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2025/11/21   

金属サイディングにカビが!? 有機塗装の落とし穴と対策を解説

金属サイディングの外壁にカビが生えてきて「なぜ?」と驚いていませんか?

【記事を読んで分かること】
有機塗装の特性やカビが発生する原因、対処法、再発防止策まで分かります。

【記事を読むメリット】
外壁を長持ちさせながら、美観と防カビ性を両立する正しい対策が身につきます。

金属サイディングは見た目がスタイリッシュで、耐久性も高いため、近年の住宅やリフォームで人気の外壁材です。しかし、そんな金属外壁にもカビが生えてしまうことがあり、「金属なのになぜ?」と疑問を抱く方が少なくありません。実は、カビの原因は素材そのものよりも、表面の塗装や湿気の関係にあるのです。

金属そのものはカビの栄養源にはなりませんが、外壁表面が汚れていたり、湿気が溜まりやすい環境にあると、そこに付着したホコリや油分、排気ガスが栄養となってカビが繁殖します。特に北側や日陰、風通しが悪い場所では湿度が高くなり、雨水も乾きにくいため、表面が常に湿った状態となりカビが生えやすくなります。

金属サイディングには保護と美観を目的として塗装が施されていますが、特に「有機塗装」はアクリルやウレタンなどの樹脂を主成分とするため、カビや藻の栄養になりやすい成分を含みます。さらに、経年劣化により塗膜の表面が劣化すると、そこに汚れが付着しやすくなり、カビが定着しやすくなります。塗装が新しいうちは水を弾いても、年数が経つとその防汚効果が低下し、カビが生える条件が揃ってしまうのです。

外壁塗装には「有機塗装」と「無機塗装」があり、それぞれに特性とメリット・デメリットがあります。カビに強い外壁を保つためには、これらの違いを理解し、目的に合った選択をすることが重要です。

有機塗装は価格が比較的安価で、施工もしやすく、色やツヤのバリエーションも豊富です。しかし、その主成分である樹脂や添加剤が、空気中のカビ菌や藻にとって栄養分となるため、環境によっては表面に汚れやカビが発生しやすくなります。また、紫外線による劣化が進みやすく、5〜10年で再塗装が必要になることもあります。

一方、無機塗装はガラスやセラミックなどの無機物が主成分で、カビや藻の繁殖を抑える特性を持っています。防汚性や耐候性に優れ、15〜20年と長持ちするのが魅力です。雨で汚れが落ちやすいセルフクリーニング機能もあるため、外壁の美観を長く保てます。ただし、初期費用はやや高めで、施工には熟練の技術が必要です。

外壁にカビが発生してしまったら、見た目だけでなく素材や構造への影響も考えなければなりません。ここでは、カビが生えた際に取るべき正しい対処法をご紹介します。

外壁表面に黒ずみや緑色のカビが見える程度であれば、専用の外壁洗浄剤や中性洗剤を使ってブラシで優しくこすり、洗い流すことで除去できます。ただし、力を入れすぎると塗膜を傷める可能性があるため注意が必要です。広範囲の場合は高圧洗浄機の使用が効果的ですが、圧力が強すぎるとサイディングの継ぎ目や塗膜にダメージを与えるため、業者に依頼するのが安心です。

一度カビが生えた外壁は、そのままにしておくと再発しやすくなります。塗膜が劣化している場合は、外壁塗装の塗り替えが効果的です。その際には、防カビ・防藻効果のある塗料やコーティング剤を選ぶことで、再発リスクを大きく減らせます。再塗装は見た目の回復だけでなく、住宅を湿気や紫外線から守るための重要なメンテナンスです。

カビの予防には、塗装だけでなく日頃のケアも欠かせません。湿気の多い日本では、外壁の環境に応じた管理が大切です。

外壁は定期的に水洗いを行い、汚れや湿気を取り除くことでカビの発生を抑えられます。また、クラック(ひび割れ)や塗膜のはがれがないかを目視でチェックし、異常があれば早めに対処することが重要です。雨どいや排水の流れも確認し、水が溜まりやすい部分を放置しないようにしましょう。

外壁の周辺に植木やフェンスなどが密集していると、通気性が悪くなり湿気がこもりやすくなります。できるだけ日光が当たるように配置を工夫したり、風通しを良くすることで、カビの繁殖を抑える効果があります。また、換気扇や排気口から出る空気が直接外壁に当たらないようにするのも、湿気対策には有効です。

金属サイディングは正しくメンテナンスすれば、長く美しさを保つことができます。カビに強い塗料の選定や、信頼できる施工業者との連携が、住まいの品質を維持する鍵になります。

塗料選びは外壁の寿命を大きく左右します。カビに強い塗料には、防カビ剤が配合されたものや、無機成分主体で汚れが付きにくいものがあります。特に、親水性の高い塗料は雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング効果が期待でき、長期間美観を保つことができます。塗料メーカーの保証内容も確認し、目的に合ったものを選ぶことが大切です。

外壁塗装は専門性が高いため、施工業者の選定も重要です。過去の施工事例や保証期間、使用塗料の説明が明確な業者を選ぶことで、施工後の安心感が違います。また、塗り替えの目安は一般的に10〜15年ですが、カビや汚れの状況によっては早めの対応が必要です。定期点検を受けることで、最適なタイミングを見逃さずに済みます。

一般社団法人微生物対策協会は、カビによる健康被害や建物劣化への対策を目的に設立された専門機関です。「カビの検査と対策」に特化し、住宅や商業施設など、あらゆる空間の微生物環境を見える化することで、安全で快適な住環境づくりを支援しています。

私たちの活動の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があり、この法律に基づき、生活環境の改善や建築構造の見直しを推進しています。微生物対策協会では、室内空気中のカビや浮遊微生物を測定し、その数値を元に専門的なカビ対策を提案しています。

外壁などに見られるカビは、見た目だけでなく健康や建物の耐久性にも影響を与えることがあるため、早期発見と適切な処置が重要です。私たちは、検査から改善提案、そして再発防止のアドバイスまで一貫して行い、安心できる住環境の実現をサポートしています。

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