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2025/08/06   

壁紙のカビが再発する原因とは?隠れた湿気と正しい対処法

壁紙のカビを掃除してもすぐにまた現れて困っていませんか?
【記事を読んで分かること】壁紙のカビが再発する本当の原因と、それを防ぐ正しい対策方法がわかります。
【記事を読むメリット】再発しないカビ対策を知ることで、根本から安心できる住環境を作れます。

一度きれいに掃除したはずの壁紙に、数日〜数週間後またカビが現れていませんか?それは、表面的な掃除では取り切れない「根本的な原因」が潜んでいるからです。見た目は清潔でも、壁の内部や構造にカビの再発リスクが残っていると、何度でもカビは戻ってきてしまいます。ここでは、再発を引き起こす2つの代表的な原因を解説します。

カビは壁紙の「表面」だけでなく、壁紙と下地の間、さらには壁の内部にまで根を伸ばしている場合があります。見えているカビを拭き取ったり、市販のカビ取りスプレーで一時的にきれいにしても、内部に残ったカビの根が再び成長し、数日〜数週間で表面に現れてくるのです。

特にビニールクロスなどの通気性が低い壁紙は、湿気を逃しづらくカビの温床になりがちです。また、スプレーなどで一時的に菌を抑えたつもりでも、かえって水分が残り、カビの栄養源になっているケースもあります。カビは目に見える部分だけで判断せず、「中まで根を張っている」と意識することが重要です。

壁紙にカビが何度も生える場合、その背後に「見えない湿気のたまり」がある可能性が高いです。結露、断熱不足、壁の裏にある配管の漏れ、さらには気密性が高すぎる住宅構造など、湿気が溜まりやすい条件が揃っていると、常にカビが再発する環境が整ってしまいます。

また、外気と接する壁や北側の部屋は、温度差によって結露が発生しやすくなります。この湿気が壁紙の裏に染み込み、乾ききらないままカビの発生源となってしまうのです。「なぜこの場所ばかりにカビが出るのか?」と感じたら、表面ではなく“壁の構造自体”に目を向ける必要があります。

カビが再発しやすい場所には、いくつかの“共通する条件”があります。ただの偶然ではなく、空気の流れや日当たり、断熱性、壁の素材などが関係しているのです。ここでは、カビが特によく再発する場所と、その裏にある共通点について詳しく解説します。

北向きの壁は日光が当たりにくく、他の方角に比べて温度が低くなりやすいため、結露が起こりやすくなります。さらに空気が動かない場所――例えば家具の裏側や押入れの奥なども、湿気がこもりやすく、カビが繁殖する絶好の環境になります。

こういった場所では、壁紙の表面が乾燥する機会が少なく、湿った状態が長時間続いてしまいます。とくに下記のような場所は要注意です。

  • タンスや本棚などがぴったりと接している壁
  • 押入れの奥で布団が長期間触れている場所
  • 北向きの壁の下部(冷たい空気が溜まりやすい)

どれも「湿気がこもる」「通気が悪い」「温度差がある」という3つの条件が重なるポイントです。こうした環境を作らないように、家具の配置や通気の工夫が必要になります。

賃貸住宅や集合住宅では、構造上どうしても通気性や断熱性が低い物件も少なくありません。例えば、外壁に面したコンクリートの壁や、内装がビニールクロス一枚で仕上げられている壁などは、結露しやすく湿気が逃げにくいため、カビが非常に再発しやすいのです。

また、分譲マンションでも、気密性が高く24時間換気が不足していると、湿度がこもりやすくなります。特に、窓がない部屋や、部屋の一部が壁に囲まれた構造の場合、空気の循環が妨げられ、壁紙の裏で湿気が溜まることがあります。

賃貸では構造自体を変えることは難しいですが、カビが出やすい「壁の条件」を知っておくことで、家具の置き方や日常の工夫で再発を防ぐことが可能です。

カビが気になると、多くの人はとにかく「すぐに落としたい」「見た目をきれいにしたい」と考えます。しかし、こうした“表面的な対処”や“よくある自己流の方法”こそが、実はカビの再発を繰り返す原因になっているケースが非常に多いのです。ここでは、特にありがちな間違ったカビ対策とそのリスクについて解説します。

市販されているカビ取りスプレーや消毒用アルコールは、一時的な除菌には有効ですが、再発防止には限界があります。なぜなら、これらは「壁紙の表面」にしか届かず、壁紙の裏や下地に根を張ったカビ菌までは除去できないからです。

さらに、スプレーを大量に吹きかけてしまうと、壁紙が湿ってしまい、それ自体がカビの原因になるという逆効果もあります。とくに湿度の高い梅雨時期などは、拭き取りが不十分なまま水分が残ってしまい、見た目はきれいでも数日後に再発するケースが後を絶ちません。

「除菌したから大丈夫」「表面がきれいだから問題なし」と安心してしまうことが、カビを根本から断ち切れない最大の理由なのです。

確かに換気や除湿はカビ対策の基本ですが、これだけでは再発のリスクを完全には防げないことがあります。なぜなら、カビは一度でも発生すると、わずかな湿気や気温の変化で再び繁殖してしまうからです。

例えば、梅雨時や冬場の結露など、季節的な影響によって、常に湿度が高く保たれている場所では、いくら除湿器を使っても根本的な湿気の供給源が絶たれていなければ、再発は時間の問題です。

また、家具の裏など空気が流れにくい場所は、換気の効果が届きにくいため、湿気がたまりやすくなります。つまり、「除湿してるから安心」と思っていても、実際にはカビがひそかに広がっていることもあるのです。

何度掃除しても壁紙にカビが再発してしまう場合、単なる表面的な処理では限界があります。大切なのは「根本の原因にアプローチすること」と「再びカビが発生しにくい環境を作ること」です。ここでは、再発を防ぐために効果的な壁紙対策法を2つ紹介します。

壁紙の奥までカビが侵食している場合は、壁紙そのものの張り替えを検討することが再発防止への近道です。特に、カビが何度も出る場所や、触ると湿っているような壁は、下地までカビが広がっている可能性が高いため、単なる掃除では不十分です。

張り替え時には、通気性や調湿性のある壁紙素材(例えば珪藻土壁紙や紙クロス)を選ぶと効果的です。また、外気に接する壁で結露が多い場合は、断熱材の追加や内窓の設置など、断熱性の向上も合わせて検討すると、長期的にカビの発生を抑えることができます。

費用はかかりますが、「何度も掃除や消臭剤に頼っている間に、壁の内部がどんどん劣化する」リスクを考えると、根本的なリセットの価値は大きいと言えるでしょう。

壁紙のカビを根本から解決するには、目視だけでは判断できない“見えないカビ”の存在を確認することが重要です。そのためには、カビの専門業者による室内調査や空気中のカビ検査を受けるのが効果的です。

専門業者は、壁の構造や湿度分布、空気中に浮遊するカビの種類まで測定し、どこに原因があるのかを科学的に可視化してくれます。それにより、ただ張り替えるのではなく、「どの壁が原因か」「断熱や換気の改善が必要か」といった根本的な対策が可能になります。

さらに、防カビ施工や抗菌コーティングなど、再発を長期間防ぐ処理もあわせて行ってもらえるため、自力対策よりも再発リスクを大幅に減らすことができます。カビが繰り返し発生しているなら、一度プロの診断を受けることで、対策の方向性が明確になるはずです。

壁紙のカビは、一度しっかり対策しても、日々の暮らしの中で油断するとすぐに再発してしまいます。だからこそ、日常のちょっとした工夫や習慣が、長期的な予防につながります。ここでは、誰でも今日からすぐに始められる、実践的なカビ再発防止の習慣を紹介します。

カビがもっとも好む環境は「湿度が60%以上」の空間です。つまり、湿度を60%以下に保つことができれば、カビの再発リスクは大幅に下がります。そのために取り入れたいのが、以下のような工夫です:

  • 湿度計を部屋ごとに設置し、目で確認できるようにする
  • 晴れた日は1日1回は窓を全開にし、空気の入れ替えをする
  • 除湿器やエアコンの除湿モードを活用する(特に梅雨・冬場)

また、サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させることで、壁の裏や家具の裏にたまる湿気を外へ逃がすことができます。空気がよどむ場所こそ、カビの温床になりやすいので注意しましょう。

意外と見落とされがちなのが、家具の配置と壁との距離感です。タンスや本棚、ベッドなどが壁にぴったりと密着していると、空気の流れが遮られ、裏側に湿気がこもりやすくなります。これがやがて壁紙にカビを生む原因となるのです。

以下のような工夫が効果的です:

  • 壁と家具の間に2~5cmのすき間を空ける
  • 定期的に家具の裏側を拭き掃除し、乾燥させる
  • 布団やマットレスを壁に立てかけない、押し付けない

特に北側や外気に面した壁に家具を置く場合は、空気の通り道を意識するだけで湿気の溜まり方が大きく変わります。 毎日のちょっとした気配りが、再発防止に直結します。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱に、健全な住環境の実現を目指して活動している専門団体です。現代の住まいは気密性が高く、目に見えないカビや微生物による被害が増えています。当協会は、そうした住環境における微生物リスクに対処するため、**室内空気の「見える化」**を通じて、安心・安全な生活空間づくりを支援しています。

この取り組みの背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー症状の予防・軽減を目的とした住環境の改善が明確に掲げられており、私たちはこの法的根拠に基づいて、科学的かつ実践的な対策を提案しています。

特に注目しているのが、住宅や施設における**「カビ」**の存在です。空気中には目には見えないカビの胞子が漂い、それが壁・天井・床などに付着して繁殖します。落下した胞子が死滅することはほとんどなく、放置すれば住環境や健康に深刻な影響を及ぼすことも。私たちは、カビの「見えるカビ」だけでなく、「見えないカビ」の存在も正確に捉えるために、空気中の微生物検査・濃度測定を行っています。

また、建物の劣化や健康被害を防ぐため、正確な調査と原因特定に基づいた対策を提案し、必要に応じて専門の施工を行う体制も整えています。微生物対策協会では、こうした活動を通じて、保健医療・福祉・環境保全の分野に貢献し、微生物災害から人々の住まいと健康を守る使命を担っています。

住まいに関するカビの不安や悩みがある方は、私たち微生物対策協会にぜひご相談ください。科学的根拠に基づいた調査と対策で、快適で清潔な暮らしをサポートいたします。

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