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2025/03/25   

耐震補強が原因でカビが増える?知らないと危険なリスクと予防法

耐震補強は家を地震から守るために重要ですが、工事後にカビが発生するケースが増えています。湿気や通気の変化によって、知らない間にカビリスクが高まることがあります。

【記事を読んで分かること】
耐震補強によってカビが発生する原因やリスクを詳しく解説し、工事計画段階での予防策や、発生後の適切な対処法を紹介します。

【記事を読むメリット】
耐震補強後に後悔しないために、カビのリスクを事前に理解し、適切な対策を取ることができます。施工業者選びやメンテナンスのポイントも分かります。

耐震補強工事は、住宅の安全性を高めるために必要な施工ですが、工事後にカビが発生するリスクがあることをご存じでしょうか?特に、耐震補強による湿気の変化や通気性の悪化が、カビの原因となるケースが多く報告されています。ここでは、耐震補強工事がカビ発生につながる理由と、見落としがちなリスクについて詳しく解説します。

耐震補強工事を行う際には、壁や床を補強するために建材を追加したり、コンクリートや接着剤を使用したりします。これらの施工がカビ発生のリスクを高める主な理由は以下の3つです。

① 壁内部の湿気がこもりやすくなる

耐震補強では、壁の補強材や合板を追加することが一般的です。しかし、これにより壁の通気性が低下し、湿気が内部にこもりやすくなります。特に、もともと湿気の多い地域や、築年数が経過した住宅では、カビが発生しやすくなる傾向があります。

② 施工時の水分が乾燥しきらずに残る

耐震補強では、コンクリートやモルタルを使用する場面もあります。これらの材料は施工後に乾燥するまで時間がかかるため、工事直後に湿度が一時的に上昇します。適切な乾燥期間を確保しないと、この湿気がカビの原因になります。

③ 断熱材の変更による温度差の発生

耐震補強に伴い、断熱材を追加することがありますが、断熱性能が向上することで室内と外気の温度差が大きくなり、結露が発生しやすくなります。結露が続くと、壁の内部や床下にカビが発生するリスクが高まります。

耐震補強工事の直後は目に見えるカビが発生していないことが多いため、リスクに気づかないことが多いです。しかし、以下のような点を見落としていると、数か月後や数年後にカビが発生する可能性があります。

① 換気不足による湿度の上昇

耐震補強によって建物の気密性が向上する場合がありますが、それに伴い適切な換気が行われないと湿度が上昇し、カビの温床となります。特に、風通しの悪い部屋や押し入れ・クローゼットなどは、湿気がこもりやすく注意が必要です。

② 見えない部分にカビが広がる

壁の内部や床下で発生したカビは、すぐには気づきにくいですが、放置すると住宅の構造に悪影響を及ぼすことがあります。カビが広がると、木材が劣化し、耐震補強の効果を低下させる可能性もあります。

③ 生活習慣の変化が影響することも

耐震補強後に、住む人の生活習慣が変わることで、カビリスクが高まることもあります。例えば、家具の配置が変わって壁際の通気が悪くなったり、工事後に窓を開ける習慣が減ったりすると、湿度がこもりやすくなりカビが発生しやすくなります。

耐震補強を行うと、建物の強度が向上し、地震に対する安全性が高まります。しかし、その一方で「湿気のこもり」や「通気性の変化」によってカビが発生しやすくなることをご存じでしょうか?見た目には分からない場所でカビが広がり、住環境や建物の耐久性に悪影響を与えることがあります。ここでは、耐震補強がカビを招く原因と、施工時のミスによるカビ発生リスクについて詳しく解説します。

耐震補強を行うと、建物の構造や気密性が変わるため、湿度や通気のバランスが崩れることがあります。特に以下のような要因が、カビの発生につながります。

① 気密性が向上して湿気がこもりやすくなる

耐震補強では、補強材を追加することで壁や床の隙間が減り、気密性が高まることがあります。これにより、外気の影響を受けにくくなる一方で、室内の湿気が逃げにくくなり、カビが発生しやすくなります。

例えば、以前は風通しが良かった床下や壁の内部が、補強によって空気の流れが悪くなり、湿度が高まることがあります。特に梅雨の時期や冬場の結露が発生しやすい季節は注意が必要です。

② 換気の流れが変わることで結露が発生しやすくなる

耐震補強によって窓の位置が変わったり、壁の構造が変わったりすると、空気の流れが変化します。その結果、これまで結露が発生しなかった場所に結露が起きることがあります。

特に、以下のような場所は結露が発生しやすく、カビの温床になりやすいです。

  • 補強後に気密性が向上した押し入れやクローゼットの内部
  • 断熱材を入れたことで温度差が大きくなった壁の内部
  • 窓の位置が変わり、湿気がこもりやすくなった部屋

③ 施工後の乾燥不十分がカビを発生させる

耐震補強工事では、木材やコンクリートを使用することが多く、施工時に大量の水分が発生します。もし十分に乾燥しないまま壁や床を閉じてしまうと、内部に湿気が残り、カビが発生する原因になります。

特に、工期が短く設定されている場合や、雨の日に工事を行った場合は、施工後に湿気がこもるリスクが高まります。

耐震補強を行う際には、正しい施工と設計が求められます。しかし、施工業者の知識不足や計画の不備によって、カビのリスクが高まることがあります。ここでは、施工ミスや設計ミスがどのようにカビの発生につながるのかを見ていきます。

① 断熱材の施工ミスによる結露の発生

耐震補強の際に断熱材を追加することがありますが、施工方法を誤ると、かえって結露が発生しやすくなることがあります。例えば、断熱材が適切に設置されていない場合、壁の内部で温度差が発生し、湿気が溜まりやすくなります。

特に、以下のような施工ミスがカビの発生につながります。

  • 断熱材の継ぎ目が適切に処理されておらず、冷たい空気が入り込む
  • 断熱材の種類が適切でなく、内部に湿気がたまりやすい
  • 断熱材の上に防湿シートを適切に施工していない

② 換気計画が不十分なため湿気がこもる

耐震補強では、家の強度を高めることが最優先されるため、換気計画が後回しになることがあります。しかし、換気の流れを考慮せずに補強工事を行うと、湿気がこもりやすくなり、カビの発生リスクが高まります。

特に以下のような施工は注意が必要です。

  • 元々換気が悪い場所(押し入れ、床下)に補強材を追加してさらに通気性を悪くする
  • 既存の換気口を塞いでしまい、湿気が逃げにくくなる
  • 換気扇や通気口の設置が不十分で、湿気が滞留する

③ 水回り周辺の補強工事が原因でカビが広がる

耐震補強の際に、キッチンや浴室の周辺の壁や床を補強することがあります。しかし、水回りは湿気が多いため、適切な防水処理が行われていないと、カビの温床になってしまうことがあります。

例えば、浴室の壁を補強した際に防水シートの施工が甘かった場合、壁の内部に湿気が入り込み、時間が経つとカビが発生する可能性があります。

耐震補強後にカビを防ぐためには、事前の計画が非常に重要です。湿気や通気性の変化によるカビの発生を未然に防ぐために、適切な施工方法や設備の選定が必要です。本章では、耐震補強工事の計画段階で取り入れるべきカビ対策と、断熱・換気システムの最適化によるリスク軽減方法を解説します。

耐震補強工事を行う前に、カビのリスクを考慮した計画を立てることで、将来的なトラブルを防ぐことができます。以下のポイントを押さえて、工事前に適切な対策を検討しましょう。

① 耐震補強後の湿気対策を施工業者と相談する

耐震補強では壁や床に補強材を追加するため、通気性が悪くなる可能性があります。施工業者と事前に相談し、以下のような湿気対策を取り入れることが重要です。

  • 換気口の追加:床下や壁内部の湿気を逃がすための換気口を適切に配置する
  • 防湿シートの設置:壁の内部や床下に防湿シートを敷くことで湿気の侵入を防ぐ
  • 湿気を逃がす設計:断熱材や補強材の配置を工夫し、湿気がこもらない構造にする

② 施工時の乾燥期間を十分に確保する

耐震補強工事では、モルタルやコンクリートの使用により、多くの水分が発生します。乾燥が不十分なまま仕上げを行うと、湿気が内部に残り、後々カビの原因となる可能性があります。

そのため、以下の点に注意しましょう。

  • 施工後に十分な乾燥期間を確保する(特に梅雨時期や冬場は乾燥に時間がかかる)
  • 可能であれば工事中に除湿機を使用し、湿気を取り除く
  • 施工中や施工後に定期的に換気を行い、湿気がこもらないようにする

③ 断熱材の選定と施工ミスを防ぐ

耐震補強時に断熱材を追加するケースも多いですが、断熱材の選び方や施工方法を間違えると、結露が発生しやすくなり、結果的にカビが発生してしまいます。

断熱材を選ぶ際には以下の点に注意しましょう。

  • 吸湿性の低い断熱材を選ぶ(例:硬質ウレタンフォーム、発泡スチロール系断熱材)
  • 断熱材と防湿シートを適切に組み合わせる
  • 施工ミスを防ぐために、信頼できる業者を選ぶ

これらの対策を行うことで、耐震補強後のカビ発生リスクを大幅に軽減できます。

耐震補強後にカビを防ぐためには、断熱と換気のバランスを最適化することが重要です。以下のポイントを意識することで、湿気のこもりを防ぎ、カビのリスクを低減できます。

① 断熱と換気のバランスを考える

断熱性能を高めることで結露を防ぐことができますが、気密性が高まりすぎると湿気がこもりやすくなるため、換気とのバランスを考える必要があります。

  • 高断熱高気密住宅の場合:機械換気(24時間換気システム)を導入し、湿気をコントロールする
  • 従来の住宅の場合:通気口や換気扇を増設し、自然換気を促進する

② 換気設備を適切に設置する

換気不足はカビの大きな原因となるため、適切な換気設備を導入することが重要です。特に以下のような設備を導入すると、耐震補強後の湿気問題を解決できます。

  • 床下換気扇の設置:床下に湿気がこもらないようにする
  • 壁内部の通気口の設置:壁の内部に湿気がたまらないようにする
  • 浴室・キッチンの換気扇の強化:湿気の発生源から効率的に湿気を排出する

③ 湿気を感知する設備を導入する

最近では、湿度を自動で感知し、換気扇を作動させるセンサー付き換気システムも登場しています。これを活用することで、耐震補強後の湿気問題を効率的に管理できます。

どれだけ気をつけていても、耐震補強後にカビが発生してしまうことがあります。特に、見えない部分で発生したカビは放置すると広がり、住環境や建物の耐久性に悪影響を及ぼします。ここでは、カビが発生した際の対処法と、専門業者に依頼すべきケースについて詳しく解説します。

カビを見つけた場合、放置せずに早急に対処することが大切です。特に、初期段階で対応すれば、被害を最小限に抑えることができます。

① カビの発生箇所を特定する

まずは、カビがどこで発生しているのかを確認しましょう。特に、以下のような場所は見落としがちなので注意が必要です。

  • 壁紙の裏側や押し入れの奥
  • 床下や天井裏などの通気が悪い場所
  • 断熱材の内部(外からは見えないがカビ臭がする場合)

② カビの除去方法を選ぶ

カビの程度によって適切な除去方法が異なります。

  • 軽度のカビ(表面のみ):アルコール(70%以上の消毒用エタノール)やカビ除去剤を使用し、布で拭き取る
  • 中度のカビ(壁や床に根を張っている):洗剤(重曹+水、または酢+水)でこすり落とし、しっかり乾燥させる
  • 重度のカビ(内部に広がっている):自分での除去は難しく、専門業者に依頼するのがベスト

③ 再発防止策を講じる

カビを除去しても、環境が改善されなければ再発してしまいます。以下の方法でカビの再発を防ぎましょう。

  • 湿度管理を徹底する:除湿機を活用し、湿度を50%以下に保つ
  • 換気をこまめに行う:窓を開けたり、換気扇を活用する
  • 防カビ剤を使用する:カビが発生しやすい場所に防カビスプレーを定期的に噴霧する

カビが広範囲にわたって発生していたり、建物の内部にまで侵食していたりする場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。

① プロの調査が必要な状況

以下のようなケースでは、専門業者によるカビ調査を検討しましょう。

  • カビの発生範囲が広く、壁や床に黒い斑点が広がっている
  • カビの臭いが強く、除去してもすぐに戻ってくる
  • 壁の内部や床下にカビが発生している可能性がある(見た目にはわからないが、湿気や異臭がある)

専門業者は、空気中のカビの濃度測定や壁内部の調査を行い、根本的な原因を特定してくれます。

② カビ除去の専門業者に依頼すべきケース

自分で除去しきれない場合は、カビ除去の専門業者に依頼するのが最善です。以下のようなケースでは、プロに対応を任せましょう。

  • 建材の内部までカビが侵食している(天井裏・壁内部・床下など)
  • 健康被害が出ている(咳・アレルギー・目のかゆみ・皮膚炎などの症状)
  • 除去しても何度もカビが再発する

専門業者は、高濃度の防カビ剤や専用の除去機材を使用し、根本的にカビを除去します。また、カビが発生しにくい環境づくりのアドバイスも受けられます。

耐震補強工事は、地震から家を守るために欠かせない工事ですが、カビのリスクを考慮せずに施工すると、健康被害や建物の劣化を引き起こす可能性があります。そのため、施工業者の選び方やアフターメンテナンスの重要性を理解し、適切な対策を講じることが大切です。本章では、カビリスクを考慮した施工業者の選び方と、工事後のメンテナンスのポイントについて詳しく解説します。

耐震補強工事を依頼する際、業者選びは非常に重要です。適切な対策を講じない施工業者に依頼すると、耐震性が向上したにもかかわらず、カビの発生によって住環境が悪化する可能性があります。以下のポイントをチェックして、信頼できる施工業者を選びましょう。

① カビ対策の知識があるか確認する

耐震補強工事では、湿気や通気性の変化がカビ発生の要因となるため、施工業者がカビ対策の知識を持っているかを確認することが重要です。業者に以下のような質問をしてみると、適切な知識を持っているか判断できます。

  • 「耐震補強後の湿気対策はどのように行いますか?」
  • 「カビが発生しやすい場所への対策はありますか?」
  • 「施工後の換気や断熱の工夫はされていますか?」

これらの質問に具体的な回答ができる業者であれば、カビ対策もしっかりと考えた施工をしてくれる可能性が高いです。

② 施工実績と口コミをチェックする

耐震補強の施工実績が豊富な業者であれば、過去の事例をもとに適切な対策を行っている可能性が高いです。業者のホームページや口コミサイトで、以下の点をチェックしましょう。

  • 施工後にカビが発生したとの報告がないか
  • 施工した家の換気や湿気対策についての評価があるか
  • 実際に依頼した人が「丁寧な施工だった」と評価しているか

信頼できる業者を選ぶことで、耐震補強後のカビリスクを最小限に抑えることができます。

耐震補強工事が完了した後も、定期的なメンテナンスを行うことでカビの発生を防ぐことができます。以下のポイントを押さえて、カビが発生しにくい環境を維持しましょう。

① 定期的な湿度管理を行う

耐震補強後は、家の気密性が高まることがあるため、湿度の管理がより重要になります。特に、以下のような対策を実施することで、湿気がこもるのを防げます。

  • 室内の湿度を50%以下に保つ(湿度計を設置し、定期的にチェック)
  • 梅雨時期や冬場の結露対策として除湿機や換気扇を活用する
  • 押し入れやクローゼットは定期的に開けて換気する

湿度管理を徹底することで、カビの発生を未然に防ぐことができます。

② 目に見えない部分の点検を行う

カビは目に見えない場所で発生しやすいため、定期的に点検を行い、異変がないか確認することが大切です。特に、以下のような部分を重点的にチェックしましょう。

  • 床下の湿気:カビ臭がしないか、湿気がこもっていないかを確認する
  • 壁の内部:壁紙が浮いたり、変色したりしていないかをチェックする
  • 押し入れ・クローゼット:湿気がこもっていないか、結露が発生していないか確認する

これらの点を定期的に点検することで、カビの初期段階で対応し、大きな被害を防ぐことができます。

③ 専門業者による定期点検を受ける

耐震補強後の家は、構造が変化しているため、湿気の流れや換気の状態も変わっている可能性があります。定期的に専門業者に点検を依頼し、カビが発生していないかチェックしてもらうのも有効な対策です。

  • 1年に1回は建物の点検を受ける
  • 換気口や通気の状態を確認してもらう
  • カビの発生が疑われる場合は早めに対策を講じる

このようなメンテナンスを行うことで、耐震補強後のカビリスクを大幅に軽減できます。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱とした専門機関です。私たちは、カビが引き起こす健康被害や建物の劣化問題に対処し、室内空気の「見える化」を通じて、健全な住環境を提供することを目的に活動しています。

当協会の設立の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境や建築構造の改善が求められています。私たちは、この法的根拠に基づき、住まいと生活環境を守るための取り組みを行っています。

微生物対策協会の目的

当協会の目的は、環境微生物災害から住環境を守るために、室内や車内の空気中に浮遊する微生物が引き起こす問題についての認識を深め、公衆衛生の向上に寄与することです。また、保健医療や環境保全の観点からも、カビ対策の啓発活動を推進しています。

カビの検査と調査について

室内空気には目に見えないカビや汚染物質が含まれており、それらを長期間吸い込むことで健康被害を引き起こす可能性があります。当協会では、空気中のカビや微生物の有無・濃度を測定し、「見える化」することで、的確な対策を講じるサポートを行っています。

特に、建物内ではカビの被害が圧倒的に多く確認されており、カビ菌は浮遊しながら落下した場所で増殖するため、完全に除去するのが難しいケースもあります。私たちは、見えないカビ・見えるカビの被害を明確にし、安心・安全な住環境を守るための対策を提案しています。

耐震補強工事後のカビ対策や、建物の湿気管理に関するご相談も受け付けています。大切な住まいを長く快適に保つために、ぜひ微生物対策協会の専門的な知見をご活用ください。

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