2025/07/21
換気しているのにカビが生える理由とは?24時間換気の落とし穴
24時間換気システムを導入しているのに、なぜかカビが発生して困っていませんか?
【記事を読んで分かること】換気システムの仕組みとトラブル原因、正しい使い方やメンテナンス方法が理解できます。
【記事を読むメリット】カビトラブルを未然に防ぎ、快適で健康的な住環境を保つための具体策が身につきます。
1. 24時間換気システムとは?その目的と仕組み
24時間換気システムは、住宅の空気環境を健康的に保つために設けられた機能で、新築住宅には法律で設置が義務付けられています。その目的は、室内の湿気や有害物質を常に外に排出し、新鮮な空気を取り込むことで、カビの発生やシックハウス症候群の予防につなげることにあります。
1-1. 24時間換気が義務化された背景と法律の概要
2003年に施行された建築基準法の改正により、新築住宅には24時間換気システムの設置が義務付けられました。この改正は、シックハウス症候群などの健康被害を防ぐ目的で行われ、換気量を確保することで室内空気の質を向上させる狙いがあります。24時間換気には第一種、第二種、第三種の3つの方式があり、それぞれ排気・給気の方法が異なりますが、どの方式でも常に空気を入れ替えることが求められます。
1-2. 換気の仕組みと住宅内での空気の流れ
24時間換気システムは、換気扇を通じて室内の汚れた空気を排出し、給気口から新鮮な空気を取り入れます。これにより、室内全体で空気が循環し、湿気や臭い、化学物質などが滞留しにくくなります。空気の流れは計画的に設計されており、排気口と給気口の位置関係や風量のバランスが重要です。また、換気扇は通常弱運転で24時間稼働し、エネルギー効率を考慮しながら換気を維持します。正しい運用により、カビや結露の発生リスクを大幅に低減できます。
2. 24時間換気システムで起こるカビトラブルの原因
24時間換気システムを導入していても、カビが発生するトラブルが起きることがあります。これは換気の不具合や設定の問題、そしてシステムのメンテナンス不足など、さまざまな原因が絡んでいます。ここでは、カビトラブルを引き起こす主な要因を詳しく解説します。
2-1. 換気の不具合や設定ミスによる湿気の蓄積
換気システムが正常に動作していなかったり、運転モードや風量の設定が適切でなかった場合、十分な換気が行われずに湿気が室内にこもってしまいます。特に、24時間換気を一時停止していたり、弱運転に切り替えていても、換気量が不足すると湿気がたまり、カビが繁殖しやすい環境になります。また、給気口や排気口の詰まりや閉塞も空気の流れを妨げ、効果的な換気を妨害します。これらの不具合は知らず知らずのうちにカビの発生リスクを高めてしまうのです。
2-2. 換気システム自体のメンテナンス不足が招く問題
24時間換気システムは定期的なメンテナンスが欠かせません。換気扇のフィルターやダクトにホコリや汚れが溜まると、換気効率が落ち、湿気が十分に排出されなくなります。また、フィルターの汚れがカビの繁殖場所となることもあるため、掃除を怠ると換気システム自体がカビの温床になってしまうケースもあります。加えて、システムの老朽化や部品の劣化によって換気能力が低下することもあるため、定期点検と清掃が非常に重要です。
3. カビトラブルを防ぐための24時間換気の正しい使い方
24時間換気システムは導入すれば終わりではなく、正しい使い方と定期的なメンテナンスが欠かせません。ここでは、カビトラブルを未然に防ぐためのポイントをご紹介します。
3-1. 効果的な換気システムの運用ポイント
24時間換気は常に稼働させることが基本です。運転を止めたり、換気量を過度に絞ったりすると湿気がこもりやすくなります。夏場や冬場のエアコン使用時でも、換気は止めずに弱運転での連続運転を心がけましょう。また、給気口や排気口の開閉状態を常に確認し、閉じている場合は必ず開けておくことが重要です。さらに、窓を全く開けずに換気に頼り切るのではなく、適宜換気扇や窓の開閉を併用すると空気の循環がより良くなります。
3-2. 定期的な掃除・点検で換気性能を維持する方法
換気扇やフィルターの掃除は、季節に一度は行うことをおすすめします。フィルターの汚れは換気効率を大幅に低下させるだけでなく、カビの発生源にもなります。掃除は取扱説明書に従い、優しくホコリを取り除きましょう。また、ダクト内部も年に一度程度は専門業者に点検してもらうと安心です。換気システムの不具合は早期発見・修理がカビ対策のポイントなので、異音や風量の低下を感じたら速やかに専門家へ相談しましょう。
4. 24時間換気システムのトラブル時にすべき対処法
24時間換気システムにトラブルが発生すると、湿気やカビの問題が悪化しやすくなります。トラブルの兆候を見逃さず、適切に対応することが重要です。ここでは、自分でできるチェックと専門業者への相談のタイミングについてご紹介します。
4-1. トラブルの早期発見と業者への相談のタイミング
換気扇から異音がしたり、風量が著しく低下している場合は、すぐに点検が必要です。また、室内にカビ臭が広がっている、結露が増えているなどの症状も換気トラブルのサインです。これらの異変に気づいたら、自己判断での修理は避け、早めに専門業者に連絡して点検・修理を依頼しましょう。特にフィルター交換やダクトの清掃、モーターの点検などはプロに任せるのが安全です。
4-2. 自分でできる簡単なチェックと改善策
まず、給気口や排気口がホコリやゴミで詰まっていないか確認しましょう。フィルターが汚れている場合は掃除や交換を行います。また、換気扇の電源が入っているか、設定が適切かもチェックしてください。換気扇の周囲やダクトからの異臭や水漏れがないかも確認するとよいでしょう。軽度の詰まりや汚れは掃除で改善することもありますが、症状が続く場合は無理をせず専門家に相談することが重要です。
5. カビ被害を未然に防ぐ総合的な住宅環境管理の重要性
24時間換気システムはカビ対策の重要な一手段ですが、それだけでは不十分な場合もあります。室内の湿度や温度管理、掃除や断熱対策など、住宅全体の環境を総合的に整えることがカビの発生を抑制し、健康被害を防ぐために欠かせません。
5-1. 換気以外の湿気対策と温度管理のポイント
湿気はカビの最大の原因であるため、換気に加えて除湿機の活用やエアコンのドライ運転を積極的に取り入れましょう。特に梅雨や夏の高温多湿の季節は、湿度が高くなりがちなので、湿度計で管理し、50%前後を目標に維持することが理想です。また、断熱性能の高い窓や壁を選ぶことで室内の温度差を抑え、結露を減らす効果があります。さらに、カーテンや家具の配置にも工夫し、空気の流れを妨げないようにすることも大切です。
5-2. プロの調査・対策サービスを利用するメリット
住宅全体の環境を効果的に管理するためには、専門家による空気環境の測定やカビの調査が役立ちます。プロの診断により、目に見えないカビや湿気の問題箇所を特定し、最適な対策プランを提案してもらえます。専門業者は、清掃や換気設備のメンテナンスだけでなく、防カビ施工や断熱改修など、住宅全体の改善をサポートします。こうしたサービスを活用することで、快適で安全な住まいを長期的に維持できるのです。
一般社団法人 微生物対策協会とは
一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱に、健康で快適な住環境の実現を目指す専門機関です。カビや微生物が引き起こす健康被害や建物の劣化といった問題に対し、科学的根拠に基づいた検査と対策を提供し、安心安全な空間づくりを支援しています。
平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を背景に設立された当協会は、室内空気の「見える化」を通じて、目に見えないカビや微生物のリスクを数値化し、的確な改善策の提案を行っています。特に、高齢者施設や病院、保育施設など健康リスクの高い環境でのカビ対策に注力しています。
カビは空気中を漂い、落下しても死滅せずに再び繁殖する特性があるため、表面的な掃除だけでは不十分です。当協会は専門機器を用いた空気中のカビ菌測定や環境調査を行い、根本的な対策をサポートします。また、施設職員や住民向けの研修・啓発活動も展開し、衛生管理の意識向上に貢献しています。
「目に見えない空気の汚染を、見える化して健康を守る」――これが一般社団法人微生物対策協会の使命です。