一般社団法人
微生物対策協会

ブログ

2025/04/21   

「疲れやすい・だるい…カビ毒が内臓に与える怖い影響を解説」

最近なんとなく体がだるい、疲れやすい――その原因、実はカビが内臓に負担をかけているかもしれません。
【記事を読んで分かること】カビ毒の仕組み、肝臓や腸への影響、そして体内侵入経路や対策がわかります。
【記事を読むメリット】健康へのリスクを正しく理解し、内臓を守るためにできることが具体的にわかります。

カビと聞くと、壁や浴室、食品に発生する不快な存在というイメージが強いですよね。でも実は、私たちの肝臓や腸、腎臓などの内臓にも悪影響を与える可能性があることが、近年の研究で明らかになってきています。特に見落とされがちなのが、「目に見えないカビ毒」が体内に入ってしまうケース。ここでは、カビと内臓の関係について、まずは基本からわかりやすく解説します。

カビが出す有害な物質の代表例が、**マイコトキシン(Mycotoxin)**です。これは一部のカビが産生する毒素で、自然界でも非常に強い毒性を持つことで知られています。マイコトキシンにはさまざまな種類がありますが、代表的なものに以下のようなものがあります:

  • アフラトキシン(主に肝臓にダメージを与える)
  • オクラトキシンA(腎臓への毒性が高い)
  • トリコテセン類(腸や免疫系に悪影響を及ぼす)

これらの毒素は、食品や空気中のカビを通して体内に取り込まれると、肝臓で分解・処理される過程で大きな負担をかけるとされており、場合によっては長期的な健康リスクにつながることもあるのです。

私たちが日常的に吸い込んでいる空気、食べているものの中には、微量のカビやその毒素が含まれていることがあります。特にカビが発生しやすい環境(高湿度・通気不良)に長く身を置いていると、知らないうちにカビ毒を継続的に体に取り込んでしまっている可能性があるのです。

そして、これらの毒素を最初に処理するのが肝臓や腎臓、腸などの臓器。特に肝臓は、毒素を分解・無毒化する役割を担っているため、カビ毒にさらされ続けると疲労感・だるさ・肌荒れ・免疫力の低下といった症状につながることも。

また、腸内ではカビ毒が腸内フローラ(善玉菌と悪玉菌のバランス)を乱し、消化不良や慢性的な腹部不快感、免疫機能の低下を引き起こすとされています。

見た目にカビが生えていないからといって安心はできません。カビは“空気”と“体内”の問題として考えることが、内臓を守る第一歩なのです。

カビ毒(マイコトキシン)は、体内に入ると複数の臓器に負担をかけますが、なかでも特にダメージを受けやすいのが肝臓・腎臓・腸です。これらは私たちの体内環境を整えるために日々働いている臓器ですが、カビ毒にさらされるとその機能が低下し、体のあちこちに不調が現れることがあります。ここでは、臓器別に起こりうる主な症状を詳しく解説します。

カビ毒の中でも特に肝臓に強いダメージを与えるとされているのがアフラトキシン。これは国際がん研究機関(IARC)でも**「発がん性グループ1」に分類されるほど毒性が強く、知らずに摂取し続けることで肝細胞の損傷、肝機能低下、さらには肝がんのリスク**にまでつながる恐れがあります。

また、腎臓に負担をかけるオクラトキシンAは、カビの生えた穀物やコーヒー、保存状態の悪い乾物などに見られ、腎機能の低下、むくみ、尿の異常といった慢性的な症状の引き金になることがあります。

これらの臓器は**「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が出にくいため、異変に気づいたときにはすでに進行している場合も少なくありません。** だるさ、肌荒れ、体の重さ、朝起きられないといった“なんとなくの不調”は、内臓からのSOSかもしれません。

腸は、カビ毒に直接触れる可能性がある重要な臓器です。口から入ったカビ毒は、まず消化管に届き、腸内環境に大きな影響を与えます。とくに、**トリコテセン類(DONなど)**と呼ばれる毒素は、腸の粘膜を傷つけ、炎症や栄養吸収の低下、腸内フローラの乱れを引き起こすことが知られています。

これにより、以下のような症状が起こりやすくなります:

  • 慢性的な下痢や便秘
  • お腹の張りや不快感
  • 食欲不振や吐き気
  • アレルギー症状の悪化
  • 風邪をひきやすい、疲れやすい

腸は“第二の脳”とも呼ばれるほど重要な免疫器官。そこに悪影響が出ると、体全体の免疫力の低下やホルモンバランスの乱れにまでつながってしまいます。

「カビなんて食べなければ大丈夫」と思っていませんか?実は、カビ毒(マイコトキシン)は食べ物だけでなく、空気からも体内に侵入している可能性があるのです。気づかないうちに体に取り込まれ、内臓にじわじわと負担をかけていることもあります。ここでは、主な侵入経路と見逃しがちなポイントを解説します。

カビ毒の代表的な侵入経路は、やはり食べ物です。特に、穀類やナッツ、コーヒー豆、香辛料、干し果物、乾物、加工食品などには、保存状態が悪いとカビが繁殖しやすく、毒素が蓄積している可能性があります。

注意したいポイントは、カビ毒は加熱しても分解されないということ。たとえ調理していても、一度発生したマイコトキシンはそのまま体に入ってしまいます。

見た目に異変がないからといって油断は禁物。以下のようなサインがある食品は注意が必要です:

  • 湿気を吸ってベタついている乾物
  • 開封して時間が経っているナッツや穀物
  • カビ臭がするパンやチーズ
  • 保存容器の内部に白い粉や変色が見られる

特に梅雨〜夏場は、湿度と温度の影響で食品内のカビが急増する時期。保存状態の管理が非常に重要です。

カビ毒のもうひとつの大きな侵入経路は、「吸い込むこと」。そう、室内の空気中に漂うカビの胞子や毒素を、私たちは呼吸とともに体内に取り入れているのです。

特に以下のような場所では、空気中のカビ濃度が高くなる傾向があります:

  • 換気が不十分な部屋(寝室、押し入れ、クローゼット)
  • 湿度が60%以上ある環境
  • 結露が頻繁に起こる窓や壁まわり
  • カビ臭のする場所(目に見えなくても危険)

カビの胞子は非常に小さく、気づかないうちに肺まで届いてしまうこともあり、そこから血流を通じて内臓へ影響を与えるとされています。長期間、カビが多く存在する空気を吸い続けることで、慢性的な疲れや倦怠感、免疫低下、そして内臓の機能不調にまで波及する恐れがあるのです。

カビ毒の侵入を防ぎ、肝臓や腎臓、腸といった内臓への負担を減らすためには、**「外からの侵入を防ぐ環境対策」と「体の中から守る生活習慣」**の両方が大切です。ここでは、住環境を整えるポイントと、日常生活でできる内臓ケア方法を具体的にご紹介します。

まずは、カビの発生源をつくらないための環境づくりが基本です。内臓を守る第一歩は、「吸わない・触れない・増やさない」こと。以下の対策を取り入れて、カビのない空間を目指しましょう。

🟢 湿度コントロール

  • 室内湿度は常に50〜60%以下をキープ
  • 除湿機やエアコンの除湿モードを活用
  • 洗濯物の部屋干しは避け、浴室乾燥や外干しを活用

🟢 換気と空気の循環

  • 朝晩の5〜10分の窓開け換気を習慣に
  • 換気扇やサーキュレーターで空気を滞らせない工夫を
  • クローゼットや押し入れの扉も定期的に開けて風を通す

🟢 掃除と整理整頓

  • ホコリはカビの栄養源!こまめな掃除を意識
  • 湿気がこもる場所(窓枠、ゴムパッキン、家具の裏など)を重点的にチェック
  • 家具は壁から5〜10cm離して設置し、空気が流れるスペースを確保

これらの環境対策は、内臓への負担だけでなく、呼吸器や皮膚、精神面の不調予防にもつながります。

カビ毒の侵入を100%防ぐことは難しいからこそ、**「体の中で解毒・排出できる体づくり」**も重要です。特に以下の栄養素は、内臓をサポートする働きがあるとされています。

🍀 肝臓をサポートする栄養素

  • ビタミンB群:肝機能の代謝に関与(豚肉、玄米、卵)
  • タウリン:肝臓の解毒作用を助ける(イカ、タコ、あさり)
  • クルクミン(ウコン):肝細胞の保護作用で知られる

🍀 腸内環境を整える食材

  • 発酵食品(納豆、ヨーグルト、味噌)
  • 食物繊維(ごぼう、海藻、キノコ類)
  • オリゴ糖(バナナ、玉ねぎ、にんにく)

🍀 抗酸化作用で細胞を守る成分

  • ビタミンC・E、セレン、ポリフェノール:細胞の酸化ストレスから守る

さらに、サプリメントやハーブ(ミルクシスル、ナイアシンなど)を活用することで、肝臓の解毒機能をサポートする方法もあります。ただし、体調に不安がある方は医師や薬剤師に相談してから取り入れるようにしましょう。

「最近なんとなく体が重い」「寝ても疲れが取れない」「お腹の調子がずっと悪い」──そんな不調を抱えている場合、もしかするとカビ毒が内臓に負担をかけている可能性があります。カビによる健康リスクを見過ごさず、早めに対応することで、重症化や慢性化を防ぐことができます。ここでは、症状を感じたときの行動と適切な対処法をご紹介します。

まずは、「不調が長引いている」「特定の原因が見つからない」という場合に、次のような症状が出ていないかチェックしてみてください。

  • 慢性的な倦怠感・だるさ
  • 消化不良や下痢・便秘など腸の不調
  • 肌荒れやむくみ、尿の異常
  • 眠ってもスッキリしない、集中力が落ちている
  • 肝機能や腎機能の数値が気になると指摘されたことがある

このような場合は、まず内科、消化器内科、アレルギー科などの医療機関で相談してみましょう。血液検査、尿検査、肝機能検査、腸内環境のチェックなどにより、内臓への負担の有無を数値で確認できます。

加えて、住環境が心配な方は、カビの専門調査機関や微生物対策のプロに依頼し、空気中のカビの濃度や種類を検査することも有効です。体調と環境の両面からアプローチすることで、根本的な原因を見つけやすくなります。

検査や体調の把握とあわせて、重要なのが「住まいの見える化」です。カビは目に見える黒ずみだけでなく、空気中や壁の内側など、見えない場所でも繁殖していることがあります。そうした隠れたリスクを明らかにするためには、以下のようなカビ検査が役立ちます。

🟩 室内空気中のカビ測定
→ 空気サンプルからカビの量・種類・濃度を数値化

🟩 表面のカビの拭き取り検査
→ 壁・天井・家具などに潜むカビを採取し、培養・分析

🟩 湿度や結露状況の診断
→ カビが生えやすい構造や習慣のチェック

これらを通じて、どこにカビがあるのか・どれだけ危険なのかを明確に把握できます。対策が必要な範囲を絞れるため、無駄なリフォームや薬剤使用を防げ、効果的な改善が可能になります。

不調の原因がわからないときほど、「住環境を疑う」という視点を持つことは、体と心を守る大切な一歩です。

一般社団法人 微生物対策協会は、カビの検査と対策を専門に行う団体です。カビによって引き起こされる健康被害や、建物の劣化といった住環境の問題に向き合い、安心・安全な暮らしを守るための活動を行っています。

この協会の設立には、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**が背景にあります。この法律では、アレルギーの予防・軽減のために、生活環境の改善が強く求められており、特にカビへの対策は重要な柱のひとつです。微生物対策協会は、この法的根拠に基づき、空気中の微生物、特にカビに関する検査・分析・対策提案を通じて、健全な室内環境づくりに貢献しています。

ページトップへ
メールアイコン お問い合わせ  電話アイコン 052-908-0058