2025/09/13
台風が過ぎ去ったあと、家の中に突然カビが発生していませんか?
【記事を読んで分かること】台風後にカビが増える原因と、発生しやすい場所・対処法がわかります。
【記事を読むメリット】カビ被害を未然に防ぐ知識が身につき、健康と住まいを守る行動が取れるようになります。
1. 台風の後にカビが急増するのはなぜ?
台風が過ぎた直後、家の中に「なんとなくカビ臭い」「見たことのない黒ずみが…」と感じたことはありませんか?これは偶然ではなく、台風によってカビが発生しやすい環境が一気に整ってしまった結果です。台風は雨や風だけでなく、湿度、気圧、換気状況など住宅環境に大きな影響を及ぼします。特に密閉された室内では、その影響が数日間も残り、カビの繁殖が一気に進行してしまうのです。
1-1. 台風による気象変化と湿気の急増
台風は短時間で大量の雨をもたらし、湿度が一気に上昇します。特に日本のような高温多湿な気候では、台風の前後で空気中の水分量が極端に増加し、家の中の湿気も跳ね上がります。この湿度の急激な上昇こそが、カビにとって絶好の環境です。さらに、強風によって窓やドアの隙間から雨水が侵入し、室内の壁や床、家具などを濡らしてしまうこともあります。この濡れた部分がしっかり乾かないまま放置されると、数日以内にカビが発生してしまうのです。また、台風の影響で気温が下がりすぎると、壁や窓ガラスに結露が発生しやすくなり、これもまたカビの繁殖を促進します。
1-2. 雨漏りがなくてもカビが生える理由とは?
「うちは雨漏りしてないから大丈夫」と安心していませんか?実は、**雨漏りがなくてもカビは発生します。**その理由は、湿気の滞留と換気不足にあります。台風時は窓を閉め切ることが多く、風雨を防ぐために家全体が密閉状態になります。この結果、室内の湿気がこもり、普段なら乾燥している場所でも湿度が高くなります。さらに、電気が止まってエアコンや換気扇が使えなくなった場合は、空気の流れが完全に止まり、湿気が抜けなくなるのです。そのまま放置すると、目に見えない場所——たとえば押し入れの中、家具の裏、カーテンの裏側などにカビが発生してしまいます。つまり、雨漏りがなくても、湿度と空気の停滞があるだけで、カビは十分に繁殖してしまうということです。
2. 台風後にカビが発生しやすい場所とは?
台風のあと、家の中は見た目に変化がなくても、湿気が残りやすい状態になっています。とくに普段は気づきにくい場所ほど湿度がこもりやすく、カビが真っ先に繁殖するポイントになります。この章では、台風後に特にカビが発生しやすい具体的な場所について説明します。
2-1. 見逃されがちな床下・押し入れ・窓枠まわり
まず注意すべきは、床下や押し入れ、窓枠まわりです。台風で地面が湿った状態が続くと、床下の通気性が悪い住宅では湿気が内部にこもり、木材部分にカビが繁殖しやすくなります。これが進行すると、床材がふわふわしたり、カビ臭が強まったりと、建物自体の劣化にもつながります。
次に押し入れですが、台風時は窓を開けず、換気が不十分になるため、家全体の空気が停滞します。特に布団や衣類が詰まった押し入れの奥は、空気がほとんど入らず、湿度が急上昇。ここにカビが発生しても、気づくまでに時間がかかりがちです。
そして、窓枠やサッシ部分。台風での強い雨風によって、窓の周囲に微量の水が入り込み、そのまま結露と混ざってカビの発生源になります。とくにアルミサッシの内側やゴムパッキン部分は、乾きにくくカビが根を張りやすい場所です。
2-2. エアコン内部や換気扇がカビの温床になる理由
見落とされやすいのが、エアコン内部です。夏に冷房をフル稼働したあとのエアコンは、内部に水分が溜まりやすくなっています。そこに台風の高湿度が加わると、スイッチを入れていなくても内部でカビが増殖しやすくなるのです。エアコンを再び使用したときに、カビの胞子を部屋中にまき散らしてしまう可能性もあり、健康被害にもつながります。
また、換気扇や通気口も要注意。台風中は換気扇を止めたり、カバーを閉めたりすることが多く、内部に湿気がこもってしまう状態になります。そのまま放置すると、ダクト内やファン部分にカビが発生してしまいます。見えない場所であるため、気づきにくいですが、においや風量の変化などがサインになることもあります。
3. 台風直後の行動がカビ発生を左右する
カビの発生は、台風そのものよりも「台風が過ぎた後の行動」によって大きく左右されます。湿気が残った状態で何もしなければ、カビはわずか24〜48時間で目に見えるほど繁殖することもあります。逆に、適切なタイミングで空気を動かし、湿度をコントロールできれば、カビを未然に防ぐことが可能です。
3-1. 停電時の換気不足と高湿度のリスク
台風時に停電が起きると、エアコンや除湿機、換気扇などの電化製品が使えなくなり、室内の空気の流れが完全に止まります。これにより湿度がこもり、結露が発生しやすくなるため、カビにとっては最適な環境が整ってしまいます。
特に、停電中に雨で窓を閉め切っていた場合、部屋の空気はほとんど循環せず、押し入れ・クローゼット・浴室などが一気にカビの温床になります。加えて、台風後に電気が復旧しても、すぐに除湿や換気をしないと湿気は建材や家具に吸収されたままになり、数日後にカビが一気に広がる可能性が高まります。
停電時には、電気が復旧したら最初にエアコンの除湿モードや換気扇を稼働させることが、被害を最小限にするポイントです。
3-2. 乾燥よりも「通気」が重要な理由
カビ対策というと「乾燥させる」ことが大切と思いがちですが、実は**乾燥以上に重要なのが“通気”**です。いくら空間が乾いていても、空気が動いていない状態では湿気が一点に集中し、そこからカビが発生してしまいます。
たとえば、布団を敷きっぱなしにしていたり、家具を壁にぴったりくっつけていたりすると、裏側に湿気がたまりやすくなります。台風の後は、窓を開けて風を通すこと、家具を少し壁から離すこと、布団を上げて床の通気を確保することがシンプルながら非常に効果的です。
さらに、除湿機を使う場合も、同じ場所に置き続けるのではなく、部屋ごとに順番に移動させながら使用することで、家全体の湿度バランスを整えることができます。
4. 台風後すぐにできるカビ対策と応急処置
台風が過ぎ去ったら、カビを発生させないために**「すぐにやるべきこと」**があります。対応が1日遅れるだけで、目に見えるカビが現れ、被害が拡大する恐れも。ここでは、特別な道具がなくても家庭でできる応急処置と、確実にカビを防ぐ行動について具体的に紹介します。
4-1. 扇風機・除湿機・エアコンの正しい使い方
台風直後は、まず湿気を取り除くことが最優先です。おすすめは次の3つの家電の使い方です:
- 扇風機:空気を動かすことが最優先。湿気は停滞した空気に集まりやすいため、扇風機を部屋の対角線上に2台設置し、空気を回すことで湿度を均等に散らすことができます。
- 除湿機:湿度が60%を超えるとカビのリスクが急増するため、まずは除湿機を使って湿度50%以下を目指しましょう。浴室や押し入れなど「湿気がこもりやすい場所」から順に稼働させるのが効果的です。
- エアコンの除湿モード:普段冷房だけ使っている方も、ドライ(除湿)モードに切り替えることで、室内の空気全体の湿度をコントロールできます。電気が復旧したら、まずはこれを動かすのがベストです。
特に湿度が高いままの状態では、数時間でカビの胞子が活動を始めるため、「早く」「広範囲に」乾かすことがポイントです。
4-2. 家の中のカビを防ぐ清掃と除菌のポイント
水が入り込んだ、または湿ったと思われる場所は、乾燥させるだけでは不十分な場合があります。しっかりと清掃と除菌を行うことが重要です。
- 拭き取り掃除:濡れた壁や床、家具の裏などは、アルコール除菌スプレーやエタノールを使って丁寧に拭き取ります。特にゴムパッキン、木材の継ぎ目、サッシの隙間はカビの温床になりやすい場所です。
- カビの初期兆候を見逃さない:「においがこもっている」「黒ずみがうっすら出てきた」などのサインを感じたら、すぐに漂白剤系のカビ取り剤で処理しましょう。放置すると根が深くなり、市販品では除去できなくなる可能性があります。
- 使用した雑巾やスポンジは即廃棄:カビの胞子が付着している可能性が高く、再使用すると他の場所へ菌を広げてしまうことがあります。拭き掃除後は使い捨てるか、熱湯や漂白剤でしっかり消毒しましょう。
清掃は「カビが見えてから」ではなく、「湿気を感じた時点で」行うことが、被害を未然に防ぐコツです。
5. カビ被害がひどいときは専門家に相談を
台風後の湿気対策や応急処置を行っても、すでにカビが広がってしまっていたり、体調に異変を感じるようであれば、自己対応では限界があります。そのような場合は、迷わず専門家に相談することが安全で確実な選択です。ここでは、専門家に依頼すべきサインと、そのメリットについて解説します。
5-1. カビを放置すると起こる健康・建物への影響
カビは見た目に黒ずんでいるだけではありません。空気中に胞子を放出し続けることで、私たちの健康に影響を与えます。特に注意が必要なのが以下の症状です:
- 咳やくしゃみ、鼻水が続く
- 頭痛や倦怠感、集中力の低下
- 皮膚のかゆみや湿疹
- 喘息やアレルギー症状の悪化
また、建物にとってもカビは大敵です。木材を腐らせたり、断熱材を劣化させたりするため、放置すれば住まいの寿命を縮めてしまうことになります。目に見えるカビが広範囲にわたっていたり、壁紙の裏や床下からカビ臭がするようであれば、すでに内部まで浸食されている可能性が高く、早急な対応が必要です。
5-2. 検査とプロの除去で根本から安心する方法
専門家に相談するメリットは、「見える部分だけでなく、見えない部分のカビも徹底的に調査・除去してくれる」点にあります。
たとえば、微生物対策の専門機関では、空気中に漂うカビの胞子や細菌を専用の機材で検査し、室内のどこにどれだけのカビが存在しているのかを数値化できます。この「見える化」によって、対策すべき場所や再発リスクのある箇所が明確になるのです。
さらに、除去作業では人体にやさしい専用薬剤や機器を使用し、徹底的にカビを取り除くことが可能。自力での対応ではどうしても不安が残る場合でも、専門業者のノウハウと技術があれば、根本からカビを断ち切ることができます。
台風後のカビ被害は「あとからじわじわ影響が出てくる」ことも多いため、少しでも異変を感じたら、早めの相談が住まいと健康を守る第一歩です。
一般社団法人 微生物対策協会とは
一般社団法人 微生物対策協会は、住まいの中に潜むカビや微生物による被害から、健康と快適な生活環境を守ることを目的に設立された団体です。特に、カビの検査と対策に特化した活動を行い、空気中に見えない微生物の「見える化」を通じて、安全な住環境の維持を支援しています。
当協会の活動の根拠は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」にあります。この法律では、アレルギーや健康被害の原因となる生活環境を改善することが求められており、私たちはその趣旨に基づき、建築構造や空気環境の調査・改善に取り組んでいます。
カビによる被害は、健康リスクだけでなく、建物の寿命や資産価値にも深刻な影響を与えます。私たちは、以下のような目的を掲げて活動しています:
- 室内や車内に浮遊する微生物のリスクを科学的に調査し、正しく理解してもらう
- 環境微生物災害(主にカビ)から生活環境を守る
- 保健医療・福祉・環境保全の向上に寄与する
- 「安心・安全な住まいづくり」を支援する
当協会では、空気中のカビや細菌の濃度を測定する検査を行い、一般家庭やオフィス、病院、学校などで「どこにどんな微生物がどの程度存在しているのか」を明確にします。この検査によって、表面的には見えないリスクを可視化し、効果的かつ具体的な対策を講じることが可能になります。
特にカビ菌は、空気中を漂い、落下しても死滅せず、時間が経つと再び繁殖を始めます。そのため、被害状況の正確な把握と、根本的な除去・予防対策が求められるのです。
一般社団法人 微生物対策協会は、目に見えない脅威であるカビや細菌に対し、確かな知識と技術で立ち向かい、すべての人が健康で安心して暮らせる環境づくりをサポートしています。