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微生物対策協会

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2025/10/16   

「壁の中がカビだらけ?筋交いに潜む見えない危険と対策法」

壁の中に発生するカビは気づきにくく、家の構造や健康に深刻な影響を与える可能性があります。

【記事を読んで分かること】
筋交い部分にカビが発生する原因や影響、確認方法、除去と再発防止策まで詳しく解説します。

【記事を読むメリット】
見えないカビ被害の早期発見と正しい対処方法を知ることで、大切な住まいと健康を守ることができます。

壁の中にある筋交いは、住宅の耐震性を保つために欠かせない重要な構造材です。しかしその筋交いにカビが発生すると、見た目には分からないまま木材が劣化し、住宅の安全性や住環境に深刻な影響を与えます。ここでは、なぜ筋交いにカビが発生するのか、そしてその原因となる壁内環境の特徴について解説します。

筋交いにカビが生える主な原因は「湿気」と「結露」です。住宅の壁内部は、外気と室内の温度差により結露が発生しやすい環境です。特に冬場は、室内の暖かい空気が壁内に入り込み、冷たい外壁との温度差で水分が発生します。これが木材である筋交いに吸収されると、湿度が高まってカビの繁殖条件が整います。

さらに、新築から数年以内の住宅でも、施工不良や断熱不足、通気不足によって壁内に湿気がこもるケースがあります。たとえば、壁紙の裏が冷たく感じたり、表面にカビが生えている場合は、内部でもカビが発生している可能性が高いです。

カビは湿度が60%以上、温度が20~30度程度で最も活発に繁殖します。つまり、人が快適に感じる環境はカビにとっても快適な環境なのです。目に見えない壁の中で、こうした条件がそろうことで筋交いにカビが広がっていきます。

一般的に筋交いにはスギやヒノキなどの針葉樹が使用されることが多く、これらの木材は調湿性が高く、ある程度の水分を吸収・放出する性質を持っています。一見すると湿気に強そうに感じるかもしれませんが、実際にはこの「吸湿性」が裏目に出てしまう場合があります。

壁内に湿気が滞留すると、木材がそれを吸収して内部まで湿った状態が続きます。こうなるとカビにとっては栄養源と水分が同時に存在する絶好の環境となり、菌糸を伸ばして筋交い全体に広がっていきます。また、ホコリや壁材に含まれる有機物もカビの栄養源となるため、筋交いを含む壁構造全体がカビの繁殖を助けてしまうのです。

カビが木材内部まで入り込むと、外側からは見えない劣化が進行します。初期段階で発見できればカビの除去や防カビ処理で対応可能ですが、気づかずに放置すると木材の強度が低下し、地震時の耐震性にも悪影響を及ぼします。これが筋交いにカビを発生させないための「早期発見・早期対応」が重要な理由です。

筋交いにカビが発生した場合、その影響は単なる見た目の問題では済みません。住宅の構造そのものに関わる「強度の低下」や、「住む人の健康被害」にまで及ぶ可能性があります。ここでは、見えない場所で進行するカビの深刻な影響について詳しく見ていきましょう。

筋交いは、地震や風などの横からの力に耐えるための重要な構造部材です。その筋交いにカビが発生し、木材の内部まで菌糸が侵入すると、木材の強度が徐々に低下していきます。

カビは木材のセルロースやリグニンといった成分を栄養源として分解していきます。これにより、表面だけでなく内部も徐々にもろくなっていき、最悪の場合、筋交いとしての機能を果たさなくなるおそれがあります。

また、カビが発生しているということは、すでにその部分に「高湿度環境」が存在しているという証拠でもあります。湿気は木材の腐朽(ふきゅう)を引き起こし、さらに害虫の侵入を招くリスクも高まります。特にシロアリは湿った木材を好むため、カビと同時に被害が進行するケースも少なくありません。

このように、筋交いのカビを放置すると、家の耐久性が知らぬ間に大きく損なわれ、耐震性にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。

筋交いのカビは、構造にダメージを与えるだけでなく、住む人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。壁内にカビが発生している場合、その胞子が室内空気に混じって拡散することがあるのです。

カビの胞子は非常に小さく、空気中を浮遊して吸い込まれることで、アレルギー症状や喘息、皮膚炎などを引き起こすことがあります。特に、小さな子どもや高齢者、呼吸器系が弱い人にとっては大きなリスクになります。

また、カビが発する揮発性有機化合物(MVOC)によって、頭痛や倦怠感、集中力の低下といった症状が現れることもあります。これらは「シックハウス症候群」と呼ばれる症状に似ており、原因が分かりにくいため長期間見過ごされがちです。

さらに厄介なのは、壁の中にあるために「目に見えない」という点です。住んでいる人が不調を感じていても、まさか壁の中の筋交いにカビがあるとは思わず、原因不明のまま放置されてしまうことも珍しくありません。

家の構造と同じくらい、そこで暮らす人々の健康も大切です。カビがもたらす見えない健康被害にも、十分な注意が必要です。

壁の中にカビが発生していても、外からは見えないため気づくのが難しいのが現実です。しかし、早期発見が建物の劣化防止や健康被害の予防にとって非常に重要です。この章では、一般の方でもできるカビの初期サインの見つけ方と、専門業者による検査方法について解説します。

壁の中にカビがあるかどうかは、実際に壁を開けてみないと分からないケースが多いですが、いくつかの「サイン」から予測することが可能です。

まず代表的なのが「カビ臭」です。どこからともなく湿ったような、土っぽい、あるいは酸っぱいにおいがする場合、それはカビが発生している可能性が高いです。特に換気してもにおいが残るような場合は、壁内部にカビが繁殖しているケースが考えられます。

次に注目したいのが「壁紙の変色や剥がれ」です。壁紙が黒ずんでいたり、うっすらと斑点模様が浮かび上がっていたりする場合、表面だけでなく内側でもカビが広がっている可能性があります。また、壁紙がふわっと浮いていたり、めくれていたりするのも湿気がこもっているサインです。

梅雨時や冬の結露が多い時期、特定の壁面だけがいつも湿っているように感じる場合なども要注意です。少しでも異変を感じたら、早めに専門業者へ相談するのが安心です。

より確実に壁の中のカビを確認したい場合は、専門業者による検査を受けるのが最も効果的です。特に、「健康に不安がある」「リフォーム前に状態を知りたい」「過去に雨漏りや結露があった」などの場合は、検査を強くおすすめします。

専門業者は以下のような方法でカビの有無を調査します。

  • 空気中の浮遊菌の測定:専用の検査機器で室内空気を吸引し、カビの胞子がどれだけ浮遊しているかを調べます。見えないカビの存在を「数値化」することができます。
  • 壁内のサンプル採取:壁の一部に小さな穴を開けて、内部の空気やホコリを採取し、検査機関でカビの種類や量を分析します。
  • 赤外線サーモグラフィー:壁の温度分布を測定し、湿気がたまりやすい部分や結露箇所を可視化します。

検査費用は内容によって異なりますが、簡易的な空気測定であれば1~3万円程度、本格的な壁内調査やサンプル分析を含めると5~10万円程度が相場です。高く感じるかもしれませんが、家の寿命や健康リスクを考えれば、決して無駄な出費ではありません。

「見える化」されたデータがあれば、リフォームや防カビ対策も的確に進められます。筋交いなどの構造部材が関わる場合は、調査のプロに任せることが確実な対処への第一歩となります。

筋交いにカビが見つかった場合、そのまま放置することは建物の劣化や健康被害を招く原因となります。ここでは、カビが発生した際の適切な除去方法と、再発を防ぐための効果的な対策について解説します。リフォーム時や修繕のタイミングで検討すべき重要なポイントです。

筋交いにカビが生えていることが確認されたら、基本的には壁の一部を解体して内部を露出させる必要があります。目視で確認できる範囲での拭き取りでは、木材内部に入り込んだカビまでは除去できないため、根本的な解決にはなりません。

解体後のカビ除去方法には以下のようなステップがあります。

  1. カビの表面洗浄:アルコールや防カビ剤を使って木材表面を丁寧に拭き取ります。ただし、薬剤が木材内部にまで浸透しにくいため、表面処理だけでは不十分な場合もあります。
  2. 研磨による削り取り:木材の表面を軽く研磨して、カビの根が食い込んでいる部分まで削り取る方法です。強度への影響が出ない範囲で慎重に行われます。
  3. 防カビ剤の塗布:洗浄・除去後は、再発を防ぐために防カビ剤を全面に塗布します。特に高湿度環境下では、耐久性のあるプロ用の薬剤を使用することが推奨されます。
  4. 状態によっては交換:劣化や腐朽が進んでいる場合は、筋交いそのものを新しい木材に交換するケースもあります。耐震性を維持するために重要な判断です。

カビ除去作業は自力での対応が難しく、誤った方法ではカビの胞子を拡散させるリスクもあるため、専門業者に依頼するのが最も安全です。

カビを除去したあと、最も重要なのは再発防止です。せっかくきれいにしても、同じ環境が続けばまたカビが発生してしまいます。筋交い周辺でのカビ再発を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  • 断熱材の見直し
     壁内での結露を防ぐためには、適切な断熱材を使い、温度差が発生しにくい構造にすることが重要です。グラスウールなど吸湿しやすい断熱材ではなく、発泡系断熱材など水を通しにくい素材を使うのも一つの方法です。
  • 通気層の確保
     外壁と内壁の間に「通気層」を設けて、湿気がこもらないようにすることで、壁内の乾燥状態を保ちます。これにより、カビが発生しにくい環境を維持できます。
  • 気密・防湿処理の強化
     室内の湿気が壁内に侵入しないように、気密シートや防湿フィルムを施工することも効果的です。これにより結露の原因そのものを断つことが可能になります。
  • 防カビ剤の定期塗布
     リフォームや修繕の際には、防カビ処理剤を壁内部にしっかりと塗布しておくことも大切です。施工後も年に1回程度、防カビスプレーなどで予防メンテナンスを行うと安心です。

これらの対策は、ただ「湿気を防ぐ」だけでなく、「カビを生やさない壁内環境を作る」ことに直結します。筋交いのカビを防ぐことは、家の寿命を延ばすための基本対策とも言えるのです。

筋交いに発生したカビを「見えないから」と放置することは、家の安全性を損なうだけでなく、家族の健康リスクを高める危険な選択です。この章では、放置することで起こりうる最悪のケースと、安心できる対策の第一歩となる「専門機関への相談」について解説します。

筋交いのカビを放置した場合、被害は静かに、しかし確実に進行していきます。木材の強度が徐々に低下し、構造的な脆弱さが進むことで、地震などの自然災害時に倒壊リスクが高まることもあります。

また、見えない場所で発生しているカビは、時間の経過とともに壁全体、さらには天井や床下など住宅全体に広がっていく可能性があります。表面のカビだけを掃除しても、内部で根を張ったカビは簡単には除去できません。

さらに、カビの胞子が空気中に拡散されれば、家族の健康を脅かします。慢性的なアレルギー症状や喘息、頭痛、疲労感など、原因不明の体調不良が続くこともあります。特に子どもや高齢者、免疫力の弱い方にとっては、深刻な健康被害となりかねません。

こうした被害は、いずれ「大掛かりな修繕」や「高額な医療費」など、後戻りできないコストを招くことがあります。だからこそ、カビの早期発見・対応は、家と家族を守るために不可欠なのです。

筋交いのカビに関する悩みや不安がある場合、最も信頼できる対策は専門機関への相談です。特に、壁内や構造部材といった目に見えない部分の問題は、素人判断で対応することが難しく、誤った処置をすると逆効果になることもあります。

専門機関では、空気中のカビの量を数値化した検査や、壁内の詳細な調査を行い、被害の範囲やカビの種類を明確にしてくれます。その上で、除去や予防策について具体的なアドバイスを受けることができます。

また、カビ対策の専門知識だけでなく、建物の構造や湿気対策についても深い理解があるため、家の寿命を延ばすための総合的な対策が可能です。
リフォーム業者では見落とされがちな微生物リスクにも着目し、住まいを「健康的な空間」に改善してくれます。

心配な症状や兆候があるなら、まずは一度、信頼できる機関に相談してみることをおすすめします。被害が深刻になる前に手を打つことが、家も家族も守るための最善策です。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を専門とする協会です。私たちは、カビが引き起こす健康被害や建物の劣化といった深刻な問題に取り組むべく、室内空気の状態を科学的に「見える化」し、健やかで安全な住環境を実現することを目的に活動しています。

この活動の背景には、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」があります。この法律では、アレルギー症状の予防や軽減を目的とした生活環境の改善、建築構造の見直しなどが明記されており、当協会もこの法的根拠に基づき、室内環境の質を高める取り組みを行っています。

協会の主な目的は、住まいや生活空間を微生物災害から守ることです。特に空気中に浮遊するカビなどの微生物が、健康や衛生に与える影響を広く周知し、正しい理解と対策を広げていくことを重視しています。保健医療、福祉、環境保全の観点からも、社会全体の健康レベルを向上させるための活動を展開しています。

当協会では、住宅や車内など、普段目に見えない場所に潜む微生物の存在を、独自の検査技術によって「見える化」します。空気中に浮遊する汚染物質の種類や濃度を測定することで、その空間がどれだけ安全かを明らかにし、必要な対策を的確にご提案します。

とりわけ建物内でのカビ被害は非常に多く、落下しても死滅しないカビ菌は、放置するとどんどん拡散し被害を広げます。当協会は、「見えるカビ」はもちろん、「見えないカビ」による被害の可視化にも力を入れており、安心・安全な住環境づくりに貢献しています。

住まいの健康診断ともいえる微生物検査を通じて、大切な家族の健康を守り、建物の寿命を延ばすお手伝いをしています。カビの臭いや見た目でお困りの方は、ぜひ一度、当協会にご相談ください。

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