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2025/04/25   

カビが犬に与える健康リスクとは?発生原因と対処法まとめ

犬が突然かゆがったり咳をする原因が、実は「カビ」によるものかもしれません。
【記事を読んで分かること】この記事では、犬に影響を与えるカビの原因と、家庭内での注意点を解説します。
【記事を読むメリット】カビによる健康被害を防ぐために、飼い主ができる環境改善と予防方法が分かります。

犬の健康を脅かすカビ。その原因と発生環境、見逃しやすい症状、そして飼い主が今すぐできる対策までを詳しく解説。カビ対策で愛犬の健康を守りましょう!

カビは私たち人間だけでなく、犬にとっても見逃せない健康リスクのひとつです。室内で発生したカビの胞子は空気中に漂い、それを吸い込んだり、皮膚に付着したりすることで、犬の身体にさまざまな影響を及ぼします。犬は私たち以上に床や壁に近い場所で過ごすため、カビの影響を受けやすい環境にあると言えるでしょう。

犬がカビによって健康を損なうメカニズムは、大きく分けて「吸入」「接触」「摂取」の3つです。まず、カビの胞子を吸い込むことで、呼吸器に炎症を起こすことがあります。特にアスペルギルスと呼ばれるカビは、犬の肺に感染し、重度の肺炎を引き起こす可能性があります。

次に、カビが犬の皮膚に接触することによる皮膚炎です。床やクッション、ブランケットなどに繁殖したカビが皮膚に触れると、赤みやかゆみ、脱毛などの症状が出ることがあります。また、犬がカビの生えた食品やおやつを口にしてしまった場合、消化器系にもダメージが及び、嘔吐や下痢などの中毒症状が見られることもあります。

これらの被害は初期段階では気づきにくく、気づいたときには症状が進行していることもあるため、日常の中での変化に敏感になることが大切です。

実際に、カビが原因で犬に体調不良が見られるケースは少なくありません。たとえば、慢性的に咳をする目ヤニや鼻水が増える体をかゆがる仕草が頻繁に見られるなどは、カビによる影響を疑うサインです。さらに、食欲が落ちて元気がない、皮膚に赤みやただれが出てきた、下痢や嘔吐が続くといった症状がある場合は、カビによる健康被害が進行している可能性もあります。

特に注意したいのは、免疫力がまだ整っていない子犬や高齢犬、持病を持っている犬です。こうした犬はカビの影響を受けやすく、重症化しやすいため、早めの対応が不可欠です。

見た目では判断できないカビの被害だからこそ、日頃の健康チェックや生活環境の見直しが、愛犬の健康を守るうえでとても重要です。

カビはどこにでも存在している微生物ですが、ある特定の条件が揃うことで一気に繁殖します。室内で犬と一緒に暮らしている家庭では、知らないうちにカビの発生を助長してしまっているケースも少なくありません。ここでは、家庭内でカビが発生する主な原因と、カビが好む環境条件について詳しく解説します。

カビが発生・繁殖するために必要な条件は、大きく3つあります。それが「高い湿度」「温かい気温」「栄養源となる汚れやホコリ」です。

まず、カビが最も活発に繁殖するのは湿度が70%以上気温が20〜30℃前後の環境です。これはまさに日本の梅雨〜夏にかけての室内環境にぴったり一致します。また、冬でも結露によって湿気がたまりやすい場所では、同じようにカビが繁殖するリスクがあります。

さらに、カビは食べカスや皮脂、ペットのフケや毛などを栄養源とするため、掃除が不十分な部屋や、ペットの生活スペースが清潔に保たれていない場合、カビにとっては最高の繁殖環境となってしまいます。

特に、犬は外から花粉やほこりを体に付けて帰ってくることもあり、そのまま放っておくと空気中のカビと混ざり合い、部屋の隅などに定着しやすくなるのです。

カビが発生しやすい場所は、意外にもペットの生活に密接した場所が多くあります。たとえば、犬のベッドやクッション、ブランケットなどの布製品は、湿気がこもりやすく、皮脂や抜け毛も付着しやすいため、カビの温床となりやすいです。洗濯や日干しが不十分だと、見た目にはきれいでも中でカビが繁殖していることがあります。

また、水飲み場の周辺やトイレシート付近も、常に湿気があるため注意が必要です。床との接地面やトイレトレーの下など、目につきにくい場所にカビが広がっていることもあります。

さらに、窓の結露や押し入れの奥、家具の裏側などもカビが好む定番スポットです。犬が普段から過ごすリビングや寝室にこれらの環境があると、空気中に胞子が広がり、知らず知らずのうちに犬の健康を脅かしてしまいます。

こうしたカビの発生源を見逃さず、こまめな掃除と湿度管理を心がけることが、犬の健康を守る第一歩となります。

犬がカビの影響を受けると、体のさまざまな部位に異変が現れます。特に皮膚や呼吸器、消化器系に出やすく、症状によっては重症化することもあります。しかし、それらのサインは一見すると見逃しやすく、飼い主が「いつものこと」と思ってしまうことも多いのが現実です。ここでは、カビが引き起こす代表的な症状と、飼い主が気づくべき行動サインについてご紹介します。

カビの胞子を吸い込んだ場合、まず影響を受けやすいのが呼吸器です。咳やくしゃみ、鼻水といった風邪に似た症状が現れることがあり、放置すると慢性的な気管支炎や肺炎に進行することもあります。特に「アスペルギルス症」と呼ばれるカビ感染症は、進行すると命に関わることもあるため、早期発見が非常に大切です。

また、皮膚への影響もよく見られます。カビが皮膚に付着して炎症を起こすと、「赤み」「かゆみ」「脱毛」などの症状が現れ、掻きすぎて皮膚がただれることもあります。これは「皮膚真菌症」と呼ばれる病気で、人間にも感染するリスクがあるため、特に注意が必要です。

さらに、犬がカビの生えた食べ物を誤って食べてしまった場合には、消化器系へのダメージが生じます。下痢や嘔吐、食欲不振といった症状が出るほか、場合によってはカビ毒(マイコトキシン)による中毒症状が起こることもあり、非常に危険です。

犬は体調不良を言葉で伝えることができないため、日常のちょっとした変化を見逃さないことがカギとなります。たとえば、頻繁に体を掻く、耳をしきりに振る、寝床を嫌がるなどの行動は、皮膚に違和感を感じているサインかもしれません。

また、「最近なんとなく元気がない」「おもちゃや食べ物に興味を示さない」「目ヤニや鼻水が増えている」といった変化も、カビによる影響を示していることがあります。特に、症状が数日続く、または徐々に悪化している場合は、放置せずに早めに動物病院を受診することが大切です。

飼い主が「ちょっとした変化」に敏感になり、日々の健康状態をチェックすることは、カビによる被害を最小限に抑えるうえでとても重要です。

犬をカビのリスクから守るためには、日常生活の中で「カビの好む環境をつくらないこと」が何よりも大切です。湿気や汚れを放置しない、空気の流れを整えるなど、ちょっとした工夫でカビの発生を大きく抑えることができます。ここでは、犬の生活環境を清潔に保ちながらカビの発生を予防する具体的な方法をご紹介します。

カビが発生する最大の原因は「湿気」です。室内の湿度が60%を超えるとカビが活性化しやすくなるため、湿度は50〜60%を保つことが理想的です。特に梅雨や夏場は除湿器やエアコンの除湿機能をうまく活用し、空気がこもらないようにしましょう。冬場は結露によって窓際や壁際に湿気が溜まりやすくなるので、定期的な換気も重要です。

犬のベッドやクッション、ブランケットなどは週に1〜2回洗濯し、しっかり乾燥させることがカビ対策につながります。湿った状態のまま放置すると、カビの温床となってしまうため、天気の良い日は日光に当てて干すのが理想的です。

また、水飲み場や食器、トイレ周辺も毎日拭き取り清掃を行い、濡れた部分は速やかに乾かすように心がけましょう。犬の体に付着した湿気や汚れを持ち込ませないためにも、散歩後はタオルでしっかり拭き、足元を清潔に保つことが大切です。

空気の流れが滞ると湿気がたまりやすくなり、カビの発生を促します。特に家具の裏や部屋の隅など、空気が循環しにくい場所にカビが潜みがちです。そのため、扇風機やサーキュレーターを活用し、空気を部屋全体に流すようにすると良いでしょう。

さらに、最近ではペット用の防カビアイテムも多く販売されています。たとえば、抗菌・防カビ加工がされたベッドやマット、スプレータイプの除菌消臭剤などがあります。ただし、使用する際は犬の体に有害な成分が含まれていないかを確認し、「ペットにも安心」と明記された商品を選ぶことがポイントです。

室内の湿度や温度を一目で確認できるデジタル湿度計・温度計を設置するのもおすすめです。目に見えない湿度を数値で把握することで、必要なタイミングで除湿や換気がしやすくなります。

こうした日常の工夫によって、カビの発生しにくい健やかな室内環境が整い、犬の健康を守ることができます。

犬がカビの影響を受けて体調不良を起こしている場合、飼い主としては一刻も早く適切な対応をすることが重要です。症状が進行すると治療が長引き、犬にも大きな負担がかかってしまいます。ここでは、症状が出ているときの具体的な対処法と、再発を防ぐためのポイントを解説します。

まず最初に行うべきは、動物病院を受診することです。自己判断で対応してしまうと症状が悪化する可能性があるため、専門家の診断を受けることが必要です。

病院では、症状に応じて「視診」「皮膚の検査」「培養検査」「血液検査」などが行われます。たとえば皮膚に異常がある場合は、患部の毛や皮膚片を採取して顕微鏡で確認し、真菌(カビ)の有無をチェックします。呼吸器系の症状がある場合は、レントゲンや内視鏡を使って肺の状態を調べることもあります。

治療方法としては、抗真菌薬の内服や外用薬、点耳薬などが使われます。症状が軽度であれば短期間の治療で改善しますが、進行している場合や免疫力が低下している犬では、数週間にわたる治療が必要となることもあります。

また、治療中は犬のストレスを最小限に抑えることも大切です。清潔な寝床を用意したり、こまめなケアを行いながら、安心できる環境を整えてあげましょう。

治療と並行して最も重要なのが、カビの根本原因を断つことです。せっかく症状が治っても、住環境が変わらなければ再発するリスクは高まります。カビの再発を防ぐためには、日々の生活環境の見直しが欠かせません。

まずは、犬が過ごすスペースの湿度管理を徹底しましょう。湿度計を設置して数値を把握し、60%を超えないように除湿器や換気を活用してください。犬のベッドや毛布などは週1回を目安に洗濯し、しっかり乾かすことが基本です。

また、見えないカビがどこにどのくらい存在するのか把握するために、カビの検査を専門業者に依頼するのもおすすめです。目に見えないリスクを可視化することで、より効果的な対策が可能になります。

さらに、壁紙や床下などにカビが発生している場合は、専門のカビ除去業者による対応が必要になることもあります。無理に自分で取り除こうとすると胞子が飛散し、症状が悪化する恐れもあるため、プロの手を借りることが安全です。

犬の健康を守るためには、「症状の治療」と「住環境の改善」の両輪で対応することが、もっとも確実な対策です。再発を繰り返さないよう、家全体の空気と清潔環境を見直していきましょう。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に据えた専門団体として、健康被害や建物劣化といったカビによる様々な問題の解決に取り組んでいます。協会の目的は、室内空気の「見える化」を通じて健全な住環境を整え、家族やペットをはじめとしたすべての居住者の健康を守ることです。

この取り組みの法的な背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー症状の予防と緩和のために生活環境や建築構造の改善を求めており、微生物対策協会の活動はこの方針を実践する形で進められています。

協会では、特に浮遊するカビ菌などの「環境微生物災害」から住まいや生活環境を守るための啓発と調査を行っています。空気中のカビや汚染物質は目に見えない存在であるため、その有無や濃度を「見える化」することで、正確かつ効果的な対策が可能になります。

カビは建物内で多く発生しており、空気中に漂っているだけでなく、落下しても死滅することなく長期間にわたって影響を与え続けます。そのため、定期的な検査によって被害の全体像を把握し、適切な対応を行うことが求められます。

現代では、「安心・安全な空間」がますます重視されるようになってきました。微生物対策協会は、見えないリスクを可視化し、確かな根拠に基づいた対策を提供することで、健康で快適な暮らしの実現を支援しています。

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