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2025/03/22   

珪藻土がカビを防ぐメカニズム

「珪藻土はカビに強い」と聞いたことがあるかもしれませんが、実際には誤った使い方をするとカビが発生することもあります。

【記事を読んで分かること】
珪藻土がカビを防ぐ仕組み、カビが発生する原因、正しいお手入れ方法、そしてカビ対策に適した珪藻土製品の選び方を詳しく解説します。

【記事を読むメリット】
珪藻土のメリット・デメリットを正しく理解し、カビのない快適な住環境を維持する方法がわかります。

珪藻土は「カビに強い」「湿気対策になる」といわれ、住宅の壁材やバスマットなどに使われることが増えています。しかし、実際にどのような特徴があり、なぜカビに強いとされているのでしょうか? ここでは、珪藻土の基本的な性質と住宅での活用方法について解説します。

珪藻土の最大の特徴は、高い吸湿・放湿性能です。 珪藻土は、珪藻(けいそう)という微細な藻類の化石が堆積してできた天然素材で、無数の微細な穴(多孔質構造)を持っています。この穴が空気中の湿気を吸収し、湿度が下がると放出することで、室内の湿度を一定に保つ働きをします。

湿度調整機能があるため、カビの発生を抑える効果が期待できます。 一般的に、カビが発生しやすいのは湿度70%以上の環境です。珪藻土は、湿気の多いときに水分を吸収し、乾燥しているときに放出するため、湿度が極端に高くなるのを防ぎます。これにより、カビが繁殖しにくい環境を作ることができるのです。

ただし、珪藻土自体が防カビ剤を含んでいるわけではないため、完全にカビを防げるわけではありません。吸湿性が高いからこそ、湿気が多すぎる環境では水分をため込みすぎてしまい、逆にカビの原因になることもあるのです。

珪藻土はその特性を活かし、さまざまな住宅の部材に活用されています。

① 壁材としての使用
リビングや寝室の壁に珪藻土を使うと、室内の湿度を調整し、結露やカビの発生を抑える効果が期待できます。また、調湿機能により、夏は涼しく冬は暖かい環境を作ることができるため、省エネ効果も期待できます。

② バスマットやキッチン用品
珪藻土を使用したバスマットやコースターなどは、水を素早く吸収し、乾燥させる能力が高いため、カビが発生しにくいとされています。しかし、長期間使用して汚れが蓄積すると、カビが生えることもあるため、定期的なメンテナンスが必要です。

③ 収納スペースや押し入れの調湿剤
湿気がこもりやすい押し入れやクローゼットに珪藻土を使った調湿剤を置くことで、湿気を吸収しカビの発生を防ぐことができます。ただし、一定量の水分を吸収すると飽和状態になり、効果が低下するため、定期的に天日干しをするなどのメンテナンスが必要です。

珪藻土は「カビに強い」とよく言われますが、その理由はどこにあるのでしょうか? ここでは、珪藻土がカビの発生を抑える仕組みや、実際にどの程度効果があるのかについて詳しく解説します。

カビが発生するためには、以下の3つの条件がそろう必要があります。

  1. 湿度(湿度70%以上で活発に繁殖)
  2. 温度(20~30℃が最も生えやすい)
  3. 栄養源(ホコリや汚れ、木材、壁紙の糊など)

このうち、珪藻土が大きく影響を与えるのが「湿度」です。

珪藻土は湿気を吸収・放出することで、室内の湿度を一定に保つ働きがあります。 例えば、梅雨時や雨の日には空気中の余分な水分を吸い込み、乾燥した季節には水分を放出します。この調湿機能により、湿度が70%以上になるのを防ぐことができ、結果的にカビの発生リスクを減らせるのです。

また、結露が発生しやすい場所(窓際や押し入れの中)でも、珪藻土の壁やプレートを活用すると、余分な湿気を吸収してくれるため、カビを防ぐ効果が期待できます。

珪藻土には「抗菌作用がある」と誤解されることがありますが、実は珪藻土自体に強い抗菌性はありません。

カビの発生を抑える主な理由は調湿機能によるものですが、珪藻土の種類や製造方法によっては、カビが生えやすくなることもあります。

① 珪藻土の品質による違い

  • 高品質な珪藻土は多孔質で通気性が良く、湿気を適度にコントロールできます。
  • 一方、安価な珪藻土製品には接着剤や樹脂が多く含まれており、吸湿性が低くなるため、カビが発生しやすくなることがあります。

② 防カビ加工された珪藻土の有無
市販されている珪藻土の中には、防カビ剤が含まれているものもあります。これらはカビの発生をより抑えられますが、化学物質が含まれているため、使用場所によっては注意が必要です。

③ 使用環境による影響
いくら珪藻土が湿気をコントロールできるといっても、換気が不十分な場所や常に水分が多い環境では、カビが発生することがあります。 例えば、浴室の床や水が直接かかるキッチンの壁などでは、吸湿機能が追いつかず、水分を含んだままになり、カビが生えてしまうこともあります。

「珪藻土はカビに強い」と言われていますが、実際にはカビが発生してしまうこともあります。その理由として、施工方法や使用環境、メンテナンス不足が挙げられます。ここでは、珪藻土の住宅でカビが発生する主なケースについて解説します。

珪藻土の壁や床を取り入れる際、施工の仕方によってはカビが生えやすくなることがあります。

① 施工時に十分に乾燥させていない

珪藻土の壁材は、水を混ぜて塗る湿式施工が一般的です。しかし、施工後にしっかり乾燥させないまま家具を置いたり、換気が不十分なまま生活を始めると、湿気がこもりやすくなりカビの原因になります。

対策:

  • 施工後は十分に乾燥させる(最低でも1週間以上)
  • 施工直後は家具を壁にぴったりとつけず、適度な隙間を空ける
  • 施工業者に正しい乾燥時間を確認し、無理に早めない
② 接着剤や塗料の影響で吸湿性が低下

一部の珪藻土製品には、施工時に接着剤や樹脂が含まれることがあります。これらの成分が多いと、本来の吸湿・放湿機能が低下し、湿気がこもってカビの温床になる可能性があります。

対策:

  • できるだけ純度の高い珪藻土製品を選ぶ
  • 吸湿性の低い樹脂コーティングが施された製品は避ける
③ 下地の処理が不適切

珪藻土を塗る前の下地処理が不適切だと、内部から湿気が発生しやすくなります。特に、元の壁にカビが生えていた場合、そのまま塗るとカビが再発することがあります。

対策:

  • 施工前に下地のカビを完全に除去する
  • 下地の防カビ処理をしっかり行う

珪藻土は適切に管理しないと、逆にカビが発生することがあります。

① 珪藻土の吸湿能力が飽和してしまう

珪藻土は湿気を吸収しますが、限界を超えると水分を保持したままになり、かえってカビが生えることがあります。例えば、湿度の高い浴室やキッチンなどで長期間使用すると、カビが発生しやすくなるのです。

対策:

  • 定期的に換気を行い、湿気をこもらせない
  • 除湿機やサーキュレーターを使って空気を循環させる
  • 使用環境を考慮し、適した場所に設置する(浴室や水が直接かかる場所は避ける)
② 汚れやホコリがカビの栄養源になる

珪藻土自体には栄養価がないため、カビが直接生えるわけではありません。しかし、表面にホコリや皮脂汚れが蓄積すると、それがカビの栄養源となり、カビが繁殖してしまいます。

対策:

  • 定期的に乾拭きし、ホコリや汚れを除去する
  • 水拭きをする場合は、すぐに乾燥させる(濡れたままにしない)
③ 硬いものでこすって表面が傷つく

バスマットやコースターなどの珪藻土製品は、吸湿性能を保つために表面が微細な穴で覆われています。しかし、強くこすったり洗剤を使いすぎたりすると、表面の多孔質構造が損なわれ、吸湿機能が低下することがあります。

対策:

  • 洗剤の使用を最小限にし、汚れは軽くブラッシングする程度にする
  • 研磨剤入りのスポンジは避け、柔らかい布で拭く

珪藻土は湿気をコントロールすることでカビの発生を抑える効果がありますが、適切に管理しないと逆にカビの温床になることもあります。ここでは、カビを防ぐための対策と、珪藻土製品を長持ちさせるお手入れ方法について解説します。

もし珪藻土にカビが発生してしまった場合、適切な方法で除去する必要があります。ただし、通常の壁紙や木材と違い、珪藻土の表面は多孔質で水を吸収しやすいため、誤った方法で掃除すると逆効果になることもあります。

① 軽度のカビ(表面だけの薄いカビ)

薄いカビや軽い汚れであれば、乾いた布やハケを使って表面の汚れを落とすだけで十分な場合があります。

手順:

  1. 乾いた布またはハケでカビを軽く払い落とす
  2. 消しゴムでこすってカビを除去する(壁材の場合)
  3. 仕上げに珪藻土の吸湿性を回復させるため、軽くやすりがけをする
② 中程度のカビ(黒ずみが目立つ場合)

黒ずみがひどい場合は、アルコールを使ってカビを除菌する方法が効果的です。

手順:

  1. アルコール(エタノール)をスプレーに入れる
  2. カビが生えている部分に軽く吹きかける(染み込ませすぎないように注意)
  3. 乾いた布で拭き取り、自然乾燥させる
  4. 必要に応じて表面を軽く削る(やすりを使うと効果的)

水拭きはNG! 水分が染み込むとカビの原因になります。

③ 重度のカビ(奥まで浸透したカビ)

カビが珪藻土の奥まで浸透してしまった場合、自力での除去は難しくなります。特に黒カビが広範囲にわたる場合は、プロの業者に依頼するのが安全です。

手順:

  1. 市販のカビ除去剤(アルコール系)を使用する
  2. 改善しない場合は、専門業者に相談する
  3. 必要なら珪藻土を塗り直す

珪藻土のカビを防ぐためには、日頃からの適切な管理が重要です。

① 定期的な換気で湿気をため込まない

湿気がこもると、珪藻土が水分を吸収し続け、カビの発生リスクが高まります。

対策:

  • 1日に数回、窓を開けて換気を行う
  • 湿度の高い日は除湿機やサーキュレーターを活用する
  • 押し入れやクローゼットなど、閉鎖空間の湿気対策を徹底する
② 汚れをためない(ホコリや皮脂汚れがカビの原因に)

珪藻土の表面にホコリや汚れが溜まると、それがカビの栄養源となります。

対策:

  • 定期的に乾いた布やハケで表面のホコリを払う
  • 壁の場合は消しゴムややすりを使ってメンテナンスする
  • バスマットやコースターは天日干しをする(週1回程度)
③ 適切な湿度管理を行う

湿度が70%以上になるとカビが繁殖しやすくなります。

対策:

  • 湿度計を設置して湿度管理をする
  • 珪藻土のバスマットやコースターは使用後に風通しの良い場所で乾燥させる
  • 調湿剤や乾燥剤を併用して湿気をコントロールする

珪藻土はカビを防ぐ効果が期待できますが、製品によって吸湿性能や品質に大きな違いがあります。カビが発生しにくい環境を作るためには、高品質な珪藻土製品を選び、適切な施工や管理を行うことが重要です。ここでは、カビ対策に適した珪藻土製品の選び方や、施工時のポイントについて解説します。

珪藻土と一口に言っても、製品によって性能が大きく異なります。安価なものは吸湿性が低く、カビが発生しやすい場合もあるため、以下のポイントをチェックして選ぶことが大切です。

① 吸湿・放湿性能が高いものを選ぶ

珪藻土の最大の特徴は、湿気を吸収し、放出することで湿度を調整できることです。

チェックポイント:

  • 珪藻土の含有率が高いか? → できるだけ純度の高いものを選ぶ(接着剤や樹脂の割合が多いと吸湿性が低下する)
  • 「吸湿量」や「放湿量」のデータが公表されているか? → 高品質な製品は性能データが公開されていることが多い
② 防カビ加工されているか?

カビ対策として、防カビ剤が添加されている珪藻土製品もあります。

チェックポイント:

  • 自然由来の防カビ成分(銀イオン、炭酸カルシウムなど)が含まれているか?
  • 化学薬品が含まれていないか? → 防カビ剤に化学成分が多いと、室内環境に悪影響を及ぼすこともある
③ 施工タイプ(塗り壁 or ボードタイプ)を選ぶ

珪藻土製品には、**「塗り壁タイプ」「ボードタイプ」**があります。それぞれの特徴を理解し、用途に応じて選ぶことが重要です。

タイプ特徴メリットデメリット
塗り壁タイプ壁に直接塗る調湿性能が高い、デザイン自由施工に手間がかかる、費用が高め
ボードタイプ珪藻土を板状に成形手軽に設置できる、価格が比較的安い吸湿性能が塗り壁よりやや低い

本格的にカビ対策をしたい場合は、吸湿性能の高い「塗り壁タイプ」がおすすめ。

手軽に導入したい場合は、「ボードタイプ」や「タイルタイプ」も有効。

珪藻土のカビ対策には、製品選びだけでなく、施工方法も重要です。特に「湿気の多い場所での施工」や「業者の選び方」に注意しましょう。

① 湿気の多い場所には適した施工を

浴室やキッチンなど湿気の多い場所に珪藻土を使用する場合、施工方法を工夫しないと逆にカビの原因になることがあります。

適切な施工方法:

  • 防水性のある下地処理を行う(撥水剤や防カビ処理)
  • 水が直接かかる場所には不向き(浴室内の壁などは避ける)
  • キッチンや洗面所では、防水性能のある珪藻土ボードを選ぶ
② 信頼できる業者を選ぶ

珪藻土を壁に塗る場合、施工技術の差によって仕上がりやカビの発生リスクが変わります。

業者選びのポイント:

  • 過去の施工実績を確認する(実例写真や口コミをチェック)
  • 使用する珪藻土の成分を確認する(安価な製品には接着剤が多く含まれていることも)
  • 「防カビ処理をしてくれるか」を確認する(適切な下地処理がされないとカビのリスクが高まる)

信頼できる業者に依頼することで、長期間カビの発生を防ぐことができる。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」 を専門とする団体です。私たちは、カビによる健康被害や建物の劣化などの問題に対応するため、室内空気の「見える化」 を通じて、健康で快適な住環境づくりを支援しています。

私たちの活動の根拠となるのは、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」 です。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境の改善や建築構造の見直しが求められています。当協会は、この法律の趣旨に基づき、カビ対策に関する調査・検査・普及活動を行っています。

当協会の目的と活動内容

カビや微生物が引き起こす問題を正しく認識し、公衆衛生の向上に寄与すること
住宅や車内の空気環境を調査し、カビや微生物の影響を「見える化」すること
アレルギーや健康被害を防ぐためのカビ対策の啓発活動を行うこと

特に、室内空気の検査 に重点を置き、住宅・オフィス・車内などのカビの状況を科学的に分析し、適切な対策を提案しています。

なぜカビの検査が重要なのか?

カビは目に見えない微生物 ですが、空気中に浮遊し、私たちの健康に影響を及ぼす 可能性があります。特に、珪藻土などの天然素材を使った住宅では、適切な管理をしなければカビが発生しやすくなります。

カビの発生を未然に防ぐためには、専門的な検査と的確な対策が必要です。
当協会では、専用の機器を使用したカビ検査を行い、その結果に基づいた最適な防カビ対策を提案します。

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