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2025/08/17   

リフォーム後にカビ!? 原因は断熱不足かもしれません

断熱不足の住宅は結露やカビが発生しやすく、リフォーム後でも被害が続くことがあります。
【記事を読んで分かること】断熱不足がカビを招く理由、改善リフォームの方法、日常の予防策が理解できます。
【記事を読むメリット】カビ被害を防ぎ、快適で健康的な住環境を維持するための実践的な知識が身につきます。

住宅の断熱性能が不十分だと、室内外の温度差が大きくなり、結露が発生しやすくなります。この結露は壁や床、窓周りの木材や下地に水分を供給し、カビが繁殖するための条件を整えてしまいます。断熱不足は見た目では気づきにくいですが、長期的には建物の劣化や健康被害を引き起こす要因となります。

冬場は暖房で暖められた室内の空気が外壁や窓に触れると、表面温度との差で水滴が発生します。これが結露です。断熱材が不足している部分や隙間が多い場所では、冷たい外気が直接伝わりやすく、結露が頻発します。夏場でも冷房使用時に同じ現象が起き、特に北側の壁や押し入れ内部など日が当たらない場所は乾燥しにくいため、カビの温床になります。

断熱不足による結露は、目に見える窓や壁表面だけでなく、壁の中や床下でも発生します。これらの場所は通気が悪く乾きにくいため、カビが一度生えると繁殖が止まりにくくなります。内部の木材や断熱材がカビで侵されると、構造的な強度低下や断熱性能のさらに低下を招きます。また、内部のカビは空気中に胞子を放出し、室内全体に広がってアレルギーや呼吸器疾患の原因となることがあります。

リフォームを行っても、施工範囲や方法によっては断熱性能が十分に改善されないことがあります。その場合、時間の経過とともに結露やカビといった問題が再び現れ、断熱不足が浮き彫りになります。ここでは、断熱不足を疑うべき典型的なサインを紹介します。

冬場に窓ガラスや窓枠周辺に水滴が頻繁につく、壁紙が黒ずむ、家具裏にカビが出るなどは断熱不足のサインです。特に外壁に面した北側の部屋や、天井裏・床下など冷気が直接伝わる場所では、断熱の不十分さが結露を助長します。梅雨や夏場にも押し入れや壁の内側が湿っぽくなる場合は、冷房による温度差が原因の結露かもしれません。

暖房や冷房をかけても部屋の温まり方や冷え方にムラがある場合、断熱材の不足や隙間が疑われます。断熱不足の住宅は外気の影響を受けやすく、暖房効率が悪いため光熱費が高くなりがちです。また、同じ家の中でも廊下や一部の部屋が極端に寒い・暑いと感じる場合も、断熱の偏りが原因のことがあります。こうした症状は、目に見えるカビ被害が出る前に断熱不足を発見できるヒントになります。

断熱不足によるカビを根本的に防ぐには、断熱材の補強や施工方法の見直しが欠かせません。加えて、断熱工事と同時に結露防止や換気計画を組み合わせることで、長期的にカビの発生リスクを低減できます。

  • :外壁側から断熱材を充填する外張り断熱、または室内側から断熱材を入れる内断熱が選択肢です。既存住宅の場合は内断熱リフォームが行いやすいですが、気密処理をしっかり行わないと結露の原因になります。
  • :床下に断熱材を敷き詰める方法や、床板の裏面に断熱パネルを取り付ける方法があります。特に1階部分は床下からの冷気を遮断することで結露防止に効果的です。
  • 天井・屋根:天井裏に断熱材を追加するか、屋根の内側に断熱層を設けます。夏の暑さや冬の冷気を防ぎ、温度差による結露を減らせます。

断熱リフォームだけでは結露を完全に防げない場合があります。そのため、断熱材の施工と同時に、湿気を逃がす換気システムの導入や改善を行うことが重要です。特に第1種換気(吸排気とも機械式)は外気の湿度や温度を調整しながら換気でき、結露予防に有効です。また、窓や壁に断熱サッシや結露防止シートを取り入れることで、表面温度の低下を防ぎ、カビの発生条件を減らせます。

断熱不足はリフォームで改善できますが、工事までの間や工事後も湿気管理を怠るとカビは再発します。ここでは、低コストでできる暫定的な対策と、日常生活での湿気・カビ抑制方法を紹介します。

断熱不足による結露が気になる場所には、結露防止シートや断熱パネルを一時的に貼り付けると効果があります。窓際や外壁面の家具の背面にアルミシートを貼ると、外気の冷え込みを和らげ、結露を減らせます。また、押し入れやクローゼットなど閉ざされた空間には吸湿剤や除湿機を設置し、湿気を物理的に除去します。これらは一時的な対策ですが、施工前後の湿気負荷を軽減するのに有効です。

室内湿度は40〜60%を目安に保ち、湿度計で常時チェックします。調理や入浴時は必ず換気扇を使用し、短時間でも窓を開けて空気を入れ替えます。家具は壁から5〜10cm離して設置し、空気の流れを確保します。また、冬場の過剰加湿や夏場の室内干しは湿度上昇の大きな原因になるため、除湿機やエアコンの除湿モードを併用して湿気を抑えます。こうした日常管理の積み重ねが、断熱不足によるカビの被害を最小限に抑える鍵となります。

断熱不足が原因のカビは、壁内部や床下など見えない場所に広がっている可能性が高く、表面だけを掃除しても再発しやすいのが特徴です。ここでは、安全に除去する方法と再発を防ぐための長期的対策を解説します。

表面に軽く生えたカビであれば、ゴム手袋とマスクを着用し、70%前後のエタノールで拭き取ります。漂白剤を使う場合は対象素材に適しているか確認し、十分な換気を行いながら作業します。木材や壁紙に染み込んだカビは、見た目は取れても内部に胞子が残るため、定期的に再発しないかチェックが必要です。また、掃除後は必ず乾燥させ、可能であれば防カビ剤を塗布しておくと効果的です。

広範囲にカビが広がっている場合や壁内部・床下に発生している場合は、専門業者への依頼が必要です。業者は内部調査を行い、断熱材や構造材にカビが及んでいれば除去や交換を実施します。同時に断熱材の追加施工や気密処理を行い、結露の発生源を断つことで再発防止につなげます。さらに、施工後は湿度計で環境を監視し、季節ごとの換気・加湿・除湿バランスを整えることが、長期的なカビ予防の鍵となります。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を活動の柱とする専門団体です。カビは健康被害や建物の劣化を引き起こす原因となりますが、その多くは空気中を漂い、目には見えません。当協会は室内空気を「見える化」することでリスクを正確に把握し、健康を守るための健全な住環境づくりを目的に設立されました。活動の基盤は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」にあります。この法律は、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を目指し、生活環境や建築構造の改善を推進することを定めています。

当協会は、環境微生物災害から住まいと生活環境を守るため、室内や車内に浮遊する微生物問題の理解を深め、公衆衛生の向上に寄与しています。具体的には、空気中の微生物や汚染物質の有無・濃度を測定し、その特性を分析することで、科学的根拠に基づいた対策を提案します。調査では、建物内の微生物被害の多くがカビであり、一度落下したカビ菌は自然死滅しにくいため、早期の発見と確実な除去が重要です。

微生物対策協会は、見えるカビも見えないカビも正確に把握し、安心・安全な空間を提供するパートナーとして、今後も専門的な検査と的確な対策を継続していきます。

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