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2025/09/14   

気温差でカビが育つ!?家の中で注意すべき場所と防止策まとめ

季節の変わり目にカビが増えるのは、気温差による結露や湿気が原因かもしれません。
【記事を読んで分かること】気温差によってカビが発生する仕組みと、家の中で注意すべき場所・防止法がわかります。
【記事を読むメリット】見えないカビを未然に防ぎ、健康と住環境を守るための具体的な行動が身につきます。

春先や秋口など、昼と夜の気温差が大きくなる時期は、体調管理だけでなく「カビの発生」にも注意が必要です。気温差が生む結露や湿気の滞留は、カビが繁殖する絶好の環境を作り出します。見た目には何も起きていないように見えても、室内の目に見えない場所ではカビが着実に広がっているかもしれません。この章では、気温差とカビの深い関係について詳しく見ていきましょう。

気温差によって起こる最も身近な現象が「結露」です。結露とは、空気中の水蒸気が冷たい表面に触れて、水滴として現れる現象です。たとえば、冷えたコップに水滴がつくのと同じ原理で、朝晩の気温差が大きくなると、室内外の温度差によって窓ガラスや壁の内側、家具の裏側などに水滴が発生します。

特に、夜間に気温がぐっと下がり、日中に暖房などで室内温度が上がると、外気との温度差が拡大し、窓や壁が“冷たい板”のような状態になってしまいます。そこに湿気がぶつかると、一気に水滴となって表面に付着し、それが乾かないまま放置されるとカビの栄養源となるのです。結露は見えやすい窓だけでなく、壁紙の裏や収納の中など、気づきにくい場所でも発生しているため注意が必要です。

カビは温度20〜30度、湿度60%以上の環境で最も活発に繁殖するといわれています。まさに、季節の変わり目である春や秋はこの条件にぴったり当てはまり、さらに昼夜の気温差が加わることで「結露→湿度上昇→カビ発生」というサイクルが加速します。

たとえば、昼間に気温が高くなって室内が暖まり、夜に急激に冷えることで室内の湿度が高止まりします。その湿気が壁や床、天井などにじわじわと吸収され、知らないうちにカビが繁殖し始めてしまうのです。しかもこの時期は窓を閉めて暖房を使う機会も増えるため、換気不足になりやすいのもリスクの一つ。カビにとって“ゴールデンタイム”とも言えるこの気候条件が、家のあちこちでカビの温床を作り出してしまうのです。

結露は目に見える場所だけに起きるわけではありません。実は、普段あまり目を向けない場所ほど結露しやすく、湿気がこもりやすいため、カビが発生しやすい「隠れた危険地帯」になっています。ここでは、気温差のある季節に特に注意すべき場所を具体的に解説します。

まず最も結露しやすいのが窓ガラスとその周辺のサッシ部分です。気温差の影響を最も受けやすいガラスは、外気に冷やされやすく、室内の暖かく湿った空気と触れ合うことで簡単に結露を起こします。特にアルミサッシや木製の窓枠は湿気を吸収しやすく、掃除が行き届かないとすぐに黒カビが広がります。

さらに見落としがちなのが壁紙の裏側です。一見乾いているように見える壁も、外気の影響を受けやすい外壁側では、内側に湿気がたまりやすくなっています。そこに結露が起きて乾かない状態が続くと、壁の内部でカビが静かに繁殖してしまうことがあります。これが進行すると、表面に黒ずみやシミが現れ、場合によっては壁材の張り替えが必要になることもあります。

家の中でも湿気がたまりやすい場所として、寝室、押し入れ、玄関が挙げられます。

まず寝室は、人の呼吸や汗によって多量の水蒸気が発生する場所です。夜間は窓を閉め切っていることが多く、換気もされにくいため、気温差+湿気の蓄積で結露しやすくなります。特にベッドや布団の裏側、壁と接している面などは湿気がこもりやすく、放っておくとカビが繁殖してしまいます。

押し入れは、空気の流れがほとんどない密閉空間です。外との気温差が大きくなると、中の空気が飽和し、湿気が木材や布団に吸収されやすくなります。除湿剤を入れていても、こまめな換気をしないと湿気が逃げ切れず、カビの温床になってしまうのです。

玄関は外気との気温差が激しく、ドアや靴箱まわりに結露が発生しやすい場所です。特に靴は湿ったまま放置されがちで、内部でカビが発生し、においの原因にもなります。靴箱の中にも除湿剤や乾燥剤を入れておくと、カビ対策として有効です。

カビは家の構造だけでなく、日常の習慣にも影響を受けて発生します。特に気温差が大きくなる季節は、何気ない行動が「湿気をため込む原因」になりやすいのです。この章では、気温差による湿気がカビに直結する場面を見直し、今日から改善できるポイントをご紹介します。

寒暖差があると、朝晩にエアコンや加湿器を使用する機会が増えますが、その使い方によっては室内の湿度が急上昇し、カビの好む環境を作ってしまうことがあります。

たとえば、加湿器を一晩中つけっぱなしにすると、窓や壁に結露がびっしりということも。特に湿度が60%を超える時間が長く続くと、カビの繁殖スイッチが入ってしまいます。また、エアコンを暖房モードで使用しているときに、部屋を密閉したままにすると湿気がこもりやすくなり、壁や床との温度差が激しくなって結露が発生するのです。

ポイントは、加湿器は湿度計を併用して「40〜60%」の範囲内に収まるように調整すること。さらに、エアコン使用時はこまめに換気を行い、湿気を外に逃がす工夫が必要です。

気温差があると、どうしても「寒さを防ぐために窓を閉め切る」ことが増えます。しかし、これこそがカビを育てる大きな原因です。

特に、夜間や朝の冷え込みを避けようとして窓を閉じたままにし、暖房を使い続けると、室内の空気が動かずに湿気が滞留してしまいます。空気が動かない=湿気がこもる=カビが育ちやすい環境になるという悪循環が起こります。

また、寝室・浴室・キッチンといった湿気が多く発生する場所を閉め切ってしまうと、短時間で室内の湿度が急上昇し、結露やカビの原因に。特に浴室や洗濯機まわりなどは、使用後すぐにドアを閉めるのではなく、換気扇を回す・窓を開けるなどして湿気を逃がすことが重要です。

「寒いから閉める」ではなく、「寒くても数分は空気を入れ替える」ことが、カビ予防の基本です。

気温差によるカビの発生を防ぐには、結露を抑えることと湿度の管理が重要です。どれだけこまめに掃除をしても、湿気がたまりやすい環境のままでは、カビは繰り返し発生してしまいます。この章では、簡単に始められて効果の高いカビ予防の対策方法をご紹介します。

気温差による結露を防ぐためには、まずこまめな換気が基本です。理想は、1日2回以上、10分程度の窓開け換気を行うこと。外の気温とのバランスを取りながら室内の湿気を逃がし、結露が起こりにくい環境を作ります。

また、断熱対策も結露防止に効果的です。特にシングルガラスの窓やアルミサッシは、外気で冷やされやすく結露しやすいため、断熱シートやプチプチ(エアパッキン)を貼る、二重窓にするなどの工夫が有効です。

さらに、家具と壁の間に5cm以上の隙間を空けて空気の流れを確保することで、壁との温度差による結露を軽減できます。布団やマットレスも、すのこを敷いて通気性を確保するなど、地面と密着させない工夫がポイントです。

カビ対策において、室内の湿度管理は非常に重要です。目安としては40〜60%の範囲内を保つのが理想とされています。この湿度を維持するために役立つアイテムや習慣をご紹介します。

  • 湿度計:まずは現状把握。デジタル表示の湿度計を部屋ごとに設置して、湿度が上がりすぎていないかチェックしましょう。
  • 除湿剤・乾燥剤:押し入れ、クローゼット、靴箱など密閉空間には、使い捨てタイプの除湿剤やシリカゲルがおすすめです。水がたまったらすぐ交換しましょう。
  • 除湿機:雨の日や湿気が高い日には除湿機が効果抜群です。特に結露が出やすい窓まわりや浴室・脱衣所では、短時間でも除湿を行うとカビ防止に直結します。
  • サーキュレーターや扇風機:空気を循環させることで、部屋の一部だけ湿気がたまるのを防ぎます。床や壁に直接風を当てることで、乾燥を促進できます。

これらをうまく組み合わせることで、気温差があってもカビの発生しにくい空間をつくることができます。

気温差対策や湿気コントロールをしているのに、それでもカビの発生が繰り返される――。そんなときは、目に見えない場所でカビが広がっている可能性があります。表面的な掃除だけでは改善されない場合、カビの発生原因を根本から特定し、対策を講じる必要があります。この章では、検査や専門機関への相談が必要となるケースと、そのメリットをご紹介します。

カビは目に見える黒ずみだけが問題なのではなく、空気中に浮遊する胞子や、壁の内部に広がる目に見えないカビが、実は深刻なリスクになります。

特に以下のような症状がある場合は、カビが原因である可能性が高いです:

  • 朝起きると喉が痛い、咳が出る
  • 鼻炎やアレルギー症状がひどくなった
  • 原因不明のだるさや頭痛が続く
  • カビ臭が取れない、においが気になる

これらの不調は、シックハウス症候群カビアレルギーの初期症状として現れることがあります。特に高齢者や小さなお子さま、アレルギー体質の方は影響を受けやすく、早期の対応が大切です。

市販の除湿剤やカビ取り剤では解決できない場合は、**室内環境の“見える化”**を行うカビ検査が効果的です。専用の機材で空気中のカビや細菌の濃度を測定することで、どの場所にどれだけのリスクがあるかが数値でわかります。

さらに、専門業者による調査と対策では、壁内部や床下など、家庭では手が届かない場所のカビも徹底的に調べ、発生源の特定と除去を行ってくれます。再発を防ぐための換気・断熱の改善提案も受けられるため、長期的な安心につながります。

大切なのは、症状や見た目だけに対処するのではなく、原因を正確に把握し、根本から解決すること。気温差の激しい時期は、家の中が知らず知らずのうちに“カビの巣”になっている可能性もあるため、「なんとなくおかしい」と感じた段階で、専門家に相談するのが賢明です。

一般社団法人 微生物対策協会は、住まいや建物の中で発生する「カビ」に関する検査・調査・対策を専門とする団体です。私たちは、目に見えないカビによる健康被害や建物の劣化被害から、安心・安全な暮らしを守るために活動しています。

協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を法的根拠としています。この法律では、アレルギーの予防や症状の軽減のために、住環境の改善や建築構造の見直しなどが求められており、私たちはその趣旨に基づいて、より良い住まいづくりと健康な生活環境の実現を目指しています。

特に力を入れているのが、空気中に浮遊するカビや微生物を「見える化」する検査です。室内の空気には、目に見えない微生物や汚染物質が含まれていることがあります。私たちは専用の機材を用いて、空気中のカビの種類や量を数値化し、健康リスクの把握と改善につなげます。

また、協会では次のような目的を持って活動しています:

  • 室内や車内に浮遊する微生物による健康被害の予防
  • 建築物や生活環境の劣化リスクの早期発見と対策
  • カビによる災害を防ぐための正しい知識と理解の普及
  • 保健・医療・福祉・環境保全の向上に貢献する取り組みの推進

カビは、一度繁殖すると目に見えない場所にも広がり、空気中に胞子を放出し続けます。放置すれば健康だけでなく、建物の寿命にも影響を及ぼす深刻な問題です。だからこそ、正確な調査と適切な対策が必要です。

私たち一般社団法人 微生物対策協会は、「健全な住環境」をつくるために、専門知識と技術でサポートいたします。目に見えないカビの不安を、確かな検査と対策で“見える安心”に変える。それが私たちの使命です。

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