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微生物対策協会

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2025/07/11   

リフォームでカビが悪化!?断熱材の選び方で家が変わる

リフォームしたのにカビが再発してしまったという声が増えています。
【記事を読んで分かること】カビと断熱材の関係性や、リフォーム時に必要な正しい対策が理解できます。
【記事を読むメリット】断熱材の選び方や施工の注意点が分かり、健康被害や再リフォームのリスクを回避できます。

断熱材は「寒さを防ぐためのもの」として知られていますが、実はその内部や周囲でカビが繁殖してしまうケースが意外と多く報告されています。リフォームで断熱性能を上げたにもかかわらず、室内や壁の内側にカビが生えてしまったというトラブルも少なくありません。この章では、カビと断熱材の密接な関係について基礎からご説明します。

断熱材は外気との温度差を減らすことで結露を防ぐ役割がありますが、施工方法や材料の選定を誤ると、逆にカビの温床になることがあります。

その理由のひとつが「内部結露」。これは断熱材の内側、つまり壁の中で空気中の水分が結露する現象です。外壁との温度差が大きく、内部に湿気がこもることで、断熱材の裏や壁材にカビが繁殖するのです。

また、以下のような条件がそろうと、断熱材の周辺はカビにとって理想的な環境になります:

  • 換気が不十分な空間
  • 湿気が逃げにくい構造
  • 結露しやすい断熱材の配置
  • 湿気を通しやすい断熱材の素材

とくにグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材は水分を含みやすく、長時間湿った状態になると、カビの栄養源となるホコリや有機物が入り込み、繁殖が始まります。

リフォーム時に断熱材を入れることは、住宅の快適性を上げるうえで重要です。しかし、断熱材を入れればカビが防げるという認識は誤りです。

以下のような“盲点”を見落とすと、せっかくのリフォームが逆効果になる可能性もあります:

  • 既存のカビ汚染に気づかず上から断熱施工する
     ⇒ もとの壁材や柱にカビがあると、密閉状態でさらに繁殖することに
  • 防湿層(防湿シート)の設置ミス
     ⇒ 内部結露を防ぐための重要な層がない、または誤って配置されている
  • 換気設計を見直さず断熱性だけ高める
     ⇒ 気密性が上がった結果、室内の湿度がこもりやすくなりカビが発生

特に古い住宅では、構造材そのものが湿気を含んでいるケースもあります。断熱材を入れる前に、「下地の状態を確認してカビや湿気を除去すること」がとても重要です。

断熱材はあくまで“快適性を高める道具”。カビ対策として活かすには、素材選び・施工方法・周囲環境をトータルで考える必要があります。

家の中にカビが生えやすい原因は、実は住まいの構造や使い方に共通点があります。リフォームによってそれらを改善できる一方で、間違った施工や計画不足がカビの再発を招くリスクもあるのです。この章では、カビが発生しやすい家の特徴と、リフォーム時に気をつけたい具体的なポイントを解説します。

カビが生えやすい家には、いくつかの共通点があります。最も多いのが「結露が発生しやすい家」と「通気性が悪い家」です。

【カビが発生しやすい家の特徴】

  • 北側の部屋が多い/日当たりが悪い
     ⇒ 温度が低いため結露しやすく、湿気が抜けにくい
  • 気密性が高いのに換気設備が不十分
     ⇒ 室内の湿気がこもり、空気が滞留しやすくなる
  • 家具が壁に密着している
     ⇒ 壁面と家具の間に空気が流れず、湿気がたまりやすい
  • 押し入れ・クローゼットに換気口がない
     ⇒ 閉め切った空間で湿気がこもり、カビの温床に
  • 断熱材の配置や素材に偏りがある
     ⇒ 部分的に温度差が生まれ、結露の発生につながる

こうした家では、断熱リフォームをしても湿気が逃げ場を失い、逆にカビを促進するという逆効果になるケースがあります。

リフォームでカビ対策をするには、単に断熱材を入れるだけでなく、湿気の流れ・空気の動き・施工方法までトータルで考えることが重要です。

【正しいリフォーム計画のためのポイント】

  • 断熱+防湿の設計をセットで考える
     ⇒ 壁の内側に湿気がこもらないよう、防湿シートや透湿防水シートの使い方が非常に重要です。
  • 気密性だけでなく“計画換気”を導入する
     ⇒ 24時間換気システムや局所換気扇など、湿気が滞らない工夫を組み込むこと。
  • 既存の壁や床にカビがないか確認する
     ⇒ 目に見えないカビや湿気が残っていないか、赤外線サーモグラフィーや水分計で確認するのがおすすめです。
  • 断熱材の素材・厚さ・施工方法を見直す
     ⇒ グラスウールなど吸湿性のある素材の場合、防湿層の適切な施工が不可欠です。
  • リフォーム業者に「カビ対策の知識」があるか確認
     ⇒ ただの断熱リフォームではなく、湿気やカビを理解したうえで提案してくれる業者を選ぶべきです。

これらをしっかり踏まえたリフォーム計画であれば、住まいの快適性を上げながらカビを寄せつけない構造を実現することができます。

断熱リフォームは、冷暖房効率を高めるだけでなく、「結露を防ぎ、カビの発生を抑える」という目的でも非常に有効です。ただし、その効果を最大限に引き出すには、断熱材の選び方や配置の仕方に対する“正しい理解”が欠かせません。この章では、カビを防ぐという視点から見た断熱リフォームの基本的な考え方をご紹介します。

断熱材にはいくつかの種類がありますが、**カビ対策を意識するなら「吸湿性」と「通気性」に注目する必要」があります。

【代表的な断熱材とカビ対策の観点からの特徴】

  • グラスウール(繊維系)
     コストは低めで広く使われているが、水分を吸いやすく、濡れると断熱性が低下。防湿対策とセットで使うのが必須。
  • ロックウール(鉱物繊維系)
     グラスウールよりもやや耐湿性があるが、ホコリや汚れがたまりやすくカビの栄養源になりやすい
  • 発泡ウレタン(発泡系)
     気密性が高く、隙間なく施工できるため内部結露を起こしにくく、カビ対策にも有利。ただし、施工に専門技術が必要。
  • フェノールフォーム・ポリスチレンフォーム(ボード系)
     吸湿性が低く、水を通しにくい素材でカビに強い。壁や床のリフォームに適している。

カビ対策として断熱材を選ぶ場合は、**「水分を吸いにくい素材」や「隙間なく施工できるタイプ」**を優先し、施工前後の防湿処理も欠かさないことが重要です。

3-2. 断熱と防湿のバランスがカギになる理由

カビを防ぐ断熱リフォームでは、「断熱性」と「防湿性」のバランスが非常に重要です。断熱性能だけを高めても、湿気のコントロールができていなければ逆効果になってしまうからです。

【断熱と防湿のバランスを取るための注意点】

  • 室内側には防湿層を設置する
     壁の内側(室内側)に防湿フィルムを施工することで、生活で発生する水蒸気が壁内に入るのを防げます。
  • 外壁側は透湿防水シートで調整
     外部からの雨水や湿気は防ぎつつ、壁内の余分な水分を外へ逃がす“呼吸する構造”が理想的。
  • 施工不良が最大のリスク
     防湿層にわずかな隙間があるだけで、そこから湿気が侵入しカビの温床になります。信頼できる業者選びも極めて重要です。
  • 気密性が高まることで換気も必要に
     気密性の高い住宅では、換気の設計を怠ると湿気がこもってしまい、内部結露の原因に。断熱だけでなく、“換気計画”もセットで設計することが必須です。

カビ対策に強い断熱リフォームとは、ただ壁に断熱材を詰めることではありません。**「湿気を通さない」「湿気を逃がす」「湿気をこもらせない」**という3つの観点から、材料と工法を最適に組み合わせることが求められます。

カビは「リフォームしても出てくる」ことがあります。その多くは、見えない部分の処理が甘かったり、湿気がこもる構造になってしまったことが原因です。断熱材を入れるだけではなく、カビの原因を根本から断ち切るために、リフォーム中にできる工夫を押さえておくことが大切です。

リフォーム時には、普段は見ることのできない壁の中、床下、天井裏などに触れる絶好のチャンスです。このタイミングでしかできない「防カビ処理」や「調査」が効果を大きく左右します。

【リフォーム中にやるべき処理】

  • 既存の壁材や断熱材のカビチェック
     目視だけでなく、ニオイや触感、黒ずみの有無を確認。場合によってはカビの検査キットを使うのも有効です。
  • 木材や下地への防カビ剤塗布
     特に柱・土台・構造材などは湿気を含みやすいため、天然成分または防腐・防カビ効果のある薬剤を塗布することで予防できます。
  • 床下・壁内の通気改善
     断熱材で密閉するだけでなく、空気の流れを設計することがカビ防止には不可欠。気密性と通気性のバランスを取る設計が理想です。
  • 防湿シートの丁寧な施工
     小さなすき間でも湿気は侵入します。シートの重ね合わせやテープ処理を丁寧に行い、気密性を確保しつつ湿気ブロックを行いましょう。

見えない場所だからこそ、後回しにせず確実な処理を行うことが、10年先のカビ予防につながります。

断熱リフォームを成功させるには、「どう施工するか」が非常に重要です。材料が良くても、施工ミスや換気設計不足があるとすべてが台無しになってしまうこともあります。

【工事の段階で意識したいポイント】

  • 気密と換気はセットで設計する
     高断熱・高気密な家ほど換気が不可欠。24時間換気システムの導入や局所換気の見直しを並行して行いましょう。
  • “湿気が逃げられる構造”にする
     断熱材だけで壁を密閉せず、通気層や空気の通り道を意識した設計を取り入れると、湿気がこもりにくくなります。
  • 複数の業者に見積もりをとって比較する
     防カビの視点を持っていない業者も多いため、必ず「カビが心配」と事前に伝え、断熱材の種類や工法の説明を求めるようにしましょう。
  • 断熱だけでなく、調湿建材も併用する
     漆喰・珪藻土・調湿クロスなどを使うことで、室内の湿気を自然にコントロールできるようになります。

施工の工夫一つで、リフォームの結果は大きく変わります。見えないけれど重要な部分にこそ、一手間をかけることが将来の安心につながるのです。

リフォームが終わったからといって油断は禁物です。断熱性が高まると同時に湿気がこもりやすくなる側面もあるため、アフターケアがとても重要です。この章では、断熱リフォーム後にカビを再発させないための点検と、日常生活で取り入れたい湿度管理のポイントを紹介します。

リフォームが完了した直後はきれいでも、その後の住まい方によっては数ヶ月でカビが再発するケースもあります。防ぐためには、**定期的な点検と湿度の「見える化」**が欠かせません。

【リフォーム後に行うべきカビ再発防止策】

  • 壁紙の裏・窓際・床下などの定期点検
     目に見えるカビが出る前に、ニオイ・空気の重さ・結露の有無などを感じたら要注意。半年〜1年に1回はチェックを。
  • 室内の湿度を常に60%以下に保つ
     湿度70%以上になると、カビのリスクが急激に上がります。湿度計(または温湿度表示付きデジタル時計)を複数箇所に設置し、数値で管理しましょう。
  • 寝室・収納・洗面所などの換気習慣を意識する
     特に閉めきった空間は、リフォーム後も湿気がこもりやすく、油断するとカビの温床になります。
  • 除湿機・サーキュレーターの活用
     雨の日や梅雨時期など、外の湿気が高いときは機械的に除湿・空気循環を行うことで、カビの発生リスクを下げることができます。

近年では、湿度の管理をスマートに行えるデジタル機器が多く登場しています。これらを使えば、面倒な湿度チェックも手軽にでき、日々の暮らしの中でカビ対策を習慣化できます。

【おすすめのデジタル機器と活用法】

  • 温湿度表示付きのデジタル時計
     リビングや寝室など目に入りやすい場所に設置。湿度の変化に気づきやすくなり、対策のタイミングがつかみやすい
  • スマート湿度計(Wi-Fi連携型)
     スマホで湿度の変化をリアルタイムで確認。異常値を通知する機能付きで、見逃しを防ぎます。
  • スマート家電との連動除湿器
     設定湿度を超えたら自動で除湿をスタート。手間なく快適な湿度を維持でき、再発のリスクを抑えられます。
  • データログ記録機能付きの機器
     湿度の推移をグラフで確認できるため、どのタイミングで湿気が高くなるかを把握し、改善点を見つけやすくなります。

これらの機器を上手に活用することで、断熱リフォーム後の住まいを**「カビが再発しにくい環境」に育てていくことが可能**です。大切なのは、リフォームを“終わり”にせず、“始まり”と捉えること。日々の管理で快適な住まいをキープしましょう。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱とした活動を行う専門機関です。カビによる健康被害や建物の劣化など、見えないリスクに正面から向き合い、室内環境を科学的に分析し改善することを目的として設立されました。

当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に根拠を置いています。この法律では、「アレルギー疾患の予防および症状の軽減のため、生活環境の改善を図ること」が明記されており、カビ対策もその一環として非常に重要なテーマとされています。

協会の主な目的は、環境中の微生物災害から住まいや人々の健康を守ることです。特に室内や車内など、日常的に過ごす空間に浮遊するカビやその他の微生物を測定し、そのデータをもとにリスクを可視化(=見える化)して、的確な対策を講じる支援を行っています。

とりわけ建物内での微生物被害では、カビが最も多く確認されています。空気中のカビ菌は浮遊して移動し、落下しても死滅せず繁殖し続けるため、表面を掃除するだけでは不十分なケースがほとんどです。

微生物対策協会では、以下のような活動を行っています:

  • 室内空気の微生物(主にカビ)の検査・調査・分析
  • 結果をわかりやすく伝える「見える化レポート」の提供
  • 状況に応じた最適な対策提案と予防指導
  • カビに関する正しい知識の普及と教育

カビの問題は単なる見た目の汚れではなく、健康と生活の質に直結する環境問題です。安心・安全な住まいを維持するためには、科学的なアプローチでカビの存在を「知ること」、そして「対策すること」が欠かせません。

「もしかしてこの家、カビが潜んでいるかも…」「リフォームしたのに湿気が取れない…」そんな不安をお持ちの方は、ぜひ微生物対策協会までご相談ください。専門的な検査と対策で、住まいの空気を整え、健康を守るお手伝いをいたします。

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