一般社団法人
微生物対策協会

ブログ

2025/11/17   

壁紙の裏にカビが…!紙質壁紙に潜むリスクと防止策まとめ

紙質の壁紙にカビが生えるというトラブルが、住宅やマンションで増えています。
【記事を読んで分かること】紙素材の壁紙にカビが発生する原因や除去方法、予防策まで詳しくわかります。
【記事を読むメリット】壁紙をカビから守る具体的な方法がわかり、健康被害や建物の劣化を未然に防げます。

紙質の壁紙は、ナチュラルな質感や調湿性の高さから選ばれることが多い反面、湿気に弱くカビが発生しやすいという弱点もあります。素材の性質や環境によって、カビのリスクが高まるため、紙質の壁紙を使う際には事前の理解がとても大切です。

紙質の壁紙は、木材パルプなどの天然繊維を原料としており、通気性や吸湿性に優れています。これにより、室内の湿度をある程度調整できるというメリットがありますが、その一方で水分を吸収しやすく、濡れたままになりやすいという性質もあります。ビニールクロスや不織布系の壁紙と比べると、湿度の影響をダイレクトに受けやすく、カビが発生するリスクが高くなるのです。

カビは湿度の高い環境を好みます。湿度70%を超えると活発に繁殖するといわれており、紙素材はその湿気を吸い込んで保持するため、カビにとって格好の住みかになります。特に、室内の換気が不十分な場所や、結露が発生しやすい窓際・北側の壁面などでは、紙質の壁紙が長時間湿気を帯びやすく、カビが発生・拡大しやすくなるのです。

カビは目に見える場所だけでなく、壁紙の裏側や壁の中にも発生します。見た目には何の問題もなさそうな壁でも、内部でカビが繁殖していることがあり、これが健康被害の原因となるケースも少なくありません。

壁紙の裏側は、普段の掃除では手が届かない「死角」です。とくに紙質の壁紙は、湿気を通しやすいため、壁と壁紙の間に水分がたまりやすくなります。この水分が乾かずに停滞すると、温度・栄養・湿度というカビが繁殖する3条件がそろい、壁の内側からカビが増殖する原因となります。カビの胞子は空気中を漂いながら、見えない場所に根を張っていきます。

結露が起こりやすい壁面では、壁紙と下地材の間が常に湿った状態になります。紙質の壁紙が湿気を吸い、それが下地に伝わり、乾燥せずに水分が閉じ込められると、カビが発生しやすくなります。また、通気性の悪い部屋や家具でふさがれた壁面も、空気の流れが悪いため、湿気がこもりがちです。さらに、石膏ボードや合板などの下地材もカビの栄養源となるため、環境が整うと一気に広がってしまいます。

もし紙質の壁紙にカビが生えてしまったら、状況に応じた正しい対処が必要です。軽度のカビなら自力で対処可能ですが、カビが広がっていたり、臭いが強い場合は注意が必要です。間違った対処は、かえってカビを広げてしまうこともあるため、冷静に判断しましょう。

表面に少量のカビが確認できる程度であれば、自宅での除去が可能です。消毒用エタノールやカビ取りスプレーを柔らかい布に吹き付け、優しく拭き取るようにします。ただし、紙素材は水分に弱いため、濡らしすぎないよう注意が必要です。拭き取り後はしっかり乾燥させ、除湿器や換気で湿度を下げて再発を防ぎましょう。また、カビが再発しやすい場合は、防カビ剤入りのスプレーを併用するのも効果的です。

壁紙全体にカビが広がっている、変色がひどい、臭いが強いといった場合には、部分的または全面的な張り替えが必要です。さらに、壁紙の裏や下地までカビが到達している可能性もあるため、単なる拭き取りでは不十分です。このような状態では、プロのカビ対策業者や内装業者に依頼し、根本的な除去と下地の乾燥・防カビ処理を行うのが最善です。再発を防ぐには、原因を特定し、湿度管理や換気の見直しが必要です。

紙質の壁紙は、日頃からのメンテナンス次第でカビの発生を防ぐことが可能です。素材の特性を理解したうえで、湿気のコントロールや換気などを習慣にすることで、健康で快適な住環境を維持できます。

カビ対策の基本は、室内の湿度を60%以下に保つことです。特に梅雨時や冬の結露シーズンには、湿度が上がりやすくなるため、除湿器やエアコンの除湿機能を活用しましょう。また、朝晩のこまめな換気も効果的です。家具を壁から数cm離して設置することで空気の流れを作り、壁の結露や湿気を防ぐことができます。さらに、室内干しを避けるなどの生活習慣の見直しも大切です。

市販の防カビスプレーや湿気取りグッズを活用するのもおすすめです。特にクローゼットや押入れ、北側の部屋など湿気がたまりやすい場所には、定期的に防カビ剤を使用すると効果的です。また、月に一度は壁紙の状態を確認し、変色やカビ臭がないかをチェックしましょう。早期発見・早期対策を心がけることで、大掛かりな修繕や張り替えを未然に防げます。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した専門団体です。カビによる健康被害や建物の劣化といった問題に対応し、より健全な住環境を実現することを目的としています。当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を根拠に展開されており、法律に基づく正しい知識と技術で室内環境を守っています。

私たちは、空気中の目に見えない汚染物質を「見える化」することで、生活空間の安全性を向上させています。特に、室内や車内に浮遊する微生物の実態を調査し、カビの有無や濃度を測定することで、確実な対策が可能になります。カビは見える部分だけでなく、壁の裏や床下などに広がることも多く、被害の全容を把握するには専門的な検査が不可欠です。

微生物対策協会では、こうした見えないカビのリスクも含めて評価し、健康被害の未然防止に努めています。カビを含む微生物災害から人々の住まいや生活環境を守るために、公衆衛生や環境保全の観点からも積極的に活動しています。

ページトップへ
メールアイコン お問い合わせ  電話アイコン 052-908-0058