フィンやファンに湿気が残ったままとなり、目には見えないけれど内部にはびっしりとカビが…ということも珍しくありません。また、外気を取り込むわけではなく、部屋の空気を吸って循環させているため、ホコリや皮脂、繊維くずなどが内部に入り込み、それらがカビの「栄養源」となることも。見た目がキレイでも、内部にはカビが繁殖している可能性があるのです。

一見すると無害そうなカビですが、エアコン内部に発生した場合は話が別です。冷房運転中、風と一緒にカビの胞子が部屋中にまき散らされ、それを知らずに吸い込んでしまうことになります。これが原因でアレルギー症状や咳、鼻水、目のかゆみといった不調を引き起こすだけでなく、深刻な場合は肺炎にまで発展するケースもあるのです。特に「夏型過敏性肺炎」は、エアコンを使うことで症状が悪化しやすく、繰り返し再発する可能性もあります。見えないからといって油断せず、定期的な掃除と点検を習慣化することが、自分や家族の健康を守る第一歩です。

エアコン内部に潜むカビを吸い込むことで、体にさまざまな影響が現れることがあります。特に知られているのが「夏型過敏性肺炎」などの呼吸器系の疾患です。ここでは、その症状と影響を詳しく解説します。

夏型過敏性肺炎とは、エアコン内部に繁殖したトリコスポロンというカビの一種が原因で起こる肺の炎症です。このカビの胞子を長期間吸い続けることで、アレルギー反応が引き起こされ、肺に炎症が起こる病気です。主な症状は、咳や息切れ、微熱、倦怠感などで、風邪や喘息と間違えられることもあります。しかし、放置して悪化すると、慢性的な呼吸困難や肺線維症にまで進行する可能性もあり、決して軽視できるものではありません。夏型過敏性肺炎は、エアコンの使用が増える夏に多く発症する傾向があるため、エアコンの使用前には必ずカビ対策や掃除を行うことが大切です。

カビによる健康被害は、免疫力が低下している人ほど重症化しやすい傾向があります。特に高齢者や小さなお子さん、持病を持つ方などは注意が必要です。例えば、子どもは肺がまだ発達途中であり、少しの刺激でも気管支炎や喘息のような症状を起こしやすくなります。また、高齢者の場合、呼吸器の機能が弱っていたり、持病があることで症状が複雑化することもあります。咳や発熱が長引く、エアコンをつけると体調が悪くなるといった変化が見られたら、単なる体調不良と決めつけず、カビの影響を疑うことが必要です。健康リスクを最小限にするためには、エアコン内部の衛生管理が何よりも大切だと言えるでしょう。

カビによる健康被害を未然に防ぐには、エアコン内部を清潔に保つことが最も効果的です。日常的にできる掃除方法と、プロの手を借りるタイミングについても解説します。

エアコンのカビ対策で最も基本となるのが「定期的な掃除」です。まず、フィルターは2週間に1度を目安に掃除するのが理想です。ホコリや汚れがたまると、カビの栄養源になってしまいます。掃除機で吸い取った後、ぬるま湯で洗い、しっかりと乾かしてから戻しましょう。次に、吹き出し口やルーバー(風向きを調整する羽)部分の掃除も重要です。アルコール除菌スプレーなどを使い、カビが繁殖しやすい部分をこまめに拭き取るようにしましょう。内部の冷却フィンなどの細かい部分は家庭用のスプレー洗浄剤も使えますが、誤った使用で故障の原因になることもあるため、使用説明書をよく確認してください。

市販のエアコン掃除スプレーは手軽に使えるのが魅力ですが、効果は一時的です。表面の汚れやカビには有効ですが、内部の奥深くまでは届かないため、見えない部分のカビを完全に除去することは難しいです。一方、プロのエアコンクリーニングでは、専門の器具を使って分解洗浄を行い、内部の熱交換器やファンまで徹底的に洗浄してくれます。年に1回はプロの清掃を依頼し、それ以外の時期は自分でこまめに掃除するという「併用スタイル」がもっとも効果的です。また、最近では防カビコートを施してくれる業者も多く、掃除後の清潔状態を長く保てるのも大きなメリットです。家族にアレルギー体質の方がいる場合や、長期間掃除をしていない場合は、迷わずプロの力を借りることをおすすめします。

カビは「湿度・汚れ・温度」が揃うことで急速に繁殖します。だからこそ、毎日の使い方と環境の管理が何より大切です。日常生活で意識するだけでカビを寄せつけない習慣をご紹介します。

エアコンの使用後にすぐ電源を切っていませんか?冷房や除湿モードのあとには、内部にたっぷりと湿気が残っています。この湿気が乾かないまま放置されると、カビにとって格好の繁殖環境になります。そこで効果的なのが、「送風運転で内部を乾燥させる」ことです。使用後に30分〜1時間ほど送風モードで運転することで、内部の湿気を飛ばし、カビの発生を大幅に抑えることができます。最近のエアコンには「内部クリーン」や「乾燥機能」が付いている機種も多いので、それを活用するのもおすすめです。たったひと手間で、エアコン内部の清潔さを維持できます。

エアコンだけでなく、部屋そのものの湿度管理もカビ予防には欠かせません。室内の湿度が60%を超えるとカビが繁殖しやすくなります。除湿機やエアコンの除湿モードを使って、湿度は50%前後に保つのが理想的です。また、部屋の空気がこもっていると、湿気がエアコン内部にも影響を与えます。1日1〜2回は窓を開けて換気を行い、空気を入れ替えるようにしましょう。雨の日や寒い季節でも、5分程度の換気でも効果があります。さらに、部屋干しや加湿器の使いすぎにも注意が必要です。部屋全体を「湿気がこもらない環境」に整えることが、カビ予防の大前提となります。

カビによる健康被害は、早めに気づいて対処することで重症化を防げます。体の不調を見逃さず、必要なときに正しい対応ができるよう、チェックすべきサインと行動についてご紹介します。

エアコン使用時に「咳が止まらない」「微熱が続く」「体がだるい」といった症状が現れた場合、風邪やアレルギーと思い込んでいませんか?もしこれらの不調が数日〜数週間続くようであれば、エアコン内部のカビによる影響を疑ってみましょう。特に、部屋を閉め切って冷房を使い始めた時期にこうした症状が出る場合、「夏型過敏性肺炎」の可能性もあります。この病気は、カビを吸い込み続けることで免疫反応が起き、肺が炎症を起こしてしまうもので、早期に気づいて対処することが大切です。家族に同じような症状の人がいないかも合わせて確認し、体調の変化に敏感になることが予防の第一歩です。

体調不良が続く場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。内科や呼吸器内科では、カビやハウスダストによるアレルギー性疾患や肺炎の可能性を調べることができます。特に夏場に咳や息苦しさが長引いている場合は「夏型過敏性肺炎」というキーワードを医師に伝えることで、より適切な診断につながります。また、住宅環境が原因と思われる場合は、地域の保健所や環境衛生を扱う相談窓口に問い合わせるのも一つの方法です。さらに、エアコンの状態が明らかにカビくさい、汚れているといった場合には、専門業者によるクリーニングも検討しましょう。体のサインを見逃さず、すぐに行動することが、健康被害を未然に防ぐカギです。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を専門とする団体です。カビは見えにくく、気づかないうちに健康被害や建物の劣化を引き起こす原因となることがあります。当協会は、そうした問題を未然に防ぎ、より良い住環境をつくることを目的に設立されました。

活動の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー症状の軽減や予防のために、生活環境の改善や建築構造の見直しなどが求められています。当協会はこの理念に基づき、室内空気環境の「見える化」を推進しています。

主な活動内容は、住宅や車室内の空気中に浮遊する微生物の検査や調査です。特にカビは、建物内で最も多く確認される微生物であり、放置すれば健康や建材への深刻な影響を及ぼします。当協会では、空気中に含まれる汚染物質の濃度や種類を測定し、その特性を明確にしたうえで、適切な対策を提案しています。

また、カビ菌は空気中を漂い、落下した先でも長期間生存するため、見えない被害が広がりやすいという性質を持っています。目に見えないリスクを正しく把握することは、安心・安全な暮らしを実現するために欠かせません。私たちは、そのリスクを「見える化」することで、効果的かつ具体的なカビ対策を可能にします。

微生物対策協会は、住まいと健康を守るために、啓発活動、公衆衛生の向上、環境保全にも積極的に取り組んでいます。カビに関するお悩みや不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたとご家族の安心な暮らしをサポートいたします。

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