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微生物対策協会

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2025/10/19   

「黒カビ・白華現象…束石の汚れ、放置していませんか?」

束石に発生するカビやコケは、見た目だけでなく家全体の構造に悪影響を与える可能性があります。

【記事を読んで分かること】
束石にカビが発生する原因、放置した場合のリスク、除去と予防策を具体的に学べます。

【記事を読むメリット】
床下の湿気やカビ対策を正しく理解し、家の寿命と快適な住環境を守る知識が身につきます。

束石(つかいし)は、床下の構造を支える重要な土台のひとつです。直接地面と接しているため湿気の影響を受けやすく、知らないうちにカビやコケ、白華現象(はっかげんしょう)が発生することもあります。この章では、束石にカビが生える仕組みや、その原因となる構造的・環境的要因について詳しく解説します。

束石は、建物の「根太」や「大引(おおびき)」といった構造材を支える役割を持ち、一般的にコンクリートブロックや自然石でできています。これらは地面の上に直接設置されることが多く、床下の湿気の影響をダイレクトに受けやすいという特徴があります。

さらに、日本の住宅構造では床下の通気が不十分なケースも多く、次のような条件が束石まわりに湿気を溜め込みやすくしています:

  • 地面に防湿シートが敷かれていない
  • 床下の換気口や通気構造が不足している
  • 束石の周囲に落ち葉・ほこり・泥などが堆積している
  • 雨水の排水が不十分で、地面が常に湿っている

特に築年数が経過した木造住宅では、床下環境の整備が不十分なままになっていることが多く、束石の表面やその接合部に湿気が滞留することで、カビやコケの繁殖が促進されます。

束石の表面に「黒っぽい汚れ」や「緑のモヤモヤ」「白い粉状のもの」が見えることがありますが、それぞれ発生のメカニズムが異なります。正しく見分けることが、適切な対処法を選ぶ第一歩です。

✅ 黒カビ(Cladosporiumなど)

  • 表面が黒や茶色に変色し、ざらざらとした感触
  • 湿気と有機物(ホコリや土)があると発生しやすい
  • 放置すると周囲の木材にまで広がる可能性あり

✅ 緑のコケ類

  • 束石表面に緑色の柔らかい膜のような状態
  • 日陰や湿気が多い環境でよく見られる
  • 石材の保水性が高い場合に発生しやすい

✅ 白華現象(エフロレッセンス)

  • 束石表面に白い粉のような沈着物が現れる
  • コンクリート中の塩分や石灰分が水とともに表面に浮き出たもの
  • カビやコケとは異なり、化学反応による現象だが見た目が似ているため誤認されやすい

見た目は似ていても、カビは空気中に胞子を飛ばし、木材の劣化や健康被害につながるリスクがあるため、しっかりと見極めて早めに対処することが重要です。

束石自体は石やコンクリートでできているため、カビが生えてもすぐに劣化するわけではありません。しかし、束石にカビが発生しているということは、床下が高湿度になっている証拠でもあり、放置すればその影響は確実に家全体に波及します。この章では、束石のカビが引き起こす具体的な被害について解説します。

束石の周囲に湿気がこもっている状態が続くと、床下に接している木材部分(大引や根太など)へと湿気が伝わり、カビや腐朽が広がる危険性があります。以下のようなトラブルがよく見られます。

✅ 木材の含水率上昇

コンクリートや石は一度湿気を吸収すると乾きにくく、周囲の木材に長時間じわじわと湿気を移すことがあります。木材の含水率が20%を超えると、カビや腐朽菌が繁殖しやすくなります。

✅ 根太・大引の腐食

束石の上に直接設置された木材が腐食すれば、床の強度が低下します。これにより、床が沈む・たわむ・きしむといった物理的トラブルが発生します。

✅ 湿気による断熱性能の低下

床下が高湿度になることで、断熱材がカビたり機能を損なったりし、室内が夏は蒸し暑く、冬は底冷えする原因にもなります。

カビの見た目が気にならないからといって放置していると、住宅の根幹部分にダメージが蓄積し、やがて大規模な補修が必要になるケースも少なくありません。

束石のカビを放置することで、さらに深刻な問題となるのが「木材腐朽菌」と「白蟻(シロアリ)」の発生リスクです。特に床下環境では、これらが連鎖的に広がる傾向があります。

✅ 木材腐朽菌の繁殖

木材腐朽菌は、カビと同様に湿気の多い環境を好みます。見た目には単なる黒ずみやカビのように見えても、実際には木材の構造を内部から崩壊させる菌が広がっていることがあります。腐朽が進むと、木材がフカフカ・ボロボロになり、支えの役割を果たせなくなります。

✅ 白蟻の誘引

カビや腐朽菌で柔らかくなった木材は、白蟻にとって非常に好都合なエサです。湿った木材の匂いは白蟻を呼び寄せやすく、結果的に束石の周辺から白蟻被害が拡大するという事態に発展します。

また、白蟻は暗く湿った床下を好み、地中から基礎のひび割れや束石と木材の接合部を通じて侵入することが多いため、束石の湿気は白蟻の通り道を作ってしまう要因にもなり得ます。

束石に付着している黒ずみや白い粉、緑の膜――それが本当にカビなのか?、そして**どう対処すればいいのか?**迷われる方も多いはずです。この章では、束石に発生する汚れの正体を見極める方法と、それぞれに適した除去方法、再発防止策までをわかりやすくご紹介します。

束石の汚れや変色にはいくつかのパターンがあり、それぞれ原因や対処法が異なります。以下で主なケースとその見分け方、対応法を整理します。

✅ 黒カビ(クラドスポリウムなど)

  • 見た目:黒やこげ茶の斑点状。表面がややヌルヌルすることも。
  • 発生原因:湿気、通気不足、有機物(ホコリや泥)が原因。
  • 除去方法:
    1. 乾いたブラシで表面をこする(湿らせない)
    2. 消毒用アルコール(70%)や防カビ剤をスプレー
    3. 乾燥させることを徹底する

※黒カビは表面だけでなく、木材側にも広がっている可能性があるため、束石まわりの木部も要チェックです。

✅ 白カビ

  • 見た目:白くふわっとした綿状、または粉状の物質。
  • 発生原因:湿度と温度が高く、空気がこもる環境。
  • 除去方法:
    • 黒カビと同様の乾拭き+アルコール消毒+乾燥
    • カビの種類によっては胞子が飛びやすいためマスク・手袋必須

✅ 緑のコケ類

  • 見た目:束石の表面にべったりした緑色の膜。
  • 発生原因:日陰や湿った場所、水分が多い環境。
  • 除去方法:
    • ワイヤーブラシでこすり落とす
    • 必要に応じて中性洗剤や酢水で洗浄し、その後乾燥させる
    • 石材保護剤や防コケスプレーを仕上げに使用すると再発防止に効果的

✅ 白華現象(エフロレッセンス)

  • 見た目:石の表面に白い粉状の結晶が浮き出る。
  • 発生原因:コンクリートや石材の中の成分(カルシウム)が水分と一緒に表面に出て固まる現象。
  • 除去方法:
    • 乾いたタワシやブラシでこすり取るだけでOK
    • 無理に水拭きすると再結晶化する可能性あり

除去しただけでは根本解決にはなりません。再発を防ぐためには、湿気を抑える環境づくり予防処理の徹底が重要です。

再発防止のポイント:

作業後は必ず乾燥させる

  • 除去後は束石とその周囲の空気をしっかり循環させる
  • 雨上がりや梅雨時期には床下換気を意識的に行う

防カビ・抗菌スプレーの活用

  • アルコールや植物由来の防カビ剤を定期的に塗布
  • 塗布頻度は年1〜2回が目安

泥・ホコリ・落ち葉を除去し清潔に保つ

  • 束石の周りに有機物があると、そこが再びカビの温床になります
  • 月に1回程度、点検口から覗いて確認する習慣をつけましょう

束石まわりのカビを除去しても、床下の湿気環境そのものを改善しなければ再発は防げません。カビの温床となる湿気をどうコントロールし、束石や周辺の木材を守るかが長期的なカビ対策のポイントになります。この章では、湿気の発生源を断ち、カビの再発を防ぐ具体的な方法を解説します。

床下環境を整えるには、「湿気を遮る」「湿度を調整する」「空気を循環させる」という3つの対策が重要です。

✅ 防湿シートの設置

  • 束石の設置されている地面に**防湿シート(ポリエチレン製など)**を敷くことで、地中から上がってくる水蒸気をカットできます。
  • シートの端は重ねて貼り、束石の根元まで覆うように施工することで効果が高まります。
  • 特に土壌が露出している古い家では、最優先の対策です。

✅ 床下調湿材の活用

  • 炭・シリカゲル・ゼオライトなどの素材でできた調湿材を束石周辺に敷き詰めることで、湿気を吸収・放出しながら湿度を安定化させます。
  • 製品によっては消臭・防カビ効果付きのものもあり、床下環境の改善に効果的です。

✅ 通気構造の見直し

  • 床下換気口が塞がっていないか確認し、定期的に落ち葉やゴミを取り除くことが大切です。
  • 基礎部分に通気口が少ない場合や風通しが悪い場合は、床下換気扇の導入も検討しましょう。
  • 換気が偏らないように、風の入口と出口のバランスを考えて設置することがポイントです。

実は束石そのものの「設置方法」や「配置の仕方」によっても、床下の通気性に大きな差が生まれます

✅ 密集した束石配置は要注意

  • 束石が過剰に密集して配置されていると、通気の妨げとなり、一部の湿気がこもる空間ができやすくなります。
  • 木造在来工法では、束石の間隔は900〜1200mmが一般的ですが、建物の大きさや間取りに応じて最適な配置が求められます。

✅ 束石の設置高さにも配慮を

  • 束石の高さが十分でないと、床下空間が狭くなり、空気が滞留しやすくなります。
  • 一般的に、床下の高さは330mm以上が望ましく、これを下回ると点検・通気の面で問題が生じやすくなります。

✅ 束石の周囲に水が溜まらないようにする

  • 床下に傾斜がなく水たまりができる構造だと、そこから束石が常に湿った状態になり、カビの温床になります。
  • 地面のレベルを調整し、水が外部へ自然に排出されるような勾配をつけることも、湿気対策のひとつです。

束石のカビ対策は、あくまで「入り口」にすぎません。住宅の耐久性を保ち、家族の健康を守るには、束石を含めた床下全体の管理と、建物全体を見渡した広い視点でのカビ対策が必要です。この章では、住宅全体のカビ対策として、今すぐ意識したい重要なポイントと、信頼できる専門機関との連携についてご紹介します。

カビの原因は、床下の通気や湿気だけではありません。束石まわりにカビが発生しているということは、家の周囲にも何らかの「湿気リスク」が潜んでいる可能性があります。

✅ 家まわりの排水・地形の確認

  • 雨が降ったとき、建物の周囲に水が溜まっていないか確認しましょう。
  • 雨どいの詰まりや、外壁近くに傾いた地面も湿気の原因になります。
  • 敷地全体に水はけのよい傾斜がついているかも見直しポイントです。

✅ 室内の換気習慣を整える

  • 床下だけでなく、室内にも湿気は影響します。
  • 特に和室の畳、押入れ、収納スペースは湿気がこもりやすいため、こまめな換気が必要です。
  • 梅雨時や冬季の暖房使用による結露も見逃せません。

✅ 家具の配置も湿気に影響

  • 家具を壁にぴったりくっつけると、背面に湿気がこもってカビの温床になりやすくなります。
  • 少し隙間を空けて通気を確保することで、住宅全体のカビリスクを下げることができます。

束石や床下にカビが見つかったとき、または見つかっていなくても心配な場合は、早めに専門機関に相談することを強くおすすめします。

✅ なぜ専門機関に相談すべきか

  • 自分では見えない場所(床下・壁の中)まで科学的に測定・分析できる
  • カビの種類や広がり方、木材の含水率や劣化の進行度まで調査できる
  • 防カビ・防腐・通気改善などの処置を一括で提案してくれる

✅ 定期点検の習慣化でリスクを最小限に

  • 床下の点検は年に1回〜2回が理想
  • 住宅診断や空気環境の検査を定期的に受けることで、カビや白蟻の初期兆候を早期にキャッチできます。
  • 被害が広がる前に対策すれば、費用も最小限で済みます。

一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を柱とした活動を行っている専門機関です。カビが引き起こす健康被害や建物の劣化といった深刻な問題に向き合い、**室内空気や構造内部の「見える化」**を通して、人々の健康と住環境の安全を守ることを目的に設立されました。

この活動は、平成27年に施行された**「アレルギー疾患対策基本法」**を法的根拠としています。同法では、「アレルギー疾患の予防及び症状の軽減を資するよう生活環境の改善等の措置を講ずる」と定められており、当協会はこれに基づき、カビをはじめとした微生物によるリスクに対処しています。

協会の主な目的は、環境微生物災害から住まいや生活空間を守ることです。具体的には、空気中に浮遊するカビや細菌など目に見えない微生物の存在を「見える化」し、建物内部の健康状態を正確に把握する検査・調査を行っています。

たとえば、床下にある束石まわりのカビも、協会が行う調査によって木材の含水率・空気中のカビ濃度・構造材の劣化度合いなどを数値で確認することが可能です。これにより、被害の範囲や深刻度を正しく判断し、的確な対策を講じることができます。

また、当協会では調査後の防カビ・防腐施工、換気や通気性の改善アドバイス、再発防止プランの提供まで幅広くサポート。住まいの寿命を延ばし、家族が安心して暮らせる健康的な住環境の維持を支援しています。

現代は「安心・安全な空気環境」が求められる時代です。見えないカビ、見えにくい構造被害を放置せず、早期に対応することが、建物を長く健やかに保つ秘訣です。

床下のカビ、壁内の湿気、空気の質が気になる方は、ぜひ一般社団法人 微生物対策協会へご相談ください。確かな知識と技術で、あなたの住まいを守るお手伝いをいたします。

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