一般社団法人
微生物対策協会

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2025/08/13   

高温多湿で危険増!夏のカビと健康リスクを防ぐ方法

夏はカビが繁殖しやすく、知らぬ間に健康被害を引き起こす危険な季節です。
【記事を読んで分かること】夏に多発するカビの原因、健康への影響、効果的な予防法が理解できます。
【記事を読むメリット】カビの繁殖を抑え、健康と快適な住環境を維持するための実践的な知識を得られます。

夏は気温が高く湿度も上がりやすいため、カビの繁殖にとって理想的な環境が整います。特に日本の梅雨から真夏にかけては湿度が長期間高止まりし、室内や家具の裏、浴室などでカビが急速に広がります。ここでは、カビがなぜ夏に多発するのか、そのメカニズムと健康や生活への危険性について解説します。

カビは温度25〜30℃、湿度60%以上で活発に増殖します。夏の室内環境はこの条件を満たすことが多く、特に梅雨明け後の高温多湿な状態では繁殖スピードが加速します。また、冷房を使用しても室内外の温度差で結露が発生し、その水分がカビの栄養源となります。さらに、キッチンや浴室などの水回りは湿度が高くなりやすく、換気不足や掃除の遅れがカビの発生を後押しします。このように、夏はカビの成長に必要な温度・湿度・栄養が揃う季節と言えます。

夏場はエアコンを長時間使うため、部屋を閉め切る時間が増えます。その結果、湿気が外に逃げず、カビにとって快適な環境が維持されてしまいます。また、洗濯物を室内干しする、浴室の換気を怠る、冷蔵庫の扉を開けっ放しにするなど、日常の小さな行動が湿気を増やす原因になります。さらに、家具や収納の裏側は空気が滞りやすく、夏の高湿度と相まってカビの温床になります。こうした環境や生活習慣が重なると、健康被害や建物の劣化を引き起こすほどのカビ被害が短期間で発生する危険があります。

カビは見た目や臭いだけでなく、空気中に放出する胞子や代謝物質によって人体にさまざまな悪影響を及ぼします。特に夏は繁殖スピードが速いため、室内のカビ濃度が上がりやすく、健康被害も増加します。ここでは、代表的な症状とその背景について解説します。

カビの胞子は非常に小さく、呼吸とともに容易に体内に取り込まれます。吸い込むと鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすほか、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎の悪化にもつながります。免疫反応が強く出る人では、肺真菌症など重い呼吸器疾患を発症することもあります。特に高齢者や小さな子ども、免疫力が低下している人はリスクが高く、少量のカビでも症状が出やすいのが特徴です。

カビが産生する一部の代謝物質には、免疫系や神経系に悪影響を及ぼす「マイコトキシン(カビ毒)」が含まれます。これらを長期間吸い続けると、体の防御機能が低下し、風邪や感染症にかかりやすくなります。また、慢性的な疲労感や頭痛、集中力の低下など、日常生活に支障をきたす症状が現れることもあります。さらに、皮膚に付着すると湿疹やかゆみを引き起こすケースもあり、呼吸器以外にも影響は及びます。こうした長期的な健康リスクは、カビ被害が見た目以上に深刻であることを示しています。

カビを防ぐためには、まず繁殖条件である「湿度・温度・栄養源」を断つことが基本です。特に夏は湿度が高くなりやすく、室内温度も上がるため、環境調整の重要性が増します。ここでは、家庭で実践できる室内環境の整え方を具体的に紹介します。

湿度は40〜60%に保つのが理想です。梅雨や真夏は除湿機やエアコンの除湿モードを活用し、湿度計でこまめに数値を確認しましょう。室温は25〜28℃を目安に維持し、過度な冷房は避けます。冷房を強くかけると室内外の温度差で結露が発生し、カビの原因になるため注意が必要です。特に窓や壁の結露は放置せず、吸水タオルで拭き取るか、結露防止シートを利用すると効果的です。

湿気は空気の停滞する場所にたまりやすいため、定期的な換気が不可欠です。窓を2カ所以上開けて風の通り道を作り、1日2〜3回、10〜15分程度換気しましょう。窓が少ない部屋や防音室など換気が難しい場所では、サーキュレーターや扇風機で空気を循環させ、除湿機や空気清浄機と併用すると効果が高まります。家具の裏や押し入れなど、空気が滞る場所も時々開放し、湿気を逃がすことがカビ防止につながります。

カビの発生は環境だけでなく、日々の生活習慣によっても大きく左右されます。どれだけ湿度管理や換気を行っても、日常の行動が湿気や汚れを増やすものであれば、カビは再び繁殖してしまいます。ここでは、家庭で簡単に実践できる生活習慣の見直しポイントを紹介します。

掃除は週1回以上、特に湿気のたまりやすい場所を重点的に行います。浴室やキッチンの排水口、エアコンのフィルター、窓際や家具裏などはカビが発生しやすいため、アルコールスプレーや防カビ剤を併用すると効果的です。洗濯物は可能な限り屋外や乾燥機で乾かし、室内干しの場合は除湿機や扇風機を併用します。調理時は必ず換気扇を使用し、調理後の湿気や油分を部屋に残さないようにしましょう。

家具は壁から5〜10cm程度離して設置し、空気の通り道を確保します。押し入れやクローゼットには湿気取りやすのこ板を活用し、定期的に扉を開放して湿気を逃がします。収納品は詰め込みすぎないことが重要で、特に衣類は洗濯・乾燥後にしっかり冷ましてからしまうようにします。これらの工夫によって、空気の流れが良くなり、カビが根を張りにくい環境を作ることができます。

万全の対策をしても、夏の高湿度や予期せぬ環境変化でカビが発生してしまうことがあります。発見した際は、自己流で強くこすったり漂白剤を無闇に使ったりすると、カビ胞子を拡散させる恐れがあります。ここでは、安全な除去方法と、同じ被害を繰り返さないための予防策を解説します。

軽度のカビであれば、ゴム手袋とマスクを着用し、アルコール(70%前後のエタノール)を使って拭き取ります。漂白剤を使う場合は換気を十分に行い、対象素材に適しているか確認してから使用しましょう。カビ取り作業では、必ず拭き取り後に乾燥させ、湿気が残らないようにします。畳や木材など水分を吸いやすい素材は、濡らさずに除菌できるアルコールや防カビスプレーが効果的です。

壁や天井内部、エアコン内部など目に見えない場所にカビが広がっている場合は、専門業者に依頼するのが安全です。業者はHEPAフィルター付きの吸引機や防カビコートを用い、胞子の飛散を防ぎながら根元から処理します。再発防止には、除湿機の常時稼働や湿度計による管理、防カビ剤の定期使用が有効です。また、家具の配置や換気習慣を見直し、湿気がこもる場所を作らないことが長期的なカビ対策につながります。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を活動の柱とする団体です。カビは健康被害や建物の劣化を引き起こす厄介な存在ですが、その多くは目に見えない空気中に漂っています。当協会は室内空気を「見える化」し、健康を守るための健全な住環境づくりを目的に設立されました。その活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を基盤としています。この法律は、アレルギー疾患の予防や症状軽減のために生活環境や建築構造の改善を進めることを定めています。

当協会の目的は、環境中の微生物災害から住まいと生活環境を守ることです。室内や車内に浮遊する微生物問題への理解を深め、公衆衛生の向上、保健医療や福祉、環境保全を推進します。具体的には、空気中の微生物や汚染物質の有無・濃度を測定し、その特性を分析することで確実な対策を講じます。調査結果では、建物内での微生物被害としてカビが圧倒的に多く確認されており、一度落下したカビ菌は自然死滅しにくいため、早期の発見と対応が欠かせません。

当協会は、見えるカビも見えないカビも正確に把握し、安心・安全な空間を提供するパートナーとして、科学的根拠に基づいた検査と対策をこれからも続けていきます。

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