2025/10/27
モルタル壁にカビ発生!通気の悪い場所で起きる原因と対処法まとめ
モルタル下地に塗装をした壁でも、通気が悪い場所ではカビが発生しやすく悩みの種となっています。
【記事を読んで分かること】モルタル塗装仕上げの壁にカビが発生する原因や除去方法、再発を防ぐための対策がわかります。
【記事を読むメリット】住まいの空気環境を改善し、カビによる劣化や健康被害を未然に防ぐための具体策が身につきます。
1. モルタル下地+塗装仕上げの壁にカビが生える原因とは?
「塗装仕上げだからカビは生えにくい」と思われがちですが、モルタル下地の壁では通気が悪い場所を中心にカビの発生が多く報告されています。表面がきれいでも、内部では湿気がこもり、気づかぬうちにカビが根を張ってしまうことも。この章では、塗装されたモルタル壁にカビが生える根本的な原因を2つの視点から解説します。
1-1. モルタルの吸湿性と塗装の通気性のバランス
モルタルはセメントや砂を水で練った素材で、強度が高く、左官仕上げにも適した建材ですが、吸湿性が高く水分を内部に取り込みやすい性質があります。
一般的なモルタル壁の上には、アクリル系やシリコン系などの塗装仕上げ(ペンキ)が施されており、防水性や汚れ防止の機能を果たしています。しかし、塗装の種類や施工状態によっては、内部の湿気を閉じ込めやすくなる場合があります。
表面は防水されていても、モルタルが壁内や下地から吸収した水分を放出しにくくなると、塗膜の内側で湿気が滞留し、やがてカビの発生につながるのです。
特に以下のような状況ではリスクが高まります:
- 新築やリフォーム直後でモルタルが完全に乾いていない状態で塗装
- 外気との温度差が大きく、内部で結露が発生
- 塗膜にヒビや剥がれがあり、部分的に湿気が侵入しやすい
つまり、モルタルの吸湿性と塗装の通気性のバランスが悪いと、カビにとって好都合な環境が内部にできてしまうのです。
1-2. 通気が悪い場所で起こりやすい湿気の滞留メカニズム
モルタル+塗装仕上げの壁にカビが生えやすい場所として、特に多いのがトイレ・脱衣所・収納・玄関・北側の部屋など、通気が悪く、湿気がこもりやすい場所です。
これらの空間では以下のような要因が湿気の滞留を招きます:
- 窓が小さく、風の通り道がない
- 24時間換気が止まっているか、吸排気バランスが悪い
- 生活の中で発生する湿気(洗濯・入浴・調理など)が蓄積
- 家具や物が壁に密着していて空気が動かない
また、モルタルはコンクリートと同様、一度湿気を吸うと乾きにくい性質があり、気密性の高い現代の住宅では壁の内部が常に湿った状態になるケースも珍しくありません。
このように、湿気がたまりやすく抜けにくい構造+吸湿性のある素材+通気不足という3要素が重なると、壁の表面や内部にカビが繁殖しやすくなります。
2. カビが発生したまま放置するリスク
モルタル下地+塗装仕上げの壁にカビが生えていても、「少しなら大丈夫」「見えない場所だから気にしない」と思って放置していませんか?しかし、カビは放置すればするほど深刻な被害につながる可能性が高く、健康や建物の劣化に大きな影響を与えることがあります。この章では、放置によって起こる2つの主要なリスクを解説します。
2-1. 壁材の劣化と塗膜の浮き・剥がれ
カビは、ただ壁の表面に生えるだけでなく、モルタルの内部にまで根を張ることがあります。モルタルは吸湿性が高いため、内部に湿気が入り込んだ状態でカビが発生すると、塗装面の裏側で静かに劣化が進行します。
その結果、以下のような問題が起きやすくなります:
- 塗膜の浮き・膨れ
塗装の内側に湿気が溜まり、塗膜が膨らんで剥がれてくることがあります。 - 塗装の剥がれ・割れ
カビが繁殖すると、菌の出す酵素で塗膜が分解され、表面がポロポロとはがれてくるケースもあります。 - モルタル自体の劣化
長期間湿気がこもると、モルタル内部にひび割れや中性化が進行し、補修や再塗装だけでは対応できない状態になることも。
さらに、壁内部の木材下地や断熱材にまで湿気が及ぶと、建物全体の構造に悪影響を与える可能性もあります。
2-2. 健康被害やカビ臭による生活への影響
カビは見た目の問題だけでなく、健康リスクを伴う生物です。とくに、モルタル壁に発生したカビは、通気が悪い空間に胞子を放出しやすく、空気中の質を悪化させる原因となります。
放置されたカビから出る胞子やカビ毒(マイコトキシン)は、以下のような健康被害を引き起こす可能性があります:
- アレルギー反応(くしゃみ・鼻水・目のかゆみ)
- 喘息の悪化・慢性的な咳
- 倦怠感・頭痛・集中力の低下
- 免疫力の低下や呼吸器疾患のリスク増加
さらに、カビ特有のツンとした異臭(カビ臭)が部屋全体に広がることで、来客時の印象や、日常生活の快適さが大きく損なわれます。
一度繁殖したカビは、表面を拭いただけでは根絶できず、時間が経つほど壁の内部に入り込み再発を繰り返すようになります。早期に気づき、正しく対処することが、建物と健康の両方を守る第一歩となるのです。
3. モルタル塗装壁のカビを安全に除去する方法
カビは放っておくと広がるだけでなく、壁材や塗膜を傷めるため、できるだけ早く・正しい方法で除去することが重要です。しかしモルタル+塗装仕上げの壁は、素材を傷めないよう注意が必要です。この章では、安全にカビを除去する方法と、塗装の補修が必要な場合の見極めポイントをご紹介します。
3-1. 素材を傷めないカビ取りの手順と注意点
モルタルの塗装壁は硬く見えても、表面の塗膜は意外にデリケートです。強い薬剤やゴシゴシこする方法はNG。素材を傷めずに、効果的にカビを除去するための手順は以下の通りです。
✅ 使用するもの:
- 消毒用エタノール(70〜80%)
- マスク・手袋・保護メガネ
- スプレーボトル
- 柔らかい布やキッチンペーパー
- 防カビスプレー(除去後の仕上げ用)
✅ カビ除去の手順:
- 窓を開けて換気を確保
作業中はカビの胞子が空気中に舞う可能性があるため、必ず十分な換気を行いましょう。 - カビに直接エタノールをスプレー
カビ部分に消毒用エタノールをたっぷりと吹きかけ、5〜10分ほど放置して菌糸を殺菌します。 - 柔らかい布でやさしく押さえ拭き
こすらず、布でポンポンと押さえるように拭き取るのがポイント。こすると塗膜が傷む恐れがあります。 - しっかり乾燥させる
湿気が残っていると再発の原因になります。扇風機や除湿機を使って壁を完全に乾かしましょう。 - 仕上げに防カビスプレーを噴霧
除去後すぐに再発しないよう、防カビ剤を塗布しておくと効果的です。
❗ 注意点:
- 塩素系漂白剤(カビキラーなど)は非推奨
モルタル塗装面には強すぎて塗膜を傷める可能性があります。 - 広範囲にカビがある場合や内部まで浸透している場合は、専門業者に相談しましょう。
3-2. 塗装面の補修が必要なケースと判断基準
カビを除去しても、塗装面に剥がれやひび割れ、変色が残っている場合は、部分的な補修や再塗装が必要な可能性があります。以下のような状態が見られるときは、塗装の劣化が進んでいるサインです。
✅ 補修が必要なサイン:
- カビ除去後も塗膜が浮いている・ベタつく
- 壁面に白く粉を吹いたようなチョーキング現象がある
- 触るとボロボロと剥がれる、ザラザラしている
- カビを取っても変色が戻らない、広範囲に黒ずんでいる
こうした場合、表面の塗膜だけでなく、モルタル自体の中に湿気やカビが浸透している可能性があるため、プロによる再塗装や下地処理が必要になることもあります。
✅ 補修の選択肢:
- 部分的な再塗装(タッチアップ)
小規模な剥がれや変色なら、補修用塗料で対処可能。 - 全面塗り直し・下地補修込み
カビが再発しやすい、または外観も気になる場合は、再塗装+防カビ下地処理を施すのが安心です。
4. カビの再発を防ぐために見直すべき環境管理
カビを除去しても、**根本的な原因である「湿気」と「通気の悪さ」**が改善されなければ、再発は時間の問題です。モルタル下地+塗装仕上げの壁は、構造的に湿気を溜めやすいため、室内環境そのものを見直すことがカビ対策の鍵になります。この章では、再発を防ぐためにできる具体的な環境改善策をご紹介します。
4-1. 換気・通気の改善と湿度のコントロール
カビの3大原因は「湿気」「温度」「栄養源(ホコリや汚れ)」です。このうち湿気と通気の改善は、日常的に取り組める最も効果的な対策です。
✅ 室内の湿度を常に意識する
- 湿度計を設置し、室内湿度を40〜60%に保つ
- 梅雨時や冬の結露シーズンは特に注意し、除湿器を使用する
- 入浴後・料理中など、一時的に湿度が上がるタイミングで必ず換気
✅ 通気性を良くする工夫
- 壁に家具をぴったりとくっつけない(5〜10cm空ける)
- 扉や引き戸を1日数回開けて空気の通り道を作る
- トイレや脱衣所などの換気扇は24時間つけっぱなしが基本
- 空気がこもる場所にはサーキュレーターや小型ファンを設置
✅ 暖房と断熱のバランスをとる
- 冬場は暖房によって室内外の温度差が大きくなると、結露が発生しやすくなります。断熱シートや二重窓などで、結露対策を取り入れることも重要です。
4-2. 防カビ塗料や仕上げ材の活用方法
除去後に再発を防ぐためには、「防カビ仕様の塗料や下地材を使う」のも有効です。最近ではカビや湿気に強い塗装製品も多数販売されています。
✅ 防カビ塗料を使うメリット
- 一般的な塗料よりも菌の繁殖を抑える成分が含まれている
- カビの再発率が低く、定期的な掃除だけで清潔さを維持しやすい
- 光触媒や銀イオンなどを活用した自然由来の防カビ技術も人気
✅ 選び方と施工のポイント
- 通気の悪い場所こそ、防カビ塗料を標準仕様にするのがおすすめ
- 塗装前には、しっかりと下地の乾燥とカビ除去を行っておくことが大前提
- DIYでも可能だが、プロによる下地処理と防カビ施工の方が確実
✅ 防カビ以外の仕上げ材との併用
- モルタル壁の上に調湿性のある塗り壁材(珪藻土・漆喰など)を仕上げに使うことで、カビの発生を抑えることもできます
- 壁紙仕上げにする場合は、防カビ・防湿タイプの壁紙+透湿性のある糊を使用することが重要です
5. 通気の悪い場所でも安心なカビ対策の実践術
トイレや脱衣所、収納スペース、北側の部屋など、どうしても通気が悪くなってしまう場所は、モルタル塗装仕上げの壁にカビが発生しやすい環境です。そこで、最終章では通気が悪い場所でも実践できる現実的かつ効果的なカビ対策を具体的にご紹介します。
5-1. トイレ・脱衣所・収納スペースなどの具体策
通気の悪さは構造上避けられないことも多いため、「空気を動かす工夫」と「湿気を溜めない仕組み」を取り入れることが重要です。
✅ トイレや脱衣所の対策
- 換気扇は24時間稼働が基本(人感センサー付きより、連続運転タイプがおすすめ)
- 入浴後は扉を開放して湿気を逃がす
- 壁や天井に防カビ塗料を施工
- 足元の結露対策に、吸湿マットやすのこを活用
✅ 収納・押し入れの対策
- 壁にピッタリ家具をつけない(最低5〜10cmは空ける)
- 扉を定期的に開けて換気
- 市販の除湿剤(シリカゲルや炭タイプ)を常備
- 季節ごとに中の物を出して、空気の入れ替え&点検
✅ 北側の部屋・玄関周りの対策
- 日が当たりにくく冷えやすい場所は、サーキュレーターで常に空気を循環
- 壁に結露がつくなら、調湿シートや断熱パネルを設置
- 壁表面のカビを早期に発見できるように、定期的な点検と掃除をルーティン化
5-2. カビの兆候を見逃さない定期チェック方法
カビは「生えてから対処する」よりも「兆候に気づいて予防する」方が圧倒的に効果的です。以下のような習慣を取り入れることで、再発の早期発見と予防が可能になります。
✅ カビの兆候とは?
- 壁にうっすら黒い点が出てきた
- 壁がジメジメする、触るとしっとりしている
- 壁から異臭(酸っぱい・カビ臭い)がする
- 塗膜が浮いたり、ボコボコしてきた
- 空気が重く感じる、咳やくしゃみが続く
✅ 定期チェックと予防習慣の例
- 月に1回、壁を目視でチェックし、表面を軽く乾拭き
- 湿度が上がる季節(梅雨・秋・冬)は、週1回程度、除湿や換気を強化
- 湿度計と温湿度モニターを設置して、異常を数値で把握
- 壁の色や質感の「いつもと違う」に気づいたら、すぐに確認・対応
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人 微生物対策協会は、**「カビの検査と対策」**を専門とする団体として、住環境における微生物被害への意識と対応を広げる活動を行っています。近年の住宅は高気密・高断熱化が進む一方で、換気不足や湿気の滞留によるカビ被害が深刻化しています。私たちは、こうした「見えない脅威」に科学的なアプローチで立ち向かっています。
当協会は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づき設立されました。この法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を目的に、生活環境の改善や建築構造の見直しが求められています。微生物対策協会は、まさにこの理念に則り、空気中のカビや浮遊微生物を“見える化”し、根拠に基づいた対策を講じる支援を行っています。
特に、建物内の被害で最も多く確認されるのが「カビ」です。カビ菌は空気中に浮遊し続け、壁や床、天井、家具などに付着しても死滅せず、知らぬ間に健康や住宅そのものを侵食していきます。私たちは、住宅や施設、車内などにおける空気の状態を調査・分析し、カビの種類や濃度を特定する検査を通じて、最適な対応策をご提案しています。
また、微生物対策協会ではカビの発生源を明確にし、再発防止に向けた継続的なサポートも提供しています。カビ被害が進行する前に、空気の質や壁材の状態を確認し、早期対応を取ることが、健康被害や高額な修繕費を未然に防ぐカギになります。
もし「カビ臭がする」「壁が湿っている」「モルタルの塗装面にシミや黒ずみがある」といった異変に気づいたら、どうぞお気軽に微生物対策協会までご相談ください。私たちは、健康と建物の両方を守る「見えない対策」を専門とする協会です。