2025/04/07
築年数が古い家に住んでいると、カビが発生しやすくなることをご存知でしょうか?
【記事を読んで分かること】この記事では、古い家にカビが生えやすい理由と具体的な対策を分かりやすく解説します。
【記事を読むメリット】カビの発生を防ぎ、健康的で快適な住環境を保つための実践的な知識が身につきます。
1. 築年数が古い家にカビが多い理由とは?
築年数が経過した住宅では、カビが発生しやすくなる傾向があります。その理由は建物の構造的な劣化や、当時の建築技術・材料によるもの、さらに住環境の変化など多岐にわたります。まずはその根本的な原因を理解することが、効果的なカビ対策の第一歩となります。
1-1. 古い住宅に潜む湿気と通気性の問題
古い家では、現代の住宅と比べて通気性が十分でないことが多く、特に冬場には結露が発生しやすくなります。また、築年数が経つことで壁や床、窓枠の密閉性が低下し、外気との温度差によって湿気がこもりやすくなります。湿気はカビの繁殖にとって理想的な環境であり、ちょっとした水分でもカビの発生源となるのです。
さらに、築古住宅では屋根や外壁の防水機能が低下しているケースも多く、雨漏りによる内部の湿気が増加してしまうこともあります。これにより、見えない場所でもじわじわとカビが広がっていくのです。
1-2. 建材や構造が影響するカビ発生の仕組み
築年数が古い家には、当時一般的に使用されていた木材や壁紙、断熱材など、現代とは異なる建材が多く使われています。これらの素材は吸湿性が高く、湿気を含みやすいため、カビの栄養源となりやすい特性を持っています。また、過去に使われていた一部の素材には防カビ処理が施されていないものも多く、カビに対する耐性が弱いのです。
さらに、基礎や壁の構造によっては、通気が悪くなりやすい設計もあり、特に床下の換気が不十分だと、湿気がたまりやすくなり、見えない場所でカビが大量発生してしまう可能性があります。構造と素材の両面から、築古住宅はカビにとって絶好の繁殖環境となっているのです。
2. カビが発生しやすい場所ベスト5
築年数が古い家では、構造や通気性の影響で、特定の場所にカビが集中しやすくなります。目に見えるところだけでなく、普段あまり気にしない部分にもカビが潜んでいる可能性があるため、注意が必要です。ここでは特に注意したい5つの場所を紹介します。
2-1. 押し入れ・壁・天井などの見えない危険ゾーン
古い家に多い和室の押し入れは、空気の流れが悪く、湿気がこもりやすいため、カビの温床になりがちです。特に布団や衣類を長期間収納していると、湿気を含んでカビが繁殖するリスクが高まります。また、壁紙の裏や石膏ボード、さらには天井裏など、普段は目に見えない場所にもカビが広がっていることがあります。
築古住宅では断熱が不十分なことも多く、外気との温度差で結露が発生しやすいです。これが壁の内側にたまることで、知らないうちに内部にカビが蔓延しているケースも。外からはわからないため、見逃しやすいのが問題です。
2-2. 浴室・キッチン周りの湿気が多い場所
カビが発生しやすい場所の代表格といえば、浴室やキッチンです。特に築年数が古い家では、換気扇の性能が不十分だったり、長年の使用で排気ダクトが詰まっていたりすることがあります。こうした場所では湿気がこもりやすく、タイルの目地やシリコン部分、排水溝周辺に黒カビが頻繁に現れます。
また、キッチンのシンク下や冷蔵庫の裏側など、普段掃除しにくい場所も要注意です。食べ物のカスや湿気が溜まり、カビが発生する条件がそろってしまいます。定期的な換気と掃除を心がけることで、カビの予防につながります。
3. カビが引き起こす健康被害とそのリスク
カビは見た目の不快感や建物の劣化だけでなく、私たちの体にも深刻な悪影響を与えることがあります。特に長期間カビにさらされた環境で生活していると、アレルギー症状や呼吸器疾患を引き起こす可能性が高まります。ここでは、具体的にどのような健康リスクがあるのかを解説します。
3-1. アレルギー・喘息・シックハウス症候群との関係
カビは空気中に胞子(ほうし)を放出し、それを吸い込むことでアレルギー反応を引き起こします。特にホコリに混じって空中に舞いやすいため、知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまうのです。アレルギー性鼻炎や目のかゆみ、皮膚のかぶれなどが主な初期症状ですが、重症化すると喘息を誘発することもあります。
さらに、シックハウス症候群と呼ばれる症状の原因のひとつにもカビが関係しています。これは頭痛や倦怠感、集中力の低下などを伴うもので、特に高齢者や子ども、アレルギー体質の人にとっては注意が必要です。カビの健康リスクは、見えないからこそ軽視されがちですが、実は非常に深刻な問題なのです。
3-2. 免疫力が低い人ほど危険なカビの影響
カビによる健康被害は、免疫力が低下している人ほど強く現れる傾向があります。小さな子どもや高齢者、病気療養中の方などは特に注意が必要です。カビの胞子を吸い込むことで、肺炎や真菌感染症を引き起こすリスクが高まることが、医療現場でも報告されています。
また、近年では「カビ毒(マイコトキシン)」の存在も注目されています。これは一部のカビが出す有害な毒素で、長期間体内に取り込むと神経系や肝臓への悪影響が指摘されています。見た目は小さくても、カビがもたらすリスクは無視できない存在です。健康を守るためにも、早期の発見と対策が重要です。
4. 古い家のカビ対策はどうすればいい?
築年数が古い家でのカビ対策は「予防」と「改善」の両面から行うことが重要です。湿気のコントロールや掃除の工夫でカビの発生を防ぎつつ、すでにカビが発生している場合は、適切な方法での除去や必要に応じたプロの手による対処も検討しましょう。
4-1. 自分でできる予防と掃除のコツ
まず、日々の生活の中でできる予防策として最も効果的なのは「換気」です。特に押し入れやクローゼット、窓の少ない部屋など、湿気がこもりやすい場所はこまめに空気を入れ替えることが大切です。窓を開けるだけでなく、サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させると、より効果的です。
また、掃除の際にはアルコールスプレーやカビ取り専用剤を活用し、湿気の多い場所は特に念入りに拭き掃除を行いましょう。壁や床の隅など、普段あまり手が届かない場所にも注意を払い、湿気を感じたら早めに対処する習慣をつけることがカビ予防のカギになります。定期的な除湿器の使用もおすすめです。
4-2. プロによる検査・リフォームの選び方
すでにカビの被害が広がっている場合や、目に見えない場所に発生している可能性がある場合は、専門業者による「カビの検査」を受けることを検討しましょう。特に天井裏や床下、壁の内側など、自力では確認できない箇所のチェックはプロの知識と機材が必要です。
また、根本的にカビの発生を防ぐためには、断熱材や換気設備の見直し、湿気がたまりやすい構造部分のリフォームなどが効果的です。築年数が古い家でも、カビ対策を目的としたリフォームを行えば、健康的で快適な住環境を手に入れることができます。信頼できる業者を選び、事前に複数社から見積もりを取ると安心です。
5. カビ対策の前に知っておきたいチェックポイント
カビ対策を始める前に、まずは自宅の状態を正しく把握することが大切です。築年数や使用されている建材、過去の修繕歴などを確認することで、どこにリスクがあるのかを具体的に知ることができます。また、カビの種類によっても対策方法は変わるため、基礎知識を持っておくと効果的な対応が可能になります。
5-1. 築年数・過去の修繕履歴を確認しよう
築年数が30年を超える住宅では、断熱材の劣化や防水機能の低下、通気設計の古さなどが原因でカビが発生しやすくなっています。まずは家の築年数を確認し、過去に外壁や屋根の修繕、断熱リフォームなどを行ったかどうかもチェックしましょう。
修繕の履歴がない場合は、湿気や漏水のリスクが高まっている可能性があるため、床下や屋根裏など普段見えない部分の点検を優先的に行うことが重要です。住宅診断(ホームインスペクション)を活用するのもひとつの方法です。
5-2. カビの種類と見分け方を理解する
カビにはさまざまな種類があり、それぞれ性質や対策方法が異なります。例えば、黒カビは湿気の多い場所に広がりやすく、見た目で気付きやすいですが、白カビや青カビは木材や衣類の中に静かに繁殖し、見逃されやすいのが特徴です。
目に見えるカビだけでなく、臭いや空気のよどみ、アレルギー症状などからカビの存在を察知することも大切です。市販の検査キットを使って空気中のカビを測定したり、プロに相談して専門的な検査を受けたりすることで、正しい判断ができるようになります。
一般社団法人 微生物対策協会とは
築年数が古い住宅におけるカビ問題に対して、根本からの解決を目指す専門機関として、「一般社団法人 微生物対策協会」は活動しています。当協会は、カビによる健康被害や住宅の劣化などのリスクに着目し、空気中に漂う見えない汚染物質を「見える化」することで、誰もが安心して暮らせる健全な住環境の実現を目指しています。
この取り組みは、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいています。法律では、アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境や建築構造の改善を図ることが定められており、当協会の活動はその理念と深く結びついています。
具体的には、室内空気や車室内に浮遊する微生物(特にカビ)を専門的に検査・調査し、目に見えない空気の状態を「数値」で評価します。その結果をもとに、効果的な対策提案やアドバイスを行い、カビ被害の予防と改善をサポートしています。カビ菌は落下しても死滅せず、建物内部に静かに広がっていくため、見えるカビだけでなく、見えない部分の確認も重要です。
私たちは、住宅や生活環境をカビなどの環境微生物災害から守るための啓発活動や、公衆衛生・保健医療・環境保全に貢献する活動を全国的に展開しています。「家族の健康を守りたい」「安全な住まいにしたい」と願うすべての人に寄り添いながら、確かな知識と技術でサポートいたします。