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2025/11/08   

吹付断熱でカビが出る家の共通点とは?失敗しない断熱対策ガイド

吹付ウレタン断熱を使った家でカビが発生するトラブルが増えています。

【記事を読んで分かること】
ウレタン断熱材によるカビ発生の原因とその防止・対処法が具体的に分かります。

【記事を読むメリット】
失敗しない断熱施工のポイントや、カビを防ぐ住環境の作り方が理解できます。

吹付ウレタン断熱は高い断熱性能と気密性が魅力ですが、施工方法や環境によってはカビの発生リスクが高まります。ここでは、なぜ吹付断熱でカビが生じやすいのか、そのメカニズムを解説します。

ウレタン断熱は、現場で発泡するタイプの断熱材で、隙間なく断熱層を作れるのが特徴です。しかし、施工時の条件が適切でないと、断熱材の内部や裏側に湿気がこもってしまいます。特に、外気との接点部分での断熱不足や、下地が湿っている状態での施工は、カビの温床になりやすいです。さらに、吹付けの厚みが不均一だと、結露が起きやすくなり、その水分がカビの原因となります。施工の精度がカビの有無を左右するため、業者選びや監理が非常に重要です。

吹付ウレタンは気密性が高い反面、湿気を通しにくい素材です。室内で発生する湿気が逃げ場を失うと、断熱層の内側で結露が生じることがあります。この結露が繰り返されると、木材や構造体に水分が染み込み、やがてカビが発生します。また、壁体内の温度差が大きい場合も結露のリスクが上がります。こうした隠れた場所での湿気対策を講じなければ、数年後にカビ被害が発覚するというケースも珍しくありません。

カビは高温多湿な環境を好む微生物です。住宅の中でも特に吹付断熱が使われた部分には、湿気がこもりやすい条件がそろっていることがあります。ここでは、どんな場所がリスクが高いのかを見ていきましょう。

カビが繁殖する主な条件は、湿度70%以上、温度20〜30度、そして風通しの悪さです。これらの条件がそろったとき、カビ菌は一気に増殖を始めます。ウレタン断熱は高断熱性のため室内の温度が一定に保たれやすく、逆に言えば湿気が逃げにくいという特性も持ちます。さらに、家の隅やクローゼットの裏、断熱層の奥など、空気の流れが届かない場所は要注意です。

カビが出やすい家の共通点には、結露が頻発している・通気が悪い・新築でも施工精度が低いといった特徴があります。とくに「部屋が暖かいのに壁が冷たい」「窓まわりに水滴がよく付く」などの現象は、すでに家の内部でカビが進行しているサインかもしれません。定期的な点検や、異臭(カビ臭)への注意も必要です。施工してから数年以内でも、こうした現象がある場合は注意しましょう。

カビを未然に防ぐには、断熱材の選び方だけでなく、施工手順・設計・環境条件すべてが重要です。ウレタン断熱の性能を活かしながら、カビリスクを最小限に抑えるための基本を押さえておきましょう。

ウレタン断熱の施工前には、必ず住宅全体の通気設計と換気システムを確認することが必要です。断熱材がしっかり機能していても、湿気の逃げ場がなければ逆効果になります。壁体内の通気層の確保や、屋根裏の通気口の配置など、目に見えない部分にこそカビ予防のポイントがあります。24時間換気の機能がしっかりと働いているかも確認すべきです。

高気密高断熱の家は、一歩間違うと“湿気がこもる家”になってしまいます。そのため、設計段階から湿気の流れを想定し、壁の構造や素材選びに工夫を凝らす必要があります。防湿シートの使用、気流止めの適切な施工、さらには機械換気の有効活用など、総合的な工夫が求められます。また、自然換気だけに頼らず、機械的に空気を動かす工夫も効果的です。

どれだけ対策していても、完璧に防ぎきれないこともあります。カビが発生してしまったら、早期に対応することが重要です。進行を放置すると、建物の構造にまで被害が及ぶ可能性があります。

カビが見つかった場合、まずは原因を突き止めてから適切な除去を行いましょう。市販のカビ取り剤で表面だけを除去しても、根本的な原因(結露・通気不足)が残っていれば再発します。プロによる薬剤処理、除湿・乾燥作業、必要に応じて断熱層の交換・補修を行うことも検討すべきです。特に目に見えない部分のカビは専門家でなければ判断が難しいため、早めの相談をおすすめします。

カビが疑われる場合は、専門の機関による空気中のカビ菌検査や赤外線カメラによる壁体内の湿度チェックを行うことが有効です。新築後数年以内でも「空気が重い」「咳が出やすい」「かび臭い」と感じたら、すぐに検査を受けましょう。早期発見であれば、構造へのダメージを最小限に抑えることができます。

住宅のカビ問題を根本から解決するには、「見えないリスクを見える化」することが不可欠です。空気中の微生物濃度を数値化することで、健康被害や建物の劣化を未然に防ぐ対策がとれます。

現在では、空気中の浮遊カビ菌や微粒子を専用機器で測定し、その濃度をデータ化できる技術があります。こうした検査を行えば、「カビが生えやすい環境かどうか」「どの場所が危険か」といったリスク評価が可能になります。目に見えない問題を数値で示すことで、具体的な対策を講じやすくなります。

微生物の調査は専門性が高く、適切な知識と機器がないと正確な判断ができません。微生物対策のプロに依頼することで、住宅の状態を科学的に評価し、適切な改善提案を受けることができます。施工会社任せにせず、第三者による中立的な視点でリスクを見極めることが、安心・安全な住まいづくりに直結します。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した専門機関として設立されました。近年、健康被害や建物の劣化を引き起こすカビ問題が増加しており、それに対処するために、室内空気の「見える化」を通じて健全な住環境の整備を目指しています。

当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいており、法律が定める「生活環境の改善」を具体的に実現することを目的としています。私たちは、環境微生物災害から住まいや生活環境を守ることを使命とし、空間に浮遊する微生物のリスクを正確に評価する技術を活用しています。

空気中には目に見えないカビ菌や汚染物質が数多く存在し、それらを検査・調査して「見える化」することにより、適切な対策が可能となります。特に住宅内での微生物被害の大半はカビが占めており、その多くが気づかれずに進行しています。当協会では、カビの検出から被害状況の把握、再発防止まで、包括的なサポートを提供しています。

安心・安全な住まいを求める現代社会において、見えないカビのリスクを明確にすることは、健康を守る第一歩です。カビでお悩みの際は、ぜひ一般社団法人微生物対策協会にご相談ください。

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