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2025/09/30   

木製家具にカビが!原因と今すぐできる除去・予防法まとめ

お気に入りの木製家具にカビが生えてしまう原因を知らず、繰り返す家庭が増えています。

【記事を読んで分かること】
木製家具にカビが生える原因と予防法、発生時の対処法、健康へのリスクを解説します。

【記事を読むメリット】
今すぐ実践できるカビ予防法と安全な掃除法がわかり、大切な家具を長持ちさせられます。

木製家具は見た目の美しさやぬくもりが魅力的ですが、実はカビが発生しやすい素材でもあります。「気づいたら表面に黒いポツポツが…」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。カビの原因を正しく理解し、再発を防ぐためにも、まずはなぜ木製家具にカビが生えるのか、そのメカニズムを知っておきましょう。

木材は自然素材であり、空気中の湿気を吸収しやすいという特徴があります。そのため、湿度が高い場所に家具を置いていると、木が湿気を含み、カビが繁殖する温床となってしまいます
特に梅雨の時期や、冬場に結露が発生するような場所では、湿度が70%を超えることも多く、これがカビにとって理想的な環境になります。

さらに、家具の背面や底部が壁や床にぴったりと密着していると、空気の流れがなくなり、湿気がこもる原因になります。特に壁と家具の隙間がなく、換気の悪い部屋では、家具の見えない部分にカビが広がっていても気づかないことがあります。

また、加湿器を使っている場合や、洗濯物を部屋干ししている場合など、日常のちょっとした湿度の上昇が家具に影響することもあります。木は呼吸しているため、湿度の影響を非常に受けやすい素材なのです。

木製家具といっても、その材質や仕上げによってカビやすさは大きく異なります。たとえば、無垢材の家具は自然の風合いが魅力的ですが、表面にコーティングが少ない場合、水分を吸収しやすく、カビが繁殖しやすくなります

一方で、合板や集成材のように加工された木材は、塗装や樹脂で表面が保護されていることが多く、多少は湿気に強い傾向があります。しかし、表面の塗膜に傷がついたり、時間の経過で塗装が劣化すると、そこから水分が浸透してカビの原因になることもあるのです。

また、オイル仕上げやワックス仕上げの家具は、見た目は自然で美しいですが、防水・防カビ性能は塗装仕上げよりも劣る場合があるため、こまめなメンテナンスが必要になります。

カビは「湿気」「栄養(木材)」「温度(20〜30℃)」の3条件が揃うことで急速に増殖します。木製家具はこれらすべての条件が整いやすいため、特にカビに注意すべき素材なのです。

木製家具と一口に言っても、その材質や構造、設置場所によって、カビの発生リスクは大きく異なります。ここでは、どのような木製家具がカビやすいのかを材質の種類と設置環境の観点から解説します。

木製家具に使用される主な木材は、**無垢材・集成材・合板(ベニヤ板)**などに分けられます。それぞれの材質の特徴を理解することで、どの家具がカビやすいかが見えてきます。

■ 無垢材

天然の木をそのまま加工した無垢材は、木の風合いや香りを感じられる一方、吸湿性が非常に高いのが特徴です。塗装が施されていない場合、空気中の湿気をどんどん吸い込み、カビの温床になりやすいです。特に、オイルフィニッシュやワックス仕上げなど自然系のコーティングは、防湿性に限界があります。

■ 集成材

小さな木材を接着して作られた集成材は、構造的には無垢材より安定性がありますが、接着剤や接合部の隙間に湿気が入り込みやすく、そこからカビが発生することがあります。また、表面が薄い天然木で仕上げられている場合、無垢材と同様に水分を吸いやすい性質があります。

■ 合板(ベニヤ)

複数の薄い板を重ねて接着した合板は、安価で加工がしやすく、よく使われます。表面が樹脂でコーティングされていることも多く、一見するとカビに強そうに見えますが、実は水分に弱い部分も多く含んでいます。特にコーティングが劣化した部分や、断面、裏面などにカビが発生しやすいです。

このように、どの材質にも一長一短があり、**「どの家具も条件が揃えばカビる可能性がある」**ことを理解しておく必要があります。

木製家具の設置場所は、カビ発生に大きく影響します。特に以下のような場所は要注意です。

  • 北側の壁沿いに置かれた家具
     北側は日当たりが悪く、結露が発生しやすいため、家具の背面にカビが生えることが多いです。
  • 壁にぴったりくっつけている家具
     空気の流れが遮断され、湿気がたまりやすくなります。最低でも5〜10cm程度の隙間を空けることが理想です。
  • 浴室・キッチン・窓の近く
     水蒸気や湿気が多いエリアでは、家具が常に湿気にさらされる状態になります。特に換気が不十分な場合、**家具の裏側や底に黒カビがびっしり…**というケースも珍しくありません。
  • 床に直接置いた家具
     床との間に隙間がない家具は、下部に湿気がこもり、カビが集中して発生しやすくなります。特に畳やフローリングの表面が冷える季節は、結露により家具の底が湿ることもあります。

このように、素材と設置環境の両面からリスクを見極めることが、カビ予防の第一歩です。

木製家具にカビが生える前に、日常的な予防策を取り入れることが最も効果的です。家具の設置場所や環境を見直すだけでも、カビのリスクは大幅に減少します。ここでは、誰でも簡単にできる予防法と、役立つアイテムを紹介します。

カビ予防で最も大切なのが、「湿気をためないこと」です。特に木製家具は湿気を吸収しやすいため、家具の設置場所を工夫することが大切です。

■ 家具は壁から離して設置する

家具の背面と壁の間に5〜10cmの隙間を空けることで、空気が循環しやすくなり、湿気がこもりにくくなります。特に北側の壁や外壁に面した場所は結露が発生しやすいため、距離を空けて配置しましょう。

■ 床から浮かせる構造の家具を選ぶ

床にぴったりつく家具よりも、脚付きで床から浮いている家具のほうが湿気がたまりにくく、掃除もしやすいため衛生的です。特にフローリングの上に直接置く場合は注意が必要です。

■ 定期的な換気と空気の流れの確保

部屋全体の湿度が高いと家具も湿気を吸い込みます。毎日数分の換気を習慣化し、空気のよどみをなくしましょう。家具の裏や下にも空気が通るように、掃除のときに扇風機やサーキュレーターを使うのも効果的です。

■ 加湿器や室内干しの位置に注意

加湿器の吹き出し口の近くや、室内干しの真下に家具があると、直接湿気がかかってしまいカビの温床になります。湿気が家具に当たらないように配置を工夫しましょう。

家具の設置環境に加え、防カビアイテムを併用することでより安心できます。以下のアイテムを上手に活用しましょう。

■ 除湿剤・調湿材

クローゼットやタンス用の除湿剤や、自然素材の**調湿材(炭・珪藻土など)**を家具の中や裏側に設置することで、湿気を吸収しやすくなります。市販のものは定期的な交換が必要なので、使い捨てタイプと再利用可能なタイプを使い分けるのがおすすめです。

■ 防カビスプレー

市販の防カビスプレーを家具の裏側や目立たない場所に塗布することで、カビの発生を予防できます。木材専用のタイプを選ぶようにし、色落ちや変色の心配がある場合は目立たない部分で試してから使用しましょう。

■ 湿度計

意外と見落とされがちなのが室内湿度のチェックです。湿度計を使えば、カビが繁殖しやすい60%以上を超えたタイミングで、除湿器や換気を行う目安になります。できれば温湿度が同時に確認できるデジタルタイプがおすすめです。

■ 換気シート・すのこ

タンスや棚の底に通気性のあるシートやすのこを敷くことで、家具内部の湿気を逃がしやすくなります。特に押し入れや壁に面した収納棚には有効です。

どれだけ気をつけていても、湿気の多い季節や通気の悪い場所では、木製家具にカビが生えてしまうことがあります。慌ててゴシゴシこすってしまうと、木材を傷めたり、カビの胞子を広げてしまうことも。ここでは、安全かつ効果的にカビを除去する方法と、処分や修理の判断ポイントについて解説します。

カビがまだ軽度で、木材の表面にうっすらと白や黒い斑点が見える程度であれば、家庭でも十分に対応可能です。以下の手順で、安全にカビを取り除いていきましょう。

■ 手順①:乾拭きで表面のカビを落とす

まずは使い捨ての布やティッシュで、表面に見えているカビをやさしく拭き取ります。この時、カビの胞子が飛散しないようにマスクと手袋を着用し、できれば換気の良い屋外で行うと安心です。

■ 手順②:アルコール除菌

次に、**消毒用エタノール(70〜80%程度)**をスプレーして、布で拭き取ります。アルコールにはカビの殺菌効果があり、木材にも比較的優しく使用できます。塩素系の漂白剤は変色や木材劣化のリスクが高いため、木製家具には使用を避けた方が無難です。

■ 手順③:しっかり乾燥させる

カビを除去した後は、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させましょう。陰干しが基本ですが、直射日光を短時間だけ当てて除湿するのも効果的です。再発防止のためには、内部の湿気を完全に取り除くことが重要です。

⚠注意点:カビが広範囲にわたっている場合や、木材の内部まで変色している場合、家庭での対処には限界があります。その場合は、次の対応を検討しましょう。

カビが深く根を張っていたり、家具の構造や見た目にまで大きな影響を及ぼしている場合には、プロのクリーニングや修理、あるいは買い替えを視野に入れる判断が必要になります。

■ プロに依頼すべきケース

  • カビの範囲が広範囲にわたっている
  • 木材が変色・劣化している
  • においが取れない
  • 無垢材など高価な家具で、処分に迷っている

家具修理専門の業者では、表面の削り直しや再塗装、防カビ処理などを行ってくれるところもあります。大切な家具を長く使いたい場合は、こうしたサービスの利用を検討してみましょう。

■ 買い替えを検討すべきケース

  • カビのにおいが部屋中に広がる
  • 内部の構造材までカビが浸透している
  • 健康被害が出ている(咳・かゆみ・鼻炎など)
  • 修理費用が家具の価格を超える場合

カビは再発しやすく、一度でも根が張ると完全除去は困難なこともあります。衛生面や健康への影響を考慮し、状況によっては**「思い切った処分」も選択肢**として考えるべきです。

木製家具に生えたカビを「ちょっと見た目が悪いだけ」と放置していませんか?実はそれ、住まいや健康に大きなリスクを及ぼす可能性がある行動です。カビは家具の表面だけでなく空気中にも広がり、知らないうちに私たちの体に悪影響を及ぼすことがあります。ここでは、カビを放置することで起こりうるリスクと、特に注意が必要な健康被害について詳しく解説します。

家具に生えたカビは、胞子という非常に小さな粒子を空気中に放出します。これらの胞子は、目には見えないものの、室内の空気中を漂いながら他の家具や壁、衣類などに付着し、新たなカビの発生源になります。

特に木製家具は湿気を吸いやすいため、一度カビが発生すると、胞子を内部に含んだまま放出を続けることがあります。その結果、室内全体にカビが広がり、「あれ?部屋がカビ臭い…」「別の家具にも黒ずみが…」といった二次被害が起きやすくなるのです。

また、空気中に漂うカビ胞子は、エアコンや空気清浄機にも入り込み、内部で増殖する恐れがあります。そうなると、空気を循環させるたびにカビ胞子を撒き散らすことになり、家全体がカビ汚染された状態になる可能性もあります。

カビの胞子を吸い込むことで起こる健康被害には、以下のようなものがあります。

  • アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)
  • 咳や喘息の悪化
  • 目のかゆみや充血
  • 皮膚のかゆみ・湿疹・アトピーの悪化

特に免疫力の低い子ども・高齢者・妊婦・アレルギー体質の方は、カビの影響を強く受けやすく、日常生活の質が大きく下がってしまうこともあります。家具に触れるだけで肌がかゆくなる、部屋に入ると咳が出る…そんな症状が続いているなら、家具のカビが原因である可能性を疑うべきです

さらに、カビは**「シックハウス症候群」や「過敏性肺炎」**の一因ともされており、長期的には深刻な呼吸器疾患へと発展することもあります。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」に特化した専門機関として、住まいと人の健康を守る活動を行っています。私たちの生活環境には、目に見えない微生物が存在しており、とくに「カビ」は健康被害や建物の劣化といった深刻な問題を引き起こす原因になります。

当協会は、そうしたカビ問題に対応するために、**室内空気の「見える化」を通じて、人々が健康で安心して暮らせる住環境の実現を目指しています。法的な根拠としては、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」**があり、この法律では「生活環境の改善」や「建築構造の見直し」を通じて、アレルギー症状の予防と軽減を進めることが定められています。当協会の活動も、これに基づいた公益性の高い取り組みです。

主な目的は、カビなどの環境微生物による災害から住まいや生活を守ることにあります。室内や車内に浮遊する微生物の存在を認識し、健康被害を未然に防ぐための正しい知識を広めること、そして公衆衛生の向上を図ることを目指しています。また、保健医療・福祉・環境保全といった社会的課題にも対応できるよう、幅広い視点で活動を行っています。

当協会では、空気中のカビや微生物の濃度を測定し、見える形で提示する「見える化」技術を用いた調査を行っています。カビは空気中を浮遊し、落下しても自然に死滅することはほとんどありません。そのため、見えないカビを数値やデータとして把握することは、確かな対策を講じるうえで非常に重要です。

現在では、建物内の微生物被害として最も多いのがカビであり、放置すれば健康被害だけでなく、建材の腐食や家全体の劣化にもつながります。特に見えない場所でのカビの広がりは気づきにくく、専門的な検査による早期発見が重要です。

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