2025/04/03
24時間換気をしているのに、なぜか家の中でカビが発生して困っていませんか?
【記事を読んで分かること】カビの原因となる住宅の負圧問題や換気システムの仕組み、実践的な対策方法が分かります。
【記事を読むメリット】正しい湿度管理と空気の流れの整え方が理解でき、カビのない快適な住環境を手に入れることができます。
1. 24時間換気でもカビが生える理由とは
「24時間換気しているのに、なぜかカビが発生する…」そんな悩みを抱える住宅は少なくありません。常に空気を入れ替えているはずなのに、なぜ湿気がこもり、カビが生えるのでしょうか?その答えは、換気の仕組みと実際の住宅環境の“ギャップ”にあります。ここでは、その主な原因と背景を詳しく解説します。
1-1. 換気しているのに湿気がこもる原因
24時間換気システムは、室内の空気を外に出し、新しい空気を取り入れるためのものです。しかし、実際にはうまく機能していないケースも多く見られます。最大の原因は「吸気と排気のバランスが取れていないこと」です。たとえば、吸気口が家具で塞がれていたり、フィルターが汚れて空気が通りにくくなっていたりすると、空気の流れが滞り、湿気が部屋に残りやすくなります。また、気密性の高い住宅では、換気扇が排気だけを強くしていると室内が“負圧状態”になり、外から湿気を含んだ空気が思わぬ隙間から逆流してしまうことも。結果として、湿気が高いまま空気が循環せず、カビが好む環境が整ってしまうのです。
1-2. 結露とカビの関係を理解しよう
換気がうまくいっていないと、室内の湿度は常に高く保たれ、特に冬場には「結露」が発生しやすくなります。結露は、暖かい室内の空気が冷えた窓や壁に触れた際に水滴となって現れる現象で、この水分がそのまま放置されると、壁紙の裏やサッシの隙間など目に見えない部分でカビが発生します。とくに湿気の多いキッチン、浴室、寝室、収納スペースなどはカビの温床になりやすいエリアです。結露によって日常的に水分が供給される環境では、いくら24時間換気をしていても、その効果が十分に発揮されず、カビの発生が繰り返されてしまいます。つまり、換気=カビ対策ではなく、「換気が正しく機能しているか」が重要なポイントなのです。
2.「負圧」とは?住宅内で起きる問題点
カビの発生と深く関係しているのが「負圧」という住宅内の空気圧のバランスです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、この負圧状態こそが、湿気やカビを引き寄せる隠れた原因となっているのです。ここでは負圧とは何か、そしてその問題点についてわかりやすく解説します。
2-1. 気密性の高い住宅と負圧の関係
「負圧」とは、室内の気圧が外よりも低くなっている状態のことを指します。これは、換気システムで排気(空気を出す)ばかりが強くなり、吸気(空気を入れる)が不足している場合に起こります。とくに近年の高気密・高断熱住宅では、室内の空気が逃げにくいため、排気が強いとどんどん室内が負圧になってしまいます。すると、家の隙間から無理に空気が流れ込み、その空気が湿気を多く含んでいる場合、湿度が一気に上昇します。つまり、気密性が高いこと自体が悪いのではなく、「換気バランス」が取れていないことが問題なのです。この負圧状態が続くと、吸気口以外の思わぬ場所から汚れた外気や湿気が入り込み、カビが発生しやすい環境が作られてしまいます。
2-2. 負圧によってカビが発生しやすくなる理由
負圧状態がカビのリスクを高める最大の理由は、「湿気の侵入を止められない」ことにあります。家の中が負圧になると、窓の隙間や壁のひび割れ、換気扇のフードなど、あらゆる場所から外気が無理に流れ込んできます。特に海沿いや川沿い、湿地帯に近い地域では、外の空気自体が湿度を多く含んでいるため、負圧がそれを家の中に引き込んでしまうのです。その結果、天井裏や壁の中、床下などの見えない場所に湿気が滞留し、気づかないうちにカビが広がっていきます。さらに厄介なのは、これが**「目に見えないカビ」**として存在し、健康被害を引き起こす可能性があることです。喘息やアレルギーの原因にもなりうるため、住宅の負圧問題は見過ごせない大きな課題なのです。
3. 換気システムの種類とカビへの影響
住宅に設置されている「24時間換気システム」には、いくつかの種類があり、それぞれの仕組みによってカビの発生リスクにも差が出てきます。家の中の空気の流れをどのように設計しているかが、湿度コントロールと直結するため、換気方式を正しく理解しておくことが大切です。ここでは代表的な換気方式と、それがカビに与える影響を解説します。
3-1. 第1種換気と第3種換気の違い
住宅の換気方式は主に「第1種換気」と「第3種換気」に分類されます。
第1種換気は、給気(外から空気を入れる)と排気(内の空気を出す)を機械で制御するタイプで、空気の流れをコントロールしやすいのが特徴です。外気の温湿度もある程度調整できるので、湿気の侵入を抑えやすく、カビ予防に有利です。ただし設備が複雑で、設置費用やメンテナンスの手間もかかります。
一方の第3種換気は、給気は自然に任せて、排気のみ機械で行う仕組みです。日本の住宅で最も多く使われていますが、外気の湿気や汚染物質がそのまま室内に入ってくるため、気密性の高い家では負圧状態になりやすいのが欠点です。つまり、24時間換気していても、方式によってはカビのリスクが高まることもあるのです。
3-2. 各方式で注意すべき湿気管理ポイント
第1種換気では、空気を取り入れる際に熱交換器やフィルターを通して調湿・除塵ができるため、比較的湿度管理がしやすく、正しく運用すればカビの心配も少なくなります。ただし、フィルターの目詰まりや熱交換器の汚れは換気能力を低下させるため、定期的な点検と清掃が不可欠です。
一方、第3種換気では給気が自然任せのため、季節や天候の影響を受けやすく、梅雨や冬場など湿気が多い時期は注意が必要です。吸気口付近に湿気が集中して、局所的にカビが発生するケースもあります。そのため、除湿器やサーキュレーターを併用し、空気の流れを補助することが大切です。また、吸気口のフィルターもこまめに確認し、外からの湿気や汚れが室内に入らないよう工夫することで、カビ予防に効果を発揮します。
4. 室内の湿度と空気の流れを整える工夫
換気システムを正しく使っていても、部屋の空気の「動き」がうまくいっていなければ、湿気はとどまり、カビの原因になります。空気が停滞する“デッドスペース”を作らないこと、そして湿度をコントロールする工夫が、カビ対策には欠かせません。ここでは、身近な道具や配置の工夫でできる対策を紹介します。
4-1. サーキュレーターや除湿器の活用法
まずおすすめしたいのが、サーキュレーターと除湿器の併用です。サーキュレーターは空気を循環させる装置で、冷暖房の効率を上げるだけでなく、空気が滞留しやすい角や家具の裏にも風を送ることで、湿気の偏りを防ぎます。設置場所のコツは、部屋の対角線に向けて風を流すように置くこと。特に押し入れやクローゼットなど、風が届きにくい場所に向けて風を送ると効果的です。
一方、除湿器は梅雨や冬の結露シーズンには必須の家電です。湿度が60%を超えるとカビが活発になると言われているため、湿度計を設置しつつ、快適な湿度(40〜50%)を維持しましょう。洗濯物の室内干しにも使えるモデルを選べば、一石二鳥の働きをしてくれます。電気代が気になる方には、タイマー付きや湿度連動型のモデルがおすすめです。
4-2. 換気口や吸気口の設置場所と見直し方
意外と見落とされやすいのが、吸気口・換気口の位置や状態です。これらが適切な位置に設置されていない、またはフィルターが汚れていると、空気がきちんと流れず、負圧や湿気滞留の原因になります。まずは、吸気口が家具やカーテンなどで塞がれていないかを確認しましょう。壁の高い位置にある吸気口は、実際に機能していない場合も多いため、風の流れを感じないようなら、点検や清掃が必要です。
また、トイレや浴室、キッチンなどの湿気の発生源に近い場所には、排気口があるかどうかも重要です。これらの場所で排気がうまくいかないと、湿気が室内全体に広がりやすくなります。必要に応じて換気口の位置を移設したり、数を増やすリフォームも検討することで、空気の流れをより理想的な状態に近づけることが可能です。
5. カビ対策のための住宅メンテナンスと注意点
カビを防ぐためには、日々の湿度管理や空気の流れだけでなく、住宅そのものの点検やメンテナンスも欠かせません。とくに24時間換気や負圧が影響する住環境では、小さな不具合が大きな湿気トラブルに発展することもあります。ここでは、定期的にチェックしておきたい項目と、新築・リフォーム時に注意すべきポイントを紹介します。
5-1. 定期的な点検と換気経路の確認方法
まず最初に確認すべきは、換気口・吸気口・排気口の汚れや詰まりです。フィルターのホコリや虫の死骸などが溜まっていると、空気の流れが滞り、湿気が逃げにくくなります。最低でも半年に1回は掃除し、年1回のプロによる点検もおすすめです。また、換気扇の音が大きくなったり風量が落ちた場合も、劣化のサインです。機器自体の寿命や吸排気バランスが崩れていないか確認しましょう。
さらに、風の流れを手で感じる・ティッシュを吸気口に当ててみるなど、簡単な方法で動作確認も可能です。空気が通っていないようなら、経路の再確認が必要です。ドアの下の通気スリットや壁の中の配管にも、意外と多くの湿気がたまりますので、視覚だけでなく感覚的なチェックも取り入れてください。
5-2. 新築・リフォーム時に気をつけたい設計のポイント
これから新築・リフォームを検討している場合は、「換気設計」と「湿気対策」を初期段階から意識することが大切です。とくに高気密・高断熱住宅では、吸排気のバランスを考慮した設計が求められます。単に24時間換気を導入するだけでなく、どの部屋から空気を取り入れて、どのルートで排出されるかを計画しておくことが、カビを防ぐ鍵になります。
また、壁の内側や天井裏、床下など“見えない空間”に湿気が溜まりにくい構造を採用することも重要です。たとえば通気層付きの外壁材や、防湿シートの正しい施工などが挙げられます。内装材も防カビ機能のあるものを選ぶとより安心です。設計士や施工業者とよく相談し、「カビが出にくい家」にする意識を持つことが、住んだあとも快適に暮らせる大きなポイントとなります。
一般社団法人微生物対策協会について
一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を軸に、住環境の健全化を目指して活動している専門団体です。近年、気密性・断熱性の高い住宅が増える一方で、空気の流れが不十分になることにより、カビや微生物の繁殖が深刻な問題となっています。当協会は、こうした住まいの見えないリスクに向き合い、正確な調査と根拠に基づいた対策を提供しています。
この活動の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律は、アレルギーの予防や症状の軽減を目的とし、生活環境や建築構造の改善を重要視しています。当協会もこの理念に基づき、空気環境の“見える化”を通じて、人々の健康を守る取り組みを行っています。
当協会では、室内や車内などに漂う微生物の検査・調査を行い、特に空気中のカビに注目しています。カビは目に見えない状態でも浮遊し、条件が整えばどこにでも繁殖してしまいます。落下したカビも自然には死滅せず、床下や壁の裏側で静かに広がることもあるため、見た目では判断が難しいのが現状です。そこで私たちは、空気サンプルを分析し、カビの有無・種類・濃度などを“見える化”し、適切な対策へとつなげています。
さらに、微生物による環境被害を未然に防ぐため、建物や生活空間におけるカビ・菌類の理解を深め、公衆衛生の向上、保健医療・福祉、そして環境保全にも貢献しています。快適で安全な空間を未来に残すため、私たちは科学的アプローチと現場主義の両面から住環境を支えています。
「カビかもしれない」「なんとなく空気が重い」「家の中の健康が気になる」そんなときは、ぜひ微生物対策協会にご相談ください。確かな技術と実績で、あなたの住まいの空気を守ります。