一般社団法人
微生物対策協会

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2025/11/03   

「屋根裏にカビ!? 野地板が危ない!放置できない原因と対策まとめ」

屋根裏や野地板にカビが生えても、気づいたときにはすでに深刻な被害になっているケースが増えています。

【記事を読んで分かること】
屋根裏木材や野地板にカビが生える原因から、対処法・再発防止策まで具体的に学べます。

【記事を読むメリット】
見えない場所のカビによる建物と健康への影響を防ぎ、安全な住環境を維持する知識が得られます。

屋根裏や野地板にカビが発生するケースは珍しくありません。しかし、それが見えにくい場所であるため、発見が遅れ、深刻な状況になってから気づくことが多いのが現実です。まずは、なぜこれらの箇所にカビが生えやすいのか、その原因を明らかにしましょう。

屋根裏は日常生活で目に触れることが少ないため、空気の流れが滞りやすく、湿気が溜まりやすい場所です。特に梅雨時期や冬場の結露が多い季節には、屋根裏に上昇した水蒸気が冷やされて結露となり、木材表面に水分が付着します。十分な換気や断熱処理がされていない場合、この湿った状態が長期間続き、カビが繁殖する原因になります。また、屋根裏には配管や空調設備も通っていることが多く、そこから微細な水分が供給されることもあります。

野地板は屋根材の下地として広く使用される木製の板です。木材は湿気を吸収しやすい性質があるため、表面に結露や雨漏りなどで水分が供給されると、カビが非常に繁殖しやすくなります。屋根の構造が不十分だったり、防水処理が甘い場合には、外部からの水分も内部に侵入してくる可能性があります。加えて、野地板の素材が通気性を持ち合わせていない場合、湿気がこもり、カビが定着しやすくなるのです。

屋根裏や野地板のカビは、放置しておくと様々なリスクを伴います。家の見た目には影響がなくても、構造や健康にじわじわと悪影響を及ぼします。ここではその主なリスクを2つの観点から見ていきます。

屋根裏のカビを放置すると、野地板や垂木などの構造材が腐食し、建物の耐久性に影響を与えます。木材はカビの栄養源となるため、一度カビが発生するとどんどん劣化が進みます。特に野地板が脆くなると、屋根材の重みに耐えきれず、雨漏りや屋根のたわみが起こる恐れもあります。このような被害を修繕するためには、屋根材の全面交換や大規模なリフォームが必要になり、高額な費用がかかってしまいます。

カビは見えない胞子を空気中に放出し、住人の健康にも悪影響を及ぼします。特に屋根裏から室内にカビの胞子が降りてくることで、アレルギー性鼻炎や喘息、皮膚疾患などの症状を引き起こすことがあります。小さな子どもや高齢者がいる家庭では、免疫力が弱いため、より深刻な健康被害につながる可能性もあります。目に見えないからといって軽視せず、早めの対処が必要です。

もし屋根裏や野地板にカビを見つけた場合、慌てずに適切な対応をすることが大切です。被害の広がりを最小限に抑えるために、まずはカビの範囲を確認し、可能な範囲で初期対応を行いましょう。

屋根裏に入って木材の表面に黒い斑点や白っぽい粉状のものが見えたら、それはカビである可能性が高いです。また、カビ特有の異臭がする場合にも要注意です。初期の対応としては、まず換気をして湿気を逃がし、カビが広がらないようにすること。そして被害箇所にアルコールや除菌剤を使用して拭き取る方法がありますが、木材に染み込んだカビは表面だけの処理では取りきれません。範囲が広い場合は自己判断せず、専門業者に相談するのが賢明です。

市販のカビ取り剤を使用して応急処置を行う場合は、必ず換気をしながら作業をし、手袋・マスクを着用しましょう。ただし、木材の深部にまで根を張ったカビは表面処理だけでは再発することが多く、一時的な対応にしかなりません。また、強力な化学薬品を使いすぎると木材を傷めてしまうリスクもあります。自分でできるのはあくまで応急対応であり、根本的な解決を目指すならやはり専門の調査・除去が必要です。

一度カビが発生すると、再発を防ぐにはしっかりとした原因の特定と対策が求められます。ここでは専門業者によるカビ対策の流れと、再発を防ぐための工夫について解説します。

カビ対策の専門業者は、まず空気環境や木材の含水率を計測し、カビの発生源を特定します。その後、必要に応じてカビ菌の種類を調べ、最適な除去方法を選定します。除去には専用の薬剤と機材が使われ、表面のカビはもちろん、木材内部に潜むカビまで徹底的に処理されます。また、作業後には再発防止処理が行われ、カビの再定着を防ぐ措置も施されます。こうした専門的な処置は、長期的な安心につながります。

カビの再発を防ぐには、湿気をためない屋根裏環境をつくることが最も重要です。そのためには適切な断熱と防湿処理、そして定期的な換気の確保が欠かせません。特に通気層を確保することは、屋根裏にこもった湿気を外へ逃がすために有効です。また、防湿フィルムの設置や、屋根断熱材の選定も重要なポイントです。さらに、天井裏に湿度センサーや換気ファンを設置することで、湿度管理を自動化するのも効果的です。

カビが発生してから対応するのではなく、発生させない環境づくりが理想です。新築やリフォーム時に少し意識を変えるだけで、長期的にカビのない屋根裏環境を実現することができます。

新築やリフォームの際には、「断熱」「防湿」「通気」の3つをバランス良く設計することが重要です。特に天井断熱と屋根断熱のどちらを採用するかによって、必要な対策も変わってきます。屋根断熱を採用する場合は、屋根面に沿ってしっかりと通気層を設けることで、湿気の停滞を防げます。また、使用する木材にも防カビ処理されたものを選ぶことで、素材そのものがカビに強くなります。

屋根裏や野地板のカビは、定期的な点検とメンテナンスで早期発見・早期対処が可能です。最低でも年に1回、湿気の多い梅雨前後や冬の終わりには、専門業者による点検を行うと安心です。また、自宅でできる予防としては、室内の湿度を常に60%以下に保つこと、雨漏りがないかを確認することも重要です。小さな心がけが、大きなトラブルの防止につながります。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に活動する専門機関です。現代の住環境では、カビが原因となる健康被害や建物の劣化被害が大きな問題となっており、当協会ではそうした問題に対処するために、室内空気の「見える化」を通じて健全な住環境づくりを支援しています。

協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいています。この法律では、アレルギーの予防や症状軽減のために生活環境の改善が必要であるとされており、当協会はこれに沿って、カビや微生物の調査・検査・対策を行っています。

空気中には、目には見えない微細な汚染物質が存在し、それを私たちは日々吸い込んで生活しています。特にカビ菌は、浮遊しているだけでなく、床や壁に落ちても死滅せず、適切な条件が揃えば再び繁殖します。こうした特性を踏まえ、当協会では空気中や建材内部に存在するカビを「見える化」し、状況に応じた適切な対策をご提案しています。

カビの存在を正確に把握し、確かな対策を講じることは、安心で健康的な住まいを守るために必要不可欠です。住宅や車内などの微生物環境に不安を感じたら、ぜひ一度、当協会までご相談ください。

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