2025/10/20
根がらみ部分にカビが生えているのを放置すると、家の構造自体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
【記事を読んで分かること】
根がらみにカビが発生する原因や放置のリスク、除去方法、再発防止策まで具体的に解説します。
【記事を読むメリット】
床下の見えない部分を正しく理解し、住まいの耐久性と安全性を守る知識と対策法が身につきます。
1. 根がらみにカビが発生する原因とは?
「根がらみ」とは、住宅の床下で柱や束をつなぎ、構造を強化するために取り付けられる横木のことを指します。普段は目にすることのない場所ですが、ここにカビが生えることで、住まい全体の耐久性や健康環境に影響が出ることもあるのです。では、なぜ根がらみにカビが発生するのでしょうか?この章では、その原因を構造面と環境面から紐解きます。
1-1. 床下構造材が湿気を帯びやすい理由
床下は、通気が悪い・日光が入らない・地面からの湿気が上がるといった、湿度が高くなりやすい要素が多く揃っています。中でも、根がらみのように地面に近く、木材が使われている部材は特に湿気の影響を受けやすい場所です。
具体的な原因には以下のようなものがあります:
- 地面に防湿シートが敷かれていないため、地中からの水蒸気が直接上昇
- 換気口の不足や塞がれによって空気がこもる
- 雨水や結露が床下に侵入して乾きにくい
- 家屋の構造が地面と近すぎることで湿気が滞留
こうした状態では、木材が常に高湿度にさらされ、カビが繁殖しやすい条件が整ってしまいます。特に築年数の古い住宅や、床下のメンテナンスが行き届いていない家では注意が必要です。
1-2. 根がらみの役割とカビが好む条件とは
根がらみは、床を支える「束柱(つかばしら)」同士をつなぐ木材で、横方向の揺れに対して建物を安定させる重要な役割を担っています。そのため、構造上多くの根がらみが床下に設置され、束石の近くや地面から30〜40cmの位置に木材が集中して存在しています。
このような条件下では、以下のようなカビの発生リスクが高まります:
- 空気の流れが悪い部分に湿気がたまりやすい
- ホコリや土ぼこりが木材表面に付着し、有機物となって栄養源になる
- 昼夜の温度差により結露が発生しやすい
カビは「湿度」「栄養(有機物)」「温度」が揃うことで爆発的に繁殖します。つまり、根がらみはこの三拍子が揃いやすい部材とも言えるのです。
また、根がらみは外から見えないためカビの発見が遅れがちで、気づいたときにはすでに広範囲に広がっていることも珍しくありません。
2. 根がらみのカビを放置するとどうなる?
「床下は見えないから大丈夫」「木が少し黒くなってるだけ」と油断してカビを放置していると、住宅の構造そのものに深刻なダメージを与える可能性があります。特に根がらみは、床下構造を支える大切な部材。ここにカビが発生したまま放置すれば、やがて家の歪み・床の沈み・白蟻の被害へとつながっていくのです。
2-1. 木材の強度劣化と構造のゆがみ
カビは木材の表面だけでなく、内部にまで根(菌糸)を伸ばしていく性質があります。根がらみに発生したカビが放置されると、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
✅ 木材の劣化・変質
- 含水率が高い状態が続くと、木材は徐々に柔らかく脆くなっていきます。
- 表面が黒ずみ、手で押すとふかふかとへこむような状態になることもあります。
✅ 構造のゆがみ・傾き
- 根がらみは床の水平を保つための構造材のひとつ。
- 劣化すれば、床がたわむ・沈む・軋むなど、日常生活に直結する不具合が発生します。
✅ 家全体の耐震性にも影響
- 根がらみは、柱や束を連結して揺れに強い構造を保つための部材です。
- ここが腐ると建物の耐震性が低下し、大きな揺れで倒壊リスクが高まります。
木材が「構造としての役割を果たせない」状態になってしまえば、部分的な補修では済まず、大規模な工事や費用がかかる場合もあります。
2-2. 腐朽菌・白蟻被害との連鎖リスク
カビの発生は、床下に湿気がたまっているサインでもあります。そして湿気が続くと、さらにやっかいな問題が連鎖的に発生します。
✅ 木材腐朽菌の繁殖
- カビの発生条件とよく似ており、湿度・温度・木材があれば腐朽菌も活性化します。
- 腐朽菌が木材の内部で活動すると、構造がスカスカになるほど崩壊していきます。
✅ 白蟻を呼び込むリスク
- 腐ったりカビで柔らかくなった木材は、白蟻にとって最高のエサ。
- 根がらみや束柱の劣化は、白蟻が侵入しやすくなる「入口」となってしまいます。
- 一度侵入されると、床下全体や壁の内部にまで被害が拡大する恐れがあります。
これらの問題は「いつか起こるかも」ではなく、すでにカビの兆候が出ている時点で進行していることが多いのが現実です。
3. 根がらみに生えたカビの見分け方と確認ポイント
床下の木材に汚れが見つかったとき、それが「カビ」なのか「ただの汚れ」なのかを判断するのは難しいかもしれません。しかし、見た目の特徴や臭い、触った感触などからある程度の判断が可能です。この章では、根がらみにカビが発生しているかどうかを見分ける方法と、点検時に注目すべきチェックポイントをわかりやすく解説します。
3-1. カビの種類と見た目の特徴
カビには多くの種類がありますが、住宅の床下で見られるものには、次のような共通点があります。
✅ 黒カビ(クラドスポリウムなど)
- 最もよく見られるカビの一種
- 黒っぽいシミや斑点として現れ、乾いていてもヌルついて見えることがあります
- 発生した部分の周囲に**カビ臭(湿ったダンボールのような匂い)**がすることも特徴です
✅ 白カビ
- 見た目は白っぽい綿や粉のようなもの
- 木材の表面や角の部分にうっすら付着していることが多く、広がるとモヤのように見えます
- 軽く触れると粉のように舞うこともあり、吸い込むとアレルギーの原因になります
✅ 緑カビ・青カビ
- 表面に青〜緑がかった色の膜状に広がる
- 湿度が高く、暗く風の流れが少ない場所で見られます
- 初期段階では目立ちにくく、気づきにくいのが特徴です
カビは木材の内部にも根を張っている可能性があるため、表面だけを見て判断せず、見つけたら早急に調査・対処することが重要です。
3-2. 床下点検で確認すべき場所とサイン
根がらみのカビを見つけるには、点検時に「見るべきポイント」を押さえることが必要です。自分で確認する場合でも、業者に依頼する場合でも、以下の点をチェックしましょう。
✅ 視覚的チェック
- 根がらみの表面に黒・白・緑などの変色がないか
- 木の表面が毛羽立っている、またはふやけたように見える箇所があるか
- 斑点状の汚れが広がっている場所は特に注意が必要です
✅ 嗅覚での確認
- 点検口を開けたときにかび臭い空気が広がるかどうか
- 湿気とカビが混ざったような重たい匂いがあれば要注意
✅ 手触りでの確認(可能であれば)
- 軍手や布で軽く触れて、ぬめり・粉っぽさ・ふわつきがあるかをチェック
- 劣化している部分は、指で押すと凹む・柔らかい感触になることがあります
✅ その他のサイン
- 根がらみが一部腐っている・割れている・反っている場合
- 根がらみと接している柱や束柱に同様の変色や劣化が見られる場合
4. 根がらみのカビ除去と再発防止策
カビの除去は、見えているカビを取るだけでは不十分です。根がらみのような構造材は、カビの根(菌糸)が内部に入り込んでいることがあり、表面処理だけでは再発する可能性があります。そこでこの章では、安全かつ効果的なカビ除去の手順と、再発を防ぐために重要な環境対策を解説します。
4-1. 安全なカビ除去手順と使える薬剤
床下でのカビ除去作業は、人体への影響にも注意しながら行う必要があります。以下は基本的な手順と、おすすめの処理方法です。
✅ 準備するもの
- 防塵マスク(N95など)
- ゴム手袋
- 防護メガネ
- 作業着(使い捨てがおすすめ)
- アルコールスプレー(70%以上)または防カビ剤
- 不織布タオル・ブラシ・清掃用具
✅ 除去の手順
- 乾いた状態でカビをブラシでこする
→ 水を使うと胞子が飛散・拡散しやすいため、まずは乾いたまま作業します。 - カビの表面をしっかり拭き取り、集めたカビは密封処理
→ 拭き取った布やゴミはビニール袋に密封し、屋外で処分。 - アルコールまたは防カビ剤をスプレー
→ 木材の表面とその周囲に均一に噴霧し、自然乾燥でしっかり乾かす。 - 必要に応じて再度処理を繰り返す
→ 完全にカビ臭が消えるまで、数回の処理が必要な場合もあります。
✅ 注意点
- 塩素系漂白剤は推奨されません
→ 木材の劣化や腐食の原因になるため、使用は避けましょう。 - 換気が悪い床下での作業は短時間にとどめる
→ 可能であれば業者に依頼するのが理想です。
4-2. 通気・乾燥・防カビ処理で再発を防ぐ方法
一度除去しても、床下環境が改善されていなければ、すぐに再発してしまうのがカビの怖いところ。再発を防ぐために、以下のような環境改善策をあわせて行いましょう。
✅ 通気性の改善
- 基礎の通風口のチェック・清掃
→ 落ち葉やホコリで塞がっていないか確認し、空気の流れを確保します。 - 床下換気扇の設置
→ 通気が弱い構造の場合、強制的に空気を循環させる装置を導入するのが効果的です。
✅ 床下の湿気対策
- 防湿シートの敷設
→ 地面からの水蒸気を遮断し、湿度の上昇を抑える基本的な対策です。 - 調湿材(炭・ゼオライトなど)の設置
→ 湿気を吸収・放出してくれる素材を束石や根がらみの周囲に敷き詰めることで、安定した湿度管理が可能になります。
✅ 防カビ剤の定期処理
- カビを除去したあとも、年に1〜2回を目安に防カビ剤を散布することで、再発のリスクを大幅に下げることができます。
✅ ポイントまとめ
根がらみのカビ除去と予防は、「除去だけで満足しないこと」が最大のポイントです。
カビが好む環境そのものを断ち切ることが再発防止のカギであり、そのためには「乾燥・通気・衛生管理」の3つを日常的に意識することが重要です。
5. 家を守るためにできる日常的なカビ対策とは
カビは、一度発生すると建材を劣化させるだけでなく、放置すれば白蟻や腐朽菌などの深刻な被害を呼び寄せる「住まいの隠れた敵」です。特に床下のように普段は見えない場所では、日常的な対策と習慣が被害を未然に防ぐ鍵となります。この章では、誰でも実践できる床下や根がらみのカビ対策を紹介します。
5-1. 床下環境を保つための定期点検と習慣
床下のカビは、早期発見と定期点検の継続が何よりも重要です。以下のような点検と習慣を身につけることで、大きな被害を防ぐことができます。
✅ 年1〜2回の床下チェックを習慣に
- 点検口から湿気のこもりやカビ臭がないかを確認するだけでも大きな違いがあります。
- 特に梅雨時期や台風後、結露が起きやすい冬場は重点的にチェックしましょう。
✅ 家まわりの排水と通気を意識する
- 雨どいや排水口のつまりを定期的に清掃し、家の外から湿気が入り込むのを防ぐことが基本です。
- 建物の基礎周辺に風通しの悪い場所がないか見直し、草木や荷物をできるだけ避けて風の通り道を作ることも効果的です。
✅ 室内での湿気管理も忘れずに
- カビは床下だけでなく、室内の湿気も床下へ影響を与えます。
- 室内の換気を良くし、押入れ・クローゼット・床近くの空気の流れを意識的につくりましょう。
- 洗濯物の部屋干しや加湿器の使い過ぎにも注意が必要です。
5-2. 専門業者に相談するメリットと選び方
「自分では点検できない」「カビかどうか分からない」「構造に影響しているか不安」――そう感じたら、迷わず専門業者に相談することが安全かつ確実です。
✅ 専門家ならではの強み
- 床下の含水率・空気中のカビ濃度・構造材の劣化度など、見た目だけではわからない部分を数値で可視化
- 必要に応じてカビ除去・木部補強・防湿施工・通気改善まで一括で対応可能
- 定期点検サービスを提供している業者もあり、長期的な安心感を得られる
✅ 業者選びのポイント
- 建築士や環境衛生に詳しい専門家が在籍しているか
- カビ対策の実績が豊富かどうか(実例写真・口コミの確認)
- 点検や調査を数値と写真で報告書にまとめてくれる業者が信頼性が高いです
✅ 小さな異変に気づく目が、大きな被害を防ぐ
根がらみのカビは、「構造材にカビが生えている」というだけでなく、「住まい全体の湿気バランスが崩れているサイン」とも言えます。
だからこそ、日頃から湿気に敏感になり、早期に行動することが、家を長持ちさせる最大の対策となります。見えない床下を気にかける習慣こそ、家族の健康と住まいの安全を守る第一歩です。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に活動する専門団体です。
カビが原因となる健康被害や、建物の劣化といった深刻な問題に対応するため、**室内空気や床下環境を「見える化」**し、健康で安全な住まいづくりを支援しています。
この活動は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**に基づいています。この法律は、アレルギー疾患の予防と症状軽減を目的に、生活環境や建築構造の改善を推進することを求めており、当協会もその理念に沿った取り組みを行っています。
🏠 活動の目的と役割
微生物対策協会の使命は、環境中の微生物災害から暮らしを守ることです。
特にカビは、住宅内で最も多く確認される微生物被害の一つであり、見た目だけでなく空気中に浮遊する微細な胞子が、喘息やアレルギーの原因となることもあります。
協会では、こうした目に見えないリスクに対して、「空気の見える化調査」を通じて問題の実態を明らかにし、被害を最小限に抑えるための的確な対策を提供しています。
🔍 調査・検査内容
- カビや浮遊微生物の濃度測定
- 床下や壁内の含水率やカビの発生状況の確認
- 調査報告書の作成と対策提案
これらの調査により、住宅の健全性を数値で判断でき、必要に応じて防カビ施工・換気改善・構造補修などの対策へつなげることができます。
🛡️ 目に見えないカビ被害にも、根拠ある対処を
建物内のカビは、根がらみや束柱など、普段見えない部分からじわじわと被害を拡大していきます。
放置すれば白蟻被害や構造劣化につながることもあるため、「何かおかしい」と感じた段階で、早めに調査を行うことが大切です。
微生物対策協会では、安心して暮らせる健全な住環境づくりを目的に、住宅の「今の状態」を正確に診断し、将来のリスクを見越した対策をご提案しています。
床下のカビ、根がらみの劣化、室内の空気環境に不安を感じたら、
ぜひ一般社団法人 微生物対策協会までご相談ください。
確かな知識と経験で、あなたの住まいの健康を守るお手伝いをいたします。