2025/07/08
床下にカビが発生し、においや建物の劣化が気になっていませんか?
【記事を読んで分かること】床下のカビと湿度の関係、カビが与える影響、効果的な湿度管理方法がわかります。
【記事を読むメリット】カビを再発させず、家の構造や家族の健康を守るための実践的な対策を学べます。
1. 床下の湿度が高いとカビが発生する理由
床下は家の中でも特に湿気がたまりやすい場所です。そのため、適切な管理がされていないと、カビが繁殖しやすくなります。ここでは、カビがどのような条件で発生しやすいのか、そして床下が湿気やすい理由について詳しく解説します。
1-1. カビが好む湿度・温度・環境とは?
カビが繁殖するためには、**温度・湿度・栄養(ホコリや木材)**の3つの条件がそろう必要があります。とくに湿度は非常に重要な要素であり、相対湿度が70%を超えると、カビは活発に繁殖を始めます。
カビが好む環境条件は以下の通りです:
- 温度:20〜30℃程度(人が快適に感じる室温と同じ)
- 湿度:70%以上(特に梅雨時や冬場の結露に注意)
- 栄養:木材、ホコリ、断熱材、カビの死骸など
床下は通気が悪く、湿気がこもりやすいため、これらの条件が揃いやすい場所です。特に梅雨や長雨の季節、また冬の結露が起きる時期は、床下の湿度が急上昇し、知らないうちにカビが繁殖してしまうのです。
1-2. 床下が特に湿気やすい原因を解説
床下が湿気やすくなる原因には、構造的な問題と外的な要因が関係しています。以下のような状況があると、床下の湿度が高まりやすくなります:
- 地面からの湿気の上昇(防湿対策が不十分な場合)
- 換気口が少ない、または塞がれているために空気がこもる
- 雨水や排水が床下に侵入している
- 近隣の土地より敷地が低いために水がたまりやすい
- 家屋の築年数が古く、調湿機能が弱い
さらに、近年の気密性が高い住宅では、断熱効果が高い反面、湿気がこもりやすい構造になっていることも影響します。目に見えない場所だからこそ、床下の湿度は知らず知らずのうちに上昇し、気づいたときにはカビや腐朽が進行しているというケースも少なくありません。
このように、床下の湿度が高くなる原因を理解し、定期的にチェックすることがカビ予防の第一歩です。
2. カビが床下に与える建物・健康への影響
床下に発生したカビは、見えない場所にあるからといって放置して良いものではありません。実は建物の構造そのものに深刻なダメージを与えるだけでなく、室内にカビの胞子が拡散することで、住む人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。この章では、床下カビがどのようにして被害を広げるのかを解説します。
2-1. 構造木材の腐朽とシロアリのリスク
床下にカビが生える環境は、同時に木材が腐りやすい条件でもあります。カビは木材の表面だけでなく、内部まで侵食し腐朽菌の繁殖を招くことがあり、これが進行すると床の強度や耐震性が著しく低下します。
また、湿った木材はシロアリにとっても絶好のすみかです。カビが発生しやすい高湿度の床下は、シロアリの活動が活発化しやすい条件と一致しています。つまり、カビ→腐朽→シロアリという悪循環が生まれ、建物の劣化スピードが加速するリスクが高まるのです。
一度木材が構造的にダメージを受けると、修復には大規模な工事が必要になるため、早期発見と予防が極めて重要です。
2-2. 空気循環による室内へのカビ影響
「床下のカビなんて関係ない」と思いがちですが、実は大きな間違いです。カビの胞子は非常に軽く、空気の流れに乗って床下から室内へと移動してきます。特に気密性が高い住宅や、床下換気が不十分な家では、カビ臭や目に見えない胞子が室内空気に混じって拡散してしまうのです。
その結果、住人が次のような症状に悩まされるケースがあります:
- 咳やくしゃみが続く
- 喉の痛み、鼻づまり
- 頭痛やだるさ
- アレルギー症状や喘息の悪化
とくに小さな子どもや高齢者、アレルギー体質の方にとっては、健康リスクが非常に高くなります。見えない床下のカビが、空気を介して家中に広がる恐ろしさを理解しておくことが大切です。
3. 床下湿度を測定する方法と適正値
床下のカビを予防・対策するうえで、まず必要なのは「現状の湿度がどれくらいか」を知ることです。目に見えない湿気は、数値で管理しない限り正確に把握できません。この章では、床下の湿度を測る具体的な方法と、カビが繁殖しにくい適正湿度の目安についてご紹介します。
3-1. 湿度の測り方とチェックポイント
床下の湿度を正確に知るには、湿度計や測定機器を使う必要があります。一般家庭では難しそうに思われがちですが、以下のような方法で湿度の確認は可能です。
【床下湿度の測定方法】
- スティック型の湿度計を床下に差し込む(点検口がある場合)
- ロガー式温湿度計を数日設置し、記録を取る
- 専門業者による床下点検サービスを利用してプロに測定してもらう
測定時のポイントは、外気の影響を受けない場所で測ること。また、雨の翌日や梅雨時期など、湿気が多いタイミングに測ると、実態に近い数値が把握できます。
点検口がない住宅では、専門業者に依頼するのが安全かつ確実です。多くの業者では、点検時に湿度・温度・カビ状況をセットで調べてくれます。
3-2. 適正湿度は何%?注意すべき数値とは
床下の湿度は、65%以下であれば比較的安全と言われています。これを超えるとカビや腐朽菌が活発になり始め、70%以上で繁殖のリスクが一気に高まるとされています。
以下の数値を目安にしてください:
- ~60%:理想的な状態。カビやシロアリのリスクが低く保たれます
- 61~69%:注意ゾーン。湿気対策の準備が必要です
- 70%以上:危険ゾーン。カビや木材腐朽が進行する可能性大
また、湿度だけでなく、温度が20℃を超える時期は要注意。カビの繁殖スピードが一気に上がるため、湿度と温度を合わせてチェックすることが大切です。
測定結果が危険ゾーンに達している場合は、早急に換気強化や調湿材の導入、防カビ処理などの対応が必要です。
4. カビ発生時の対処法と具体的な施工例
床下にカビが発生してしまった場合、表面的な掃除や除菌では不十分です。とくに木材や断熱材にカビが根を張っている場合、しっかりとした除去・処理をしないと再発する可能性が高まります。この章では、カビが発生したときに取るべき対策と、実際に行われている施工方法についてご紹介します。
4-1. 防カビ処理と除菌の流れを解説
床下でカビが確認された場合、以下のステップで除去と予防処理を行います。
【一般的な防カビ処理の流れ】
- カビの範囲と状態を調査
どの部位にどれだけカビが広がっているか、視認・機器測定などで確認します。 - カビの除去作業(物理的・薬剤処理)
表面のカビは専用の除菌薬剤でふき取り処理。根を張っている場合は、削り取りや木材交換も検討されます。 - 防カビ・抗菌処理の施工
除菌後に、防カビ剤を噴霧・塗布して再発を防ぎます。使用する薬剤は住宅用の安全なものが主流です。 - 乾燥と換気で仕上げ
施工後は送風機や除湿機で湿度を下げ、薬剤が定着しやすい環境を作ります。
このように、単なる掃除ではなく、建物の構造や湿気の状態に応じた専門的な処置が必要です。状況によっては断熱材の入れ替えや調湿材の設置を行うこともあります。
4-2. 業者依頼時に知っておきたいポイント
カビ除去を業者に依頼する場合、信頼できる業者選びが非常に重要です。以下のポイントを確認しておきましょう。
【チェックすべき業者選びの基準】
- 床下点検+湿度測定をしてくれるか?
- 除菌後に防カビ処理まで一貫対応可能か?
- 使用する薬剤の安全性(人体・ペットへの影響が少ない)
- 写真付きの施工報告書を出してくれるか?
- 保証制度の有無(1〜5年など)
また、施工前に「どこにカビがあるのか」「どんな薬剤を使うのか」「再発防止策は何か」をしっかり説明してくれる業者であるかを確認しましょう。中には不必要な施工や過剰請求を行う業者もあるため、複数社に見積もりを取るのもおすすめです。
信頼できる専門家による対応を受けることで、再発の不安なく安心して暮らせる環境を整えることができます。
5. カビを防ぐための床下湿度管理のコツ
カビは一度発生すると除去に手間と費用がかかります。だからこそ、日頃の湿度管理によって再発を予防することが最も重要です。この章では、床下の湿気を効果的にコントロールし、カビの発生を防ぐための実践的な方法をご紹介します。
5-1. 換気口・換気扇・調湿材の活用方法
床下の湿気をため込まないためには、通気と吸湿がカギになります。以下の3つを適切に活用することで、床下の環境を健全に保つことができます。
【床下換気の工夫】
- 換気口の確認:落ち葉やゴミで塞がれていないか、定期的にチェック。
- 床下換気扇の設置:自然換気が難しい住宅では、電動換気扇の導入が有効。温度センサー付きタイプがおすすめです。
- 調湿材の敷設:炭やゼオライトなどの調湿材を床下に敷くことで、湿度が高いときは吸湿し、乾燥時には放湿してバランスを保ちます。
これらを併用することで、通気性の向上+湿気の安定化が実現し、カビの繁殖条件を崩すことができます。
5-2. 定期点検とメンテナンスの重要性
湿度管理は「一度やれば終わり」ではありません。季節や天候によって床下環境は常に変化しており、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
【定期的にチェックしたいポイント】
- 雨が多い梅雨・秋の長雨時期に湿度を測定
- 換気口の開閉や異常の有無を確認
- 防湿シートや調湿材の劣化状況をチェック
- カビ臭や湿気を感じたら早めに専門業者に相談
また、5年~10年に一度は、専門業者による床下の総点検を行うと安心です。湿度・木材の状態・カビ・シロアリなどを総合的にチェックしてもらうことで、被害の早期発見と予防が可能になります。
「何も起きていないから大丈夫」と思わずに、小さな変化に気づける仕組みを作ることが、快適な住まいを守る最大の秘訣です。
一般社団法人 微生物対策協会について
一般社団法人微生物対策協会は、カビや微生物による住環境の被害から人々の健康と建物を守るために設立された専門団体です。特に近年、住宅の高気密化や異常気象による湿気の増加により、カビの発生が深刻な問題となっています。当協会は、そのようなリスクに対して「検査・調査・対策」の3つの柱でアプローチし、健康を支える安全な住空間づくりを支援しています。
協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」に基づいています。この法律では、「アレルギー疾患の予防および症状の軽減のため、生活環境の改善を図る措置を講ずること」が求められており、私たちはこれを根拠に活動を展開しています。住環境に潜むリスクを「見える化」することにより、科学的な根拠に基づいた対策の提案を可能にしています。
当協会では、室内や床下、車内などに浮遊する目に見えない微生物やカビの有無・濃度を測定・分析し、それに基づいた改善策を提供しています。空気中の浮遊カビは、咳、鼻炎、アレルギー性疾患、さらには建物の劣化を引き起こす原因にもなります。カビの胞子は一度空中に飛散すると広範囲に拡がり、落下しても死滅しない性質を持っています。そのため、「見えるカビ」だけでなく、「見えないカビ」にも注意が必要です。
特に床下空間では、湿度の高さや通気性の悪さからカビが発生しやすく、それが建物の構造材を腐朽させる要因となります。当協会は、そのような目に見えないリスクを可視化し、信頼性の高い調査と対策によって、快適で安心できる住環境づくりをサポートしています。
私たちは、カビに関する正確な知識と検査結果を通じて、皆様が健康で安心して暮らせるように、公衆衛生、福祉、環境保全の向上に貢献してまいります。カビに関するご不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。