一般社団法人
微生物対策協会

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2025/11/18   

タイル下のモルタルに潜むカビの原因と対策を徹底解説

タイル表面はきれいでも、実はその下のモルタルにカビが生えているかもしれません。

【記事を読んで分かること】
モルタル下地にカビが発生する原因、対策、予防法、施工時の注意点が分かります。

【記事を読むメリット】
見えないカビの被害を未然に防ぎ、住まいの美観と健康を守るための知識が身につきます。

一見、タイル張りの壁や床はカビに強そうに見えますが、実はその下のモルタルにカビが発生していることがあります。モルタルは多孔質で吸水性が高く、水分を含みやすいため、内部に湿気がこもるとカビの温床となってしまいます。特に湿気の多い浴室やキッチン、玄関などでは注意が必要です。タイル表面は清潔に見えても、下地にカビが繁殖していることに気づかず放置してしまうケースが多いため、根本原因を知ることが大切です。

モルタルは水分を吸収しやすい建材であるため、内部に湿気が入り込むと乾きにくい特性を持っています。タイルは防水性が高い一方で、その裏側や目地から湿気が侵入すると、モルタルがじわじわと湿気を吸い込みます。そして、換気が不十分な状態が続くと、モルタルの中にたまった水分が抜け切らず、カビが繁殖する原因となります。さらに、防水シートや排水設計が甘い場合、モルタルが常に湿った状態になり、よりカビやすくなるのです。

時間が経過するとタイルの目地部分や接着剤が劣化し、微細なすき間ができてしまいます。そこから水分や湿気がモルタル層へと浸透していきます。特に床面や水がかかりやすい場所では、水分が長時間残りやすいため注意が必要です。また、タイルの施工時に空気が入り込んでいたり、接着が不十分な場合も、そこから湿気が入り込み、下地のモルタルが長期間湿ったままになってしまいます。

タイル表面にカビが見えなくても、モルタル層でカビが発生していると、さまざまなリスクを引き起こします。特に湿気の多い住環境では、表には見えない「隠れカビ」が静かに広がり、建材や健康に悪影響を与えることがあります。

隠れた場所で繁殖するカビは、目視では気づきにくく、放置されがちです。しかし、カビの胞子は目に見えなくても空気中に漂い、住人の呼吸器に入り込む可能性があります。これがアレルギー反応や喘息などの健康被害を引き起こすことも。さらに、カビが繁殖した部分から臭いが発生することもあり、室内環境の快適さを損なう原因にもなります。

モルタル層のカビを放置すると、下地の木材や鉄筋コンクリートにまで湿気やカビが浸透し、建物の構造部分へダメージを及ぼすことがあります。構造材が腐食したり、劣化することで、建物の耐久性が低下し、大規模な修繕が必要になるケースもあります。また、カビによる空気汚染は、特に小さな子どもや高齢者の健康に悪影響を及ぼすため、早期対処が重要です。

タイルの下にカビがあるかどうかは、すぐには分かりにくいですが、いくつかの兆候に注目することで早期発見が可能です。見逃さずに適切に対処することで、被害の拡大を防ぐことができます。

カビがモルタルに発生すると、タイルの表面にもその兆候が現れることがあります。例えば、目地が黒ずんできたり、タイルが浮いてきたりする場合は要注意です。また、タイル周辺にカビ臭さや湿っぽいにおいを感じる場合も、内部でカビが発生している可能性があります。このような異常に気づいたら、早めに調査を行うことが大切です。

軽度なカビであれば、タイルを一部剥がしてモルタルの状態を確認し、除カビ剤を使用して対処可能です。ただし、広範囲にカビが広がっている場合は、タイルとモルタルを一度すべて撤去し、下地の乾燥や消毒、防カビ処理を行った上で再施工する必要があります。DIYでの処理は限界があるため、専門業者に相談するのが安心です。

モルタルにカビが生えないようにするためには、施工段階での防水処理や適切な材料選びが非常に重要です。特に湿気の多い場所では、細かい施工の違いが後のカビ発生に大きく関わってきます。

施工時にモルタル層と下地の間に防水シートを入れることで、湿気の上昇を防ぐことができます。また、モルタル自体に防カビ剤を混ぜることで、内部からのカビ繁殖を抑制することも可能です。防水・防カビ処理は最初の段階でしっかり行っておくことが、長期的な安全性を保つカギとなります。

湿気をこもらせないよう、空間の換気設計や排水の勾配調整なども欠かせません。水がたまりやすい場所では、タイルの傾きや排水口の配置を工夫することで湿気の蓄積を減らせます。また、接着剤や目地材の選定も防水性の高いものを使うことで、長期間カビの発生を防ぐことができます。

カビの発生を防ぎ、美しいタイルの見た目と住環境を維持するためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。予防の意識をもって取り組むことが、結果的に大きな修繕費用を抑えることにつながります。

定期的にタイルの表面を拭き掃除することで、カビの栄養となるホコリや皮脂を取り除けます。また、浴室やキッチンでは使用後に換気を行い、湿気を外に逃がすことも重要です。湿度計を設置して室内の湿度を50~60%に保つようにすると、カビの発生リスクが大幅に低下します。

目に見えないカビや劣化は、素人にはなかなか見分けがつきません。定期的に専門業者に点検してもらうことで、早期に異常を発見し、最小限の対処で済ませることが可能です。とくに築10年以上経過している住まいでは、内部の見えないカビが広がっている可能性もあるため、定期点検をおすすめします。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を柱に、住まいや生活環境における微生物被害に取り組んでいる団体です。目に見えないカビや空気中の汚染物質が人々の健康や建物の耐久性に与える影響に着目し、「空気の見える化」によって安心できる住環境の実現を目指しています。

この活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を基盤としており、アレルギー疾患の予防や症状の軽減を図るため、建築構造や生活環境の改善が求められる現代社会において重要な役割を担っています。

協会では、空気中に浮遊するカビや細菌の濃度を測定し、検査結果に基づいた適切なカビ対策を提案。とくに建物内では、カビが浮遊し落下した場所にとどまらず、根を張りながら成長するため、早期発見と対応が不可欠です。

見えるカビも見えないカビも、正しく対策すれば防ぐことができます。微生物対策協会は、住まいや車内などあらゆる空間での微生物被害を防ぎ、公衆衛生の向上と健康的な暮らしをサポートしています。

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