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2025/09/23   

浸水後のカビがヤバい!今すぐやるべきカビ取りと再発防止策

浸水したあと、数日経ってから家の中がカビ臭くなり始めた…そんな経験はありませんか?
【記事を読んで分かること】浸水後のカビ発生メカニズム、カビ取り方法、再発防止策、プロの介入基準が分かります。
【記事を読むメリット】浸水被害によるカビの被害を最小限に抑え、安全で快適な住まいを早期に取り戻す方法が身につきます。

大雨や台風などによって住まいが浸水した後、「とりあえず水が引いたから安心」と思っていませんか? 実はその油断が、数日後にカビの大量発生という深刻なトラブルを招く原因になります。カビは高湿度と汚れを好むため、浸水後の環境はまさに繁殖に最適。しかも放置しておくと、目に見える被害だけでなく、健康や建物の構造にまで悪影響を及ぼす可能性があるのです。

浸水によって家の中に入り込んだ水は、目に見える範囲だけでなく、床下や壁の内部、断熱材の中など、あらゆる隙間に入り込みます。そして、その水分が蒸発しきらないまま残ると、室内の湿度は70%以上にまで上昇し、カビにとって理想的な繁殖環境になります。さらに、浸水によって持ち込まれた泥や汚れには、カビの栄養源となる有機物が豊富に含まれており、これも繁殖を加速させます。特に気温が20〜30度ある時期には、浸水から48時間以内にカビが発生し始めるというデータもあります。つまり、カビは水が引いた後すぐに始まる“静かな侵略者”なのです。

カビの繁殖を放置すると、まず起こるのが「室内の異臭」です。カビ特有の湿った土のような臭いは不快なだけでなく、空気中に胞子が舞い始めるとアレルギーや喘息、皮膚トラブル、倦怠感などの健康被害を引き起こすこともあります。特に小さな子どもや高齢者、アレルギー体質の方はリスクが高まります。また、木材や断熱材にカビが根を張ることで、構造材が腐敗し、建物の耐久性を損なう可能性もあります。たとえ表面を掃除して一時的に綺麗に見えても、内部でカビが残っている限り、再発と悪臭の繰り返しになります。だからこそ、浸水後は「水が引いた後」が本当の始まり。早めの対処がカギになります。

水が引いたあと、「早くカビを取り除かなきゃ」と焦る気持ちは当然ですが、実は正しい順序を踏まなければ、かえってカビを広げてしまう可能性もあります。カビ取りの成功は“初動対応”で決まると言っても過言ではありません。ここでは、カビ取りを始める前にやるべきことと、見落としやすいカビの発生場所について詳しくご紹介します。

まず最初にやるべきことは、「乾燥」です。濡れた床・壁・家具をそのままにしておくと、カビの温床になってしまいます。窓を開けて風通しをよくするサーキュレーターや扇風機で空気を循環させる除湿機を使用するなどして、できるだけ早く乾燥させることが大切です。カビ取り作業は、この乾燥作業が十分に行われたあとで行うのが鉄則です。

また、電源が入るか不明な家電や配線類には触れないようにし、感電リスクに注意しましょう。浸水の程度によっては感電や火災の危険があるため、専門業者の確認を待つのが安全です。

そしてもう一つ重要なのが、マスクと手袋、ゴーグルの着用です。カビの胞子は目に見えず空気中を漂っているため、無防備に吸い込んでしまうと健康に悪影響を及ぼします。特に換気をしながらの作業は必須です。

見落としがちなカビの発生ポイントは、「家具の裏側」「クローゼットの内部」「畳の裏や中」「床下収納の空間」など、日常では確認しにくい場所です。これらの場所は空気が滞留しやすく、湿気が抜けにくいため、カビが集中して繁殖する傾向があります。

また、石膏ボードや壁紙の裏側も要注意です。一見キレイに見える壁でも、内部にカビが発生している場合が多く、臭いや空気の汚れとして表に現れることもあります。

こうした場所のカビは自分では確認しにくいため、臭いが消えない・体調不良が続く・何度掃除してもカビが再発する…といった場合には、プロによるカビの“見える化”検査を受けることも選択肢のひとつです。

乾燥作業を終えた後はいよいよカビ取りの段階です。ただし、自己流で行うとカビを広げてしまったり、健康を害したりする恐れもあるため、安全かつ確実な方法を知っておくことが重要です。ここでは、自分でできる応急的な対処法と、市販のカビ取り剤を使う際の注意点を解説します。

自力でカビを除去する際には、防護対策が最優先です。マスク(できればN95レベル)、ゴム手袋、長袖の作業着、保護メガネを必ず着用してください。そして、部屋はしっかりと換気しながら作業を行いましょう。

除去の手順は以下の通りです:

  1. 乾いたカビの表面を軽く湿らせる(胞子の飛散を防ぐため)
  2. 中性洗剤を含ませた布やスポンジで優しく拭き取る
  3. 取り切れない場合は次の工程で漂白剤を使用する
  4. 拭き取った後、エタノール(70%以上)または消毒用アルコールで消毒
  5. 乾拭きして、最後に十分に乾燥させる

※布製品や紙類に発生したカビは除去が難しいため、廃棄を検討しましょう。無理に使い続けると健康被害につながります。

市販のカビ取り剤には塩素系漂白剤防カビスプレーなどが多く出回っています。特に塩素系の製品は強力で、壁紙やタイルなどに付着した黒カビを一気に落とせる反面、使い方を間違えると人体に害を及ぼす可能性があります。

使用時の注意点:

  • 必ず換気を徹底(密閉空間で使うと危険)
  • 他の洗剤と絶対に混ぜない(有毒ガスが発生する)
  • 子どもやペットが触れないように注意する
  • 素材に合った製品を選ぶ(木材・布には不適な場合あり)

また、強い薬剤を使っても、根が奥まで入り込んだカビは除去しきれないことがあります。表面的にきれいに見えても、内部で再びカビが広がるケースも多いため、繰り返し発生する場合には専門業者の施工を検討しましょう。

カビ取りをしても、「数週間後にまた同じ場所に生えてきた…」という経験をされた方は多いのではないでしょうか?カビは根を残して繁殖する性質があるため、表面的な掃除だけでは再発を防ぐことが難しいのです。特に浸水後は建材の中に水分が長期間残りやすく、カビが再び広がるリスクが非常に高くなります。ここでは、再発を防ぐための具体的な対策方法をご紹介します。

カビ再発の最大の原因は「乾燥不足」です。水が引いた後に見た目が乾いていても、壁の中や床下には水分が長く残っている場合があります。そのため、長期間の乾燥と徹底的な除湿が必要です。

効果的な乾燥方法としては:

  • 除湿機を24時間稼働(湿度を常に50%以下に保つ)
  • サーキュレーターで空気を循環させる
  • 家具を壁から離し、風が通るようにする
  • 畳やマットレスなど吸湿性の高いものは思い切って交換

また、床下が浸水した場合は、床を一時的に開けて乾燥させることも検討が必要です。特にマンションや戸建ての1階部分では、床下の湿気が室内の湿度に影響することが多いため、乾燥状態を確認し、必要に応じて床下換気扇の設置断熱材の張り替えなども視野に入れましょう。

物理的な乾燥に加えて、再発を防ぐために有効なのが防カビコーティングです。防カビ剤は市販でも手に入りますが、プロ用の長期効果型コーティング剤は、表面だけでなく素材内部まで浸透して、カビ菌の活動を抑える効果があります。

おすすめの防カビ策:

  • アルコール除菌を定期的に行う(70%以上の濃度)
  • 防カビ剤を壁や木材、収納内部に塗布する
  • クローゼット・押し入れには除湿剤を常備する
  • 換気の習慣を徹底する(朝晩10分以上)

また、「におい」や「湿気」を感じたら即チェックするクセをつけることも重要です。カビは気付かないうちに進行するため、小さな異変に早く気付くことが再発防止のカギとなります。

浸水後のカビ対策は、自分で対応できる範囲もありますが、状況によっては個人での処理が難しくなるケースもあります。見えない場所にカビが広がっていたり、体調不良が出ているような場合は、すでに“プロの出番”です。ここでは、自力では対応しきれないケースと、プロに依頼する際のポイントをお伝えします。

以下のようなケースに該当する場合は、すぐに専門業者に相談することをおすすめします:

  • 何度掃除しても同じ場所にカビが再発する
  • 壁紙の裏や床下からカビ臭がする
  • 家具や建材にカビが深く浸透している(色が抜けていたり変色)
  • 家族にアレルギー症状や体調不良が出ている
  • 浸水の範囲が広く、全体の確認や処理が難しい

特に、壁内部・天井裏・床下のような構造内部のカビは、個人の目や手では届かない場所にあるため、見逃しや処理漏れが多く、結果として再発や被害の拡大を招きます。また、住宅の構造材がカビで腐食している場合は、建物自体の寿命にも関わるため、早急な対応が必要です。

専門業者に依頼すると、まずは**「カビの見える化」検査を実施します。これは、空気中に浮遊するカビ胞子の量を数値で測定したり、壁内部・床下などの隠れたカビを専用の機器で可視化する作業**です。これにより、家のどこにカビが存在しているのかを正確に把握することができます。

施工内容としては:

  • カビ除去(物理的・化学的処理)
  • 防カビコーティングの塗布
  • 室内環境の調整(除湿・換気の設計)
  • 必要に応じた建材の交換や補修

さらに、施工前後で空気中のカビ量を比較し、効果を数値で確認できるレポートを提出してくれる業者もあります。これは、健康被害への不安を抱える家族にとって、大きな安心材料となります。

費用はケースバイケースですが、被害が広がる前に早めに依頼することで、最終的なコストを抑えることが可能です。少しでも「これは手に負えないかも…」と感じたら、迷わずプロに相談してみましょう。

一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を専門に扱う協会として設立されました。昨今、住宅の浸水や湿気の増加によって、カビによる健康被害や建物の劣化といった問題が社会的に注目されています。こうした背景のもと、当協会では、**室内空気の「見える化」**を通じて、人々の健康と快適な住環境を守ることを目的とした活動を行っています。

この活動の根拠となるのは、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」です。この法律は、アレルギー症状の予防や軽減のために生活環境の改善を推進することを掲げており、当協会もこの法的背景をもとに、住環境の微生物対策に取り組んでいます。

私たちの目的は、環境中に存在する目に見えない微生物災害から住まいと生活を守ることです。特に空気中や車内に浮遊する微生物(主にカビ)によって引き起こされる健康トラブルを防ぐため、検査・調査・啓発活動を通じて、人々の理解を深め、公衆衛生の向上に寄与しています。

当協会では、空気中のカビ胞子や汚染物質を測定し、「見える化」する技術を活用しています。たとえば、見た目では分からない壁の裏や床下のカビも、専門機器を用いて検出し、的確な対策を講じることが可能です。これにより、家の安全性や居住者の健康を長期的に守ることができます。

カビは一度発生すると、空気中を浮遊し、落下しても死滅せず、再び広がる性質を持っています。つまり、表面的な掃除では根本解決にはなりません。正確な状況把握と科学的な対処が必要不可欠です。

これからの時代、安心・安全な住環境が求められる中で、微生物対策協会は「見えないリスクを見える化」し、健やかな暮らしを支えるパートナーとして、皆さまの暮らしに寄り添ってまいります。

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