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2025/09/29   

衣類にカビが生える原因とは?今すぐ見直すべき習慣と対策

お気に入りの衣類にカビが生えてしまう原因が分からず、繰り返してしまう人が増えています。

【記事を読んで分かること】
衣類にカビが発生する原因と防止策、発生時の対処法や健康への影響について理解できます。

【記事を読むメリット】
日常生活で簡単に実践できる衣類のカビ予防法が分かり、大切な服を守ることができます。

クローゼットやタンスの中にしまっていたお気に入りの衣類に、気がつけばカビが発生していた…という経験はありませんか?衣類にカビが生えるのは、決して珍しいことではありません。しかしその原因を正しく理解していないと、何度も繰り返すことになります。ここでは、衣類にカビが発生する主な原因について解説します。

衣類にカビが発生する最大の原因は「湿気」です。特に梅雨時や冬の結露が多い時期は、室内の湿度が高くなりやすく、クローゼットや押し入れの中もジメジメとした環境になります。カビは湿度が65%以上で活発に繁殖すると言われており、換気の悪い空間はまさに格好の繁殖場です。

また、クローゼットに衣類をギュウギュウに詰め込んでしまうと、空気の流れが止まり湿気がこもります。結果として、衣類同士が接触した部分や壁に近い場所にカビが集中して発生します。特に壁面に面した場所は外気の温度差の影響で結露が発生しやすく、そこに密着するように衣類を掛けておくと、知らない間にカビが発生するリスクが高まります。

洗濯後の乾燥が不十分なまま収納してしまうのも、カビの原因として非常に多いケースです。表面は乾いているように見えても、繊維の奥に水分が残っていることがあります。特に厚手の衣類や、ポケット・フード部分などは乾きにくいため、注意が必要です。

また、収納環境そのものにも問題がある場合があります。湿度が高い場所にタンスを置いていたり、壁とタンスの隙間が狭すぎて空気がこもるような状態になっていたりすると、衣類が湿気を吸収し続け、カビが発生しやすくなります。

さらに、衣類をしまう前にアイロンをかけた際、しっかり冷ましてから収納していないと、熱気がこもって湿度が上がることもあります。これも、衣類のカビを招く一因となるのです。

すべての衣類が同じようにカビやすいわけではありません。実は、衣類の「素材」や「使用頻度」によって、カビが発生しやすいものとそうでないものがあります。この章では、どのような衣類が特にカビのリスクが高いのかを具体的に見ていきましょう。

衣類の素材には、綿・麻・ウール・ポリエステルなどさまざまありますが、特に注意が必要なのは「天然素材」です。綿やウール、シルクといった天然繊維は吸湿性が高く、水分を含みやすいため、カビの栄養源になりやすいのです。
特に、ウールやシルクは高級な衣類に多く、繊維の奥まで湿気が入り込むと、カビが根を張ってしまい、表面だけではなく内部まで侵食してしまうことがあります。

一方で、ポリエステルなどの合成繊維は水分を吸いにくく、比較的カビが生えにくいと言われています。ただし、油断は禁物です。合成繊維でも、汗や皮脂汚れが残っていたり、湿度の高い場所に長時間放置していると、そこにカビが発生することは十分あり得ます。

特に、厚手のコートやスーツ、冬物衣類は、収納期間が長いこともあり、素材にかかわらず通気性の悪さがカビの原因になることもあります。

実は、頻繁に着る衣類よりも、あまり着ない衣類のほうがカビが発生しやすい傾向にあります。理由は単純で、「空気に触れる機会が少ない」「定期的に洗濯されない」「長期間同じ場所に収納されたままになる」といった環境が揃うためです。

冠婚葬祭用のスーツや着物、季節外のセーターやダウンジャケットなど、タンスの奥にしまいっぱなしにしている衣類は、カビにとって絶好の住処になりがちです。また、こうした衣類は高価なものが多く、いざ使おうとした時にカビが生えていたら大変ショックです。

さらに、使用頻度が低い衣類は収納前のケアが甘くなりがちで、皮脂汚れや汗が残ったまま保管されていることも少なくありません。このような汚れは、カビの「栄養分」となり、発生を促進してしまいます。

カビを完全に防ぐためには、衣類の「収納環境の改善」が非常に重要です。どれだけきちんと洗濯しても、収納方法が間違っていれば、すぐにカビが再発してしまいます。ここでは、今すぐ実践できる収納の見直しポイントについて解説します。

カビの大敵は「湿気」ですが、クローゼットは家の中でも特に湿気がこもりやすい場所です。そのため、定期的な換気を行うことが重要です。具体的には、週に1〜2回は扉を開け放ち、空気を入れ替えるようにしましょう。特に梅雨時期や結露しやすい冬場は、扇風機やサーキュレーターを使って強制的に空気を循環させるのも効果的です。

また、クローゼットの床や壁に結露が起こっていないかチェックし、必要であれば除湿機を導入するのもおすすめです。湿度が60%を超えるとカビが活発に繁殖するため、できるだけ湿度は50%以下に保つよう心がけましょう。

衣類を詰め込みすぎるのもNGです。服と服の間に5cm以上の隙間を作り、風通しを確保することで、湿気がこもりにくくなります。

市販されている防カビ剤や除湿剤は、衣類のカビ予防にとても役立ちます。ただし、使い方を間違えると本来の効果が発揮できないため、正しい使い方を知っておくことが大切です。

まず、防カビ剤はクローゼットの上部に設置するのが基本です。なぜなら、カビの胞子は上から下に落ちる性質があるためです。一方で、除湿剤は湿気を下から吸い取るため、クローゼットの下部に置くようにしましょう。この上下の使い分けが、より高い効果を発揮させるポイントです。

また、除湿剤は使用期限を過ぎると全く効果がなくなるため、定期的に中身を確認し、水が溜まっていたらすぐに交換するようにしてください。梅雨時期や湿気の多い季節には、早めに交換するのがベストです。

衣類そのものに防カビスプレーをかけるのも効果的ですが、素材によっては変色する恐れがあるため、目立たない場所で試してから使用すると安心です。

どれだけ気をつけていても、衣類にカビが発生してしまうことはあります。そんな時、慌てて捨ててしまう前に、まずは適切な対処法を知っておきましょう。自宅でできるケアから、プロに頼る判断基準までをわかりやすくご紹介します。

カビがうっすら表面についている程度なら、家庭でも対処可能です。まず、屋外など通気性の良い場所で衣類をはたいて、カビの胞子を落とします。次に、洗濯表示を確認して、水洗い可能であれば次の手順を試してみてください。

  1. 酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗い
     ぬるま湯に酸素系漂白剤(液体タイプ)を入れ、30分ほどつけ置きします。これにより、繊維の奥に入り込んだカビ菌も浮かせて落とす効果が期待できます。
  2. しっかり洗濯し、天日干しする
     つけ置き後は通常通り洗濯し、よくすすいでから、しっかりと天日で乾かしましょう。紫外線には殺菌効果があるため、カビ菌の再発防止にも効果的です。

注意点として、塩素系漂白剤は衣類の色落ちや素材の傷みにつながるため、使用する際は色柄ものやウール・シルクなどの繊細な素材には絶対に使わないようにしましょう。また、カビのにおいが強い場合は、重曹やクエン酸を併用すると消臭効果が高まります。

家庭でのケアが難しい場合、プロのクリーニングを検討しましょう。特に次のようなケースでは、自力での対応は避けるのが賢明です。

  • カビが広範囲にわたって発生している
  • カビの黒ずみが染み込んで取れない
  • 高級素材(ウール・シルク・カシミヤなど)である
  • 色落ちが心配な衣類

クリーニング業者の中には「カビ除去対応」や「抗菌加工」を施してくれる専門店もあります。依頼前に、カビ対応が可能かを確認しましょう。

一方で、衣類の繊維にカビの根が深く入り込んでいると、どんな対処をしても完全には落としきれないこともあります。衛生面や健康リスクを考え、着用に不安がある場合は、思い切って処分するという選択も必要です。

特に、カビのにおいが残ったままの衣類は、再発のリスクが高いため、再利用には慎重になるべきです。

カビが生えた衣類を「見た目が少し悪いだけ」と放置していませんか?実は、衣類に発生したカビは健康にも悪影響を及ぼす危険性があります。特に肌に直接触れる衣類や寝具にカビがついていると、気づかないうちに体調不良を引き起こすこともあります。この章では、カビによって起こる健康トラブルと、家庭内での広がりについて詳しく解説します。

カビが付着した衣類を身につけると、まず心配なのが皮膚への悪影響です。特に敏感肌の方やアトピー体質の方は、赤みやかゆみ、湿疹などの症状が現れやすくなります。カビは皮膚に刺激を与えるだけでなく、皮脂や汗と反応して炎症を起こすこともあるため注意が必要です。

また、衣類に付着したカビの胞子が空気中に舞い上がり、それを吸い込むことでアレルギー性鼻炎や咳、喘息などの呼吸器系のトラブルを引き起こすこともあります。とくに免疫力が低い高齢者や子ども、小さなお子様のいる家庭では、健康被害のリスクが高まります。

たとえ目に見えないレベルのカビであっても、胞子は空気中に存在しており、体内に入ることで蓄積的に影響を及ぼすことがあるのです。

衣類にカビが生えたまま放置していると、そのカビが収納場所全体に広がるリスクがあります。クローゼット内の他の衣類、壁面、床面などにカビの胞子が移動して付着し、繁殖を繰り返すことで、家中に被害が拡大する恐れがあるのです。

さらに怖いのは、目に見えないうちにゆっくりと広がる点です。カビの胞子は非常に小さく、空気中を漂いながら布団、カーテン、マットなど他の素材にも移動してしまいます。気づいた時には、家のあちこちに黒ずみやカビ臭さが広がっている…ということも珍しくありません。

こうしたカビの広がりを防ぐためには、早期発見・早期対処が鍵です。衣類にカビを見つけたら、すぐに取り除き、収納スペース全体の換気・除湿を徹底することが重要です。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した活動を行っている専門団体です。近年、カビによる健康被害や建物の劣化被害が深刻化しており、そうした問題に対処するために設立されました。当協会では、室内空気の状態を「見える化」することで、人々の健康を支え、快適で安全な住環境づくりを目指しています。

この活動は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**に基づいています。この法律では、「アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境の改善や建築構造の見直しを推進する」とされており、当協会の取り組みもその一環です。

主な目的は、室内や車内に浮遊する微生物(特にカビ)によるリスクを正しく理解し、それに対処することで公衆衛生の向上に貢献することです。また、医療や福祉、環境保全の観点からも広く社会に貢献する活動を展開しています。

微生物対策協会では、専門機器を使ったカビの検査・調査を実施しています。空気中には、目に見えないカビの胞子やその他の汚染物質が浮遊しており、それらを数値化・可視化することで、より的確な対策が可能になります。

特に、建物内でのカビ被害は深刻で、カビ菌は空気中を浮遊し、落下した先でも自然には死滅しません。そのため、被害の実態を正確に把握し、科学的な根拠に基づいた対策を講じることが求められます。安心・安全な住環境を維持するためには、目に見えない「見えないカビ」から「見える対策」へと変えていく必要があるのです。

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