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2025/06/07   

衣替え時のカビトラブルを防ぐ!収納と湿気対策の全知識

衣替えをしたらクローゼットの中がカビ臭い…。そんな経験はありませんか?
【記事を読んで分かること】カビが生える原因と、衣替え時の収納・湿気対策のポイントが分かります。
【記事を読むメリット】衣類をカビから守り、クローゼットを清潔に保つための実践的な方法が身につきます。

衣替えは季節の変化に合わせて衣類を入れ替える大切な作業ですが、そのタイミングでクローゼットにカビが発生してしまうケースが多く見られます。清潔なはずの洋服や収納スペースに、なぜカビが生えてしまうのでしょうか?ここではその原因を理解し、対策の第一歩につなげていきましょう。

衣類にカビが発生する大きな要因は「湿気」と「汚れ」です。特に、衣替えの際に汗や皮脂が残ったままの衣類を収納してしまうと、カビの栄養源となって繁殖が始まります。衣類の素材によってもカビのつきやすさは異なり、ウールや綿などの天然素材は水分を吸いやすく、カビにとっては絶好の繁殖場です。

また、洗濯後に十分乾いていないまま収納することも大きなリスクです。目に見えないレベルの湿気でも、クローゼットの中に密閉された状態が続けば、数日でカビが発生することもあります。湿度が60%を超える環境では、カビは活発に繁殖を始めるため、気づいたときには複数の衣類に広がってしまっているケースも珍しくありません。

クローゼットは家の中でも特に湿気がこもりやすい場所です。その理由は、通気が悪く、窓がないことが多いからです。空気の流れが少ないため、体から発する水分や空間に残った湿気が排出されず、内部に蓄積されやすくなります。

特に梅雨時期や秋の長雨、または暖房を使う冬の季節には、室内外の温度差により結露が発生しやすく、クローゼットの壁面や収納物に水分がしみ込んでしまうことがあります。さらに、壁が外気に面している北側のクローゼットでは、外気の冷たさによって壁面が冷え、内部の空気との温度差で結露→湿気→カビという悪循環が起きやすいのです。

収納の詰め込みすぎもまた湿気の一因です。空気の通り道がないと湿気が停滞し、温床になってしまいます。こうした構造的な特性を理解することで、次の対策をより効果的に行うことができるようになります。

衣替えは、単なる衣類の入れ替え作業ではなく、カビ対策の絶好のチャンスでもあります。収納の仕方や準備の仕方ひとつで、クローゼットの湿気環境が大きく変わります。ここでは、カビを寄せつけない衣替え時の具体的な対策を2つの視点から詳しく解説します。

カビを防ぐうえで、衣類を収納する前の準備は極めて重要です。以下の3つの工程を守るだけで、衣類にカビがつくリスクを大幅に減らせます。

完全に乾かすこと
洗濯後の衣類は見た目が乾いていても、厚手の服や縫い目などに湿気が残っていることがあります。収納前は数時間風通しの良い場所で「念のため干す」ことがカビ防止には効果的です。

皮脂汚れをしっかり落とすこと
人の皮脂や汗はカビの栄養源になります。春夏で使用した衣類や肌着は、普段の洗濯に加えて“酸素系漂白剤”などで一度しっかり洗浄するのがおすすめです。

詰め込みすぎないこと
収納スペースに余裕をもたせることで、空気の流れが生まれ、湿気がたまりにくくなります。ギュウギュウに詰めると通気が悪化し、カビが繁殖しやすい環境に。

この3ステップを習慣にすることで、衣替えによるカビ被害は確実に減らすことができます。

クローゼット内の湿気対策には、除湿・通気・工夫の3つがキーワードです。最も手軽で効果的なのが「除湿剤」。市販の塩化カルシウム系除湿剤は即効性があり、衣替えの際に新しいものへ交換するのがベストです。置き型のものは棚の奥、吊り下げ型のものはハンガーポールに掛けておくと良いでしょう。

次に、「すのこ」や「通気性の良い収納ボックス」を使うことで空気の流れを促すことができます。衣装ケースを床にベタ置きするのではなく、すのこで底上げするだけで湿気を逃がしやすくなります。

また、通気口がある布製の収納ボックスや、不織布カバー付きの衣類カバーを使うと、湿気がこもらず、カビの発生リスクを抑えられます。さらに、炭・竹炭シート・珪藻土グッズなどの自然素材除湿アイテムも、化学物質を使わず安心して使えるのでおすすめです。

ちょっとしたアイテムの工夫と使い方を見直すだけで、カビを防げるクローゼット環境に近づけます。

いくら注意していても、衣替え後にクローゼットを開けたらカビがついていた…ということは珍しくありません。焦って間違った方法で洗ってしまうと、衣類を傷めたり、カビを広げてしまう可能性もあります。ここでは、カビが生えてしまった時の正しい対処法と、判断に迷う時のポイントをお伝えします。

まずは、その衣類が洗える素材かどうかを確認しましょう。洗濯表示タグを見て、水洗い可能なものは自宅での処理が可能です。おすすめの方法は以下の通りです。

  • 酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗い
    色柄物でも使える酸素系漂白剤(液体タイプ)を40℃程度のお湯に溶かし、30分ほどつけ置きしてから通常通り洗濯します。カビの臭いが残る場合は2回繰り返すと効果的です。
  • 洗濯後は必ず天日干し
    紫外線には殺菌効果があります。しっかり乾かすことも、再発を防ぐうえで重要です。

一方、**洗えない衣類(スーツ・ウール・革製品など)**や、カビの範囲が広い場合は、無理に自宅で処理しようとせず、専門のクリーニング店に相談しましょう。「防カビ処理」や「除菌オプション」がある店舗を選ぶと安心です。

応急処置として、カビ部分をアルコールや消毒用エタノールで軽く拭くという方法があります。布に吹きかけて軽くたたくようにして使用すれば、表面のカビを一時的に抑えることができます。ただしこれはあくまで応急的な処理であり、根本的な除去ではありません。

次のような状態であれば、自己処理せずプロに任せるのが最善です:

  • カビが広範囲にわたっている
  • においが強く、何度洗っても残る
  • 高級素材やデリケートな生地である
  • 一度処理したのに再発している

クリーニング店では、オゾン処理や抗菌加工などの専門的な技術でカビ対策が行われます。大切な衣類を守るためには、無理せずプロの力を借りる選択も大切です。

衣替えは、衣類だけでなくクローゼット本体のメンテナンスにも最適なタイミングです。カビの発生を防ぐためには、収納スペースそのものを清潔に保つことが基本中の基本。ここでは、クローゼットの掃除方法と、防カビ効果のあるケアグッズの活用法をご紹介します。

掃除の基本は「ほこり取り → 拭き掃除 → 乾燥」です。

  1. ほこり取り
    まず、ハンディモップや掃除機でクローゼットの床や壁、棚の隅にたまったほこりを丁寧に取り除きます。ほこりは湿気を吸いやすく、カビの栄養源にもなるため、この作業が最も重要です。
  2. 拭き掃除
    次に、アルコールスプレー(消毒用エタノール)や中性洗剤を使って壁や棚板を拭き上げます。乾いた布やマイクロファイバークロスで仕上げ拭きし、水分を残さないようにします。
  3. 乾燥
    最後にクローゼットの扉を全開にして、数時間以上しっかりと乾燥させます。可能であれば扇風機やサーキュレーターを使って風を送り込むと、より効果的に乾燥できます。

これらを衣替えのたびに行うことで、クローゼット内の湿気とカビリスクを大幅に減らすことができます。

掃除の仕上げとして、防カビスプレーや自然素材のカビ予防アイテムを活用するのがおすすめです。

  • 市販の防カビスプレー
    薬剤系のスプレーは、カビの発生を抑える効果があります。クローゼットの壁や天井、棚などに満遍なくスプレーし、乾燥させてから衣類を戻しましょう。
  • 自然素材のカビ対策
    化学薬品を使いたくない場合は、備長炭・竹炭・ヒノキチップ・珪藻土などの天然素材が効果的です。湿気を吸収しながら、ほんのり消臭効果もあり、環境にもやさしい点が魅力です。袋や布で包んで置いておけば、簡単に使えます。
  • アロマオイルの活用
    ティーツリーオイルやユーカリオイルなどには抗菌・防カビ作用があるとされており、拭き掃除の際に数滴混ぜると、爽やかな香りと共にカビ予防ができます。

掃除+防カビ処理をセットで行えば、クローゼット全体が長期間清潔な状態を保てるようになります。

衣替えが無事に終わっても、それで油断は禁物です。クローゼットは使い方次第で、数週間で湿気がたまり、カビが再発する可能性があります。そこで重要なのが、日々のちょっとした習慣と定期的な確認です。この章では、衣替え後にカビを防ぐための管理のコツをご紹介します。

クローゼットの湿度は、外気温や生活環境によって大きく変化します。梅雨や冬の結露が起きやすい時期は、特に意識的な湿度管理が必要です

  • 湿度計を設置し、60%を超えないように保つ:数値化することで除湿タイミングが明確になります。
  • 月に1回はクローゼットを全開にし、空気を入れ替える:定期的に風を通すだけで、カビリスクは大幅に軽減されます。
  • シーズンの中間で“中間衣替え”をする:収納したまま放置せず、一部を出して状態確認をすることで、早期のカビ発見・予防が可能です。

また、湿気がたまりやすい位置(下段や壁際)を中心に、除湿剤の交換や収納物の位置の入れ替えも有効です。

カビを予防するには、日常の中で習慣化できるシンプルな行動がカギになります。

  • 使った服は一晩“風通しスペース”で干してから収納する:着用直後の体温・湿気をそのまま閉じ込めないようにしましょう。
  • 湿度の高い日は扉を少し開けて通気を確保する:たとえば入浴後や雨の日など、室内全体が湿気を含んでいるタイミングでは、クローゼットの扉をあえて開放するのが効果的です。
  • 収納物の「ぎゅうぎゅう詰め」を避ける:特にハンガーにかけた衣類同士の隙間を3cm程度空けることで、空気の流れができ、湿気がこもりにくくなります。

こうした小さな積み重ねが、クローゼット全体のカビリスクを確実に減らしてくれます。衣替えは、収納を変えるだけでなく、「カビと湿気に強いクローゼット管理」をスタートさせるきっかけなのです。

一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を中心に活動する専門団体です。私たちの暮らしに潜むカビは、健康被害や建物の劣化などを引き起こす厄介な存在ですが、目に見えにくいために放置されがちです。協会では、**室内空気の“見える化”**によって、こうした微生物リスクを明確にし、健康で安全な住環境の実現をサポートしています。

協会の活動の根拠は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**にあります。この法律では、アレルギー症状の予防や軽減のため、生活環境や建築構造の改善が求められています。微生物対策協会は、この理念を実現するために設立され、住まいと人の健康を守る取り組みを続けています。

主な事業には、室内や車内空間に浮遊するカビや細菌の検査・調査があります。空気中には目に見えない微粒子が多く含まれており、それが呼吸を通じて体内に入ることで健康に影響を与えることがあります。協会では、これらの汚染物質を数値化・可視化し、そのデータをもとに具体的かつ実効性のある対策を提案しています。

特にカビ菌は、落下しても死滅せず、湿った場所で再び増殖する性質があり、住環境にとって深刻な問題となります。協会では、「見えるカビ」と「見えないカビ」の両面から検査・対策を行うことで、安心・安全な空間づくりを支援しています。

快適で健康的な暮らしを実現するために、私たち微生物対策協会は、正確な調査と専門的な対策を通じて、住まいのリスクを“見える化”し、的確な予防と改善の手助けを行っています。

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