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2025/06/09   

キッチンのシンク下がカビだらけ?施工不良の見逃しサインとは

シンク下の収納がカビ臭い…。実は施工不良が原因の可能性があります。
【記事を読んで分かること】シンク下でカビが発生する理由と、施工不良の見極め・対処法が分かります。
【記事を読むメリット】カビを再発させずにシンク下を清潔に保つための具体的な対策と予防法が身につきます。

キッチンのシンク下は、湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい場所として知られています。掃除をしても繰り返しカビが出てくる場合、それは単なる湿気の問題ではなく、「施工不良」が関係している可能性があります。ここでは、カビの温床となる原因と、見逃されやすい施工上の落とし穴について詳しく見ていきましょう。

シンク下のカビの原因で最も多いのが、**目に見えにくい“わずかな水漏れ”**です。配管のつなぎ目が緩んでいたり、排水ホースの角度が不適切だったりすると、気づかないうちに少量の水が漏れ、湿度の高い空間をつくり出してしまいます。

さらに、外気との温度差によって結露が発生しやすくなる断熱不足も、カビ発生の大きな原因です。特に外壁に面したキッチンでは、冬場に冷えた外壁と温かい室内の空気がぶつかり、水滴がキャビネットの内側に発生。これが木材や収納物に染み込み、カビの温床となるのです。

また、シンク下の換気設計が不十分だったり、通気口が設けられていなかったりする施工ミスも要注意です。湿気がこもったまま逃げ場を失い、数日でカビが繁殖し始めるケースもあります。

カビの原因が施工不良にある場合、以下のようなサインが現れることがあります。心当たりがある方は、早めにチェックしてみましょう。

  • 配管の下に水たまりや濡れた跡がある
    → 見えにくい場所でもティッシュで拭ってみると、水滴がつくことがあります。
  • 収納しているものがベタつく、カビ臭い
    → カビが発生している場所では、特有の異臭がすることが多く、消臭剤では対処しきれません。
  • 木製キャビネットの表面が波打っている、シミがある
    → 湿気が長期間続いた結果、木材が変形したり変色している可能性があります。
  • 外気に面している壁面が冷たく、結露している
    → 断熱材が入っていない、もしくは薄すぎる可能性があります。

こうした症状がある場合、表面の掃除だけでは再発を防げず、構造的な改善が必要になります。素人判断で済ませず、必要に応じて専門業者に相談することが大切です。

キッチンのシンク下にカビが発生すると、見た目やにおいの問題だけではなく、素材の劣化や健康リスクにもつながる恐れがあります。とくにキッチンは食べ物を扱う場所であるため、衛生面の影響は無視できません。この章では、実際によくあるカビ被害の症状とその影響について具体的にご紹介します。

カビにはさまざまな種類がありますが、シンク下に多く見られるのは**黒カビ(クラドスポリウム属)と白カビ(アスペルギルス属など)**です。

  • 黒カビは湿気の多い場所に繁殖しやすく、見た目は黒い斑点状で、木材やシリコンのすき間に沿って広がるのが特徴です。根が深く、素材に入り込むため、掃除しても跡が残ることがあります。
  • 白カビはふわっとした綿状で、食品や段ボール、紙製品に多く見られます。収納物の中や裏側に広がりやすく、発見が遅れると健康被害につながるケースもあります。

カビが見えている場所は氷山の一角であり、見えない裏側や木材の内部にまで広がっている可能性があります。そのため、表面のふき取りだけで安心してはいけません。

シンク下に使われている収納棚の多くは、**合板やMDF(木材チップを圧縮した素材)**で作られています。これらは湿気に非常に弱く、カビが生えると次のような被害が起きることがあります。

  • 板の変形・剥がれ・膨らみ:一度水分を吸うと元には戻らず、強度が落ちて棚としての機能が損なわれます。
  • 腐敗による悪臭:カビが長く繁殖すると腐敗臭が混じり、単なるカビ臭ではない強烈なニオイを発するようになります。
  • 収納していた食品や調味料の汚染:湿気やカビの胞子がパッケージに付着し、中身に影響を与える可能性があります。

また、ダニや害虫が発生する温床にもなり、シンク下のカビは住宅全体の衛生環境にも悪影響を及ぼすことがあります。被害が進む前に、兆候を見逃さず、早めの対処が重要です。

シンク下にカビを発見したら、見て見ぬふりはNGです。カビは放っておくと短期間で広がり、除去が難しくなるだけでなく、健康被害や構造的な劣化の原因にもなります。この章では、カビが発生してしまった場合に素材別で行うべき掃除方法と、再発防止のための大事なポイントを解説します。

カビを除去するには、表面だけでなく根本的な処理が必要です。掃除は必ず換気をしながら、ゴム手袋・マスク・メガネを着用して行いましょう。

● 木製キャビネットの場合

  1. 消毒用エタノールを布に含ませ、カビ部分をやさしく拭き取ります。
  2. 頑固な黒カビには**カビ取り専用スプレー(塩素系)**を使用し、表示どおりの時間放置。
  3. 水拭き→乾拭き→扉を開けて半日以上しっかり乾燥。

※木材は水に弱いので、濡れたまま放置するとさらにカビを助長するため注意が必要です。

● プラスチック・ステンレス素材の場合

  • 表面のカビは、中性洗剤やアルカリ電解水でこすり洗い。
  • 酸素系漂白剤を使うと、素材を傷めずに除菌・消臭が可能です。

● パッキン・すき間などのシリコン部分

  • 黒く変色した部分には、ジェルタイプの塩素系漂白剤を綿棒などでピンポイント塗布。
  • ラップで覆って数時間放置後、歯ブラシでこすって水拭きしましょう。

掃除だけで終わらせてしまうと、数週間で再発してしまうことも珍しくありません。掃除後は以下のような再発防止策をあわせて行いましょう。

  • 乾燥を徹底する:掃除後は、最低でも半日は扉を全開にして通気。サーキュレーターやドライヤーで風を当ててもOKです。
  • 防カビスプレーを活用する:アルコールや天然成分タイプの防カビスプレーを、壁面・すき間・棚板に満遍なく噴霧しましょう。
  • 除湿剤や炭の設置:湿気を吸ってくれるアイテムを棚ごとに配置しておくと効果が持続します。
  • 収納物の見直し:ダンボールや紙袋など湿気を吸いやすい素材は使わず、プラスチック製の密閉容器に切り替えましょう。

カビを「完全除去」するのは難しくても、再び増殖させない環境作りなら誰にでも可能です。

一度カビを除去しても、根本的な環境改善がなければ再発の可能性は高いままです。湿気をためない構造と換気の仕組みが、カビ対策には欠かせません。この章では、誰でもできる防湿・換気の工夫から、構造的な見直しまで、シンク下をカビから守る実践的な方法をご紹介します。

シンク下の最大の弱点は、密閉された空間で通気性が極端に悪いことです。そこで、湿気を逃がすための工夫が必要です。

● 換気の工夫

  • シンク下の扉を1日1回10分開けるだけでも、湿気の滞留を大幅に減らせます。特に料理や洗い物をした後は開放を習慣にしましょう。
  • 小型の換気口や空気穴を設けるDIYも効果的です。棚の背面や側面にドリルで数か所穴を開け、通気性を高めます。見た目が気になる場合は、目隠し付きの通気カバーを取り付けましょう。

● 除湿グッズの活用

  • 塩化カルシウム系の除湿剤を棚ごとに1個ずつ配置。満水状態になっていないか月に1度チェック。
  • 竹炭や珪藻土スティックなど、自然素材の除湿グッズはこまめに天日干しすれば繰り返し使えて経済的です。

湿気を「ためない・逃がす」ことで、カビが育ちにくい環境に変わっていきます。

日曜大工レベルでも、カビに強い環境を作ることは可能です。以下のDIY対策を取り入れることで、構造的な弱点を補強できます。

● 防水シート・アルミシートを棚底に敷く

  • 木製棚は水分を吸いやすくカビの温床になりやすいので、防水シートを敷いて直接湿気が染み込まないようにします。
  • アルミ製の断熱シートを使えば、結露防止効果もあり。調湿機能付きのシートなら一石二鳥です。

● パッキンやすき間の補強

  • 配管の根元や壁とのすき間には、市販のパテやコーキング剤で密閉すると、湿気やホコリの侵入を防げます。
  • 古いゴムパッキンは交換して、防水・防臭効果を取り戻しましょう。

● 注意点

DIYの際は、水道管や電気配線を傷つけないよう慎重に作業を行う必要があります。作業に不安がある場合は、専門業者に相談するのが安全です

シンク下のカビ対策は、自分でできる範囲も多くありますが、状況によってはプロの力が必要な場合もあります。特に施工不良が疑われるケースでは、個人での対応には限界があります。この章では、業者に相談すべき判断基準と、施工保証のチェックポイントについて詳しく解説します。

次のようなケースに当てはまる場合は、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。

● 繰り返すカビ発生や臭いの再発

表面的に掃除しても毎月のように同じ場所にカビが出る場合、構造の問題や配管の漏れが原因となっている可能性が高いです。自己判断では原因が特定できず、再発を繰り返してしまいます。

● 木材の劣化や腐食が進行している

キャビネットや床材が膨張・変色・ひび割れを起こしている場合、カビだけでなく腐朽菌の繁殖やシロアリの誘発リスクも考えられます。この段階で放置すると修繕費用がさらにかさみます。

● 配管周りの結露・水滴が頻繁に見られる

配管の材質や取り回しに問題があり、結露が常態化しているとカビは防げません。断熱材の追加施工や配管再設置など、専門的な工事が必要になることがあります。

施工不良が原因である可能性がある場合は、施工業者やハウスメーカーに責任があるかどうかを確認する必要があります。

● まず確認すべきこと

  • 保証書・契約書の内容:工事日・対象部位・保証期間をチェック。
  • 引き渡し時の写真や記録があれば、施工状況の証拠になります。
  • 保証期間内であれば、無償修理や補修対応の対象になる可能性もあります。

● 相談の流れとポイント

  1. 写真付きで状況を記録し、施工業者に連絡。
  2. 現地調査を依頼し、施工ミスの有無を確認。
  3. 業者の対応に納得できない場合は、**住宅相談窓口(住まいるダイヤル等)**や消費生活センターへ相談。

● 注意すべきこと

  • 怒りに任せて感情的に話すのではなく、事実を冷静に伝えることが解決への近道です。
  • 他の業者に手を加えてもらう前に、元の施工業者へ先に相談するのが原則です。
  • 明らかなミスがない場合でも、改善提案や補強工事の依頼は可能なことがあります。

一般社団法人 微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を中心に活動する専門機関です。カビによる健康被害や住宅の劣化被害が社会問題となる中、私たちは、室内空気の「見える化」を通じて、人々の健康と安全な住環境の実現を目指しています。

私たちの活動の背景には、**平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」**があります。この法律では、「アレルギー疾患の予防および症状の軽減を図るための生活環境の改善」が明記されており、当協会の取り組みはこの方針に基づいています。

具体的には、室内や車内に浮遊するカビをはじめとする微生物の存在を**測定・可視化(見える化)**し、その結果をもとにした具体的な対策をご提案しています。空気中には目には見えないカビの胞子や汚染物質が浮遊しており、それらが私たちの健康に与える影響は小さくありません。こうした見えないリスクを数値で把握することが、安全で快適な住環境づくりにおいて非常に重要なのです。

また、検出された微生物の特性に応じて、最適な除去・予防策を提案する「科学的根拠に基づいた対策」を提供しています。特に建物内では、落下したカビ胞子が生き続け、条件が整えば再び繁殖してしまうため、「見えないカビ」への対応も不可欠です。

当協会の活動は、保健医療・福祉・環境保全に寄与することを目的としており、微生物災害から住まいや生活環境を守るための啓発活動や技術的支援にも力を入れています。

快適で健全な住まいを実現するためには、科学的なカビ検査と的確な対策が必要です。私たち一般社団法人 微生物対策協会は、皆さまの生活空間をより安全に保つための専門パートナーとして、これからも誠実に活動を続けてまいります。

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