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2025/07/23   

宿泊中にカビを見つけたらどうする?クレームの伝え方と注意点まとめ

宿泊施設でカビを見つけたとき、どう対応すべきか悩む人が増えています。
【記事を読んで分かること】宿泊施設におけるカビ問題の実態、クレームの伝え方、施設側の対策がわかります。
【記事を読むメリット】トラブル回避と信頼維持のために、宿泊者・施設側の両方が知っておくべき対処法が学べます。

宿泊施設において、カビの問題は意外と多くの現場で発生しています。ホテルや旅館、民泊など、多くの人が出入りする空間では、湿度の管理や清掃の徹底が難しくなるため、気づかないうちにカビが発生してしまうケースが少なくありません。特に梅雨時期や雨天が続く季節には、クレームにつながる可能性が高まるため注意が必要です。

宿泊施設でカビが最も発生しやすいのは、浴室・洗面所・エアコン内部・窓際・壁紙の裏などです。これらの場所は水分や湿気がこもりやすく、換気が不十分になりやすいため、カビが繁殖するには最適な環境といえます。

特に、使用後に十分な換気がされない浴室や、空調フィルターの掃除が行き届いていないエアコン内部は、カビが広がりやすい代表的な箇所です。また、クロスの裏やベッド下など、目に見えにくい場所にも注意が必要です。見た目がきれいでも、実際にはカビの臭いが染みついていることもあります。

施設側が清掃を日常的に行っていたとしても、カビの発生は完全には防ぎきれないのが現実です。特に、建物が古い場合や、湿気がこもりやすい構造の施設では、空調や換気の能力が十分でないケースも多く見られます。さらに、人手不足や清掃マニュアルの曖昧さも、見落としの原因になっています。

また、連続して客が入る人気の施設ほど、換気や除湿の時間が十分に取れないことがあります。その結果、チェックインした宿泊者がカビのにおいや壁のシミに気づき、不快に思いクレームにつながるという流れが発生しやすくなります。

カビは見た目だけでなく、においでも不快感を与えるため、「見えないクレーム」の原因にもなりかねません。定期的な点検や「見える化」された空気管理が、信頼される宿泊施設づくりにおいて不可欠なのです。

宿泊施設でカビを発見したとき、「我慢すべきか」「クレームを入れてよいのか」迷う方は多いです。しかし、カビは健康や快適性に直結する問題です。正しく冷静に対応することが、より良い解決につながります。この章では、宿泊者がとるべき具体的な行動と注意点をご紹介します。

カビを見つけた場合は、できるだけ早くフロントや管理者に伝えることが大切です。その際、感情的に不満をぶつけるよりも、状況を具体的かつ冷静に説明することが、スムーズな対応を引き出すコツです。

たとえば「浴室の壁に黒カビのようなものが見えました」「エアコンからカビのようなにおいがします」など、場所・におい・見た目の特徴を明確に伝えると、施設側も状況を把握しやすくなります。また、対応の記録を残すために、やり取りはできればメモや写真付きで残しておくと安心です。

クレームという言葉にはネガティブな印象がありますが、適切な指摘はサービス改善につながる建設的な意見です。宿泊者自身の快適さを守るためにも、遠慮せず声を上げることは正しい判断といえるでしょう。

カビを発見したら、まずはスマートフォンなどで現場の写真を撮ることをおすすめします。できるだけ明るい照明のもとで、カビの広がり方・場所・状態が分かるように撮影しましょう。また、カビ臭がある場合も、日付と状況を簡単にメモしておくと、後の説明がスムーズです。

ただし、写真を撮ったことを無断でSNSなどに投稿するのは避けましょう。施設側が誠実に対応しようとしているにもかかわらず、先に情報を公開するとトラブルのもとになる場合があります。

また、施設側が謝罪や部屋の変更などの対応を申し出た場合は、その誠意を受け取る姿勢も大切です。宿泊者と施設は対立関係ではなく、快適な滞在を目指すパートナーです。冷静に事実を伝えたうえで、柔軟な対応を心がけることで、トラブルを最小限に抑えることができます。

「たかがカビ」と軽く見られがちですが、カビは見た目の不快感だけでなく、健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。とくに体調を崩しやすい方や、アレルギー体質の方にとっては大きなリスクです。宿泊施設でカビを発見した場合、宿泊者がどのような不安を抱えるか、そして実際にどんな健康被害があるのかを整理しておきましょう。

カビの胞子は非常に微細で、空気中に浮遊しやすく、私たちの呼吸とともに体内に入り込みます。これが原因で起きるのが「カビアレルギー」です。カビアレルギーの症状には、くしゃみ・咳・鼻水・目のかゆみ・皮膚のかぶれなどがあり、特に喘息やアトピー性皮膚炎を持つ方には症状が悪化する危険があります。

また、カビの種類によっては、真菌感染症を引き起こすこともあり、免疫力が落ちている状態では重症化するケースも報告されています。短時間の滞在であっても、カビ臭の強い部屋に長時間いると、気分が悪くなる人もいます。

このように、宿泊施設におけるカビは単なる「清掃不足」では済まされない、健康リスクの一因なのです。

特に注意が必要なのは、子どもや高齢者など免疫力が低い人たちです。乳幼児は呼吸器が未発達で、カビによるアレルギー反応が出やすく、症状が重くなる場合があります。高齢者もまた、体調が安定しにくいため、カビが原因で肺炎や気管支炎を起こすこともあります。

旅行中に体調を崩すことは大きなストレスになりますし、万が一医療機関の受診が必要になれば、宿泊者にとっても施設側にとっても大きな負担になります。そのため、見えないカビへの配慮も「おもてなし」の一環として非常に重要です。

また、敏感な方は「カビのにおい」だけで不安を感じてしまうこともあります。そうした心理的な不快感も、クレームや低評価につながる要因になるため、施設側は「見えない空気の質」にも注意を払うべき時代に入っています。

宿泊施設におけるカビの発生は、清掃の問題にとどまらず、施設全体の管理体制や信頼性にも関わる重要な課題です。クレームや悪評につながる前に、施設側として適切な予防策と定期的な管理体制を整えておくことが不可欠です。この章では、実践的なカビ対策と予防の方法を詳しく解説します。

まず最も基本的で効果的な対策は、清掃作業の精度と頻度を見直すことです。特に浴室、エアコン、壁際、窓枠などカビが好む場所は、見た目がきれいでも内部で繁殖していることがあります。そのため、日常清掃だけでなく、月1回以上の点検・分解清掃を取り入れるのが理想です。

さらに、清掃チェックリストの導入や、スタッフによる異臭・変色の報告体制の整備も効果的です。異変に気づける現場力が高まれば、カビが大きなトラブルに発展する前に対応できます。また、湿度計を設置し、60%を超えたら除湿対応を行うなど、湿度管理の基準も明確にしましょう。

繁忙期こそ、見えない部分の管理を怠らない姿勢が、利用者の信頼につながります。

カビ対策で今注目されているのが、「空気中のカビ菌の見える化」です。これは空気中の微粒子や菌数を測定する専用機器を使い、部屋の空気状態を数値で把握する方法です。数値が高ければ清掃・換気の強化を行うなど、科学的な管理が可能になります。

また、目視だけでは見落とされがちな場所(エアコン内部、ベッド下、壁の裏)には、UVライトや湿度センサーを活用して点検を強化するのも有効です。カビの根本的な原因を把握するには、原因調査を外部専門機関に依頼するのも選択肢のひとつです。

さらに、除湿器の設置や、壁紙に防カビ加工を施すなど、建材レベルでの対策も長期的な予防に繋がります。宿泊者が安心できる空間を提供するには、見える場所だけでなく、空気の質そのものに気を配る姿勢が欠かせません。

カビによるトラブルを完全にゼロにすることは難しくても、「誠実な対応」や「予防への努力」が見える宿泊施設は、宿泊者から高い信頼を得ることができます。実際、カビに関するクレームが起きた際の対応ひとつで、その施設への印象が大きく変わることも少なくありません。この章では、クレームを未然に防ぎ、万一の際にも評価を落とさないための信頼づくりのポイントを解説します。

現代の宿泊施設において、「口コミ」は最大の営業ツールであり、同時にリスクでもあります。万が一カビに関する指摘がレビューに書かれてしまった場合は、放置せず、誠意ある返信をすることが最も重要です。「ご指摘ありがとうございます」「今後の清掃体制に活かします」といった丁寧な姿勢は、他の閲覧者への信頼アピールにもなります。

また、口コミで「清潔だった」「対応が丁寧だった」といったポジティブな声を増やす努力も、ネガティブな印象を打ち消すためには不可欠です。例えば、チェックアウト時に短いアンケートを実施したり、満足度の高かった顧客にレビュー投稿を依頼するなど、良い声を積極的に集めていきましょう。

信頼は一朝一夕では築けませんが、誠実な対応を継続することで、逆に「トラブルがあっても安心できる施設」というプラスの評価につながることもあります。

クレームを未然に防ぐには、宿泊者とのコミュニケーションを密に取ることが何より大切です。たとえばチェックイン時に「何か気になる点があればすぐにお知らせください」と一言伝えるだけでも、宿泊者は「相談しやすい」と感じます。また、部屋に簡単な「清掃・点検済みカード」や「空気環境の測定結果」などを設置するのも信頼度アップに効果的です。

万が一カビの指摘を受けた場合には、すぐに謝罪し、代替案を提示することが重要です。「お部屋の変更」「清掃の再実施」「除菌対応」など、状況に応じて具体的な対応策を提案することで、宿泊者は納得しやすくなります。

また、スタッフ全員に共通した対応マニュアルを共有しておくことで、誰が対応しても一定の品質を保てるようにすることが理想です。施設全体の姿勢が信頼を生み、クレームの発生そのものを減らす最大のカギになります。

一般社団法人 微生物対策協会は、室内環境におけるカビの検査と対策を専門に行う協会です。健康被害や建物の劣化を引き起こすカビに対して、科学的かつ実践的なアプローチで住環境の健全化を目指しています。

当協会の設立は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**を背景としています。この法律では、アレルギー疾患の予防および症状の軽減を目的に、生活環境の改善が強く求められています。私たちはこの法的根拠に基づき、室内の空気環境を整えることを通じて、住む人の健康を支える活動を行っています。

協会の目的は、環境中の微生物による災害から住まいや生活環境を守ることです。とくに室内や車内を浮遊する目に見えないカビなどの微生物が引き起こす健康・衛生リスクについて、一般の方々の理解を深める啓発活動を行っています。また、公衆衛生の向上、保健医療、福祉、環境保全など、幅広い分野と連携した社会貢献も進めています。

具体的な活動として、私たちは空気中に浮遊するカビ菌やその他微粒子の濃度を**「見える化」**し、現場の環境を数値として可視化します。これにより、目に見えない汚染の存在を明らかにし、的確な対策が可能となります。

とくにカビは建物内で最も多く確認される微生物であり、その胞子は空気中を漂い、落下しても容易には死滅しません。だからこそ、カビの発生状況を正しく把握することが、安心・安全な空間づくりには不可欠なのです。

私たち微生物対策協会は、「見えない空気」「見えないカビ」までしっかりと捉え、現代社会に求められる安心できる室内環境の実現をサポートしています。

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