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2025/05/12   

壁紙の黒ずみ、それカビかも?原因から除去・予防策までプロが解説

壁紙に黒い点やシミのような汚れが出てきて、カビかもしれないと心配になったことはありませんか?
【記事を読んで分かること】壁紙にカビが発生する原因、見分け方、効果的な除去と予防法が分かります。
【記事を読むメリット】原因に応じた適切な対策が分かり、壁紙の劣化や健康被害を未然に防ぐことができます。

壁紙にカビが生えてしまうのは、ただ単に掃除を怠ったからというわけではありません。湿気や建物の構造、そして目に見えない空気の流れまで、さまざまな要因が関係しています。ここでは、特に多くの家庭で見られる「室内の湿気」と「壁内部の結露」など、根本的な原因について分かりやすく解説していきます。

壁紙にカビが生える最も一般的な原因は、室内の高い湿度換気不足です。特に梅雨時や冬場の結露が多い時期は、空気中の水分が壁にたまりやすく、カビの繁殖に最適な環境が整ってしまいます。

洗濯物の部屋干し、加湿器の使いすぎ、料理による蒸気など、日常生活で発生する湿気は意外と多く、換気を怠るとそれが室内にこもってしまいます。カビは湿度60%以上の環境で急速に繁殖し始めるため、換気が不十分な空間では、わずかな時間でもカビの胞子が増殖を始めます。

さらに、壁紙の裏側にまで湿気がしみ込んでしまうと、表面だけでなく内側でもカビが繁殖し、気づいたときには壁紙ごと張り替えが必要になるケースもあります。

もう一つ見落とされがちなのが、壁の内部で発生する結露や、建物の断熱性・気密性に関わる構造上の問題です。特に外気と室内の温度差が大きくなる冬季には、壁の内部で「見えない結露」が起こりやすくなります。これが壁紙の裏にまで水分として残り、カビの温床になるのです。

築年数が古く、断熱材が劣化していたり、気密性が低い家屋では、壁内部の結露が発生しやすくなります。また、外壁にひび割れがあると、そこから雨水が侵入し、壁内の湿度が上昇。これもカビの原因となります。

特に北側の部屋や日が当たりにくい場所は、温度が低く湿気がこもりやすいため、壁紙にカビが発生しやすい傾向にあります。このような場所では、目に見えないうちにカビが広がってしまうこともあるため、注意が必要です。

壁紙の汚れがカビなのか、ただの汚れや経年劣化なのかを見極めるのは意外と難しいものです。見た目は似ていても、対応方法が全く異なるため、正しい判断が重要です。この章では、表面に見えるカビと壁内部のカビの違い、そして初期段階で気づくためのチェックポイントについて解説します。

壁紙のカビには大きく分けて「表面に生えるカビ」と「内部で繁殖するカビ」があります。表面のカビは比較的早期に発見しやすく、黒や茶色、時には緑色の点やシミのような状態で現れます。手で触るとザラつきや湿っぽさを感じることもあり、掃除用洗剤やカビ取りスプレーで対応できるケースが多いです。

一方、厄介なのは壁紙の裏側や壁材の内部に潜むカビです。これは壁紙の表面にはっきりと現れない場合も多く、うっすらとした変色や、壁紙の浮き、めくれといった症状が現れたときには、すでに内部でかなり進行している可能性があります。

内部のカビは掃除では取り除けず、壁紙の張り替えや壁材そのものの修繕が必要になることも。症状の進行度を判断するには、表面を軽く押してみてフカフカしていたり、異臭がする場合などにも注意が必要です。

カビの初期症状は非常に分かりづらく、気づかないまま広がってしまうケースが少なくありません。まず注目してほしいのは、「壁紙の一部が薄く変色している」「黒ずみが線状または点状に広がっている」といった変化です。照明の光でよく見ないと気づけないほどの微妙な違いも、初期のカビである可能性があります。

また、壁紙に接している家具の裏側や、エアコン・加湿器の近くなど、空気の流れが滞りやすい場所は特に注意が必要です。異様なカビ臭(湿った土のようなにおい)を感じたら、壁の裏側で繁殖している可能性が高いため、早めの対応が重要です。

確認方法としては、壁紙を少しめくって中をチェックするのが確実ですが、難しい場合は、湿度計を使って部屋の湿度を把握する、またはカビ検査キットを活用するのもひとつの方法です。早期発見が、健康被害や修繕コストの削減につながります。

壁紙にカビを発見したとき、まず気になるのは「どうやってきれいに取り除けるのか」だと思います。放置すればどんどん広がり、健康にも住環境にも悪影響を与えてしまいます。ここでは、自宅で実践できる基本的な除去手順と、家庭では対応しきれない場合の対処法をご紹介します。

壁紙の表面にできたカビであれば、まずは市販のカビ取りスプレーや**消毒用アルコール(濃度70%程度)**を使って掃除をすることができます。作業を始める前に、必ずゴム手袋とマスクを着用し、換気をしっかり行いましょう。

【基本的な手順】
① カビ部分の周囲に新聞紙や布を敷き、床や家具が濡れないように保護する
② カビ取り剤またはアルコールをスプレーし、数分間放置する(壁紙の素材により事前に目立たない部分で試す)
③ やわらかい布やスポンジで、こすり過ぎないように軽く拭き取る
④ 汚れを取ったあとは、乾いた布で水分を拭き取り、しっかり乾燥させる

ポイントは「強くこすらない」こと。壁紙の表面は意外とデリケートで、傷をつけるとそこからさらにカビが繁殖しやすくなるので注意が必要です。また、使用後のスプレー剤の成分が残ると変色の原因になるため、必ず水拭き・乾拭きを忘れずに行ってください。

もしカビが広範囲に広がっていたり、壁紙の裏側まで侵食していると判断される場合は、家庭での除去には限界があります。無理に掃除を続けると、かえってカビの胞子を空気中に拡散させてしまい、症状を悪化させてしまう恐れもあります。

そのような場合には、カビ除去専門の業者への依頼が有効です。専門業者は、壁紙の状況やカビの種類を判断し、必要に応じて壁紙の張り替えや壁内部の除菌処理まで対応してくれます。また、防カビ施工を同時に行うことで、再発のリスクを抑えることも可能です。

費用は状況によって異なりますが、目安としては1㎡あたり数千円から。放置して大掛かりな修繕が必要になる前に、早めの相談がおすすめです。特に体調不良が出ている場合や、カビの臭いが強いと感じるようであれば、専門の点検を受けるのが安心です。

カビは一度除去しても、条件がそろえばすぐに再発してしまいます。根本的にカビを防ぐには、日常生活の中で湿気をコントロールし、壁紙にカビが生えにくい環境を作ることが大切です。ここでは、毎日の習慣でできる対策と、防カビ製品を活用する方法を紹介します。

カビ対策の基本は「湿気をためないこと」です。室内の湿度は40〜60%が理想的とされており、この範囲をキープできればカビの発生をかなり抑えられます。そのためにまず心がけたいのがこまめな換気です。窓を1日2回以上、10分程度開けて空気を入れ替えるだけでも湿気のこもりを防げます。

特に注意したいのは、北側の部屋や収納スペース、家具の裏側など風通しが悪い場所です。空気が滞ると湿気がこもりやすくなり、壁紙の裏で知らぬ間にカビが繁殖してしまいます。家具は壁から5cm以上離して設置し、空気が循環するように工夫しましょう。

また、除湿機や除湿剤の活用も効果的です。梅雨や冬の結露が多い時期には、寝室やリビングなど湿気が気になる場所に除湿機を設置し、湿度計で数値を確認しながら管理すると安心です。

カビの再発防止には、防カビ剤の使用や抗菌・防カビ加工された壁紙への張り替えも効果的です。市販の防カビスプレーは、壁紙の表面にカビが付きにくくなるバリアを作ってくれます。掃除のあとや、湿気が気になる場所に定期的に噴霧することで予防効果が高まります。

ただし、使用する際は壁紙の材質に合った製品を選ぶことが重要です。誤った製品を使うと、変色や素材の劣化を引き起こすこともあるため、目立たない場所で試してから使用するようにしましょう。

また、リフォームのタイミングで「防カビ機能付きの壁紙」に張り替えるのも長期的には有効です。これらの壁紙は、表面に抗菌・防カビ加工が施されており、カビが根付きにくい構造になっています。特に洗面所やキッチン、北側の部屋などカビが発生しやすい場所におすすめです。

さらに、壁紙の下に使う「防カビ下地材」や「調湿材」なども併用すれば、より強固なカビ対策が可能になります。

壁紙に発生したカビは見た目が悪いだけではありません。放っておくと、私たちの健康や住まいの寿命にも大きなダメージを与えることになります。ここでは、カビが引き起こす身体への悪影響と、建物に与える劣化のリスクについて詳しく解説します。

カビの胞子は非常に小さく、空気中に舞い上がると知らないうちに私たちの体内に入り込んでしまいます。これが原因となって、くしゃみ・鼻水・咳・目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすことがあります。特に、喘息やアレルギー体質の方にとっては深刻な影響を及ぼすことも。

さらに、免疫力が弱っている人や高齢者、小さなお子さんは、カビに対する抵抗力が低いため、気管支炎や皮膚炎、まれに肺炎などの感染症を起こすリスクもあります。黒カビ(クラドスポリウム)や青カビ(ペニシリウム)など、種類によっては毒素を持つものもあるため、壁紙にカビを見つけたら放置せず、すぐに対応することが重要です。

また、カビ臭と呼ばれる独特のにおいも、長時間吸い続けることで頭痛や吐き気を感じることがあり、室内の快適性を著しく損ないます。

カビの被害は人体だけでなく、住宅そのものにも深刻なダメージを与える可能性があります。特に壁紙の裏にカビが生えている場合、見えないところで壁材や断熱材が腐食しているケースも少なくありません。

カビが出す酵素は有機物を分解する性質があり、時間が経つと石膏ボードや木材がボロボロになってしまうことも。さらに、湿気が蓄積することで建材がふやけて断熱性や防音性が低下し、住環境の質が大きく損なわれてしまいます。

このような状態を放置すると、最終的には大がかりな修繕や壁の張り替えが必要になることもあり、費用と手間が大きく膨らんでしまいます。見た目だけで判断せず、違和感や異臭を感じた段階で早めの点検と対策を行うことが、住宅を長持ちさせるためのポイントです。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中核とした活動を行う専門団体です。カビによる健康被害や建物の劣化といった深刻な問題に取り組み、室内環境の健全化を目指して、空気中の汚染物質や微生物の“見える化”に力を入れています。

協会設立の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を目的に、生活環境の改善を推進することが求められており、当協会もその趣旨に基づき活動を展開しています。

当協会の主な目的は、環境中に存在する微生物による被害から住まいや人々の健康を守ることです。室内空気や車内空間などに浮遊する目に見えないカビ菌や細菌などを測定・分析することで、具体的な対策が講じられるよう支援を行っています。

特に多く見られるのがカビによる被害であり、壁紙や家具、天井などに目に見えるカビが発生するだけでなく、空気中を浮遊しているカビ胞子も健康に悪影響を与えます。こうした“見えないリスク”を明らかにし、対策の必要性を伝えることが私たちの使命です。

検査結果をもとに、被害状況を正確に把握することで、住環境の改善に向けた具体的なアドバイスや処置を提案。安心・安全な暮らしを支えるために、これからも微生物対策の専門家として地域社会に貢献してまいります。

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