2025/11/04
「墓石や床材にカビが発生!石材の裏面に潜む見えないトラブルを解決」
見た目にはキレイな石材でも、裏側や裏面でカビが静かに広がっているケースが増えています。
【記事を読んで分かること】
石材にカビが発生する原因や裏側にできるカビのリスク、効果的な除去法や再発防止策が理解できます。
【記事を読むメリット】
石材を長く美しく保つための知識が得られ、見えないカビ被害から建物や墓石を守る対策がわかります。
1. 石材・天然石にカビが発生する原因とは
一見硬くて丈夫に見える石材や天然石ですが、実は意外にもカビが発生しやすい素材のひとつです。特に裏側や裏面などの見えない箇所にカビが繁殖すると、表面にまで影響を及ぼす可能性があります。ここでは、石材にカビが発生する主な原因を詳しく解説します。
1-1. 表面ではなく「裏側・裏面」にカビが生える理由
石材の裏面は通常、空気の流れが少なく、湿気がこもりやすい場所です。施工時に接着剤やモルタルなどで固定されているため、通気が遮断され、湿気が逃げにくくなります。加えて、外気との温度差による結露が生じやすく、水分が裏面に蓄積されていくことで、カビにとって理想的な環境ができあがってしまいます。表面は日光や風にさらされて乾燥しやすい一方で、裏面は長時間湿気が滞留しやすいため、カビの発生リスクが高くなるのです。
1-2. 石材が湿気を溜め込みやすい構造的な特徴
天然石は表面が硬くても、内部には微細な空隙(すきま)が多く存在しています。この構造があるため、水分や湿気を吸い込みやすく、特に裏面から吸い上げた水分が石材内部に滞留し、そこからカビが繁殖することがあります。さらに、下地のモルタルや地面からの湿気、雨水の浸入が加わると、石材はまるで「湿気を吸い込むスポンジ」のような状態になります。見た目では乾いているようでも、内部は湿っていることがあるため注意が必要です。
2. カビによって石材に起こる変化とその見分け方
カビが石材に影響を与えると、見た目や質感に変化が現れます。ただし、石材にはカビ以外の変色や劣化現象もあるため、違いを見分けることが重要です。
2-1. 黒ずみ・白華との違いとカビの見分け方
石材表面の黒ずみはすべてカビというわけではありません。たとえば、「白華(エフロレッセンス)」は石材内部の成分やモルタルの成分が水に溶け出して表面に白く浮き出る現象であり、カビとは異なります。一方で、カビは黒や緑、場合によっては赤やピンク色の斑点として現れ、触ると湿った感触がある場合もあります。また、特有のカビ臭があることも見分けのポイントです。目視だけで判断しづらい場合は、専門機関でのカビ検査を行うのが確実です。
2-2. カビが進行した場合の劣化・変色・剥離リスク
カビが石材内部にまで根を伸ばすと、石材自体の強度が低下したり、表面が剥離することがあります。特に石灰岩系の石材は酸に弱く、カビが出す代謝物で表面が劣化しやすくなる傾向があります。さらに、カビが放出する胞子は周囲に広がりやすく、壁面や周辺部材にまで被害が拡大することも。建築物の美観を損なうだけでなく、メンテナンスコストも増加するため、早めの対応が不可欠です。
3. 石材の裏側に生えたカビの除去方法
石材の裏面に発生したカビは、表面に出てくる前に早期対処することで大きな被害を防ぐことが可能です。ここでは、カビを取り除くための基本的な方法をご紹介します。
3-1. 自分で行う掃除方法と使ってはいけない薬剤
表面に出てきたカビに対しては、市販の中性洗剤やカビ除去スプレーで対応することができますが、裏側のカビにまで対処するのは非常に難しいです。また、石材の種類によっては酸性やアルカリ性の薬剤が石材を傷めてしまうため、使用は避けるべきです。特に大理石などの石灰系の石材には注意が必要で、誤った薬剤を使うと光沢が失われることもあります。自分で対処する際は、柔らかいブラシと水拭き程度にとどめ、カビの根本対処には専門の処置が必要となります。
3-2. 専門業者による除去作業と調査の流れ
石材の裏面や内部までカビが浸透している場合は、カビ対策の専門業者に依頼することをおすすめします。まず、空気中の胞子濃度や表面・裏面の含水率を測定し、カビの発生状況を調査。その後、素材に応じた薬剤や洗浄方法でカビを除去します。必要に応じて裏面の構造や接着材の見直し、防カビコーティングの施工も行われ、再発防止までを含めたトータルサポートが可能です。専門的な知識と道具を使った対応は、自分では得られない安心感があります。
4. カビを再発させないための環境改善と予防法
一度カビを除去しても、原因が解決されていなければ再発する恐れがあります。再発防止には、石材が置かれている環境そのものの見直しが欠かせません。
4-1. 裏面通気・排水処理・湿気対策のポイント
石材の裏側に湿気が溜まらないようにするためには、通気性を確保することが第一です。たとえば、床材であれば通気パネルの設置、外壁や墓石であれば裏面に空間を設けることで風の通り道を作ることが有効です。また、雨水や湿気が滞留しないように、勾配や排水処理をしっかりと設計することも大切です。モルタルや接着材の使用時には、防水性能の高いものを選ぶことで、裏面からの吸湿を抑えることができます。
4-2. 防カビ処理の施工と効果的なメンテナンス法
施工段階で防カビ剤を塗布しておくことで、カビの定着を防ぎやすくなります。防カビ処理には表面保護タイプや内部浸透タイプがあり、石材の用途や設置場所によって使い分けが可能です。また、施工後も定期的に清掃・点検を行うことがカビの予防に有効です。湿気が多くなる梅雨前や結露が発生しやすい冬の時期には、特に注意してメンテナンスを行いましょう。小さな変化を見逃さないことが、カビの早期発見・予防につながります。
5. カビに強い石材管理のためのチェックリスト
石材にカビを発生させないためには、定期的な点検と正しい管理が重要です。ここでは実際に取り組めるチェックポイントを紹介します。
5-1. 定期点検でチェックすべき場所とタイミング
・石材の表面や目地に黒ずみ・変色がないか
・裏面からの水分浸入や湿気の蓄積がないか
・接着部や隙間から水が侵入していないか
・カビ臭がしないか、空気のこもりを感じないか
これらを最低でも年に1回はチェックし、雨の多い季節や気温差の激しい時期には追加で点検を行うと安心です。とくに屋外の石材は雨水の影響を受けやすいため、重点的に見ておきましょう。
5-2. 建築時・設置時に気をつける石材の扱い方
新築時や石材の設置工事では、裏面の通気性と排水性を確保する設計が必須です。接着面を全面密着させるのではなく、湿気が抜ける余地を残すことも検討しましょう。また、施工前に防カビ処理を施し、湿度管理ができる環境を整えることで、長期的に清潔な状態を維持しやすくなります。素材選びの段階からカビに強い石種や仕上げを選ぶことも効果的です。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を専門に扱う団体として、住環境や建築構造物に潜む微生物による被害の抑制・予防に取り組んでいます。カビによる健康被害や建材の劣化、生活環境の悪化といった問題に対して、目に見えない空気中の汚染物質を「見える化」することで、確かな対策を実現しています。
当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいています。この法律では、アレルギー疾患の予防や軽減のために、生活環境の改善が求められており、当協会ではこの理念に基づいて、空気環境や微生物に関する調査・測定・分析を行っています。
特に石材や建材にカビが発生している場合、空気中の胞子濃度や素材表面のカビ菌数を計測し、見た目だけでは判断できない被害の有無を科学的に解析することが可能です。調査結果に基づき、的確な対処法と再発防止策をご提案いたします。
見えない場所で静かに広がるカビだからこそ、早期発見と科学的アプローチが重要です。住宅・墓石・商業施設など、石材に関するお悩みがあれば、どうぞお気軽に微生物対策協会へご相談ください。