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2025/10/04   

カビの原因は断熱不足だった!?結露が止まらない家の共通点を徹底解説

カビや結露が繰り返し発生して困っている原因は、断熱不足かもしれません。

【記事を読んで分かること】
断熱不足がなぜ結露やカビを引き起こすのか、その原因と対策を詳しく解説しています。

【記事を読むメリット】
住まいのカビや結露を根本から防ぐための知識と、具体的な改善方法がわかります。

カビと結露は、住宅における「不快」「不健康」「劣化」の三大トラブルの一つといっても過言ではありません。この2つは密接に関係しており、結露が発生する環境=カビが繁殖しやすい環境とも言えます。特に「断熱不足」の住まいでは、こうした現象が繰り返し起こるリスクが高まります。まずは、結露とカビの発生メカニズムを正しく理解することが大切です。

結露とは、空気中の水蒸気が冷たいものに触れることで水滴となって現れる現象です。もっと簡単に言えば、**「暖かい空気が冷やされたときに起こる湿気の変化」**です。冬の朝、窓ガラスにびっしりと水滴がついているのを見たことがあると思います。あれがまさに結露です。

結露が起こると、壁や床、家具、カーテンなどが濡れた状態になります。この湿った環境こそ、カビにとって絶好の繁殖条件です。カビは湿度が60%以上、温度が20〜30℃の環境で活発に成長します。つまり、冬に暖房を使って暖かくなった室内で、結露によって局所的に湿度が高くなると、そこがカビの温床になってしまうのです。

そして一度カビが発生すると、胞子が空気中に広がり、他の場所にも被害が拡大します。これが「カビ→結露→さらにカビ」の悪循環を生み出してしまうのです。

断熱性能が低い住宅では、室内の温度が外気の影響を受けやすく、表面温度が下がりやすい傾向があります。とくに外気に面した壁や天井、窓などは、断熱が弱いと冷えやすくなり、そこに暖かく湿った室内空気が触れることで結露が発生します。

たとえば、壁の内側が冷たくなっている状態では、見た目ではわからなくても、内部で結露が発生している可能性があります。これが続くと、壁紙の裏や石膏ボードの中でカビが静かに広がり、数年後には構造材の腐食や健康被害へとつながる危険性もあるのです。

断熱不足は、単に「寒い」「暑い」という体感温度の問題だけではなく、結露とカビのリスクを高める根本的な要因にもなっているのです。

断熱が不十分な住まいでは、カビや結露が「どこで」「なぜ」発生するのかを把握することが重要です。断熱材が入っていない、または不適切に施工された部分があると、そこが冷たい面となり、湿った空気に触れて結露を引き起こします。そして、その水分がカビの発生源になるのです。ここでは、断熱不足によって起こりやすいトラブル事例を詳しく見ていきます。

断熱不足による結露・カビの典型的な発生箇所は以下のとおりです。

窓ガラスやサッシ周辺
アルミサッシや単板ガラスなど、断熱性の低い窓は冬になると急激に冷えます。そこに室内の湿った空気が触れることで、大量の結露が発生し、窓枠やカーテンがカビだらけになるケースがよく見られます。

外壁に面した壁の内部や表面
断熱材が不十分だったり、施工が不均一だったりすると、壁の内側で結露が発生します。特に角部屋や北側の部屋は冷えやすく、壁紙の裏や収納の奥などでカビが繁殖していることもあります。

天井や梁の近く
屋根断熱が不十分な場合、天井裏が冷やされて、天井付近の表面温度が下がります。冬場に室内の湿った空気が上昇し、天井に結露→カビの発生という流れになるのです。

これらの場所は日常生活の中ではあまり意識しない部分ですが、見えないところでじわじわと進行していることが多いため、早期の発見と対応が求められます。

賃貸住宅では、コストや施工基準の関係で断熱が最低限しか施されていない物件も多く、特に築年数が古い物件では窓からの冷気、壁の冷たさ、結露の放置がカビの原因になっていることがあります。さらに、賃貸ではリフォームや断熱材の追加が難しいため、根本的な改善ができず、カビが繰り返し発生するという悪循環になりがちです。

戸建て住宅でも油断はできません。とくにローコスト住宅では、断熱材の施工不良や、設計上の「断熱の切れ目(サーマルブリッジ)」が発生しやすくなります。これが局所的な冷却を招き、そこが結露とカビの発生源になるのです。

また、リフォーム時の断熱の見落としも危険です。内装だけ新しくしても、壁の中に断熱材を追加しなければ、見た目はきれいでも、数年後にカビや腐食が発覚することがあります。

賃貸・戸建てを問わず、断熱不足のサインに早く気づき、「湿気がたまりそうな場所を先回りして対処する」ことがカビ対策の第一歩です。

「うちだけ毎年カビが出る」「結露がひどいのは構造のせい?」——こんな疑問を持っている方は多いはずです。実は、**家の設計や構造によって、カビや結露が起きやすい条件がそろってしまうことがあります。**この章では、カビや結露の発生しやすい家の共通点を、断熱と気密の観点からわかりやすく解説します。

断熱性と気密性は、住宅の快適性を左右する重要な要素ですが、この2つのバランスが崩れると、カビや結露の原因になりやすくなります。

たとえば、断熱性はそこそこあるのに気密性が低い家では、隙間風とともに冷たい外気が侵入し、断熱材の効果が打ち消されることになります。その結果、室内の暖かい空気が冷やされて結露が起こり、壁や窓まわりにカビが発生するのです。

逆に、気密性が高すぎて換気が不十分な家も危険です。湿気がこもりやすくなり、内部結露や空気のよどみが起こり、結果としてカビの繁殖につながる恐れがあります。

つまり、カビや結露を防ぐには、「断熱性が高い」「気密性が適切」「換気がきちんと機能している」という3つがそろっていなければなりません。どれかひとつでも欠けると、見た目では分からないカビのリスクが潜んでいることになります。

築年数の古い住宅では、そもそも断熱材がほとんど入っていない、あるいは断熱基準が現在より大幅に劣っているケースが多くあります。そのため、外気の影響を強く受け、壁や床が冷えやすく、結露が起きやすいのです。

また、北向きの部屋は日当たりが悪く、温まりにくいという特性があります。そのため、冬場は特に表面温度が低くなりやすく、結露やカビが発生しやすい場所となります。押し入れの中、壁と家具の隙間、窓枠の下など、風通しが悪く湿気がたまりやすい箇所には要注意です。

特に以下のような特徴がある家は、カビの温床になりやすいため注意が必要です:

  • 築20年以上の木造住宅
  • 北側にリビングや寝室がある
  • 二重窓になっていない単板ガラスの窓を使用
  • 押し入れやクローゼットが壁の外側(外気に面している)についている

このような構造的な要因に加えて、**湿気を出す生活習慣(室内干し、加湿器の多用など)**が重なると、さらにカビが発生しやすくなります。

カビや結露の主な原因が「断熱不足」にある場合、対処方法は放置ではなく“対策”です。特に冬場は、温度差と湿気のコントロールがカビの繁殖を防ぐ鍵になります。断熱を強化する方法だけでなく、賃貸住宅でも実践できる工夫もあるため、自分の住環境に合った対策を取り入れていきましょう。

戸建てや持ち家でカビや結露に悩んでいるなら、リフォームでの断熱補強が根本解決の近道です。特に次のような場所の断熱改善は、カビの発生を大幅に減らす効果があります。

  • 窓の断熱強化:単板ガラスを複層ガラス(ペアガラス)や内窓(二重窓)に変えることで、冷気を遮断し結露の発生を抑えられます。
  • 壁の断熱材追加:外壁リフォーム時に断熱材を追加するか、内壁に断熱ボードを張る方法があります。
  • 床下・天井の断熱補強:冷気が上がりやすい床や、熱が逃げやすい天井裏に断熱材を敷くことで、室温が安定し結露リスクを減らします。

これらの対策は一時的な“見た目の修繕”ではなく、根本からカビの原因を断つ施工になります。特に冬の寒さが厳しい地域や、日当たりの悪い北側の部屋では大きな効果が期待できます。

また、断熱強化と同時に計画換気の見直しも行うと、湿気の排出がスムーズになり、より効果的にカビ対策が可能になります。

賃貸住宅では大規模なリフォームが難しいため、「できる範囲での工夫」が必要になります。ですが、小さな工夫の積み重ねでも、カビの予防効果は十分に期待できます。

以下の方法は、費用も手間も少なく、すぐに始められる対策です。

  • 断熱シート・窓用フィルムの活用:窓ガラスに貼るだけで、冷気の侵入と結露を軽減します。見た目も目立たず、賃貸でも安心。
  • 家具の配置を工夫:壁にぴったり付けず、数cm離して空気の通り道を確保すると、湿気がたまりにくくなります。
  • こまめな換気と除湿機の併用:冬でも毎日10〜15分程度の換気を行い、湿気がこもらないようにしましょう。除湿機や換気扇を併用することで効果がアップします。
  • 湿度計で室内管理:湿度が60%を超えるとカビの繁殖リスクが上がるため、常にチェックできるようにしておくと安心です。

さらに、結露が出たらすぐに拭き取るという基本的な習慣も大切です。毎日の小さな対応が、カビの根を張らせない第一歩になります。

カビや結露の被害は「気づいたときには広がっていた」というケースが非常に多く見られます。原因は、カビの多くが目に見えない場所で静かに繁殖するからです。だからこそ、効果的な対策をするにはまず、室内環境の状態を“見える化”することが第一歩になります。この章では、カビを未然に防ぐためにできるチェック方法と、専門家のサポートを活用すべきタイミングを紹介します。

カビは「湿度60%以上」「温度20〜30℃」で活発に繁殖します。つまり、この条件を回避するために日常的な数値管理が必要ということです。もっとも簡単で有効な方法は、以下の2つです:

  • 湿度計・温度計の設置
    市販のデジタル湿温度計で十分です。リビングや寝室、押し入れ、北側の部屋など、結露が出やすい場所に設置しておきましょう。目に見える場所に置くだけで、自然と「今日は湿度が高いから換気しよう」といった意識が生まれます。
  • スマート家電との連携
    最近では、スマホで湿度を通知してくれるIoT湿度計も登場しています。湿度が設定値を超えると通知が届いたり、自動で除湿機をONにしたりと、手間なく湿度管理ができるのも大きな魅力です。

こうした“気づき”があることで、「まだ見えないカビ」や「発生前の結露」に先手を打てるようになります。

「なんとなくカビ臭い気がする」「壁の中や床下が心配」…そんな不安を感じたら、専門家に調査を依頼するタイミングかもしれません。特に以下のような状況では、自己判断せずにプロの検査を受けることをおすすめします。

  • 壁紙の裏や押し入れ奥にカビが見える
  • 24時間換気していても結露が改善されない
  • 家族にアレルギーや体調不良の症状が出始めた
  • 過去に雨漏りや水漏れのあった箇所がある
  • リフォームや建て替えの予定がある

専門業者によるカビ検査では、空気中の浮遊カビの濃度測定や、結露・湿度環境の可視化調査目視できない箇所の赤外線診断などが行われます。これにより、「どこに・どの程度・何の原因で」カビが発生しているのかが明確になります。

そして、調査結果に基づいて最適な対策を提案してもらえるため、無駄のない改善が可能になります。特に、構造内部まで被害が進んでいる場合は早期発見が重要です。見えないカビの存在を把握し、正確に対処することが、健康と住まいを守るための第一歩なのです。]

一般社団法人微生物対策協会は、カビの検査と対策を専門に行う団体です。私たちが暮らす住宅や建物の中には、目には見えない微生物が数多く存在し、中でもカビは、健康被害や建材の劣化といった深刻な問題を引き起こす代表的な存在です。こうした問題に対応するため、当協会では**室内空気の「見える化」**を通じて、快適で安全な住環境の実現を目指しています。

当協会の活動は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**に基づいており、この法律には、アレルギー疾患の予防と症状の軽減のために、生活環境や建築構造の改善を図ることが求められています。この法的根拠のもと、私たちはカビによるリスクに正面から取り組み、公衆衛生の向上に貢献する活動を行っています。

具体的な取り組みとしては、住宅内や車内に浮遊するカビや微生物の検査・調査を実施し、その有無や濃度、種類を科学的に分析しています。空気中に漂うカビは肉眼では確認できませんが、私たちはこれを「見える化」することで、住まいのリスクを正確に把握し、最適な対策へとつなげます。

特に近年では、カビによるアレルギー、喘息、シックハウス症候群などの健康被害が社会問題化しており、安全で清潔な空間づくりが求められています。カビは、壁の裏や床下、エアコン内部など、目に見えない場所で静かに繁殖し、気づいたときには広範囲に広がっていることも珍しくありません。

当協会では、そうした「見えないカビ」にも目を向け、専門の調査機器やノウハウを活用して、住まい全体の衛生状態を正確に診断します。そして、調査結果に基づいた的確なアドバイスや改善提案を行い、皆さまの健康と住環境の安心を守るお手伝いをしています。

快適な住まいとは、目に見える美しさだけでなく、「空気の質」や「湿気管理」といった見えない要素まで整った空間です。一般社団法人微生物対策協会は、そうした本質的な快適さを実現するために、これからも知識と技術を駆使して活動を続けてまいります。

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