2025/11/20
ウレタン吹付断熱をしたはずなのに、室内にカビが発生して困っていませんか?
【記事を読んで分かること】
カビの原因から対処法、正しい施工方法、予防策まで詳しく理解できます。
【記事を読むメリット】
断熱と防カビを両立させて、快適で健康的な住環境を維持する知識が身につきます。
1. ウレタン吹付断熱とカビの関係とは?
近年、住宅の高断熱化によりウレタン吹付断熱を採用するケースが増えています。しかし、その一方で「ウレタン断熱をしたのにカビが発生した」という相談も少なくありません。カビが生える原因は、素材そのものよりも「施工方法」や「湿気の管理」に問題がある場合がほとんどです。この章では、ウレタン吹付断熱とカビの関係性について、基本から解説します。
1-1. 吹付断熱材の特徴と一般的な施工方法
ウレタン吹付断熱材は、現場で液状の素材を混合・発泡させ、柱と柱の間に隙間なく施工する断熱方法です。高い気密性と断熱性能を持ち、複雑な構造にも対応できるのが大きな利点です。さらに防音性にも優れており、リフォームや新築問わず人気があります。ただし、施工の質が低いと隙間ができやすく、そこに湿気が入り込んでしまうリスクもあるため、注意が必要です。
1-2. なぜウレタン断熱材でカビが発生するのか?
ウレタン自体には防カビ性がありますが、施工不良によって断熱層に隙間やムラができると、外気との温度差で結露が発生し、その湿気が木材やボードにたまり、カビの原因になります。また、屋根裏や壁の内部は通気しにくく、湿気が抜けずにこもることで、見えない場所でカビが繁殖することも。つまり、素材よりも「湿気が逃げない構造」や「断熱のムラ」が原因でカビが生えてしまうのです。
2. 断熱材の施工不良とカビのリスク
どんなに高性能な断熱材でも、施工が適切でなければ効果は十分に発揮されません。特にウレタン吹付断熱は、吹き残しや密着不足があるとそこから湿気が入り、壁内結露を引き起こします。ここでは施工不良が引き起こすカビのリスクを具体的に解説します。
2-1. 隙間・未施工部分にたまる湿気の影響
吹付断熱の際に柱の影や複雑な構造部分にウレタンが届かないと、断熱層に小さな隙間ができてしまいます。この部分に湿気がたまると、温度差による結露が起き、壁内の木材が湿り、そこにカビが発生します。こうした隠れた湿気は外からは分かりづらく、気づいたときには広範囲にカビが広がっていることもあります。
2-2. 結露による壁内カビと住宅劣化の問題
気密性が高い住宅では、内部にたまった湿気が逃げにくく、冬場などに結露が発生しやすくなります。この結露が壁内で繰り返されることで、断熱材の周囲にある構造材や石膏ボードが常に湿った状態となり、カビや腐食のリスクが高まります。長期間放置すれば、住宅の耐久性に深刻なダメージを与える可能性もあるため、早期の対応が重要です。
3. ウレタン断熱でカビが発生した場合の対処法
壁の中にカビが生えてしまった場合、外からは見えにくいため、放置してしまうケースも少なくありません。しかし、異変を感じた時点で正しく対応することで、カビの拡大を防ぐことが可能です。
3-1. カビの見分け方と確認すべき場所
壁の表面に黒ずみが出る、カビ臭さが漂う、クロスが浮いてくるといった症状が出たら、内部のカビを疑うべきです。とくに北側の部屋や、結露しやすい水回り付近は要注意です。また、押入れの中や天井裏など、普段見えない場所も定期的にチェックすることが大切です。
3-2. 除去方法と再施工が必要なケースの判断基準
軽度なカビであれば、消毒用アルコールや除菌スプレーで拭き取るだけで済む場合もありますが、壁の中までカビが浸透している場合は、断熱材の撤去と再施工が必要になります。とくに木材にまでカビが広がっている場合は、早急に専門業者に依頼して調査・対策を行いましょう。カビの根が深いと、市販のスプレーでは効果が不十分なこともあります。
4. カビを防ぐウレタン断熱の正しい施工ポイント
カビのトラブルを未然に防ぐためには、施工段階での対策が最も重要です。ここでは、施工時に押さえておくべきポイントと、信頼できる施工会社の選び方について解説します。
4-1. 防湿シートや通気層の役割と必要性
ウレタン断熱材を施工する際は、壁の内部に湿気が入り込まないよう、防湿シートを併用することが有効です。また、外壁側に通気層を設けることで、壁内にたまった湿気を外に逃がすことができ、結露やカビの発生を防げます。これらの処置は見た目には分かりにくいですが、住宅の健康を守るうえで非常に重要です。
4-2. 吹付作業のチェックポイントと施工会社選び
吹付断熱は、施工者の技術によって仕上がりに差が出やすい工法です。吹き残しがないか、十分な厚みがあるか、隙間ができていないかを丁寧に確認してくれる施工会社を選びましょう。事前に「断熱材施工完了後の写真を提供してくれるかどうか」も、信頼できる業者か判断する材料になります。
5. 健康と住まいを守るためのカビ対策と維持管理
断熱性能を保ちながら、カビのない快適な住まいを維持するには、施工後のメンテナンスも大切です。特別な設備がなくても、日常生活の中でできる対策がたくさんあります。
5-1. 住みながらできるカビ予防と換気の工夫
カビの原因は湿気です。そのため、日常的な換気が非常に効果的です。特に冬場の結露を防ぐためには、室内外の温度差を緩和することや、空気の流れを意識して家具の配置を工夫することも大切です。また、湿度計を活用して、湿度が60%を超えないよう管理することも有効です。
5-2. 定期点検とプロによる断熱診断のすすめ
断熱材は内部にあるため、カビの兆候は気づきにくいものです。定期的にプロによる断熱診断や壁内の含水率チェックなどを受けることで、問題の早期発見と対応が可能になります。とくに築10年を超えた住宅では、メンテナンスを定期的に行うことで、住宅寿命の延伸にもつながります。
一般社団法人 微生物対策協会のご紹介
一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した専門団体です。住宅や建物内でのカビによる健康被害や劣化被害を防ぐため、「空気の見える化」を通じて、住まいや生活空間の健全化を目指しています。
当協会の活動は、平成27年施行の「アレルギー疾患対策基本法」に基づいており、アレルギーの予防や軽減に貢献するための生活環境の改善、建築構造の見直しといった観点から取り組みを進めています。
私たちは空気中に浮遊するカビや微生物の有無・濃度を測定し、科学的根拠に基づいた対策を講じています。特にウレタン断熱など、目に見えない構造の内部でカビが発生しているケースでは、正確な調査と判断が必要です。
カビは見えなくても空気中に影響を及ぼし、健康被害や建材へのダメージを引き起こす可能性があります。微生物対策協会では、見えないリスクにも対応し、安心・安全な住まいづくりを支援しています。