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2025/07/24   

ビ対策に空気清浄機は効果ある?選び方・使い方・掃除まで徹底解説

空気清浄機でカビが本当に防げるのか疑問に感じていませんか?
【記事を読んで分かること】空気清浄機のカビへの効果や機種の選び方、掃除の重要性がわかります。
【記事を読むメリット】空気清浄機を正しく活用して、カビの発生を予防し、清潔な室内環境を維持できます。

空気清浄機は今や家庭やオフィスなど、さまざまな室内環境で活躍する定番アイテムです。しかし、「空気清浄機で本当にカビを防げるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。実は、空気清浄機はカビ対策として有効ではありますが、正しく理解しなければ期待した効果は得られません。まずは、空気清浄機がどのようにカビに作用するのかを明確にしましょう。

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カビが発生する主な原因は、「湿気」「汚れ」「空気の滞留」の3つです。空気中にはカビの胞子が常に漂っており、これが壁や天井、エアコン内部などに付着して定着すると、条件が整った環境で急速に繁殖します。

空気清浄機はこの「空気中に浮遊しているカビの胞子」を吸い込み、フィルターで捕集することができます。特にHEPAフィルターが搭載されたモデルは、0.3ミクロンの微粒子を99.97%以上除去できるため、カビの胞子にも高い効果があります。また、プラズマクラスターやナノイー、UVライトなどの除菌・分解機能がついたモデルは、カビの抑制にも期待ができます。

ただし、空気清浄機が直接「カビそのものを退治する」わけではなく、あくまでも胞子の浮遊を減らす補助的な役割です。そのため、空気清浄機だけでカビの根本的な解決にはならない点に注意が必要です。

空気清浄機で効果があるのは、空気中を浮遊しているカビの胞子です。これは、掃除の際や人の動きによって舞い上がる微粒子であり、吸い込んだ空気と一緒にフィルターで取り除くことが可能です。

一方で、壁やカーペット、家具の裏などに「すでに定着・繁殖しているカビ」は、空気清浄機では除去できません。むしろ、カビが成長すればするほど空気中に胞子をまき散らす量も増えるため、空気清浄機だけに頼ると対処が追いつかなくなります。

つまり、空気清浄機は「カビが増える前の予防対策」「目に見えない胞子の除去」には効果的ですが、すでに生えてしまったカビの除去には向かないという点を理解しておきましょう。そのうえで、他の対策と組み合わせることで、カビ対策の効果を最大限に発揮できます。

空気清浄機にもさまざまな種類や機能があり、「何を基準に選べばいいの?」と迷ってしまう方は多いと思います。特にカビ対策を目的とする場合、一般的な花粉やPM2.5対策モデルとは注目すべきポイントが異なります。この章では、カビ対策に特化した空気清浄機選びのコツを分かりやすく解説します。

まず注目すべきは、フィルターの性能です。カビの胞子はおおよそ2~5マイクロメートルの大きさがあるため、HEPAフィルターを搭載しているモデルであれば十分に捕集可能です。HEPAフィルターとは、0.3マイクロメートルの粒子を99.97%以上除去できる高性能なフィルターであり、空中のカビ胞子やハウスダスト、ウイルスにも対応しています。

また、脱臭フィルター活性炭フィルターも併せて搭載されていれば、カビ特有のイヤなにおいの軽減にも効果が期待できます。さらに、部屋の広さに合った「適用床面積(◯畳対応)」を確認し、部屋全体に空気が行き渡るモデルを選びましょう。

他にも、センサーで自動運転する「ニオイセンサー」「湿度センサー」があると、空気の状態を常に監視し、自動で最適な清浄をしてくれるため非常に便利です。

最近の空気清浄機には、単なるフィルター清浄に加えて、「除菌」や「抑制」を目的としたさまざまな技術が搭載されています。以下は代表的なものとその特徴です:

  • オゾン発生機能:空気中の細菌やカビに対して酸化分解作用を持ちます。ただし、高濃度のオゾンは人体に有害なため、使用条件や設置環境には注意が必要です。
  • UVライト(紫外線殺菌):フィルター内や吸い込んだ空気中の微生物を紫外線で破壊する機能。カビ胞子の殺菌にも効果があるとされています。
  • プラズマクラスター/ナノイー/ストリーマなどのイオン技術:カビや菌の活動を抑える効果が報告されています。空気中にイオンを放出するタイプで、浮遊菌対策に有効です。

どの機能も万能ではないため、「どの環境で」「何を目的に」使うのかを明確にしたうえで、必要な機能を選ぶことが大切です。価格だけで判断せず、フィルター+機能のバランスを見ることが、満足度の高い選び方のポイントです。

せっかく高性能な空気清浄機を導入しても、使い方を間違えるとカビ対策としての効果が十分に発揮されません。空気清浄機は「設置場所」と「使用タイミング」が重要なカギを握ります。この章では、カビ対策としての空気清浄機の実力を最大限に引き出すための使い方を解説します。

空気清浄機をどこに置くかは、効果に大きな差を生みます。カビの胞子は空気の流れに乗って広がるため、部屋の中央ではなく、壁や窓、湿気がこもりやすい場所の近くに設置するのが効果的です。たとえば、浴室近くの脱衣所、押し入れのある和室、北向きの寝室などが代表的な設置候補です。

また、家具の後ろや部屋の隅など空気の流れが滞る場所にはカビが発生しやすいので、そうしたエリアに風が届くような配置も意識しましょう。空気清浄機の吹き出し口や吸い込み口をふさがないよう、壁から20cm以上は離すのが理想です。

稼働時間については、「就寝中だけ」や「在宅時だけ」では効果が限定的です。24時間つけっぱなし、もしくは湿度が高い時間帯は集中運転するのが望ましいです。電気代が気になる方は、「自動モード」や「エコモード」を活用するとよいでしょう。

空気清浄機は、空気中の粒子をフィルターで除去する仕組みですが、室内の空気自体を入れ替える「換気」とは役割が異なります。つまり、空気清浄機をいくら使っても、外気と新鮮な空気の交換がなければ、部屋にこもった湿気は排出されません。

特に梅雨時期や冬の結露が起きやすい時期は、1日数回の換気がカビ防止の鍵となります。窓を2か所開けて風の通り道を作ったり、サーキュレーターや換気扇を併用して空気の循環を促すと効果的です。

空気清浄機と換気を組み合わせれば、浮遊するカビ胞子の除去+湿度の排出という両面からのアプローチが可能になります。空気清浄機はあくまで「補助装置」であり、換気・除湿・清掃との併用が本当のカビ対策なのです。

空気清浄機は「設置して終わり」ではありません。定期的な掃除やメンテナンスを怠ると、かえってカビの温床になってしまう恐れがあります。とくにカビ対策として活用している場合、フィルターの清潔さを保つことは非常に重要です。この章では、フィルターが汚れることで起こるリスクと、正しい掃除の仕方について解説します。

空気清浄機のフィルターには、空気中のほこり、花粉、煙、カビの胞子などが集まります。これらの汚れが長期間たまったままだと、フィルター内部が湿気を帯びやすくなり、カビが繁殖する原因になります。

特に湿度の高い環境や、キッチンの近くなどで使用している場合は、空気中の水分や油分がフィルターに付着しやすく、より早く汚れが蓄積されます。こうなると、空気清浄機は本来の機能を発揮できなくなるどころか、汚染された空気を再循環させてしまうリスクすらあるのです。

つまり、掃除をしていない空気清浄機は、「カビを除去するどころか、逆に部屋にカビを撒いている」可能性もあるということ。これを防ぐためには、定期的なチェックと清掃が欠かせません。

フィルターの掃除頻度は、使用環境によって異なりますが、プレフィルター(粗いゴミを取る部分)は2週間に1回、HEPAフィルターは2〜3か月に1回を目安に確認しましょう。取扱説明書に書かれている推奨頻度も必ず確認してください。

プレフィルターは取り外して掃除機でほこりを吸い取るか、水洗いが可能なタイプであればしっかりと乾燥させてから再装着します。HEPAフィルターは基本的に水洗い不可のものが多く、交換式タイプであれば1〜2年ごとの交換が必要です。

また、清掃の際は本体の吸気口や吹出口も拭き取り、カビやホコリがたまらないようにすることが大切です。においが気になる場合は、活性炭フィルターの交換時期も確認しましょう。

メンテナンスを怠らずに清潔な状態を保つことで、空気清浄機は本来の効果を発揮し、カビ対策の頼もしいパートナーになります。

空気清浄機はカビ対策において非常に有効な補助機器ですが、それだけに頼っていては十分な対策とは言えません。カビの発生を根本から防ぐには、湿度管理・掃除・空気の流れといった日々の環境づくりが欠かせません。この章では、空気清浄機と併せて行うべき実践的なカビ対策を解説します。

カビが最も好むのは「湿度が高く、汚れがたまり、空気が動かない環境」です。つまり、日常的な湿度管理と掃除こそが最大の予防策となります。特に室内の湿度は60%以下に保つことが理想です。梅雨や冬の結露が発生する時期には、除湿機やエアコンの除湿モードを活用することも有効です。

さらに、ホコリや汚れはカビの栄養源になります。床、家具の裏、窓のサッシ、エアコンの吹き出し口など、カビが発生しやすい場所を意識して定期的に掃除する習慣をつけましょう。見た目がキレイでも、空気中のカビは目に見えないため、常に「発生させない環境」を意識することが大切です。

近年では、空気中のカビや浮遊菌を**「見える化」**する検査サービスも登場しています。これは、空気中の浮遊物を採取して菌数を測定し、室内のカビのリスクを数値として把握できるというものです。数値が高ければ、目に見えないカビが大量に存在している可能性があるため、的確な対策の判断材料になります。

また、湿度計や温湿度モニターを活用して、普段から環境状態を記録しておくこともおすすめです。「どの時間帯に湿度が上がりやすいのか」「換気後の湿度変化はどうか」など、カビの発生条件を客観的に把握することで、より具体的な対策が可能になります。

カビの対策において重要なのは、空気清浄機で守る+住環境全体を整えるという両輪の取り組みです。清潔で快適な室内環境は、見えない努力の積み重ねによって実現されるものなのです。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心とした活動を通じて、安心・安全な住環境の実現を目指す専門機関です。私たちが暮らす空間には、目には見えない微生物が存在し、とくにカビは健康被害や建物の劣化といった重大な問題を引き起こす要因となります。当協会は、そうしたリスクから人々の生活と建物を守るために設立されました。

この活動の法的な背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を図るために、生活環境の改善や建築構造の見直しが求められています。当協会はこの理念に基づき、室内空気の「見える化」を実施し、具体的な対策へとつなげています。

私たちの目的は、環境中の微生物災害から住まいや生活を守ることにあります。とくに室内や車内などの密閉空間において、浮遊するカビの胞子は見えない脅威となります。空気中に含まれる微生物の有無や濃度を測定し、状態を可視化(見える化)することで、科学的に裏づけられた対応が可能になります。

カビ菌は空気中を漂い、落下した場所で定着しても死滅せず、そのまま繁殖する性質があります。つまり、表面上は清潔に見えても、空気環境の管理が不十分であれば、カビのリスクは常に潜んでいるのです。当協会では、そうした見えない脅威を正確に捉え、明確にするための調査・検査を実施し、適切な改善提案を行っています。

私たちは、住まいや施設を「カビから守る」だけでなく、健康的な空気環境を維持し続けることを最も大切な使命と考えています。カビの被害を未然に防ぎ、快適な生活を支えるために、今後も調査・啓発・支援の活動を全国に広げてまいります。

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