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微生物対策協会

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2025/10/08   

「まな板のカビ、放置してない?安全な除去方法と予防の完全ガイド」

気がついたらまな板に黒い点やぬめりが…それ、カビかもしれません。

【記事を読んで分かること】
まな板にカビが生える原因、安全な除去方法、予防のコツや買い替えの判断基準が分かります。

【記事を読むメリット】
毎日の調理を安心・清潔に保つための知識と実践方法が身につき、家族の健康を守ることができます。

まな板は毎日の調理に欠かせないキッチン道具ですが、正しく使わなければカビの温床になってしまいます。見た目にはきれいでも、内部に湿気がこもっていたり、細かな傷に雑菌が入り込んだりすることで、カビが発生しやすくなるのです。ここでは、まな板にカビが生える主な原因について、詳しく解説していきます。

まな板のカビ発生で最も多い原因が、「洗った後にしっかり乾かさないこと」です。食材を切った後のまな板には、肉や魚の脂、野菜や果物の水分など、カビの栄養源となる有機物がたくさん残っています。これらを丁寧に洗い落とさず、表面がぬれたまま放置してしまうと、カビが一気に繁殖しやすい環境になります。

特に、洗剤で軽く洗っただけで十分と思っている場合は要注意。まな板の表面には目に見えない細かな傷があり、そこに食材の汚れや水分が残ってしまうのです。さらに、洗った後にそのままキッチン台やシンクの隅に置いておくと、通気性が悪いため乾きにくく、湿度が高い状態が長時間続きます。これがカビにとって理想的な繁殖環境となってしまいます。

また、まな板スタンドや壁に立てかける場合でも、裏側に水がたまりやすいため、片面だけが湿った状態になることも。しっかり水気を拭き取り、風通しの良い場所で乾かす習慣を持つことがカビ予防の第一歩です。

まな板の素材によって、カビの生えやすさやその性質には違いがあります。特に木製まな板は天然素材で吸湿性が高いため、湿気をため込みやすく、カビが繁殖しやすい傾向にあります。一方で、殺菌力を持つヒノキやイチョウなどの材質は、適切に管理すれば衛生的に使えるメリットもあります。

一方、プラスチック製まな板は表面がツルツルしていて水を吸いにくいため、一見カビに強そうに思えます。しかし、包丁で刻まれた細かい傷の中に水分や食材のカスが入り込み、そこからカビや雑菌が繁殖することがあります。見た目では分かりにくいですが、汚れが取れにくくなるため、しっかりとした洗浄と定期的な除菌が欠かせません。

つまり、どちらの素材であっても油断せず、「洗浄・乾燥・除菌」の3ステップを丁寧に行うことが重要です。素材ごとの特性を理解したうえで、使い方やお手入れ方法を変えることが、カビ対策の基本になります。

まな板に黒やピンクの点々を見つけたとき、「少しくらいなら大丈夫かな?」と使い続けてしまう方も少なくありません。しかし、まな板のカビは見た目以上に深刻な健康リスクをはらんでいます。特に調理器具として毎日口にするものを扱うまな板だからこそ、適切な判断と対処が必要です。

まな板に発生するカビにはいくつかの種類があります。中でも多く見られるのが黒カビ(クラドスポリウム属)ピンクカビ(ロドトルラ属)、**白カビ(アスペルギルス属)**などです。それぞれの特徴と危険性を見ていきましょう。

  • 黒カビ:湿気が多く、乾きにくい木製まな板やプラスチックまな板の傷の中に入り込みやすいです。黒い点状の斑点が特徴で、強いアレルギー症状や呼吸器トラブルを引き起こす原因になることがあります。
  • ピンクカビ:一見すると見栄えが悪いだけに見えますが、実は雑菌の一種です。まな板だけでなく、シンクやお風呂場にもよく現れ、皮膚炎や食中毒の原因になることがあります。
  • 白カビ:食品や木製まな板に発生しやすく、カビ毒(マイコトキシン)を発生させる種類もあります。見た目が薄いため気付きにくく、増殖も早いのが特徴です。

これらのカビはすべて目に見える時点ですでに根を張っている可能性が高く、完全に除去するのは難しいケースもあります。だからこそ、「少しだけだから大丈夫」という安易な判断はとても危険です。

カビの生えたまな板を使い続けることによって起こる健康被害で、特に深刻なのが食中毒アレルギー症状です。カビそのものが持つ毒素や、そこに付着する雑菌が食品に移ることで、体内に取り込まれてしまうのです。

例えば、まな板に残ったカビの胞子が食材に付着すると、熱調理しても完全に死滅しない場合があります。特にカビ毒(マイコトキシン)は加熱にも強く、調理中に無害化できないことがほとんどです。その結果、嘔吐・下痢・発熱などの急性症状を引き起こしたり、肝臓にダメージを与える慢性的な中毒につながったりすることもあります。

また、アレルギー体質の方は、微量のカビでも咳・くしゃみ・皮膚炎・呼吸困難といった症状を起こす可能性があります。特に免疫力の低い高齢者や子どもは影響を受けやすいため、衛生面には最大限の注意が必要です。

まな板に少しでもカビを見つけたら、「使っても大丈夫?」ではなく「処分するべきか?」と考えることが、安全で健康的な調理を続けるための正しい判断です。

まな板にカビが生えてしまったとき、すぐに捨てるのはもったいないと思う方も多いはずです。軽度のカビであれば、家庭でもできる除去と除菌によって、ある程度まな板を再生できるケースもあります。ただし、見極めと正しい手順が重要です。この章では、カビを安全に除去する方法と、その後も使って良いかどうかの判断基準について解説します。

カビが軽度で、表面に少し黒い点が見える程度であれば、家庭にあるもので除菌・除去が可能です。以下の方法を試してみてください。

塩素系漂白剤を使う方法

もっとも確実で手軽なのが、キッチン用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を使う方法です。
バケツなどに水1リットルあたり漂白剤10mlを加え、まな板を30分ほど浸け置き
します。その後、しっかりと流水で洗い流し、風通しの良い場所で完全に乾かします。

※プラスチック製まな板には適していますが、木製には注意が必要です。変色や劣化の原因になることがあります。

熱湯消毒

木製まな板には、熱湯をかける方法が有効です。やかんや鍋で沸かした熱湯を表面全体にまんべんなくかけ、5分ほど放置。その後はタオルで水分をしっかり拭き取り、立てかけて乾燥させましょう。

※熱湯によって木材が反ってしまう可能性があるため、短時間で終えることがポイントです。

重曹+酢スプレー

自然派の方法として、重曹と酢を使った除菌スプレーもおすすめです。
重曹をふりかけたあと、酢(またはクエン酸)をスプレーして10〜15分放置。その後たわしでこすってからよくすすぎ、乾燥させます。カビ臭さも軽減できます。

カビを取り除いたつもりでも、まな板内部に根を張ったカビ菌が残っている可能性があります。特に木製のまな板は、繊維の奥深くまでカビが入り込んでいることもあり、表面だけの除菌では完全には取り切れません。

以下のような状態が見られる場合は、再使用を避けるべきサインです:

  • カビの色が落ちない、または再発する
  • 異臭(カビ臭、酸っぱい臭いなど)が取れない
  • 表面がヌルヌルしている、削っても異常が残る
  • 使用中に食材へ異変を感じた(変な味・臭いなど)

特に**「再発するカビ」や「カビ毒のリスクがある黒カビ」が確認された場合は、衛生面と安全性の観点からまな板の買い替えを強くおすすめ**します。

また、削ってリセットする「削り直し」ができる木製まな板であれば、専門の業者やまな板削りサービスを利用する方法もあります。ただし、それでも完全除去できない場合は処分する方が安心です。

カビを取り除いたとしても、日々の使い方が間違っていれば、再び同じ状態になってしまいます。清潔なまな板を保つためには、日常的な洗浄・乾燥・除菌の習慣づけが何よりも大切です。この章では、毎日のお手入れのコツと、まな板の交換・メンテナンスの適切なタイミングについてご紹介します。

まな板を使い終わったら、すぐに洗うことが基本です。時間が経つと食材の水分や油分が表面に染み込み、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。

▶ 正しい洗い方の手順:

  1. 熱めの湯(40~50℃)で予洗いして、汚れを浮かせる
  2. 中性洗剤とたわし、またはスポンジで表面全体をこする
  3. 細かな傷に入り込んだ汚れが取れるよう、力を入れすぎず丁寧に洗う
  4. 流水でしっかりすすぎ、洗剤を完全に落とす
  5. 清潔なタオルやキッチンペーパーで水分を拭き取る

乾かし方もポイントです。洗ったまな板をシンク横に伏せたまま放置するのはNG。空気がこもり、湿気が抜けにくくなるためカビの原因になります。

▶ 正しい乾かし方:

  • 立てかけて風通しの良い場所で自然乾燥
  • まな板スタンドや、壁に立てかけて乾燥面が確保される方法が◎
  • 天気のいい日には日光に当てることで除菌効果もアップ

どんなに丁寧に洗っていても、毎日の調理でまな板には傷や菌が蓄積していきます。そのため、定期的な除菌処理を習慣にしましょう。

▶ おすすめの除菌方法(週1〜2回が目安):

  • 塩素系漂白剤に浸け置き(プラスチック製)
  • 熱湯をかけて自然乾燥(木製)
  • 電子レンジ除菌(対応素材のみ)
  • 重曹+酢スプレーで拭き取り+日光干し

また、まな板の劣化具合に応じて、買い替えも必要です。以下のような状態が見られたら、交換を検討しましょう。

▶ まな板を買い替えるサイン:

  • 傷が深くなり、洗っても汚れが取れない
  • 異臭がする、黒ずみやカビが取れない
  • 表面がザラザラしている
  • 使用後すぐに乾かしても水がしみ込む

特に食品を扱う道具だからこそ、「少しも怪しいと思ったら交換する」ことが、家族の健康を守る上で最も安心です。

毎日使うまな板だからこそ、そもそもカビに強い製品を選ぶことも重要です。素材や構造、使いやすさによって、カビの生えやすさは大きく変わります。この章では、カビに強いまな板を選ぶポイントと、長く清潔に使えるおすすめ素材・商品をご紹介します。

まな板の素材には様々な種類がありますが、それぞれに特性があり、カビへの強さも異なります。選ぶ際の参考として、代表的な素材の特徴を比較してみましょう。

プラスチック製まな板

  • メリット:水を吸いにくく、漂白剤などによる除菌がしやすい。軽くて扱いやすい。
  • デメリット:包丁の傷がつきやすく、傷に汚れが入り込みやすい。変色しやすい。

カビ対策には最も扱いやすく、日常的な除菌が可能。定期的な買い替えがおすすめ。

木製まな板(ヒノキ・イチョウなど)

  • メリット:天然の抗菌成分を含み、刃当たりが良く、手首に負担がかからない。
  • デメリット:水を吸いやすく、乾燥が不十分だとカビが繁殖しやすい。重い。

丁寧な乾燥とメンテナンスをすれば長く使えるが、手入れが不十分だとカビの温床に。

ゴム製(エラストマー)まな板

  • メリット:弾力があり傷がつきにくい。漂白剤や熱湯にも強く、カビに非常に強い。
  • デメリット:やや高価で重たい。厚みがある分、乾きにくいものも。

プロ仕様にも多く使われ、カビに強く衛生的。価格が気にならなければ一押し。

以下に、家庭でも人気が高く、カビに強いと評判のまな板をいくつかご紹介します。
購入を検討する際の参考にしてください。

リス カラーまな板(プラスチック製)

  • 色で使い分けができて衛生的
  • 軽くて洗いやすく、漂白剤にも対応
  • 傷が目立ちにくいエンボス加工付き

サーモス 抗菌まな板(ゴム製)

  • 食洗機・漂白・熱湯すべて対応
  • 傷が付きにくく、菌の繁殖を防ぐ抗菌加工
  • 厚みがあり安定感抜群

木曽ひのきのまな板(木製)

  • 天然ヒノキの抗菌作用と香りが特徴
  • 丁寧に乾かせば長く使える
  • 刃当たりが優しく、料理好きに人気

貝印 カラー抗菌まな板セット

  • 素材別に使い分けられる4色セット
  • 熱湯消毒・漂白OKで衛生管理しやすい
  • 軽くて収納しやすいサイズ感

まな板は“消耗品”と割り切って定期的に交換するのも一つの方法ですが、最初から衛生性・耐久性の高い商品を選べば、手間もコストも抑えることができます。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱に活動する専門団体です。カビによる健康被害や建物の劣化といった深刻な問題に対して、科学的根拠に基づいた検査と対策を行い、私たちの暮らしに欠かせない“空気の質”を見える化することによって、安全で健全な住環境を守ることを目的としています。

この取り組みは、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」にも基づいており、生活環境の改善を通じてアレルギーの予防や症状の軽減を図ることが法的にも求められています。当協会は、この理念をもとに、空気中に漂う微生物のリスクを調査・解析し、その結果に基づいて適切な対策を提案しています。

特に建物内では、カビが最も多く確認される微生物の一つです。目に見えないカビの胞子は空気中を浮遊し、壁や天井、キッチン用品、浴室などに付着して繁殖します。一度繁殖したカビは自然には消えず、健康や建材に長期的な悪影響を与えることがあります。

そこで微生物対策協会では、空間の空気検査やカビの可視化を行い、専門的な調査結果に基づいて、より効果的なカビ対策を提案しています。浮遊するカビや落下菌の有無・濃度を「見える化」することで、住まいの安心・安全を守るための第一歩となります。

「カビ対策は見えない敵との戦い」です。だからこそ、科学的根拠に基づいた対策が重要です。見えるカビも、見えないカビも、私たち微生物対策協会が徹底的にサポートいたします。

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