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微生物対策協会

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2025/07/07   

咳が止まらない…それカビのせい?寝室の見えないリスクとは

寝室で寝ていると咳が止まらず、朝までつらい…そんな悩みを抱えていませんか?
【記事を読んで分かること】寝室のカビが咳の原因になる理由と、カビを除去・予防する具体策がわかります。
【記事を読むメリット】カビによる健康被害を防ぎ、安心して眠れる快適な寝室環境を手に入れられます。

「夜になると咳が止まらない」「朝起きると喉が痛い」――そんな症状が続くと、風邪や乾燥を疑いがちですが、実は寝室のカビが原因になっていることも珍しくありません。とくに目に見えないカビの胞子は、知らない間に空気中に漂い、それを吸い込むことで体に影響を及ぼします。この章では、カビが咳を引き起こすメカニズムと、その症状について詳しく見ていきます。

カビは、湿気の多い場所で増殖し、胞子(ほうし)という微細な粒子を空気中に放出します。この胞子は非常に小さく、目に見えないため気づかないうちに呼吸とともに体内に取り込まれてしまいます。

特に寝室は長時間過ごす空間であり、就寝中は換気もほとんどされないため、胞子が充満しやすい環境になります。これを繰り返し吸い込むことで、気管支が刺激され、咳、くしゃみ、喉のかゆみなどの症状が現れるのです。

さらに、カビには「真菌毒素(マイコトキシン)」と呼ばれる有害物質を生成する種類もあり、これがアレルギー反応や慢性的な呼吸器トラブルの引き金となることもあります。咳以外に、倦怠感、鼻づまり、目のかゆみなどが同時に出る場合は、カビ由来の可能性が高まります。

カビが原因で引き起こされる咳には、「アレルギー性咳嗽(がいそう)」や「カビ性喘息」といった病気が関係していることもあります。これは、カビに含まれる成分に対して体が過剰に反応し、気道が炎症を起こすことで咳が出る状態です。

特にアレルギー体質の人や小さなお子さん、高齢者はカビに敏感で、わずかな刺激でも咳が止まらなくなることがあります。夜中や朝方に咳が強く出る、横になると咳き込みやすいといった特徴がある場合は、アレルギー的な要素が強いと考えられます。

また、カビが引き金となって喘息を悪化させるケースもあります。気道が常に敏感になっている人は、カビの胞子を吸い込むことで発作的な咳や呼吸困難を起こすことがあるため、注意が必要です。

このように、寝室のカビは単なる見た目の問題ではなく、咳や呼吸器症状の深刻な原因になることがあるのです。

夜間や朝方に咳が出やすいとき、「風邪かな?」と自己判断してしまうことも多いですが、実は寝室の空気や環境に問題があるケースが少なくありません。特にカビは目に見えないところで繁殖していることがあり、自分では気づきにくいものです。この章では、咳がつらいと感じたときにまず確認したい寝室内のポイントを紹介します。

カビは湿気と栄養(ホコリ・皮脂など)があるところなら、どこでも繁殖します。とくに寝室で注意したいのが壁、窓のサッシ、天井の隅、ベッドの裏といった場所です。これらは湿気がたまりやすく、しかも普段あまり目を向けないため、気づかないうちにカビが広がっていることがよくあります。

特にベッドと壁のすき間家具の裏などは空気の流れが悪く、湿気がこもりがちです。さらに、外気との温度差が大きい窓周辺では結露が頻繁に発生し、そこにカビが繁殖します。

天井や壁紙に薄いグレーの斑点がある、何となくカビ臭いと感じる場合は、すでに空気中にカビの胞子が舞っている可能性があります。咳がつらい時には、まず目に見えるカビの有無と、湿気がこもりそうな場所をくまなくチェックしてみましょう。

寝具やカーテンといった布製品も、実はカビの温床になりやすいアイテムです。特に冬場など、布団の裏側は体温と湿気がこもるため、床との接触面にカビが生えやすくなります。毎日使っているマットレスや敷布団の裏に、黒っぽい点々ができていないか確認してみましょう。

また、カーテンは窓の結露の影響を受けやすく、下の方に黒カビが発生していることもあります。しかも布製のため、胞子が繊維に残りやすく、洗濯しても完全に落としきれないこともあります。

さらに、枕や枕カバーにも皮脂や汗がたまり、それがカビやダニの栄養源になります。咳が長引いている場合は、寝具全体を清潔に保つことも忘れてはいけません。

寝室で咳が出るときは、目に見える場所だけでなく、「寝具やファブリック製品も含めて環境全体を見直す」ことが重要です。

寝室にカビが発生していると気づいたら、すぐに対処することが大切です。特に咳や体調不良が出ている場合は、軽度のカビでも放置すれば健康被害が拡大する恐れがあります。この章では、寝室のカビを安全かつ確実に取り除くための実践的な方法をご紹介します。

カビの掃除には「殺菌・除去・乾燥」の3ステップが基本です。寝室は長時間過ごす場所なので、安全性の高い方法を選びましょう。

【掃除の流れ】

  1. マスク・手袋を着用し、窓を開けて換気
     カビの胞子を吸い込まないようにすることが最優先です。作業中は必ず換気を行いましょう。
  2. カビの範囲を確認し、表面を除去
     壁や窓枠などのカビには、アルコールスプレー(濃度70%以上)を使用するのがおすすめです。塩素系のカビ取り剤は強力ですが、寝室では刺激が強すぎる場合があるため注意が必要です。
  3. 拭き取り後、乾いたタオルでしっかり乾燥
     湿気を残すとまたカビが発生するため、掃除後は必ず水分を取り除きます。
  4. 布製品の洗濯または処分
     カーテン・枕カバー・布団カバーなどは洗濯し、洗えないものは天日干しや除菌スプレーで対応します。

カビが根を張っていたり、壁紙の裏にまで達しているような場合は、表面の掃除だけでは不十分です。後述のプロの判断を仰ぐ選択肢も視野に入れましょう。

カビ除去と並行して、空気の環境改善も重要です。寝室内の湿気や胞子を取り除くためには、空気清浄機と除湿機の活用が効果的です。

【空気清浄機のポイント】

  • HEPAフィルター搭載のものを選びましょう。微細なカビ胞子を99%以上キャッチできます。
  • 寝る数時間前から稼働させておくと、空気中のカビやホコリが減り、快適な空間になります。
  • 定期的なフィルター掃除・交換を忘れずに。

【除湿機のポイント】

  • 湿度60%以下をキープするのが目安です。
  • 梅雨や冬の結露が多い季節は、24時間運転モードが有効。
  • タイマー設定と併用すれば電気代も節約しながら除湿できます。

どちらも“置いておくだけ”では効果を発揮しません。正しい設定と使い方を心がけることで、カビの再発防止と咳の緩和につながります。

カビの掃除や除去をしても、湿気が多い環境が変わらなければ、またすぐに再発してしまいます。とくに寝室は一晩中密閉された状態が多いため、湿気や結露がたまりやすい場所です。この章では、カビの再発を防ぐための湿気コントロールと、効果的な換気方法をご紹介します。

換気と聞くと「窓を開ければ良い」と思いがちですが、ただ開けるだけでは空気の流れができず効果が薄いことがあります。特に無風の日や、1ヶ所だけの開け方では空気が循環しません。

【効果的な換気のポイント】

  • 2方向の窓やドアを開けて空気の通り道を作る
  • 窓が1つしかない場合は、扇風機やサーキュレーターで風を送る
  • 朝起きたらまず窓を開け、湿気を逃がす習慣をつける
  • 雨の日や寒い日は、短時間でも空気の入れ替えを意識する

サーキュレーターは部屋の空気を動かし、壁際や家具裏のよどんだ空気を流すのに効果的です。冷暖房と併用すれば、空気が均一に循環して湿気の偏りも防げます

壁紙や窓まわりにできる結露は、放置すればカビの温床になります。特に外気と接する北側の壁は冷えやすく、暖かい室内との温度差で水滴がつきやすいです。

【結露対策と湿気防止の工夫】

  • 結露防止シートや断熱フィルムを窓ガラスに貼る
  • 湿気が多い日は、除湿機を短時間運転する
  • 家具は壁から3〜5cm離して配置して、空気の流れを確保
  • ベッドやマットレスの下にすのこを敷いて通気性を上げる

また、室内に洗濯物を干す習慣がある場合は、湿度が上がりすぎてしまいます。可能な限り別の部屋で行い、やむを得ない場合は換気扇や除湿機と併用しましょう。

カビが再発しない寝室をつくるには、日常の小さな工夫の積み重ねが何よりも大切です。

寝室のカビを掃除し、除湿や空気の入れ替えなどの対策を行っても、それでも咳が長引く場合は医療機関への相談や住環境の検査が必要です。特にアレルギーや呼吸器の疾患が関係している可能性がある場合には、放置せず早めの対応が重要です。この章では、どんなときに医療機関を受診すべきか、またカビ検査の必要性について解説します。

カビによる咳は、アレルギー反応が原因になっていることが多く、風邪や乾燥とは異なるメカニズムで起こります。次のような症状が続いている場合は、アレルギー科や呼吸器内科の受診を検討しましょう:

  • 2週間以上咳が続いている
  • 夜中や明け方に咳き込みやすい
  • 湿った咳ではなく、空咳が中心
  • 市販の風邪薬や咳止めが効かない
  • 同時に目のかゆみ、鼻水などが出る

医療機関では、血液検査(IgE抗体)や皮膚テストなどでカビアレルギーの有無を調べることができます。カビアレルギーと診断された場合、治療と並行して「カビを避ける環境づくり」も必要になります。

また、喘息の可能性がある場合は呼吸機能検査なども行われ、吸入薬などによる治療が行われます。専門家の指導のもと、適切な対処を進めることが大切です。

咳の原因が寝室のカビにあると疑われる場合は、住環境のカビ検査を行うことで状況を数値化し、的確な対策につなげることができます。

カビ検査では以下のような情報が得られます:

  • 空気中に漂うカビ胞子の量(浮遊菌数)
  • 表面や壁紙裏にあるカビの種類と濃度
  • 湿度や温度などの環境要因との関係
  • 隠れたカビの発生源(壁内・天井裏など)

これらのデータに基づいて、適切な除去方法再発防止の対策が明確になります。とくに、繰り返す咳や体調不良が改善しない場合には、医療と連携して環境改善の一手として検査を行うことが有効です。

検査の結果、「家そのものにカビが深く根付いている」ことがわかる場合もあり、早期に対処することで、健康への影響を最小限に抑えることができます。

一般社団法人微生物対策協会は、「カビの検査と対策」を専門に行う団体として、人々の健康と建物の安全を守ることを目的に活動しています。現代の住宅や施設では、目に見えない空気中の微生物やカビが健康被害や建物の劣化を引き起こす大きな要因となっており、それに対処するために私たちは設立されました。

当協会の活動は、平成27年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」を基盤としています。この法律は、アレルギー疾患の予防や症状の軽減のために、生活環境の改善を重要視するものであり、私たちはその趣旨に基づいて、住環境の「見える化」を進めています。

具体的には、室内空気や車内空間に浮遊するカビなどの微生物を調査・分析し、どのようなリスクが存在しているかを数値化して明らかにします。これにより、効果的で科学的根拠に基づいた対策が可能となります。建物の中では、特に「カビ」による被害が多く、天井裏や壁の中、家具の裏など、普段見えない場所で静かに繁殖しているケースが目立ちます。

カビ菌は一度発生すると、空気中を漂いながら室内全体に広がるため、見えている部分だけの除去では不十分です。また、落下したカビ胞子は生き続けることが多く、根本からの対処が必要となります。そのため、当協会では、検査・報告・対策の三本柱で、再発防止までを見据えたサポートを行っています。

私たちは、カビや微生物による住環境のリスクを誰でもわかる形に「見える化」し、一般のご家庭から公共施設まで、あらゆる空間において「安心・安全な空気環境」の提供を目指しています。アレルギーや咳、喘息などの症状に悩む方が少しでも快適に過ごせるよう、正確な情報と専門的な技術を通じて、公衆衛生・医療・福祉・環境保全の向上に寄与してまいります。

カビの不安がある方、咳やアレルギーが改善しない方は、ぜひ一度、私たち微生物対策協会にご相談ください。

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