カビの胞子や雑菌
が室内に
浮遊・付着
していることをご存じですか?
カビや雑菌は、20℃以上の温度、湿気などの水分、皮脂などのあぶら汚れや食品カスなどの汚れを好み付着します。埃に汚れが合わさるとカビ・雑菌の温床になるだけでなく、ウィルスなどが付着し、室内を舞う可能性もあります。
汚れてカビや雑菌が繁殖しているところに、アルコール(消毒用エタノール)や塩素系漂白剤を使っても、汚れに洗浄成分や除菌成分が反応してしまい、肝心の除菌や消毒効果が弱まってしまいます。
カビを知る
「カビ」と呼ばれるものの正体は、微生物の一種で、真菌(しんきん)という仲間に分類されています。 そのカビの大きさは1~10ミクロンと肉眼では見えない微小なものです。 私たちの住空間には数えきれない程のカビが生育しています。 カビは、とりついたものを分解すると言われているのは、とりついた物質から栄養を吸収し菌糸の細胞の酵素が、ものを分解してしまうからなのです。 そこには空気中の湿気や物質からの水分などを必要としますが、どうしてもカビにとって水分が足りないとなると、カビは自身で特殊な分泌液を出したりしながら生きる環境を整えていきます。 例えば水分とは無縁の鉄の場合だと、とりついたところが鉄化化合物と結合して水溶性となることにより、カビは体内に水分を吸収できます。 また、プラスチックでもカビは2週間ほどで分解し、自分のエネルギーにしてしまいます。おかしな話ですが、この分解酵素がきっかけとしてプラスチックは開発されたとも言われております。 そんな分解酵素はカビ特有の嫌な臭いの原因になったり汚れになったり、素材を劣化させたりします。
カビが増えるメカニズム
驚くことに今あなたが吸っているこの「空気」の中にも、カビは必ず存在しているのです。 肉眼では確認できませんが、カビの胞子は空気中のいたるところに漂っています。取りつきやすい条件が整っているところに胞子が付く(胞子が少しでもひっかかれば付着OK)と、菌糸を網のように伸ばし急速に成長していきます。 成長したカビは、またどんどん空気中に浮遊していきます。さらに困ったことに一般的なカビにとって快適な気温は人間と同じ20℃~30℃。そのため住居内でのカビの繁殖速度は凄まじく、胞子が発芽して1日~7日程で集落(コロニー)を形成します。 この段階において、やっと私たちはカビの存在を肉眼で確認できるのです。現在、一般建築物から高い頻度で検出されるカビ(真菌)は49種といわれています。
カビは無数に空中を飛散する
少し油断をしているとカビは食べ物に生え腐らせていきます。 そんなカビは食べ物に生えるだけではなく、建物の風通しの悪いところや湿気の多いところにも繁殖します。 カビは花のような胞子をたえず空中に浮遊させながら落下していきます。そして有機物に付着することにより繁殖に必要な条件が整いしだい急速な繁殖をはじめます。 土には、わずか1グラム中に胞子が数千万個いると言われ、少しの風が吹いて土ぼこりがたてば、土の中のカビの胞子も共に舞い上がります。 空中を数え切れないほどのカビが浮遊し室内にも入り込み、結露しやすい場所に付着し 繁殖します。カビは私たちの身の回りで繁殖の機会を常にうかがっているのです。
カビは、人の健康になぜ問題なの?
カビが人に及ぼす悪影響を大別すると、人に対する直接影響と、物を汚染することによる間接影響に分かれます。 カビの胞子を吸い込んでアレルギー反応が誘発されればアレルギー性鼻炎、気管支喘息、過敏性肺炎などをおこす場合があります。 人の肺の中は湿度100%、気温37℃というカビが繁殖しやすい環境です。 しかし、人にそう簡単にカビが繁殖しないのは、人の肺は常に侵入するカビや埃を痰として外に出す機能が備わっていたり、また侵入してきたカビを殺してしまう細胞がたくさんあるからなのです。 ところが、この二つの機能が壊れると人の肺にカビが繁殖し病気になります。 また、皮膚の表面にカビがつけばジンマシンやアトピー性皮膚炎になる場合もあります。 カビの臭いやカビを発見したら早期に除カビ処理を施し、空中に浮遊するカビを吸い込まない、これも健康管理の一つとして知っておいてください。
病原菌としてのカビ
カビの種類は5万~7万種といわれていますが、そのうち病原菌となるカビは90数種です。この病原菌は四群にわかれます。 第一は、アレルギーの原因となるアレルゲンの役目を果たすカビ菌。 第二は、カビの付いたものを食べることによって中毒を起こしたり死亡に至るカビ菌。 また食品に寄生して発ガン性や肝硬変を引き起こすカビ毒を産生するカビ菌。 第三は、健康な人には何でもないのに、免疫力の落ちた高齢者や病気の人、また免疫力の備わりきっていない幼児などに感染症を引き起こすカビ菌。 第四に、人の組織に侵入して病気を引き起こす能力をもつカビ菌。 これらのカビは、それぞれアレルギー学、真菌学・中毒学、医真菌学の分野で研究がされています。 これらの感染症は高齢社会の日本にとって、大きな問題になってくると言われています。
カビの検査
カビの被害を受けたとき、原因となったカビの種類を特定することは、適切な対策をたてるために重要です。対象箇所の障害は、カビによって起こったものなのか? これを確定することで対策が変わるからです。 カビを検出することは、カビを人工的に発育させることから始まります。 この作業により、検出されたカビの菌糸や胞子が目に見える大きさに育ちます。 上手にカビを育てることがカビの専門家の基本ともいえます。 そして、カビの発育に必要な成分を、生育に具合のよい比率で水に溶かした液を、寒天で固まらせたものを培地として使用します。この培地の種類は300種位の考案がされていますが、どの組成したものを使用するかも特徴があります。
なぜ建物素材にカビが繁殖するのか?
日本の住まいは急速に都市化が進み、在来工法の木造住宅が減り鉄筋コンクリート造の集合住宅や新建材の住宅が主流となってきました。ところが、環境条件が欧米とは異なり高温多湿で容易にカビが成育できるのにも関わらず欧米の建物をそのまま移入し、その中で、在来の家屋と同じ習慣の延長で生活しているため、部屋の中が一気に高温多湿となっています。しかもアルミサッシは性能が良く気密性が高く、壁装材のビニールクロスは、ほぼ通気性が無い。おまけに換気が不十分では湿気の逃げ場がない。コンクリートの建物の中はコウジを培養するムロのようになってしまい湿気とカビに悩まされることになっています。
美観を損ねるだけではなく
建物の命と人の健康障害の原因にもなる
「カビ!」
そのまま放置していませんか?
衛生意識の高い人が増えている今!
室内中に真菌(カビ・酵母)は必ず存在します。
真菌は微生物由来揮発性有機化合物のような刺激性の化学物質を産生することもあり、マイコトキシン(カビ毒)を産生する菌種があります。浮遊する量によっては菌体成分の刺激性から呼吸器など健康に影響を生じる可能性があります。
SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウィルス)やMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウィルス)とともに、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるものとして知られております。
暮らし方の工夫が求められるなか
知識が求められる時代です。