一般社団法人
微生物対策協会

コインランドリーで洗濯したら衣類にカビがついて困った経験はありませんか？
【記事を読んで分かること】コインランドリーでカビが発生しやすい原因や健康リスク、利用時の注意点や対策が分かります。
【記事を読むメリット】安心してコインランドリーを利用するための具体的なカビ予防法と、万が一の対処法を理解できます。

1. コインランドリーでカビが発生しやすい理由とは？

コインランドリーは洗濯や乾燥に便利ですが、その特性上、カビが発生しやすい環境となっています。特に、洗濯槽や乾燥機の内部は湿度が高く、温度も適度に保たれているため、カビにとっては絶好の繁殖場所となるのです。さらに、頻繁に多くの衣類が出入りするため、カビの胞子が付着しやすく、掃除が不十分な場合はカビが増殖しやすくなります。ここでは、コインランドリーでカビが発生しやすい具体的な要因を見ていきましょう。

1-1. 高温多湿の環境がカビの繁殖を促す仕組み

カビは湿度60％以上で活発に繁殖し、特に20～30度の温度帯で成長しやすい特性があります。コインランドリーの洗濯槽内部や乾燥機内は、水分が多く、温度もこの成長に適した範囲内に保たれているため、カビの繁殖条件が整っています。さらに、洗濯物の残り水分や洗剤の成分がカビの栄養源になることもあり、これがカビの増殖を助長します。また、利用者が多く出入りすることでカビ胞子が持ち込まれやすく、清掃が行き届かない場合にはカビが広がりやすくなるのです。

1-2. 洗濯槽や乾燥機内部に潜むカビの特徴

洗濯槽の内側やゴムパッキンの隙間はカビが好んで繁殖する場所です。見えにくい部分にカビが付着し、洗濯物に移ることもあります。乾燥機ではフィルターやドラムの内側にカビが発生しやすく、特に乾燥後の湿った衣類が長時間放置されると、湿気がこもりやすくなりカビの原因になります。また、乾燥機の排気ダクト内にも湿気が溜まりやすく、放置するとカビの温床となるケースがあります。これらのカビは衣類に付着すると臭いや汚れの原因となり、健康被害につながることもあるため注意が必要です。

2. コインランドリーのカビがもたらす健康リスクと注意点

コインランドリーで発生するカビは、衣類を通じて私たちの健康にも影響を及ぼす可能性があります。特に肌が弱い人やアレルギー体質の方、子どもや高齢者は注意が必要です。ここでは、カビが引き起こす健康リスクと利用時の注意点について解説します。

2-1. カビが衣類に付着することで起こる肌トラブル

カビが付着した衣類を着用すると、皮膚にかゆみや赤み、発疹などの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。特に敏感肌の方や乳幼児はカビ菌に対する反応が強く、肌荒れや湿疹が悪化するリスクが高まります。カビが原因の皮膚炎は、衣類に残ったカビ胞子が皮膚に触れることで発症するため、洗濯物の衛生管理は非常に重要です。

2-2. アレルギーや呼吸器疾患の原因となるリスク

カビ胞子は空気中に漂いやすく、衣類からも飛散します。これを吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や喘息、気管支炎などの呼吸器疾患を引き起こすことがあります。特にアレルギー体質の方や高齢者、子どもはカビに対して敏感で、症状が悪化しやすいため注意が必要です。コインランドリーのカビを放置すると、こうした健康被害が広がる可能性があるため、日頃からカビ対策を徹底することが大切です。

3. コインランドリー利用時に注意すべきカビ対策のポイント

コインランドリーは便利ですが、カビが付着しやすい環境でもあります。利用時に少し気をつけるだけで、カビのリスクを大幅に減らすことが可能です。ここでは、利用前後に確認すべきポイントや衣類の扱い方を詳しくご紹介します。

3-1. 利用前後の洗濯機・乾燥機のチェック方法

コインランドリーを使う前には、洗濯槽や乾燥機の内部をよくチェックしましょう。ゴムパッキンの黒ずみや、洗濯槽の見える部分にカビがないか確認してください。もしカビや汚れが見つかった場合は、その機械の使用を避けるか、店員に清掃の依頼をしましょう。使用後は、洗濯槽の扉や乾燥機のドアを開けて湿気を逃がし、カビの発生を防ぐことが大切です。乾燥機から取り出した衣類は、すぐに畳んだり収納せず、しっかりと乾いているか確認しましょう。

3-2. カビの発生を防ぐための衣類の取り扱い方

カビは湿った環境を好むため、洗濯物はなるべく早く乾かすことが重要です。洗濯後は速やかに乾燥機にかけるか、天気の良い日に外干しをして湿気を残さないようにしましょう。洗濯物を長時間放置すると、カビの繁殖リスクが高まります。また、衣類のポケットや隙間に水分や汚れが残っていないかも確認し、清潔な状態で洗濯することが望ましいです。特にタオルや下着はカビが繁殖しやすいため、丁寧に扱うことが大切です。

4. 万が一カビが付着した場合の衣類の対処法

もしコインランドリーで洗った衣類にカビが付着してしまった場合は、早急に対処することが重要です。放置するとカビが広がり、臭いやシミが落ちにくくなります。ここでは、家庭でできるカビの除去方法と、専門クリーニングの活用についてご紹介します。

4-1. 家庭でできるカビ落としの効果的な方法

まずは、カビの臭いやシミを落とすために、衣類をお湯（40℃前後）に浸け置きするのがおすすめです。お湯に酸素系漂白剤を入れて30分程度つけ置きし、その後通常通り洗濯してください。酸素系漂白剤は色柄物にも使え、カビの原因菌を効果的に除去できます。カビがひどい部分には、漂白剤を直接塗布してブラシで軽くこすると良いでしょう。ただし、漂白剤の使用は衣類の取扱表示を必ず確認し、色落ちや生地の傷みを防ぐため注意してください。

4-2. 専門クリーニングを利用するメリットと注意点

家庭での処理が難しい場合や、デリケートな素材の衣類は、専門のクリーニング店に依頼するのが安心です。プロのクリーニングでは、カビ菌をしっかり除去するための専用洗剤や技術を使用し、衣類を傷めずにケアしてもらえます。ただし、カビの広がりや臭いが強い場合は、完全に落ちないこともあるため、早めの対応が重要です。また、クリーニング店に持ち込む際は、カビが付いていることを事前に伝え、適切な処理方法を相談しましょう。

5. コインランドリーの衛生環境を守るために運営側ができる対策

コインランドリーの運営者にとって、店舗の清潔さを保ち、カビの発生を防ぐことは利用者の健康と満足度を守る重要な責任です。定期的な機器の清掃やメンテナンス、利用者への注意喚起など、具体的な対策を実施することが求められます。

5-1. 定期的な洗濯機・乾燥機の清掃とメンテナンス

運営側は洗濯機の槽内やゴムパッキン、乾燥機のフィルターやドラム内部を定期的に清掃する必要があります。これにより、カビの発生源を減らし、機器の性能維持にもつながります。特に洗濯槽クリーナーや専用洗剤を用いた徹底的な洗浄を行うことが効果的です。また、排水口やダクトの詰まりを防ぐためのメンテナンスも重要です。清掃スケジュールを明確にし、記録を残すことで管理体制の透明性も向上します。

5-2. 利用者に向けたカビ対策の啓発と注意喚起

利用者にもカビ発生のリスクを理解してもらうために、利用時の注意事項やカビ対策のポイントを店内ポスターやチラシで周知しましょう。例えば、「洗濯機の内部に異常を感じたらスタッフに報告してください」「洗濯後はすぐに衣類を取り出しましょう」といった具体的なメッセージが有効です。また、カビが発生しやすい季節や時間帯の情報提供も、利用者の理解と協力を促します。これにより、利用者と運営側が一体となった清潔な環境づくりが可能になります。

一般社団法人 微生物対策協会とは

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に、住環境の安全と健康を守る専門機関です。カビやその他の微生物が引き起こす健康被害や建物の劣化を防ぐため、科学的根拠に基づく検査と効果的な対策を提供しています。

平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を背景に設立され、室内空気の「見える化」を通じて目に見えないリスクを可視化し、適切な改善策を提案しています。特に高齢者施設や保育園、病院など、健康リスクの高い施設に対しても専門的な支援を行っています。

カビは空気中を漂い、床や壁に落ちても死滅しにくい性質があるため、表面的な掃除だけでは不十分です。当協会は専門機器を用いたカビ菌の測定と環境調査により、根本的な対策をサポートしています。また、職員向け研修や啓発活動を通じて、衛生管理の意識向上にも貢献しています。

「目に見えない空気の汚染を、見える化して健康を守る」ことが、一般社団法人微生物対策協会の使命です。